記者コラム「清流」 どうもおかしい

 川勝平太知事の言動と県政運営を約10年間、ウオッチしてきた。歯に衣(きぬ)着せぬ知事の物言いは良くも悪くも話題に事欠かない。全国学力テストの結果を踏まえた校長名公表や副教材問題、リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少問題など、是々非々で報道してきたつもりだ。
 ところが、熱海土石流の県行政文書不適切開示問題に関しては、知事の様子がどうもおかしい。開示担当職員の説明をうのみにし、調査が不十分なまま職員が隠蔽(いんぺい)していないと決めつけてしまった。これまでの対応と異なる。
 行政組織内で知事は役人を率いるトップであるとともに、県民による選挙で送り込まれた唯一の県民代表とも言える。もう一度、組織の論理ではなく県民の視点に立って職員を指揮してもらえないだろうか。
(社会部・大橋弘典)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞