ごみ有料化 条例改正案可決 実施時期盛り込まず 浜松市議会

 浜松市の中野祐介市長が提出した家庭ごみ処理を有料化する条例改正案が22日の市議会2月定例会最終本会議で、賛成多数で可決された。条例に具体的な有料化の時期は盛り込まず、家庭ごみ排出量の年間削減目標の達成状況などを踏まえて最長2028年度まで、毎年1~2月に実施可否を判断する。
 閉会後、中野市長は取材に「市民とともに削減目標の達成に向けて全力で取り組む」と改めてごみ減量の取り組みを推進する意向を示した。
 家庭ごみ処理有料化は、家庭ごみ排出量の削減推進や行政サービスにおける市民の公平感の観点から検討を進めてきた。ごみ減量に伴い、焼却時の二酸化炭素(CO2)排出量や焼却施設建設のコストの削減、資源化推進によるSDGs(持続可能な開発目標)の実現など多様な効果も期待できる。処理手数料を新たに用意する指定袋に上乗せする形で販売し、料金は1リットル当たり1円と設定した。
 市は当初、条例改正案に実施時期を明記する考えもあったが、市民と再度、削減目標を共有した上でごみ減量を推進するため、実施日は後に規則で定める方式を採り、削減状況や定着度などを実施の判断材料にすることを決めた。
 採決では創造浜松(5人)、共産党市議団(3人)、1人会派の市民サポート浜松と浜松市政向上委員会が反対した。反対討論に立った3会派のうち、共産党市議団の北島定氏は「急激な物価高騰で市民生活が一段と苦境に追い立てられているときになぜ、有料化なのか」と主張。創造浜松の遠山将吾氏は「急がなくても市民の減量意識は高まっている。施行日が明確になってから、規則や要綱を示して条例案を提出すべきだ」と述べた。
 市は28年度に市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量を20年度比20%減の404グラムとすることを最終目標値に定めている。中野市長は「反対討論の意見や懸念に丁寧に対応しながらごみ減量を進める。大幅に排出量が削減されれば、直ちに条例改正案を施行することはない」と述べた。
 (浜松総局・宮崎浩一)
「懸念払拭へ対応」 正副議長が会見  浜松市議会の戸田誠議長と須藤京子副議長は22日、2月定例会閉会後の記者会見を市役所で開いた。戸田議長は市が提出した家庭ごみ処理有料化に関する条例改正案が可決されたことに「少し安心している」と所感を述べた。
 可決された改正条例では、家庭ごみ排出量の年間削減目標を達成した場合は原則実施時期を1年先送りにし、有料化の実施可否は2028年度まで毎年1~2月に判断する。戸田議長は「ごみ減量は市民と行政が一丸となって取り組むのが大切。市民協働を推進する意義がある」と改正条例を評価した。市議会の中にも否定的な意見があるということで「一部の懸念は払拭していくよう対応しなければならない」と述べた。
 議長発議として議員定数に関する外部有識者らによる調査委員会を4月から発足させることになった点については「外部の意見、市民の声を聞くのが重要」とも強調した。一方、現状の議員定数46人のうち、女性の割合が約3分の1を占めている点について須藤副議長は「1人ではなく発言する力が強くなる。連帯感を持って自分たちをエンパワーメントしていくことができる」との認識を示した。

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