「体良体操教室」 介護予防に成果 御前崎市 住民主体運営15年 高齢者の居場所にも、厚労省などが表彰

 御前崎市の高齢者が健康寿命を伸ばすために活動する「おまえざき体良(たいりょう)体操教室」がスタートから15年を迎え、市内の要介護認定率が下がるなど、一定の成果を見せている。教室を住民主体で運営する手法は高齢者の居場所づくりや社会参画にもつながる。このほど、厚生労働省などが健康増進の取り組みを評価する「健康寿命をのばそう!アワード」の自治体部門で優秀賞に選ばれた。

体良体操教室で体を動かす高齢市民。定期的に集まることで居場所づくりにもつながっている=御前崎市の佐倉地区センター
体良体操教室で体を動かす高齢市民。定期的に集まることで居場所づくりにもつながっている=御前崎市の佐倉地区センター

 「大きく体を動かしましょう」。11月末、同市の佐倉地区センターで高齢者約40人が腕や脚を曲げ伸ばしたり、肩や腰を回したりして汗を流していた。体良体操は市民の高齢化を背景に、介護予防事業の一環で2007年に市立御前崎総合病院の理学療法士が監修して開発した。市は漁業が盛んなことから大漁と絡めて「体良体操」と名付け、翌08年から本格的に導入した。
 プログラムは有酸素運動や筋肉負荷、バランス感覚を上げることなどを重視した五つのメニューで構成し、市歌のメロディーに乗せて約20分間体を動かす。現在は市内の9会場で週1回程度開催。講師は専門家が務めるのではなく、介護予防運動指導士の養成講座を受けた市民ボランティアが仕切るのが特徴だ。教室に通い始めて15年という増田三代子さん(78)は「仲間たちと一緒に体操して談笑するのが日々の楽しみ」と語る。
 市によると、要介護認定率は08年時点で14・5%だったが、22年までに2ポイント低下した。市高齢者支援課の松下学さんは「体操を習慣化すれば歩行中の転倒や寝たきりの防止対策になる」と期待するとともに、「より多くの人に効果を広めていきたい」と話した。
 体良体操教室が優秀賞を受けた同アワードは、厚労省とスポーツ庁が健康増進や介護予防の優れた活動を顕彰する。住民が継続的に運営していることや、地域コミュニティー形成に貢献している点が評価された。
 (御前崎支局・市川幹人)

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