記者コラム「清流」 弁論に集う若者

 先日初めて静岡市清水区で行われた第68回全国青年弁論大会を拝聴し今も余韻に浸っている自分がいる。SNS全盛の時代に40人の全国から集まった若者たちが肉声で自分の意見を述べる場はぜいたくに感じた。
 参加者にはいわゆるZ世代も多い。世代の隔絶などの文脈で語られることもある彼らが、原稿を見ずに手ぶりを交えて7分間、多様性や性、不登校の友人、資本主義などのテーマについてまっすぐな目で語る。スマホを見る時間を惜しみ、自宅や電車の中などでも繰り返し練習したのだろう。
 都内の大学では近年弁論部の部員が以前より増えているそうだ。9時間に及んだ大会の終わりには、会場内に連帯感が生まれていたように思う。リアルなコミュニケーションのすごさをデジタルネーティブから教えてもらった一日だった。
(清水支局・坂本昌信)

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