記者コラム「清流」 “プロ”の心構えで

 2月下旬、浜松市浜名区で住宅が全焼する火事があった。冬の乾燥と風で数分のうちに一気に燃え広がる火や出てくる煙を住民が不安そうに見守っていた。視線の先には、消火活動に汗を流す消防隊や周辺道路の交通規制をする警察官など現場のプロの姿があった。
 数日後に分かったのはもう2人の“地域のプロ”の存在だ。80代の女性2人が、住人の女性(99)を救出したという。燃え上がる炎に腰を抜かしそうになりながら玄関や裏口を回り、ドアをひたすらたたいた。ようやく聞こえた住人の「はい」の返事に安心し、住人の家族への連絡も試みた。
 「2人だったからできたことだね」。互いを見つめ合い、ほほ笑む2人。地域の安心安全な暮らしは、互いに手を取り合い、“プロ”の心構えをして守っていくものだと実感した。
(浜松総局・小林千菜美)

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