浜岡原発防潮堤 追加対策検討進める 中部電力・林社長に聞く

 中部電力の林欣吾社長は5日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、浜岡原発(御前崎市佐倉)の敷地前面に設置している防潮堤について、追加対策の検討を進める方針を明らかにした。3、4号機の再稼働に向けた原子力規制委員会による新規制基準適合性審査で、耐津波設計の前提となる「基準津波」(想定される最大津波高)が現状の22メートルの高さを上回る見通しとなっているのを踏まえ「基準に適合するよう、進めていきたい」と強調した。

浜岡原発の再稼働の必要性などを語る林欣吾社長=名古屋市
浜岡原発の再稼働の必要性などを語る林欣吾社長=名古屋市

 新規制基準は原発の津波対策として、敷地を浸水させない「ドライサイト」を原則的に要求している。浜岡原発の基準津波を巡る審査ではすでに、南海トラフ地震単独でも22・7メートルの数値が固まっている。複数の発生要因を組み合わせる今後の評価作業次第では、上振れする可能性がある。
 林社長はドライサイトの確保に意欲を示し、基準津波が最終的に確定してから具体的な対策の方向性を判断するとした。防潮堤を当初の18メートルから22メートルにした際と同様のかさ上げをする見込みについては「かさ上げで大丈夫かどうなのかも含め、これから検討していく」と述べるにとどめた。
 東京電力福島第1原発事故後、中電は浜岡原発の安全対策工事に2650億円程度を投じている。追加対策にはさらに巨額の費用がかかることも予想されるが「これまでもできる限りの知見を対策に注いできた」と主張。今後も必要な投資は続けるかと問うと「もちろんだ」と明言した。
 2024年も審査への対応が重要な課題になると指摘し、自然ハザード(危険性)分野で論点が残る基準津波と敷地内断層の活動性評価の両項目で「(規制委の)理解を得られるよう、全力で取り組んでいく」と意気込みを語った。
 一方、1、2号機の廃止措置は計画通り「24年度に原子炉領域の解体に着手できればと思っている」とした。作業進展に伴って増える低レベル放射性廃棄物の処分方法や処分先は「(電力)事業者全体で連携して考えていく」と説明した。
 (東京支社・関本豪、御前崎支局・市川幹人)

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