死刑囚の肩書「取り除いてあげたい」 袴田さんの姉、静岡の支援集会で訴え

 現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(88)の再審無罪を求める集会が11日、同市葵区であった。再審公判で有罪立証を続けた検察側が22日の次回公判で論告・求刑を予定する中、参加者は「死刑求刑を許さない」とけん制。姉ひで子さん(91)は「普通の人間として過ごさせたい。『死刑囚』というものを早く取り除いてあげたいと思っている」と望んだ。

袴田巌さんの再審無罪判決を目指し、決意を表明する姉ひで子さん(左から2人目)ら登壇者=11日午後、静岡市葵区
袴田巌さんの再審無罪判決を目指し、決意を表明する姉ひで子さん(左から2人目)ら登壇者=11日午後、静岡市葵区

 ひで子さんは会場を埋めた約280人の参加者を前に、涙ぐみながら「後押しがあったから再審開始になりました。ありがとう」と感謝した。22日の最終意見陳述については「私の意見というより巌が書いた手紙を読もうと思う」とした。
 日本弁護士連合会の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士とジャーナリスト青木理さんが対談。袴田さんへの捜査や裁判の経過を踏まえつつ、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の課題や法改正への道筋などを語った。
 青木さんは「この国の刑事司法の問題点が凝縮されている」と述べ、密室での取り調べや捜査機関の都合に偏った証拠の取り扱い、死刑制度などを理由に挙げた。鴨志田弁護士は再審法の改正を拒む「壁」になっているのは法務省だと指摘し「突破するには政治の力と圧倒的な世論が必要。最後は国民の声」と訴えた。
 集会は、支援団体でつくる「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」が主催した。日本プロボクシング協会をはじめ、各地で救援活動に取り組む関係者が応援メッセージを寄せた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞