⚽藤枝MYFCのエンジン、ボランチ西矢健人 苦境打破に一矢、超攻撃的貫く「がむしゃらに」「ピッチの真ん中でチーム引っ張る」

西矢健人(写真部・久保田竜平)
 超攻撃的スタイルを掲げながらJ2で2年目のジンクスに苦しむ藤枝で、エンジンに火を付けるのはこの男。ボランチ西矢健人(24)。日本フットボールリーグ(JFL)で培った反骨心をバネに「このチーム、このサッカーでJ1に行く」と闘志を燃やす。

 昨夏にJ3FC大阪から加入すると終盤に定位置をつかみ、今季は開幕からチームでただ一人、全試合フル出場を続ける。チームは得点力不足に悩み下位に低迷するが、「去年は正直言って残留ギリギリだった。今はうまくいってないからこそ一番成長できる時。ここを乗り越えれば手に入るものがある」と仲間を鼓舞する。
 原点にあるのは挫折の度、はい上がってきた経験。神戸の下部組織出身だが高校でユースに上がれず、進学した明大でも3年生までセカンドチーム。4年生でトップに上がったが完全なレギュラーとはいかず、一般の学生と同様に就職活動して内定も得ていた。
 それでも夢を諦めず、加入したのが当時JFLだったFC大阪。「とにかく自分を表現し続け、がむしゃらに戦った」。午前に練習が終わると格安スーパーで150円の弁当を買い、午後からは時給制で工場に勤務。「値引きで半額になった50円のおはぎもよく食べた。400円の弁当だと『今日は奮発したな』って」。ハングリーさを前面に球際の強さと運動量をひたすら磨き、大卒新人ながら主軸としてチームをJ3昇格に導いた。
 藤枝1年目の昨季は持ち味の高い守備力での貢献が目立ったが、今季はパスを受け、配球する攻撃の中心を担い、得意の左足でセットプレーのキッカーも務める。「昨季は途中加入で難しかったが、今季はキャンプからチーム内ですり合わせ、自信持ってプレーできている」と胸を張る。
 手本にする存在がいる。今季加入したチーム最年長のMF梶川諒太(35)。藤枝で数少ないJ1経験者で「攻守のポジショニングをJ1基準で要求してくれる。自分も90分間、ピッチの真ん中でチームの軸になり続けたい」と向上心を示す。
 全員がパスを出した後も動き続け圧倒的にボールを保持するのが、チームが目指す理想。「相手の分析があっても予想を超えればいい。仲間に勇気を与えるプレーを見せ、自分が引っ張る」。背番号26のレフティーが苦境打破の鍵を握る。
 (寺田拓馬)

 にしや・けんと 1999年11月7日生まれ兵庫県出身。175センチ68キロ。大阪桐蔭高から明大を経てFC大阪加入。2023年途中に藤枝へ移籍した。利き足は左で、熱いプレーが身上のMF。

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