コラム窓辺 おせっかいは おせっかいをつなぐ(久保田香里/静岡理工科大法人本部広報部長)

 私の祖父のあだ名は「仏の直さん」。公園の花壇を年中お世話し、車にひかれてしまった野良猫を葬る人でした。飲食店と駄菓子屋を営む祖母はまさに肝っ玉母さんで面倒見が良く、そんな夫婦は何組もの仲人を引き受けるため、お正月にあいさつに来る家族連れが年々増えていく家でした。

久保田香里氏
久保田香里氏

 そんなDNAを引き継いだ私の昔からの持論は「おせっかいは、おせっかいをつなぐ」。よく相談ごとが持ち込まれ、その都度自分の知識とネットワークをフル回転して少しでもお役に立てることを考えるわけですが、逆に「面白い人と知り合ったから今度紹介するよ」と連絡をくださる知人もいます。そしてそこでいただいたご縁を、また次に紹介すべき方へつないだり、学校の講師としてお迎えしたりし続けてきました。
 7年ほど前のこと。仲良しの高校の先生が「困った、困った」と慌てた様子で職場に駆け込んできました。聞くところによると先生ご夫妻の通う教会が取り壊されてしまうとのこと。その教会は昭和10年に建てられ戦火を免れた貴重な建物だと興奮しておっしゃるため、その場で西洋建築に詳しい建築家に電話をし、お引き合わせしました。その後、自分ごととして熱量を持って関わる方々が次々現れ、活動がつながり広がり、今「カトリック清水教会」の聖堂は移築再生に向け動いています。
 そしてその解体された教会の資材が長い保存期間へ入る前に、松坂屋静岡店で5月10日まで展示されています。ぜひお運びください。またまたおせっかいをつなぐご紹介でした。
(久保田香里=くぼたかおり/静岡理工科大法人本部広報部長)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞