残土の闇の記事一覧
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静岡新聞「残土の闇」に新聞協会賞 取材班代表が受賞スピーチ「疑問晴らすことが地方紙の使命」
山梨県富士吉田市で18日に開かれた第75回新聞大会(日本新聞協会主催)で、熱海土石流を巡るキャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」と一連の報道で本年度の新聞協会賞を受賞した本紙取材班代表の豊竹喬熱海支局長が受賞スピーチに臨んだ。「不適切な盛り土が引き起こす人災をなくすために、伊豆山の悲劇を忘れてほしくない。連載を機に全国にその思いと行動の輪がさらに広がってくれれば」と願った。 新聞協会の丸山昌宏会長から賞状とメダルを贈られた豊竹支局長はスピーチで「なぜ悲劇が起きてしまったのか、なぜ悲劇の芽を摘むことができなかったのか。その疑問を晴らすことが地方紙の使命であり、全国で同様の被害を繰り返さな
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熱海土石流報道 静岡新聞社に新聞協会賞 キャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」など
日本新聞協会は7日、2022年度の新聞協会賞を発表した。静岡新聞社のキャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」と一連の関連報道(熱海土石流取材班 代表・豊竹喬熱海支局長)など6件が選ばれた。授賞式は10月18日、山梨県富士吉田市で開かれる第75回新聞大会で行われる。 「残土の闇」は、21年7月3日に熱海市伊豆山で発生し死者27人、行方不明者1人を出した大規模土石流災害に関し、信仰の地だった伊豆山に土砂が盛られた経緯や土地所有者の業者と行政の“攻防”、土石流を目の当たりにした発災当日の住民や行政の動き、犠牲者遺族の苦しみ、復興を目指す被災者らの取り組みなどを全36回
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熱海土石流「残土の闇 警告・伊豆山」【連載全記事まとめ読み】
静岡新聞社のキャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」は、2021年7月3日に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流災害に関し、歴史ある信仰の地だった伊豆山に土砂が盛られていった経緯や土地所有者の業者と行政の〝攻防〟、土石流を目の当たりにした発災当日の住民や行政の動き、犠牲者遺族の苦しみ、復興を目指す被災者らの取り組みなどを全36回の連載で追いました。 画像をタップ/クリックすると各記事に移動します。 序章 子恋の森の叫び ①わが子守り 命落とした娘 奪われた「家族の未来」 「娘は殺された。母親と過ごせたはずの孫の未来も奪われた」。悲しみ、怒り、疑念-。複
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熱海土石流1年、現場は今 理不尽な悲劇、それでも前へ【残土の闇 警告・伊豆山㊱完/終章 めぐる7・3㊦ 】
3日午前10時28分。あの大規模土石流の発生から丸1年が経過したことを告げるサイレンが熱海市内に鳴り響いた。最愛の人への追悼、理不尽な悲劇や進まない復興への怒り、そして地域再生への決意-。流された家の土台や泥がかぶったままの家屋が残る伊豆山地区の被災地には、土ぼこりを舞い上げるほどの強い風とともに、さまざまな人々の願いと誓いが渦巻いていた。 「まだ気持ちの整理ができない」。跡形もなくなった母陽子さん=当時(77)=の自宅跡に向かって手を合わせた瀬下雄史さん(54)はそう言葉を絞り出した。 逢初(あいぞめ)川源頭部に捨てられた大量の土砂にのみ込まれた母。その苦しみを想像するといたたまれなく
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無責任体質に被災者憤り 熱海土石流1年 関係者核心語らず【残土の闇 警告・伊豆山㉟/終章 めぐる7・3㊤ 】
災害関連死を含めて27人が死亡し、1人が行方不明になった熱海市伊豆山の大規模土石流は3日で発生から1年。逢初(あいぞめ)川上流の盛り土(積み上げた残土)が崩落して下流の集落を襲った未曽有の「人災」。盛り土の現旧土地所有者や造成業者、行政の対応が厳しく問われたが、関係者は核心を語らず、誰も法的責任を認めていない。再び「7・3」はめぐる。真相解明を望む被災者の思いを置き去りにしたまま-。 発災から10カ月が過ぎた今年5月、熱海市議会の調査特別委員会(百条委員会)。盛り土の現旧所有者が初めて公の場で証言に立った。うそをつけば罰せられる証人尋問。大量の残土が搬入され、盛り土が造成された2009~
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静岡新聞社 熱海土石流取材班座談会【残土の闇 警告・伊豆山】
災害関連死を含め27人が犠牲になった熱海市伊豆山の大規模土石流は、盛り土の崩落が被害を拡大させたとされる。防げたはずの人災はなぜ起きたのか、行政の対応はどこに問題があったのか、再発防止には何が必要か―。長期連載「残土の闇 警告・伊豆山」の取材に当たった記者たちが、連載を振り返りながら思いを語った。 序章・1章 地域のアイデンティティー喪失 停止命令の経験 継いでいれば A)伊豆山は、1300年前に発見されたとされる日本三大古泉の一つ「走り湯」があり、熱海の中でも特に歴史を有する原点のような場所。平安時代から山岳修験の場として信仰も集めた。そんな由緒ある地域で土石流は発生した。 B)遺族