記者コラム「清流」 親しんだ場所を記録に

 浜松市内の中学校美術部が制作した風景画の「秋の写生コンクール」表彰式が11月下旬に行われた。最優秀作品は、中区の八幡中2年の殿村桃花さんが描いた浜松球場だった。球場や周辺の木々、青空を秋らしく爽やかに表現していたことが評価された。ただ、個人的には題材を浜松球場に選んだ理由が印象的だった。
 殿村さんは高校生の兄が野球を続けていて、応援のために何度も球場に足を運んでいる。一方、球場のある四ツ池公園運動施設は併設する陸上競技場に特化する方針で、球場は解体される。殿村さんは取材に「なくなってしまう場所だから、記録に残しておきたかった」と語ってくれた。
 浜松球場が野球をする人だけでなく子どもも含む多くの市民に親しまれた場所であることにあらためて気づかされた。
(浜松総局・松浦直希)

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