徳川将軍刀剣の鞘、新調へ 久能山東照宮、CFで支援募る 秀忠奉納の国宝は修復可能性調査

 久能山東照宮博物館(静岡市駿河区)は2024年度から、徳川幕府の歴代将軍が寄進した刀剣の一部新調と復元事業を始める。初代将軍・家康の愛刀で重要文化財の太刀「無銘 光世作(ソハヤノツルキ)」をはじめ、14本の刀剣について保護用の白鞘(さや)を新調する。外装が激しく傷んでいる2代将軍・秀忠が奉納した国宝の太刀「銘真恒(さねつね)」は修復可能性を調べるため、復元模造の作成に取り組む。費用の一部について年度内には、クラウドファンディング(CF)で広く支援を募る予定。国宝の太刀「銘真恒」に付属する拵。主に糸巻き部分が劣化している=26日、静岡市駿河区の久能山東照宮
 「ソハヤ―」は家康の死の2日前に罪人の試し切りを行い、切れ味の良さから、子孫鎮護の刀とすると伝えたという。なお不穏な動きがあった大坂方面に切先を向けておくよう命じたと伝わり、安寧の世への願いを込めた刀とされる。
 一部新調するのはこのほか、家康の愛刀など国宝や重要文化財に指定されている14本。刀身を保管するための外側の覆いである白鞘は、作成から160年以上たった。木地の劣化や継ぎ目の緩みにより、刀身保護が難しくなっているため、5カ年かけて新調する。
 「銘真恒」は、帯刀する際の外装である拵(こしらえ)が奉納から400年余り経過し、主に糸巻き部分が劣化。実物の修復に先立ち、そもそも江戸時代初期の作を現在の技術で再現可能か検証するため、制作当時の材料と作り方による復元模造を作成する。
 クラウドファンディングの目標額は1千万円。返礼品などは決まり次第、同東照宮のウェブサイトなどで公開する。
 (教育文化部・鈴木美晴)

家康愛用品がずらり 博物館で展示
 久能山東照宮博物館は、「無銘 光世作(ソハヤノツルキ)」、「銘真恒」の拵など、徳川家ゆかりの品を集めた展示会を行っている。展示は刀剣関連は2024年1月末まで、その他は3月10日まで。家康が関ケ原の戦いで身に着け、吉祥の具足とされる「歯朶具足」(右)などが並ぶ展示会=26日、静岡市駿河区の久能山東照宮博物館
 23年の大河ドラマ放送により家康への関心が高まって他施設に貸し出していた収蔵品が返却され、武具や日用品など約50点を鑑賞できる。
 家康が10代の頃に着用したと伝わる「金陀美具足(きんだみぐそく)」(展示は24年1月8日まで)、天下分け目の関ケ原の戦いの際に身に着けたとされる「歯朶具足(しだぐそく)」のほか、新年の干支(えと)にちなんでかぶとに竜の飾りのついた徳川歴代将軍の吉宗と慶喜の甲冑(かっちゅう)も展示。スペイン国王から海難救助のお礼として贈られた金色の「洋時計」も並ぶ。
 休館日なし。1月1~3日は午前8時~午後5時。それ以外は午前9時~午後5時。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞