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⚾春季高校野球静岡県大会 39校が熱戦、見どころは?

 第71回春季高校野球静岡県大会が20日、草薙など5球場で開幕します。予選を勝ち抜いた39校が出場し、夏大会のシード権を目指し戦います。今大会の見どころ、注目校や昨年からの変更点をまとめます。
 あなたの静岡新聞では試合結果を随時速報します。

夏のシード校「8」→「16」に拡大 初戦の注目は翔洋―常葉大菊川、聖隷―飛龍

 第71回春季高校野球静岡県大会の組み合わせが4月16日、決まった。20日に草薙など5球場で開幕し、予選を勝ち抜いた39校が出場する。決勝は5月5日、草薙球場で行い、上位2校は東海大会(5月18~21日、岐阜県)に出場する。これまで上位8校が獲得していた夏の全国選手権静岡大会のシード権は、今回から上位16校になる。

  ※画像タップで拡大してご覧になれます  今春から反発を抑えた新基準のバットが導入されたことで、投手力が勝敗を左右しそうだ。昨秋4強の藤枝明誠、浜松開誠館、日大三島、聖隷クリストファーは順当に予選を上位で勝ち上がった。最速151キロ右腕小船擁する知徳や、右腕谷脇が安定感を増した静岡、140キロ台の直球を投げる寺田が主戦の磐田東なども上位進出をうかがう。
 初戦の注目カードは東海大翔洋―常葉大菊川、聖隷クリストファー―飛龍。昨夏準優勝の翔洋はチーム力で戦う。常葉大菊川は右腕小沢が安定。打線は下級生が経験を積んでいる。聖隷クリストファー―飛龍は昨秋の県準々決勝と同じ顔合わせ。聖隷は冬を越えて投打にレベルアップした。雪辱を期す飛龍も左腕小曲、4番遠藤と投打の柱が力を付けている。
 46大会ぶり出場の川根、25大会ぶりの湖西、22大会ぶりの田方農なども注目される。
 第1試合の開始時間は、1日2試合の会場でも午前9時とする。

今大会の注目校は? 昨秋の県大会決勝戦を振り返ります

※2023年9月25日静岡新聞より

藤枝明誠-浜松開誠館 7回表、川碕の左前打で生還し、13点目のホームを踏む藤枝明誠の二走皆川(左)=草薙球場
藤枝明誠-浜松開誠館 7回表、川碕の左前打で生還し、13点目のホームを踏む藤枝明誠の二走皆川(左)=草薙球場
藤枝明誠Ⅴ 集中打3度
 第76回秋季高校野球静岡県大会の決勝と3位決定戦が24日、草薙球場で行われた。決勝は藤枝明誠が浜松開誠館を15―3で下して3年ぶり3度目の優勝を飾った  
▽決勝(草薙第2試合)
藤枝明誠  240400500―15
浜松開誠館 000110100―3
▽三塁打 一瀬(藤)加藤(浜)▽二塁打 皆川2、矢沢2、梶田(藤)塚田(浜)▽暴投 山田(藤)伊波(浜)▽捕逸 大迫(浜)
▽試合時間 2時間14分

 【評】藤枝明誠が3度集中打を浴びせ、浜松開誠館に大勝した。
 初回に2点を先取した明誠は二回の満塁の好機で皆川が、四回も満塁で矢沢が、いずれも走者一掃の二塁打を放ち、リードを広げた。七回は一瀬の三塁打など5安打を集中させて5点を加えた。先発山田は6回を5安打2失点。七回から登板の左腕日吉は3回を2安打1失点と好継投で相手の反撃を許さなかった。
 開誠館は攻撃がかみ合わず、7安打を放ったものの3点を返すにとどまった。

皆川 好機に二塁打連発  藤枝明誠が14安打15得点と効率良く攻め立て、夏の覇者・浜松開誠館を撃破した。打の主役は準決勝の聖隷クリストファー戦から4番に座った皆川。初回2死一塁で先制点をたたき出す二塁打を放つと、二回は2死満塁の好機に走者一掃の二塁打を放つなど、3安打4打点の活躍だった。
 2本の二塁打は右方向への流し打ち。「センターからライトに風が吹いていたことを頭に入れていた。(打撃の)練習はチャンスを想定しながらやってきた」と皆川は胸を張り、「開誠館に借りを返すこともできた」と夏の準決勝でサヨナラ負けした相手に雪辱を果たした。
 3年ぶりに秋の県大会を制した要因に、光岡監督は「ディフェンス」を挙げた。県大会5戦で3失策。「伸び率にはびっくりする。特に夏を経験していない(三塁手)梶田の守りで助けられた」と指揮官は目を細めた。二回に井手尾がスクイズを成功させるなど、大会を通じて犠打の成功率も高かったことも安定した戦いにつながり、「3年前はエースの調子次第だったが、今年はバランスが良く、粘り強さもある」と光岡監督は手応えを示した。
 選手権は2017年に出場したが、選抜は過去2度の東海大会で壁を突破できなかった。三度目の正直へ、一瀬主将は「県大会以上に強い気持ちで臨みたい」と前を向いた。
 (大山雄一郎)
加藤主将「相手の流れに」 浜松開誠館 悔い残る大敗  浜松開誠館が新チームになって初めて、先行を許した。先発・伊波が立ち上がりにつかまり、二回までに6失点。3投手で計15失点を喫した。大量リードを許す展開となり、主将の加藤は「焦ってボール球に手を出してしまい、どんどん相手の流れになってしまった」と投手陣を援護できず、悔やんだ。
 今夏の甲子園に出場し、新チームの準備期間が短かったにもかかわらず、圧倒的な強さで決勝に勝ち上がってきた。だがエース左腕松井が投げない試合で多くの課題が浮き彫りになった。加藤は「これが現実の力。これでは東海大会で通用しない。全ての質を上げていきたい」と、巻き返しを誓った。

 

「飛ばないバット」接戦増えるかも? 変わる高校野球

※2023年11月16日静岡新聞【しずスポ】より

 “飛ばないバット”で高校野球はどう変わるのか-。来春の選抜大会、各都道府県の春季大会から使用する金属製バットに新基準が適用される。木製と同程度に反発性能が抑えられた新バット。静岡県内でも秋の公式戦を終えたチームは新バットを購入し、準備を始めた。12日まで開催された静岡市大会では参加した全17校が新バットでプレー。「戦術が、野球が変わる」などと反響を呼んでいる。
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新基準のバットを使用して行われた静岡市大会=清水庵原球場

監督「内野守備と機動力が鍵」 選手「芯で捉え強振」
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静岡市大会で試行 外野守備が前寄りに

 同大会に出場した静岡市立高の安井信太郎監督(59)は「芯で捉えれば打球は飛ぶが多くは外野で失速する。長打がなくなり外野は前に守るので、二塁に走者を置いてヒット1本でかえって来られない」と印象を語る。選手の反応はどうか。同大会で優勝した静岡高の主砲和田琉汰内野手も、新バットには苦戦中という。「当てにいって芯でも外野をオーバーしない。強く振らないと飛ばない。詰まったら内野フライ」
 接戦が増えるとして静岡高の池田新之介監督(46)は「1点を取りにいく練習が必要」と走塁、犠打など機動力を重視する。「本来の野球に戻る」と話す駿河総合高の望月俊治監督(58)は「内野の間を強く抜けるヒットが少なくなった。ぼてぼての打球が来るので内野手の判断力、脚力が大事になる」と守備での変化についても指摘する。同校の柳原武侍遊撃手は「打球が弱いので、今までレフトに任せていた当たりもぎりぎりまで追うようにしている」という。
 本塁打が激減し「野球が面白くなくなる」との声もある。ただ、新バット導入の主な狙いは投手の負傷、障害予防。極端な打高投低が懸念されてきた高校野球で、新基準が投手優位に働くなら狙い通りだ。「一発長打の怖さがないので投手は思い切って攻められるだろう」と安井監督。ストライク先行の投球で球数が減り、試合時間の短縮にもつながるとの期待もある。
 (結城啓子)
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新バット(右)と旧バット(左)を比べる駿河総合高の柳原武侍主将=駿河総合高

専門家「打高投低の流れに歯止め」  県高野連でメディカルサポートに携わる理学療法士の甲賀英敏さん(44)=掛川市=は新バットへの完全移行で「打高投低の流れに歯止めがかかる」とし、投手の負担軽減などにつながると見る。また、学童野球チーム・グッドフェローズの代表でもある甲賀さんは、新バットに対応できる「正しい打撃」を身に付けるためにも学童、中学の段階で、高校の新バットを念頭に置いた指導、育成を検討する必要があると考える。
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甲賀さんが示すポイント


 <メモ> 日本高野連が定めた金属製バットの新基準は従来品と比較して最大径を67ミリから64ミリと細くし、打球部の肉厚を約3ミリから約4ミリ以上に厚くした。重量(900グラム以上)は従来通り。反発性能を抑制し、打球初速が遅くなった。バットの基準改正は過去にもあり、2001年にも打球が飛び過ぎるとの批判から、重量900グラム以上などと定めた新バットが導入されたが選手の大型化、肉体強化により、効果はすぐに薄れてしまった。
地域再生大賞