南アルプスの魅力伝える博物館、旧井川小に整備へ 静岡市、エコパーク登録10年記念
静岡市は29日までに、市北部の南アルプスユネスコエコパーク登録10周年記念事業として、2016年に閉校した旧井川小(葵区井川)を活用し、南アルプスの魅力や井川地区の歴史文化を伝える博物館を整備する方針を固めた。事業費4億円を盛り込んだ23年度一般会計2月補正予算案を2月8日開会予定の市議会2月定例会に提出する。関係者への取材で分かった。
静岡市が南アルプスエコパーク・ミュージアム(仮称)としてリニューアルする方針を固めた旧井川小=2022年8月、静岡市葵区井川(市提供)
関係者によると、展示内容は井川地区の住民の暮らしや伝統文化に焦点を当て、焼き畑や在来作物の耕作に使われてきた「井川民具」を中心に展示する。市は16年、南アルプスの大自然の魅力にスポットを当てた井川ビジターセンターを井川地区に整備していて、展示内容の違いを際立たせる。
カフェ、レストランを併設し、在来作物やジビエ(野生鳥獣肉)を使った料理を提供する。予算案の議決後、設備の修繕工事と施設の内装に関する検討を同時に進め、25年3月までの整備完了と同年6月ごろの施設運営開始を目指す。
事業費の内訳は校舎、体育館の修繕費、展示内容のレイアウト委託料など。財源は市債を発行するほか、国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用するとしている。
市は南アルプスの貴重な動植物の保護や登山の安全確保に役立てるため、新たな基金を設置する方針も固めた。23年度一般会計2月補正予算案に積立金5千万円を盛り込む。
南アルプスユネスコエコパークは静岡、山梨、長野の3県10市町村にまたがる地域が14年6月に登録された。自然保護が原則の世界自然遺産と異なり、自然と人間社会の共生を目指す地域と位置づけられている。