手術支援ロボ自動化探る 県立静岡がんセンター 世界初の臨床研究

 静岡県立静岡がんセンター(長泉町)は21日、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」の部分的な自動化(手術の自律化)の可能性を探る臨床研究を始めると発表した。世界初という。メーカー「メディカロイド」など3者で実施する。

県立静岡がんセンターが導入した手術支援ロボット「ヒノトリ」=長泉町(同センター提供)
県立静岡がんセンターが導入した手術支援ロボット「ヒノトリ」=長泉町(同センター提供)

 大腸外科をはじめ複数の領域で、手術中の内視鏡画像データとロボットの操作記録を解析し、自動化の可能な範囲を検討する。研究結果をロボットの機能開発に生かす。将来的には医師の手技の支援や遠隔手術の実用化につながると期待されるという。
 同センターの塩見明生・大腸外科部長は「人の目に見えないものをテクノロジーで可視化し、人の手でできない部分をロボットの手が実現すれば、外科手術はさらに進歩する」と話す。
 2020年に実用化されたヒノトリは4本のアームに医療器具や内視鏡カメラを取り付け、医師は3D映像を見ながら遠隔でアームを操作する。メーカーによると、人の手よりも細かな動きが可能で、手ぶれの心配がなく、精緻な手術ができる。同センターは今年12月からヒノトリを導入し、大腸外科で1例目の手術を実施。今後は婦人科や食道外科などに拡大する。
 同センターは11年に米国製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」を県内医療機関に先駆けて導入した。現在は3台を備え、大腸がん手術の症例は全国最多の約2千件に上るなど実績を残している。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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