記者コラム「清流」 龍

 2024年は辰(たつ)年。龍は天を昇るとされ、昔から縁起物として人々の信仰の対象になった。
 御前崎市の桜ケ池には龍神伝説がある。仏道の極め難きを知った比叡山(京都)の名僧・皇円阿闍梨(あじゃり)が未来仏を求めて池に沈み、一番長生きする龍に化けたと伝わる。彼岸に営まれる奇祭「お櫃(ひつ)納め」では、池の龍神に五穀豊穣(ほうじょう)を感謝するのが伝統だ。今年は龍をあがめて運気を上げるのも良い。「龍の水を得る如し」ということわざがあるように龍が水を得て昇天するような飛躍の1年にしたい。
 しかし、思い上がりは禁物だ。「龍を描きて狗(いぬ)に類す」とは、力量の劣るものが優れた人のまねをして軽薄になることのたとえ。ありのままの自分を見失わない1年にしたい。
(御前崎支局・市川幹人)

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