再審格差への対応 最高裁「承知せず」 改正議連総会【最後の砦 刑事司法と再審】

 冤罪(えんざい)被害者の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正を目指す超党派の国会議員連盟は25日、第3回総会を国会内で開き、最高裁に問題意識を尋ねた。「再審格差」が存在するとの批判がある中、その対応を最高裁内部でしているかどうかについて担当者は「今の時点で承知していない」と述べ、再審無罪事件の検証は「していない」とした。

最高裁や衆院法制局らと意見を交わした議連の第3回総会=25日午後、国会内
最高裁や衆院法制局らと意見を交わした議連の第3回総会=25日午後、国会内

 最高裁事務総局刑事局の近藤和久第2課長が再審制度の概要などを説明し、質疑に移った。議連事務局長の井出庸生衆院議員(自民党)が現行法に規定のない証拠開示について「(裁判官として)条文があった方がやりやすいか」と質問したのに対し、近藤氏は「どのような条文を作っていただくか、規定次第」と答えた。関連して、証拠開示を巡る攻防によって再審請求審が長引くことは「もちろんあると思う」とした。
 稲田朋美衆院議員(同)は再審請求審が40年以上続いた袴田巌さん(88)の例を引き合いに、迅速な裁判を受ける権利が守られていないなどとして「現行法自体が憲法違反ではないか」と指摘したが、近藤氏は回答を「差し控えたい」と避けた。同席した衆院法制局第2部の窪島春樹第1課長は「再審の手続き保障が取り残されているのはその通りだ」との見解を示した。
 議連幹事長の逢坂誠二衆院議員(立憲民主党)は終了後の取材に「ルールがないことが可視化された。にもかかわらず、最高裁は問題点への意識すら話そうとしないが、果たしてそれで良いのか」と疑問視した。
 同日現在、議連への入会議員は237人になった。
 (社会部・佐藤章弘)

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