偽サイトに気をつけて! 大手メーカーかたり粗悪な商品販売、全国で後絶たず 静岡県内でも被害

 大手メーカーのロゴや店舗の画像を無断で使って商品を販売する「なりすましサイト」。下着やバッグ、家具など種類はさまざまで、ブランドを信じて購入してしまう人が後を絶たない。静岡県県民生活課によると、2023年4~11月に県内の消費生活相談窓口に寄せられた偽サイトに関する相談は199件。特に40代以上の女性からの相談が多く、注意が必要だ。
偽サイトの画面。ミズノのロゴが表示されているが、商品とは無関係だった(写真の一部を加工しています)女性が受け取った商品。横幅約20センチの箱に4枚入っていた。下着裏側の洗濯ラベルは中国語で表示され、日本のメーカーの名前はない  「有名ブランド監修の商品だと思い、楽しみに待っていたのに」。静岡県中部の無職女性(64)は悔しがる。
 23年10月、スマートフォンで写真投稿サイト「インスタグラム」を見ていたところ、下着の広告が突然表示された。画面にはスポーツ用品大手「ミズノ」のロゴ。販売サイトにアクセスすると、企業の歴史や商品の性能について写真や動画で詳しく紹介されていた。ミズノが監修した製品と信じた女性は、黒色の下着2枚セット(税込み7568円)を代金引換(代引き)決済で購入した。
 しかし、2日後に届いたのはそれぞれ違う色の4枚。発送者が間違えたのかと思ったが、袋を開けて商品を手に取った時、下着の形や生地の薄さ、粗悪な縫製に違和感を覚えた。商品にも袋にもメーカーの名前は一切なく、偽物と気づいた。
 商品伝票にあった電話番号に何度かけても「電話が混み合っています」という自動音声が流れるだけだった。記載の住所宛てに商品2枚と返品希望の手紙を郵送したが、これまでに返事はない。ミズノにも問い合わせ、自分と同じような被害が相次いでいることを知ったという。
 女性は「インスタグラムには今でも似たような広告が流れてきて、見るたびに腹立たしく思う。泣き寝入りする消費者も多いのでは。ネットショッピングは懲りてしまった」と語る。
 (生活報道部・伊藤さくら)
全国で相談相次ぐ 不自然な表記、確認を
 同様の事例は全国で起きている。消費者庁は2023年12月、ミズノと下着メーカー「ワコール」の偽サイトに関する相談が相次いでいると発表し、注意喚起した。同庁によると、両社の有名メーカーをかたる偽サイトに関する相談は22年4月~23年10月に計1277件。消費者が購入のため支払ってしまった金額は計273万円に上った。
サイズ参考表の欄に「推奨体重」と記載されている
 ネット通販で被害に遭わないためには、どうすればいいのか。同庁は気を付ける点として、サイトのURLが公式サイトと似ているが異なる▽事業者名や電話番号の記載がない▽極端に安価であることを強調する価格表示がある▽代金引換など支払い方法が限定されている▽不自然な日本語表記がある-を挙げる。例えば被害に遭った県中部の女性が見たサイトには、下着のサイズ表の欄に通常示される胸囲や身長ではなく、「推奨体重」と不自然な表記があった。
 同庁は「ロゴだけで公式・安心と判断してはいけない。トラブルに備えて、スマートフォン画面の内容をそのまま保存する『スクリーンショット』で残す習慣を付けて」と啓発。少しでも不審に感じたら家族や知人に相談するよう呼びかけている。消費者ホットライン<188(いやや)>や、警察相談専用電話<#9110>の窓口もある。

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