記者コラム「清流」 AIの力に感嘆と恐怖

 議会の会派代表質問は議員にとって最大の仕事の一つ。担当する議員は会派の同僚議員とテーマを協議し、課題や対策、先進事例などの調査を重ね、十数枚にも及ぶ原稿を準備する。
 3月の浜松市議会代表質問で、一部の議員が準備に生成AI(人工知能)を用いた。テーマに沿って課題の洗い出しを命じると、多彩な議論の切り口を示した短文がすぐ生成されたという。数日かけていた調査が30分で終わり、質の高さは同僚全員が感嘆するほど。この議員は「もう僕らは不要かも」と苦笑いした。
 実際の原稿は議員が思いを込めた自分の言葉で完成させた。政治には言葉の力が必要で、AIが議員の力を補強するために使われるなら歓迎すべきだろう。ただ、AIの言葉の力が人を超える時代が来たら―、と思うと恐怖も感じる。
(宮坂武司)

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