記者コラム「清流」 「残された時間」の活用 

 静岡市葵区の県地震防災センターで月1回、市民向けに開かれている「ふじのくにDIG(災害図上訓練)セミナー」に参加した。講師でDIG考案者の小村隆史常葉大准教授と参加者の双方とも熱意にあふれ、活発な議論が交わされた。
 11月は「次の南海トラフ地震まで10年残されているとしたら市民は何をすべきか」を考えた。防災士や災害ボランティア、企業関係者ら約30人の参加者は「要支援者が短時間で津波から避難するのは無理」「施設や住居の移転を進め、避難を要しないまちづくりに転換を」と避難ありきの対策の見直しなどを訴えた。
 セミナー開始から11年たつが「まだ議論の成果を社会に実装できてない」と小村准教授。災害弱者の命を守る態勢は、万全とは程遠い。残された時間、私たちが何をすべきか考えたい。
(社会部・瀬畠義孝)

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