記者コラム「清流」 見覚えのある写真

 能登半島地震で犠牲になった母子の生前の写真に見覚えがあった。地元に帰った時、子どもたちとよく訪れる鉄道が見える近所の公園が背景に写っていた。全く同じ場所でわが家も何度か遊んだことがある。
 亡くなった子どもの年齢は長男とほとんど変わらない。ニュースに映った写真の撮影日を見ると、ほんの1カ月前だった。ついこの間まで何げない家族の時間を大切にしていたはず。自分たちと何ら変わらない日常があったはずだ。
 備蓄や避難経路、家族との連絡方法をすぐに見直した。寄付をしようかと家庭で話をしたら、子どもたちは正月に使おうとためていたお小遣いを持ってきた。
 突き動かされる理由は、守りたい家族があるから。そして、写真の中の笑顔が目に焼き付いているからかもしれない。
 (島田支局・寺田将人)

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