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【静岡のスポーツニュースおさらい】水泳では県内プールで日本新。競歩は県勢がパリ五輪に繋がる活躍。静岡MYFCの裏話まで!

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡のスポーツニュースおさらい」です。先生役は静岡新聞運動部専任部長の寺田拓馬です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年12月21日放送)
 
(山田)寺田さんは今日で年内の出演最後ということで、これまで寺田記者がこのコーナーで語ってくれた中からおさらいしつつ、その後どうなったのかという続報も含めて聞いていきたいなと思います。

1年間いろいろな静岡スポーツニュースをお話ししてくれましたけども、どこから行きましょうかね?

(寺田)最初に水泳の話をしたいと思います。静岡は水泳王国とも言われています。8月に北海道でインターハイ、10月には鹿児島国体があり、選手の活躍についてお話させていただいたんですけど、その中でコースロープの話をしたのを覚えていますか?隣の選手とぶつからないようにするだけではなくて、プールが波立つのを防ぐ「波消し」の役割もあるという話でした。

それから、プールの格付けの話題で、静岡は他県と比べ、環境に恵まれていることを話しました。実は、その後、静岡のプール​で歴史に刻まれる出来事が10月にあったんです。

(山田)なんですか。

(寺田)今年37回目になる「岩崎恭子カップ静岡招待スプリント」という大会が県富士水泳場で行われたんですけど、平泳ぎ女子の鈴木聡美選手が32歳で日本記録を出したんですよ。

選手のピークってね大体20代半ばぐらいで、女子選手は特にそうですので、30歳を超えて日本記録を出すのは本当に超人なんですよ。

(山田)えぇーっ。

(寺田)鈴木選手は、2012年ロンドン五輪では日本の競泳の女子史上初めて、1大会で三つメダル​を​取ったんです。そこに一つのピークがあったので、2021年の東京五輪は出場できなかったんですね。ですが、ここにきてまだタイムを上げてきているんですよ。

(山田)すごいですね。諦めずにずっとトレーニングされてるってことですよね。

(寺田)体の回復はさすがにちょっと遅れてきてるけれど、30歳を過ぎても「体の反応はしてる」と言っていましたね。静岡スプリントには13年連続で出ていて、同じ平泳ぎの金メダリストの岩崎恭子さんの名前がついてるという縁も感じているそうです。来年、パリ五輪でもう一花咲かせようとしているので、楽しみなんです。

この静岡招待スプリントは、トップ選手と本県の選手が一緒にレースをするということで、小中学生も同じプールで泳ぐんですよ。そのプールは、最高ランクの「国際AA」というプールです。小学生の頃からそこで泳げて、トップ選手も同じ大会に出る。こういう関係が静岡にあることは、素晴らしいと思います。

(山田)なんかある意味、証明しましたね。

(寺田)本当にそうですね。日本記録って、そう出ないんですよ。この大会での日本記録は21年ぶりだった。

日本記録には大会の名前と、その会場となったプールの名前が刻まれるので、水泳王国静岡の歴史の新たな1ページに刻まれたといえます。その日会場にいた小中学生も、日本記録が誕生した瞬間に立ち会ってるので、一気に会場が沸きました。鈴木選手の今後にも注目したいし、県勢のこれから未来を背負うスイマーにも期待したいと思います。

競歩も強い静岡!2月の五輪代表選考会にも注目

(寺田)陸上の話もしたいと思います。「陸上は科学だ」という話を何回かさせていただいて、6月の県高校総体や9月の世界選手権に触れました。先ほど、水泳王国と言いましたが、競歩王国だという話もしましたよね。

陸上世界選手権の男子35キロ競歩で、御殿場南高出身の川野将虎選手が銅メダルだったんですね。前大会は準優勝で、2大会連続のメダルでした。

思い返してみると、2021年の東京五輪では、20キロで浜松日体高出身の池田向希選手が銀メダル、静岡西豊田小出身の山西利和選手が銅メダルを獲り、県勢2人が表彰台に上がりました。五輪同種目で日本人初の表彰台という快挙で、現在3人で日本の競歩を牽引してるんですよね。池田選手と川野選手は同学年で長年のライバル。東洋大学で一緒に4年間過ごしていたので、このライバル物語がパリ五輪と繋がっていくのか楽しみです。

(山田)パリ五輪に繋がってるわけですもんね。

(寺田)その「陸上は科学だ」という話をしたときに、推進力を生むには地面の反発力を使っていることを説明しました。でも競歩はちょっと違って、滑るように進みます。両足のどちらかが地面に着いていないと反則になってしまうので走るのと同じように反発力は使えないんです。ですが、世界選手権では、日本勢が滑るような美しいフォームで進むのに対して、海外勢が厚底シューズを履いてきたという話をしました。

日本勢がどうするのかと思っていたところ、10月に、全日本競歩高畠大会があったんですね。元々川野選手は35キロの選手だったんですが、今度のパリ五輪は35キロはなくなり20キロだけになるため、池田選手の専門種目でこの2人は戦うんですね。この全日本競歩では、川野選手が優勝したんですよ。しかも大会新記録でした。

(山田)楽しみですね。

(寺田)パリの派遣設定記録を突破しています。ただ、来年2月に代表選考会があるので、そこで決まるんです。

川野選手は、欧州の選手のように「大きくてしなやかな」フォームへの改善に取り組んでると言うんですよ。ただ、フォームを変えるには、いろんなことをトレーニングから変えていかなければいけない、靴だけ替えてもだめだという話を以前しました。海外勢は厚底シューズで活躍してるんですけど、川野選手は練習で試したものの、五輪までの時間と自分に合う歩形を考慮して、従来の靴を選択したそうです。

(山田)その靴に合う歩き方にパリまでに合わせられない可能性があるから、だったら従来の靴で、どう良くするかという方向にしたのですね。

(寺田)日本の特徴である滑らかなフォーム、これを磨いて厚底シューズと勝負する。

(山田)なんかもう、熱いな。

(寺田)実際、記録も出てますので、楽しみですよね。この大会、池田選手はエントリーしなかったので、20キロが本業の池田選手が入ってきたときに両選手がどう戦うのか、注目していきたいと思います。

藤枝M Y F C、清水戦・磐田戦は大盛り上がり!


(山田)寺田記者は、現在J2リーグを戦っている藤枝MYFCのいわゆる番記者も務めています。今回、リスナーさんに質問を送ってとお願いしたところ、「藤枝MYFCの裏話を聞きたい」などいくつかいただいておりまして。

(寺田)今季のトピックとして、J1ライセンスを取得したということがあったんですが、そこでスタジアムとまちづくりの話もさせていただきました。

2002年の日韓ワールドカップのときに、エコパをはじめ全国各地のスタジアムが造られました。こういったスタジアムは数万人が入ってもまだスカスカなので、収容5000人でも満員の方が高揚感があるという話をしました。藤枝MYFCの本拠地であるサッカースタジアムは、バックスタンド改修中は6000人弱が満員だったんですけど、ここで磐田戦、清水戦をやったときは、勝敗に関係なく本当に盛り上がったんですよね。

(山田)もう、びっしり埋まってる。

(寺田)ちょっと裏話なんですけど、6000人弱が収容人数だって僕も聞いてたし皆そう思ってたんですが、清水戦では6288人入ったんですよ。スタッフは、もう青くなったそうです。だって予想以上に来てしまったから。チケットを持ってるのに見れないと言われたら困るじゃないですか。

僕もその会場にいましたが、係員が開始直前まで「荷物を横に置いたりしないでください」と呼びかけたり、空いている席を見つけて案内したりして、なおかつ芝生は立ち見なので、何とかスペースを譲り合って収まったんですけど。

(山田)本当にびっくりですよ。大変でしょうね。

(寺田)100%以上ですからね。この盛り上がり、スタジアムの一体感っていうのは本当に素晴らしかったですね。

磐田戦のときに、Jリーグの野々村チェアマン(清水東高出身)が来ていて、試合だけじゃなくスタジアムの雰囲気を見て「良い作品だった」と言っていたんですよ。その試合後の質問で収容人数についてどうするんですかと質問したんですが、「柔軟に考える」ということを言ってたんですね。

今のライセンス基準では、J1は1万5000人、J2で1万人となっています。19日にJリーグの理事会が開かれ、2026年から、8月からの秋春制に変わることも話題になりましたが、もう一つ注目点がありました。ホームタウンの人口などを踏まえて総合的に判断し、5000人以上で基準を満たすというようにライセンスの基準が変わったんですよ。

だから、あのとき野々村チェアマンが感動したのが大きかったんじゃないかなと思うんです。

(山田)もしかしたら、藤枝の試合を見て、こんだけ埋まってるんだったらこっちの方が、って…

(寺田)藤枝の試合がJリーグを変えたかもしれない。

アスルクラロ沼津も愛鷹が本拠地で、関係することなんですが、ライセンスも取得しやすくなったし、これから楽しみですよね。過剰に大きなスタジアムを郊外に造るより、地域事情に合わせたスタジアムを街中に造って、「スポーツは生活に欠かせないインフラだ」という考え方が浸透したらいいなと思います。

選手の裏話でいうと、藤枝にはゴルフが趣味の選手ってたくさんいるんですよ。

(山田)サッカー選手に多いですよね。

オフに、主力選手とゴルフに行ったんですが、上手なんでやっぱり面白かったです。グリーンの近くから短い距離を打つアプローチについて、サッカーでいうと、ゴール前の浮き玉のパスと似てるって言うんですよ。アイアンは、クロスに近く、ドライバーはゴールキックだって言うんです。

キックでもピンポイントで距離を選手に合わせるので、その感覚がゴルフとサッカーで近かったりするんだなと思いました。

(山田)確かに、距離感をとるのが得意なんでしょうね。

(寺田)それでうまいんだなと思って、感心しました。

最後に少し移籍の話をしたいと思います。主力だった横山暁之選手は、人一倍クラブ愛も持っていたので、本当に重たい決断だと思うんですけど、来季はJ2千葉でプレーすることになりました。頑張ってほしいです。

来季の鍵ですが、守護神だったGK内山圭選手が復帰すると発表されました。一昨年、J3だった藤枝をJ2昇格させて、自身はJ1の鳥栖にステップアップしていきました。キーパーなのに、「自分はシュートは止められないけど、足元に自信ある」と言っている選手です。面白いですよね。

藤枝の須藤監督の超攻撃サッカーでは、キーパーはボランチだと言ってるので、来季2年目の北村海チディ選手も大きな刺激を受けると思います。これ、期待できるんじゃないかな。

(山田)監督の戦術とマッチしそうで、楽しみですね。来年も静岡のスポーツのいろんな解説をしていただいて、いろんな〝王国〟にしていきましょう。今日の勉強はこれでおしまい!
シズサカ シズサカ

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