浜松市の家庭ごみ有料化 なぜ必要か説明明確に【風紋】

 浜松市環境審議会は、鈴木康友市長から諮問を受けていた家庭ごみ有料化について「ごみ減量に有効な施策」と答申した。市は今後も市民に意見を聞き、有料化の可否を判断する。コロナ禍で家計が厳しい世帯もある中で今なぜ必要なのか、明確な説明が求められる。
 「政令指定都市の平均を上回る量のごみが出ています」。市広報紙6月号に掲載した有料化検討の特集記事で、市はごみ減量を喫緊の課題と強調した。2014~19年度の市民一人1日当たりの家庭ごみ排出量は487~499グラムで、各年とも20政令市平均を上回る。
 市は18~20年度、自治会と協力し「ごみ減量天下取り大作戦」を展開。生ごみの水分を絞り、雑紙を分別するなどの減量を促したが、ごみ排出量は横ばいだった。なぜ取り組みが浸透しなかったのか、説明が不可欠だ。
 19年度の市ごみ処理経費は59億5千万円で、市民1人当たり7400円に上る。鈴木市長は「ごみ減量化で税金が節約できれば、福祉や教育などに使える」と期待する。
 一方、「既に有料で指定ごみ袋を買っている。なぜ、さらにごみ代を課せられるのか」との意見も市に寄せられた。ごく一般的な疑問だろう。
 市内では10、20、30、45リットルの指定ごみ袋が1枚当たり4~10円程度の価格で販売されている。これは各メーカーが設定した袋代で、有料化されれば袋代にごみ処理手数料が上乗せされる。市民が出したごみの量に応じて処理手数料を負担する受益者負担の形だ。
 同審議会ごみ減量推進部会は有料化する場合、袋代を含め「1リットル当たり1円以下が適当」と判断。45リットル袋は1枚最大45円に値上がりする。市のアンケートでは3~4人世帯の場合、燃えるごみに45リットル袋を月平均9枚ほど使う。単純計算で年間3780円負担が増える。
 有料化で市民にごみ減量の意識が働くほど、負担も軽減される仕組みだ。市はそういった目的を市民に説明し、意見も聞く場を設けてほしい。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞