崩落地北西に新たな盛り土 熱海土石流 谷埋め、水の流れ影響か

 熱海市伊豆山の大規模土石流の被害を拡大させたとされる盛り土の崩落を巡り、静岡県が13日までに過去の航空写真や地形データを分析した結果、崩落箇所の北西側にも谷を埋める形で盛り土が広がっていたことが新たに確認された。本来は谷を流れるはずの水が盛り土の崩落に影響した可能性も視野に入れ、引き続き調査を進める。

土石流起点付近で崩落した盛り土。過去の航空写真との照合で、赤枠の箇所が新たに盛り土と判明した=7月中旬、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
土石流起点付近で崩落した盛り土。過去の航空写真との照合で、赤枠の箇所が新たに盛り土と判明した=7月中旬、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
新たに盛り土と判明した箇所
新たに盛り土と判明した箇所
土石流起点付近で崩落した盛り土。過去の航空写真との照合で、赤枠の箇所が新たに盛り土と判明した=7月中旬、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
新たに盛り土と判明した箇所

 1967年に撮影された航空写真と2009年6月の地形データを比べて標高が高くなった部分を照合したところ、盛り土部分が当初の想定よりも谷の奥側に広がっていたことが判明した。別の航空写真などを踏まえると、06年9月から09年6月までの間に造成されたとみられる。造成が進むに連れて盛り土上部を通る道路の位置が谷の前方に張り出し、逢初(あいぞめ)川源流の沢を埋めていたことも分かった。
 この場所は現在、低木や雑草が生えているが、過去には産業廃棄物が仮置きされ、県東部健康福祉センターが指導した経緯がある。崩落した盛り土部分の斜面には複数の水みち(地下水の通り道)が確認され、県は付近一帯の地盤をボーリングなどで詳しく調べる。
 新たな盛り土部分の土砂量は1967年の航空写真が不鮮明なため「はっきり分からない」(県担当者)が、概算で1万6千立方メートルから2万1千立方メートルとしていて、2009年6月以降に造成されたとみられる部分と合わせると、総盛り土量は7万から7万5千立方メートルと推定される。神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が熱海市に届け出た盛り土量の約2倍に相当する。
 県はこれまで、09年6月と19年12月の地形データを比べ、盛り土された土砂量を5万4千立方メートルと計算していた。崩落した土砂の量は5万5千立方メートルと見込む。
 (政治部・大橋弘典)

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