記者コラム「清流」 ファンサービスとは

 冷たい雨に打たれてもずっとJリーガーのサインを待ち続けていたサポーターが練習場にいた。それも1人や2人ではなく何十人も。ルールに基づき傘を差すことはできない。クラブからの事前通告に従い、急きょ悪天候でファンサービスが中止になっても文句一つ言わずに一行は練習場のピッチを静かに後にした。
 規範意識の高い日本人の美徳と捉えるか、愛する選手やクラブを思うがゆえの行動なのかは分からない。ただ、その光景を目の前で見ていた一人として複雑な気持ちになった。
 コロナ禍を経て復活したファンサ。これは県内の一例だが、急な雨で選手の体調管理を優先したいクラブ側の言い分は分かる。ただこんなに辛抱強いサポーターを心の底から満足させられるだけのプレーを嫌でもチームには求めてしまう。
(運動部・名倉正和)

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