記者コラム「清流」 石のロマン

 浜松市天竜区の天竜川で、礫岩(れきがん)が地下深くで変成作用を受けてできた「礫岩片岩」が見つかった。高圧の環境で引き伸ばされたそれぞれの石の形を解析することで、過去にどんな変形を受けたか推測できるため、学術的な価値が極めて高いという。
 天竜川流域を含む地質帯「三波川帯」で見つかる変成岩は、海洋プレート上の堆積物が大陸プレートの下に沈み込む過程で陸側に付け加わった岩石が、中生代に沈み込み帯の深部で高い圧力を受け、後に地表に露出したと考えられている。
 つまり、今回見つかった礫岩片岩は“恐竜が存在していた時代に、プレート境界付近の圧力を経験した”ことになる。一見すると河原に転がっていた何の変哲もない巨石。しかし、その石がたどってきた歴史にはロマンが詰まっている。
(細江支局・大石真聖)

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