沼津に係留、客船スカンジナビアの軌跡 信州大名誉教授らが記事に

 沼津市沖の海上でホテルやレストランとして使われていた豪華客船「スカンジナビア」の軌跡を、信州大名誉教授の伊藤稔さん(78)=同市=らが記事にまとめ、研究者らでつくる海事技術史研究会(東京都)の会誌に寄稿した。伊藤さんは「世界中の人に愛された船の記憶継承を考えるきっかけになれば」と話す。

スカンジナビアの軌跡を記事にまとめた伊藤さん=沼津市
スカンジナビアの軌跡を記事にまとめた伊藤さん=沼津市

 記事などによると、「ステラポラリス(北極星)」号としてスウェーデンで建造され、1926年に進水。35年間ほど世界中を航海して「七つの海の白い女王」とたたえられた。沼津に移り、伊豆箱根鉄道が70年から2005年までホテルなどとして営業した。伊藤さんは関係者への取材や資料を基に記事を執筆し、写真とともに掲載された。
 沼津に移る経緯と、それ以降の歩みを整理した文献は珍しいという。先に移設候補地となった大阪湾や三浦半島(神奈川県)は地元の反対などで頓挫した一方、沼津での地元関係者との折衝はわずか数カ月で決着したと紹介した。
 伊藤さんは沼津市戸田地区で江戸時代に造船された洋式船舶「ヘダ号」について調査している。その過程でスカンジナビア資料館館長の前島希久也さん(84)と知り合い、共同で執筆した。
 前島さんは「スカンジナビア号を知る人は減っている。記憶や資料を継承する組織をつくりたい」と意欲を示す。
 (東部総局・矢嶋宏行)
西浦のカフェで思い出を語ろう 24日、講演会  沼津市西浦木負のカフェ「海のステージ」は24日午後2時から、スカンジナビアの「ぬまづの宝100選」選定記念講演会を同店で開く。伊藤さんが講演する。参加無料。
 講演後は親睦会(飲み物とケーキ付きで千円)を行い、スカンジナビアについて語り合う。同店オーナーの前島さんは「思い出話がある方は集まってほしい」と呼びかける。
 申し込み、問い合わせは同店<電055(946)2801>へ。

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