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進化が止まらない回転寿司!プロが教える、これは食べるべき一皿とは?

100円以上の価値や美味しさ

5月、回転寿司チェーン最大手の「スシロー」が、10月には値上げに踏み切り、「税抜き1皿100円」は終了すると発表しました。今、食材の高騰で回転寿司業界は大変なようです。詳しいお話を、回転寿司評論家の米川伸生さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がうかがいました。
※6月2日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:
米川さんは、どのくらいのペースで回転寿司店に行かれているんですか?

米川:行く時は毎日行っています。店舗数でいうと、のべ5000店舗くらいは行っています。

牧野:そんなにたくさん! 地域性なども聞きたいのですが、まずは回転寿司業界に値上げの波が来ている理由を教えてください。

米川:当然ながら魚価、人件費が上がっていることが一因です。海外と比べ、日本は魚を買う基準が厳しいということもあります。サイズが小さかったり、形が悪ければ買わない!ところが、中国などの他の国はそんな細かなことを言わないので、売る方もクレームの多い日本より、何でも買ってくれる他の国の方がいいと、魚の買い負けがおきているんです。そんな事情もあり、100円ではそもそも無理なんです。

牧野:今後100円以上になった場合、その分の価値をつけていくという動きですよね。

米川:回転寿司は、安いから人気と思われがちですが、例えばスシローさんとかでも値上げしても構わないと思っているのは、「値上げした分、美味しいでしょ?価値あるでしょ?」と自信があるんです。うちは安いから来てもらっているんじゃない、美味しいから来てもらってるんだと思っているお店は、値上げしても一切響かないんです。

牧野:どんどん新しいメニューが出てきていますもんね。

米川:たとえば今まで100円寿司では食べられなかった、天然魚、国産魚、活貝、ふぐ、のどぐろみたいな高級魚が出てくるようになっています。その分、価値がありますよねという自信ですよね。

牧野:回転寿司業界の進化はすごいですね。米川さんがハマったのは、1958年東大阪の元禄寿司と聞いているのですがどのような出会いだったんですか?

米川さん提供

米川:昔の写真をみると、小さい頃からお寿司を食べていたんです。おばあちゃん家にいくとお寿司をとってもらえて。おばあちゃん家の近くに元禄寿司ができて、行ってみようとなったんです。それまでトロは子どもに毒だといわれて食べさせてもらえなかったんですが(笑)、回転寿司で流れてきたピントロを食べてみたらめちゃめちゃおいしいと。大人にいわれるよりも、自分で取って食べる方がいいじゃん!と思って回転寿司がすごく好きになりました。

牧野:自分で取れる喜び! もしかしたら回転寿司が、自分で選択できる初めての経験になっているお子さんもいるかもしれませんね。そんな回転寿司を食べ続けてきた経験をもとに、今、米川さんがおすすめしたいお店とネタを教えてください!

米川さんおすすめのお店とネタ

スシロー「匠の一皿」「本鮪7貫盛り」

米川:大手チェーンだったら、スシローの「匠の一皿」シリーズです。富山の『鮨し人』という寿司の名店とコラボした商品がすごくこだわっているので、行くと必ず毎回食べます。シャリにしても刻んだガリやゴマを入れたりして手がかかっているんです。

あと、びっくりするのが、昨年末もスシローではふぐを店で切っていました。ふぐってベテランじゃないと切るのが難しいんですよ。普通はお店で切らせないんです。

ほかにスシローさんでいつも食べるのが、本鮪7貫盛り980円(税込1078円)。

牧野:お得ですね!専門店で食べたらいくらするんだという話です。静岡県内のお店ではどうですか?

魚魚丸(ととまる)

米川:愛知県の回転寿司「魚魚丸(ととまる)」さんが浜松に進出してきたんですが、エンターテイメントが素晴らしいんです。藁焼きショーといっていろんな魚を炙ったり、釣れたら無料の「ホタテ釣り」をやったり。マグロ解体ショーをやるとカマトロや頭肉、レア部位をお客同士で競り合ったりもしています。

牧野:それは楽しそう! 単に食べに行くのではなく、今日はイベントとして家族で行くんだ、となりますね。

米川:こういうのが、回転寿司のアミューズメントとしての面白さです。

伊豆太郎、魚磯、魚どんや

米川:あとは、伊豆半島の回転寿司はだいたい素晴らしいですね。「伊豆太郎」「魚磯」「魚どんや」さんは、順繰りに巡ってしまいます。伊豆半島は深海魚が獲れるじゃないですか。それを出す回転寿司が沼津と伊豆半島です。そのあたりは、地魚がすばらしく美味しいですからね。

牧野:回転寿司も地元の漁港から仕入れてくるんですか?

米川::そうです。朝、獲れたものが並んでいますから、伊豆半島の上記3店はどこ行っても間違いないです!

牧野:大手もいいけど地域のお店も、良さがあるんですね。

米川:だって静岡は、わさびが採れて、お茶もある! マグロ水揚げ日本一ですよね。まさに回転寿司のためにある県ですよね(笑)!

牧野:回転寿司県として売り出していくのもアリですね(笑)!静岡県以外だとどこの県の回転寿司が面白いですか?

その地域で獲れるものを食べよう

米川:お隣の愛知県も素晴らしいですよ。一般的には、石川県と北海道が回転寿司熱がすごいといわれています。やはり獲れる魚が美味しいですからね。

牧野:回転寿司でも、その土地ならではの魚をチョイスするのがいいんですね?

米川:はい、マグロやサーモンを食べている場合じゃない!

牧野:サーモンは高級店も安い店でもそれほど差がないので、回転寿司に行ったらどちらかといえばサーモンを食べる方がいいかなと思ってました。

米川:その土地でしか食べられないものを食べましょうよ!

牧野:大手のスシローさんやくら寿司さんにしても、地域によって出すものを変えていたりするんですか?

米川:変えています。例えば、北海道に行くと、わさびの代わりにホースラディッシュ、ローストビーフなどにつける山わさびを使っていたりしますし、九州だと醤油がやたら甘いんです。

牧野:ネタだけじゃなくて多面的に違うんですね。

米川:その土地の食文化にあったものを出すと。静岡だとわさびが最高じゃないですか。それだけで勝てますよ。

牧野:地元にいるからこそ気づけていない部分があるかもしれませんね。

米川:静岡県のみなさんは、「うちの県がなかったら寿司食べられないよ」とちゃんと言った方がいいですよ。

牧野:これからは回転寿司県として、北海道や石川県と肩を並べていけるように静岡県を盛り上げていくので、よろしくお願いします(笑)!
今回お話をうかがったのは……米川伸生さん
回転寿司評論家。2000年から回転寿司評論家として活動を始め、TV、雑誌などメディアに多数出演。2007年「TVチャンピオン2 回転寿司通選手権」(テレビ東京系)で優勝。著書「回転寿司の経営学」(東洋経済新報社)他。

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