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「受動喫煙ゼロ」へ! 静岡県内の取り組みなどまとめます

 SBSテレビで放送中の金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』。阿部サダヲさん演じる“昭和のおじさん”小川市郎が、いつものようにタバコを吸いながらバスで帰宅中、ついウトウトしてしまったところ1986年から2024年の現代へタイムスリップ。そこから物語が始まっていきました。しかし、バスの中で喫煙など現代では「不適切にもほどがある」行為。それだけなく、副流煙と呼出煙とが拡散して混ざった煙を吸わされてしまう、あるいは吸わせてしまう受動喫煙も近年問題視されてきました。静岡県は「受動喫煙ゼロ」の数値目標を次期健康増進計画に明記することとしました。これまでの静岡県内での受動喫煙防止に向けた取り組みをまとめました。

「受動喫煙ゼロ」数値目標に 家庭、職場、飲食店で35年度 静岡県の次期健康増進計画

 静岡県は、本県の総合的な健康づくりの指針となる次期健康増進計画(2024~35年度)に、「受動喫煙ゼロ」の数値目標を明記する方針を固めた。当初は「望まない受動喫煙のない社会の実現」との表現で調整していたが、受動喫煙が健康に及ぼすリスクなどを踏まえ、より具体的な目標設定が必要と判断した。

次期健康増進計画の主な数値目標
次期健康増進計画の主な数値目標
 このほど静岡市内で開いたふじのくに健康増進計画推進協議会に最終案を示し、了承された。県によると、現状で受動喫煙にさらされている人の割合(22年度)は家庭6・6%、職場21・1%、飲食店22・4%。いずれも35年度に0%にすることを目指す。
 1月の同協議会たばこ・アルコール・薬物部会で、委員から具体的な数値目標を掲げるよう求める意見が出ていた。24年度からの次期がん対策推進計画でも同様の目標を盛り込む方針だ。
 次期健康増進計画は「すべての県民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」を掲げ、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指す。受動喫煙のほか、食生活や運動、飲酒、生活習慣病など幅広い項目について数値目標を盛り込む。3月末に策定する。
 具体的には20歳以上の喫煙率を現状の男性25・9%、女性7・6%から男性20%、女性5%に減らし、1日当たりの食塩摂取量平均値を男性7・5グラム、女性6・5グラムにする。19年時点で男性73・45歳、女性76・58歳の健康寿命は「平均寿命の伸びを上回る増加」とした。目標時期はいずれも35年度。
 県は現行の健康増進計画で、受動喫煙にさらされる人の割合について「行政機関、医療機関、職場0%、家庭3%、飲食店15%」とする目標を掲げている。
(政治部・森田憲吾)
〈2024.03.12 あなたの静岡新聞〉

2018年 静岡県 受動喫煙防止条例可決、成立

受動喫煙防止条例案 静岡県、9月議会提出へ ※2018年9月7日 静岡新聞夕刊

 静岡県は(2018年9月)18日開会する県議会9月定例会に、2020年東京五輪・パラリンピックへの対応や県民の健康寿命延伸を目的とした受動喫煙防止条例案を提出する。
 7日午前、県議会主要会派に対し、同定例会への提出議案を説明した。
 受動喫煙防止条例案は、多くの人が集まる建物内を原則、禁煙とする一方、飲食店は客席面積100平方メートル以下の既存店を例外とするなど国の改正健康増進法にほぼ準じる内容。県独自の取り組みとして、同法が敷地内禁煙とする学校や保育所について、屋外喫煙所の設置も不可とする。
 また、全ての飲食店に「禁煙」「分煙」「喫煙」の外部表示を義務付け、指導勧告に従わない場合は店名を公表する。
 県健康増進課によると、同条例案について8月3日から23日までパブリックコメント(意見公募)を実施した結果、134件の意見が寄せられたという。
受動喫煙防止条例案、可決 9月定例会が閉会 県議会 ※2018年10月12日 静岡新聞朝刊
 県議会9月定例会は(10月)11日、最終本会議を開き、28億3400万円を追加する一般会計補正予算案、県受動喫煙防止条例案など知事提出19議案を可決または同意し、閉会した。

2021年 袋井市は一歩踏み込んだ「たばこ条例」を施行

袋井市 たばこ条例施行 公共施設内は全面禁煙 ※2021年7月2日 静岡新聞夕刊

1日に施行された袋井市の「たばこ条例」を周知するリーフレット=2日午前、市総合健康センター
1日に施行された袋井市の「たばこ条例」を周知するリーフレット=2日午前、市総合健康センター
 袋井市は(2021年7月)1日から、公共施設での禁煙や喫煙制限などを定めた「たばこ条例」を施行した。受動喫煙の防止や喫煙行為にまで踏み込んだ県内初の条例で、スポーツ施設、コミュニティセンターなどの市所管の施設が対象。敷地内を全面禁煙とする。
 名称は「市たばこによる健康への影響から市民を守る条例」。県と国の公共施設にも同様の対応を要請した。街中での歩きたばこや、妊婦と子どもの周囲での喫煙にも配慮を求める。罰則は設けていない。小中学校などではたばこに関する教育を推進し、啓発する。
 条例施行に伴い、市内の杏林堂薬局3店がたばこ販売を取りやめた。
 市は今後、関連の取り組みを推進する。市健康づくり課の担当者は「施行をきっかけに改めて喫煙について考えてもらえたら。将来的には喫煙者を減らせるよう取り組んでいく」と話した。

約24年前の静岡県民の受動喫煙についての意識は?

受動喫煙は過去1カ月で86%体験-「世界禁煙デー」を前に県民調査 ※2000年5月30日 静岡新聞朝刊

 世界禁煙デー(5月31日)を前に、静岡県が29日発表した「受動喫煙の実態と県民の意識と行動」に関する調査結果によると、ほとんどの人が自分の意思と無関係にたばこの煙にさらされる受動喫煙をつい最近経験し、喫煙による健康被害については喫煙者の方がたばこを吸わない人より軽く考えている傾向があることなどが明らかになった。県は調査結果を踏まえ、今後、受動喫煙を防ぐ防煙・分煙化計画を策定することにしている。
 調査は県総合健康センターが1~2月、県内の20歳以上の男女3000人にアンケートし、1851人から有効回答を得た。質問は、受動喫煙の状況と対策、喫煙と健康に関する知識など5項目15問。
 この結果、有効回答した人の86・3%が過去1カ月以内に受動喫煙を経験していた。34・3%は「何もせず我慢した」と回答し、「気にならなかったので何もしなかった」と答えた人も24・1%に上った。一方で、他人が吸うたばこの感じ方は42%が「いつも不快」、40・7%が「時々不快」と答え、圧倒的に不快と感じている人が多いとの結果が出た。
 また、たばこや健康に関する知識では、主流煙と副流煙の違いやニコチンの依存性、分煙の意味などについては、いずれも非喫煙者より喫煙者の方が知っている割合が高かったが、受動喫煙が体に与える影響については、非喫煙の86・5%が「悪い影響がある」と回答したのに対し、毎日喫煙している人では70・9%にとどまった。喫煙の身体への影響についても、「悪い影響もあるが、よい影響もある」と回答した非喫煙者は7・5%だったのに対し、喫煙者は約3倍の22・9%に上った。
 県は「たばこと健康の問題は個人的な好みの問題でなく、社会的に取り組む課題。喫煙者、非喫煙者の共通理解を作り上げつつ、受動禁煙を防ぐ社会的体制をつくりたい」と話している。
 
地域再生大賞