家庭ごみ有料化 条例改正 自分事で減量推進して【記者コラム 風紋】

 家庭ごみの処理を有料化する条例改正案が浜松市議会2月定例会で可決された。ただ、開始する時期は条例改正案には明記されず、すぐに有料化が始まるわけではない。市民のごみ減量の努力次第では先送りされる可能性もある。
 有料化の対象は、燃えるごみと燃えないごみ。市が従来の指定袋とは別に新たな袋を用意し、処理手数料を上乗せする形で販売する。料金は1リットル当たり1円と設定し、現在1枚10円程度の45リットル袋は35円程度値上がりする。実施の際には、減量が難しい紙おむつやストマ用装具などについては減免規定も設ける予定だ。
 有料化の実施可否は、1年間の家庭ごみ排出量が大きな判断材料になる。市の計画では2028年度まで毎年度の市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量を目標で定め、最終28年度は20年度比20%(100グラム)減の404グラムを目指している。市は1年間の達成状況や減量定着度、社会経済情勢などを考慮して毎年1~2月に実施可否を見極め、原則目標を達成の場合は翌年に実施判断が先送りされる。
 そもそも家庭ごみ処理の有料化は、ごみ減量の推進や行政サービスにおける市民の公平感の観点から検討が進められた。多大な費用を要する最終処分場の延命、収集運搬や焼却の際に発生する二酸化炭素(CO2)の削減、将来世代の負担軽減―などの点からもごみ減量は不可避だろう。
 一方で、家計に直結するだけに、新たな負担増に反対する声も多い。2月定例会でも物価高騰の社会経済情勢や実施時期を規定しなかったことを理由に、4会派10人が採決で反対した。市はこれら市民の不安や懸念に丁寧に対応するとともに、効果的なごみ減量施策を打ってほしい。
 有料化の議論を機に、市民のごみ減量意識も高まっている。23年は市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量が462・5グラムとなり、3年ぶりにその年の目標値(466・5グラム)を下回った。24年に入っても減少傾向が続いている。
 ごみの大半を占める雑がみや生ごみはまだまだリサイクルや資源化が可能だ。無関心層への周知も急務だろう。市に頼るだけでなく、市民一人一人がごみ減量を自分事と捉え、推進する必要がある。
 (浜松総局・宮崎浩一)

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