静岡人インタビュー「この人」 残ガスを生かし、災害対策コインランドリーを展開する 白砂伸之さん(長泉町)

 災害発生時に洗濯乾燥機をはじめ、電気、ガスなどのライフラインを地域住民に無料開放する「災害対策コインランドリー」を長泉町内に展開する。LPガス容器をくず化する際に生じる残ガスの活用のため、クロワッサン専門店も運営。ガス容器の再検査事業を行う大静高圧(同町)社長。47歳。

白砂伸之さん
白砂伸之さん

 ―なぜ災害対策用なのか。
 「災害用のコインランドリーに注目したのは、災害時、被災者の洗濯需要が高いと感じたから。2011年の東日本大震災を機に検討を始めた。LPガスは災害時エネルギー供給の『最後のとりで』と言われており、コインランドリーとかけ合わせられないかと思った」
 ―具体的な機能は。
 「コインランドリー名は『Fuwari』で、町内4店舗のうち、納米里、本宿の2店舗が災害対策店。災害時の断水と停電を想定し、水道水をためる4トン貯水槽と残ガスによる自家発電機を設置した。災害時には洗濯乾燥機を無料開放し、スマートフォンの充電やトイレ、シャワーなどにも活用できる」
 ―クロワッサン専門店は。
 「クロワッサンは残ガスを利用して、ガスオーブンで焼き上げる。電気代が浮く分、国産の発酵バターや県内産抹茶など材料費にあてることができる。本場欧州のように大きくて満足感あるものを作りたくて、生地にこだわった。開店から3年が過ぎたが、多くのリピーターがついてきた」
 ―今後の展開は。
 「残ガスを活用したコインランドリーは沼津、裾野、御殿場にも範囲を拡大。でも、災害対策コインランドリーは長泉町内だけ。他市町でも良い場所があれば設置したい。各市町に一つ災害対策コインランドリーがあるのが理想」
 (東部総局・天羽桜子)

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