記者コラム「清流」 最初の一歩

 「血液が不足しています。ご協力をお願いします」。買い物のため、浜松駅前を歩いていると献血を呼びかける声が聞こえてきた。注射への抵抗感や時間がないことを理由にして、これまで目をそらし続けきたことに罪悪感があった。勇気を出して「初めてなんですが」と声をかけた。
 簡単な問診と血液型の検査を受けた後、15分ほどであっさりと献血は終了。看護師が体調を気にかけながら採血してくれたので、不安も感じなかった。献血を定期的に続けているという人を何人か知っているが、最初の一歩を踏み出してしまえば、その後のハードルは低くなりそうだ。
 帰り道、自分の一日の価値が少し高くなった気がして、足取りが軽くなった。きっと次は勇気を出さなくても「協力します」と言えると思う。
(浜松総局・山川侑哉)

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