「ジュビロ飯」開始 資源生かし経済活性を【風紋】

 磐田市とサッカーJリーグ2部(J2)ジュビロ磐田、静岡産業大、農林環境専門職大、磐田商工会議所の5者が10月、「ジュビロ飯」と称した事業を開始した。産学官連携で、地場産品を取り入れた健康づくりに役立つ献立と、運動プログラムを提供する。食とスポーツで市民の健康増進を目指すと同時に、市内企業と連携したメニューの開発・販売を通じ、新型コロナウイルス禍で落ち込む地域経済の活性化につながるよう期待したい。
 新型コロナは世界経済に大打撃を与えた。市内企業にも影響が出ている。市が昨年12月にまとめた企業実態調査報告書によると、コロナ禍以前の3カ月と、直近3カ月の売り上げを比較して、6割以上の店舗・事業所が「減少した」と回答した。市担当者は「特に飲食・サービス業が影響を受けている」と説明する。
 10月28日、同市富丘の農林環境専門職大で試食会が開かれ、ジュビロ飯が初披露された。地場産品を1品以上使っている▽主食・主菜・副菜がそろっている▽タンパク質を60~150グラム含んでいる-などの条件を設け、産業振興と栄養の両面に配慮した。今後、大学教授らが監修した気軽にできる運動プログラムを動画などで発信していく。ジュビロの発信力や大学の知見などを生かし、地域振興、健康課題の解決に結びつける狙いがある。
 市民も利用できる農林環境専門職大の食堂で提供を始める予定で、磐田グランドホテルともメニューを開発中という。今後幅広い市内企業に参画を呼び掛けていく。実際に市民の健康や経済に好影響を与えられるかは検証し、絶えず改善していく必要がある。それでも、ジュビロの拠点や大学がある磐田ならではの事業に期待は高まる。
 磐田市が2大学を含む産学官の連携事業を実施するのは初めてという。市は今年、民間シンクタンクの調査で「スポーツのまち」として思い浮かぶ市町村ランキング1位になった。追い風の中、市の産学の地域資源を生かして、市民が豊かになる環境づくりを進めてほしい。
 (磐田支局・太田達也)

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