珠洲の家屋被害「遠隔判定」 浜松市協力 ドローン、360度カメラ活用 迅速な罹災証明書発行に貢献

 浜松市は能登半島地震で被災した石川県珠洲市の住家被害認定調査で、ドローンや360度カメラの画像を使った「遠隔判定」の仕組み作りに協力した。熱海土石流災害などでの取り組みを発展させ、詳しい被害程度も遠隔で判定し、被災者の迅速な罹災(りさい)証明書発行につなげた。

石川県珠洲市の家屋の被害認定に活用されたドローン画像(NTT東日本提供)
石川県珠洲市の家屋の被害認定に活用されたドローン画像(NTT東日本提供)

 トンネル崩落で立ち入りが難しい珠洲市西部の集落で石川県や熊本市、NTT東日本グループなどと連携し、1月下旬からドローンを飛ばして約400世帯の家屋群の外観を撮影した。陸路から360度カメラのチームも入り、一帯の家屋の様子をまとめて収めた。
 調査担当の職員は画像を組み合わせて分析し、屋根や基礎の損害割合などを評価して全壊、半壊、一部損壊といった被害程度の判定につなげた。職員が実地調査するには危険が伴い、相当の時間と人手が必要だったが、遠隔化で省力、迅速化が図れたという。
 空撮写真による家屋の被害認定は内閣府が2018年に指針を改定して可能になり、21年の熱海土石流災害では県や市などが立ち入り制限区域内の認定調査にドローンを活用した。この際は主に全壊かどうかの判断に限られたが、今回は360度カメラを併用する全国でも新しい試みで、損害割合の評価を実現した。
 熱海市の調査に関わった浜松市危機管理課の藤田智久グループ長が珠洲市への派遣期間中、認定の仕組みづくりに貢献した。同課の担当者は「マンパワーが不足する中でも被災者支援が遅れないよう、熱海の経験を生かした提案をすることができた」と話した。
 (宮坂武司)

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