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【独占】ベルギー・アンデルレヒト後藤啓介ロングインタビュー後編「日本サッカー界が見ていない世界を見せたい」

昨季ジュビロ磐田でプレーし、ベルギーの名門アンデルレヒトに期限付き移籍した後藤啓介選手。日本サッカー界の次代を担う18歳は現地のチームに合流し、何を思ったか。

SBSテレビ「みなスポ」は2023年大晦日、後藤選手と同じ飛行機でベルギーに渡り、密着取材を行った。「日本サッカー界が見ていない世界を見せたい」。そんな夢を描いて世界に飛び出した若武者の胸の内に迫った。聞き手はジュビロ磐田担当ディレクターの尾崎文哉。

自宅近くの飲食店や食料品店


ー今後、夕食はどうするんですか。
できるだけ家で食べようとは思いますけど、疲れてて何もできない時は外食するしかないかな。朝昼はクラブハウスで出ると思います。マジでおいしいんですよ。

家では、この「ごはんですよ」があればいい。お湯を沸かせばみそ汁も飲める。この店は后君(ジュビロ磐田・松原后選手)から教えてもらいました。「兄貴サンキュー」って感じです。値段が高いとか言ってる場合じゃない。生きていかなきゃいけないから(笑)

ーチームには慣れてきましたか。
海外独特のプレーの厳しさ、削りに来る感じが最初はびびっていましたが、だんだん慣れてきました。自分もやってます。結果やプレーで見せれば仲良くしてくれるし、認めてくれるのが外国の文化なので。

どれが良くて、どれが駄目なプレーかというのもはっきりしているのでやりやすいです。日本に帰る頃には、すべてにおいて良くなっていたいですね。プレーもメンタルも体つきも、言葉も。

ただ、日本のテレビを見たいなって思います(笑)。日本食は食べたりしてるんですが、日本語を聞きたいですね。今は尾崎さん(ディレクター)がいるので、まだ落ち着けますけど、これから1人になってどうなっていくか。大変なのは理解した上で来てるので、楽しみながら頑張りたいです。

合流3日目の練習後

ー今日はたくさん点を決めてましたね。
同じ年ぐらいのメンバーなので、負けてられない。海外で1枚2枚はがせる選手は貴重だと思うので、自分のドリブルをどんどんアピールしていけたらなと思っていました。

ーチームに馴染んできているように見えます。
海外の人は、別に話せなくても、結果やプレーで見せれば認めてくれる。もちろん自分から話し掛けますけど、プレー面からもどんどんアピールしていきたい。3日目だけど、うまく馴染めてる感覚です。監督もチームメートも1点決めるだけでモチベーションを上げてくれるし、ハイタッチもしてくれるし。

自宅、最終インタビュー

ー海外でのプレーはずっと憧れてきた?
小さい頃から見てきたところですし、理想のところまではまだまだ遠いですけど、一歩ステップを踏めた。一つ夢が叶ったなと思います。

ーどうして海外に行きたいと思ったのか?
やっぱりワールドカップで優勝してる国は、世界のビッグクラブで活躍してる選手たちがいる国がほとんど。今は日本もビッグクラブで活躍している選手が多くなってきて、ワールドカップではドイツに勝って、スペインに勝って。一番の自分の夢がワールドカップ優勝なので、そこに近づくためにはと考えたら、海外に行かないといけないと思いました。

ー何歳ぐらいの時に?
2010年の南アフリカワールドカップを見て、ワールドカップに出たいと思って。その前から海外サッカーは見てましたし、中学生ぐらいから本当にちゃんと考えるようになりました。

ーステップアップへの道がやっとスタートした?
日本にいるよりは絶対にこっちでやってる方が、ビッグクラブの人たちに目をつけられると思う。アンデルレヒトはビッグクラブなので、ここで結果を出せば「良い選手なんだろう」と思ってくれるクラブがあるのでは。

ーワールドカップで優勝するために、このタイミングで移籍するのが大事だなと?
失敗できる年ですし、失敗が経験になる時期でもあるので。もちろん失敗して帰るつもりはないし、もうずっと海外でプレーするつもりですけど、できるだけ早く海外に行くことがワールドカップ優勝に近づくかなと思っていました。

18歳という年齢ですごいなと思われがちですけど、世界から見れば別にそんなに早くない。世界の同世代の選手を見たら、自分はまだまだ。過酷な環境というか、自分を高める環境に行きたいなという思いが強かったですね。

ー英語が大変そう。
それはもう当たり前ですよ(笑)。もちろんそこが一番の課題だと思ってますし、そこに慣れるのが一番時間がかかる。でも自分次第でその時間は短くなるので、できるだけ短くしたいと思います。

ーどうして頑張れる?
日本のサッカー界が見えてない世界もある。それを見たいし、いろんな方々に見せたいなっていう思いもあります。

ー日本では経験できないことが、こっちでは経験できそう。それも大きかった?
間違いなく。やっぱり環境に慣れてしまう部分が日本では多いと思う。慣れた環境でプレーするよりは、どんどん厳しい環境でやる方が、今後自分の人生にも生きるかなと。

ー1年のレンタル。ここからどんな姿になっていきたいか、1年後にどんな姿になっていたいか。
アンデルレヒトで、セカンドじゃなくてトップチームで結果を残したい。レンタルなので1年でジュビロに戻る可能性もありますが、より大きなクラブ、もしくはアンデルレヒトでもう1シーズンやらせてもらえるようになりたいです。

ジュビロにいた時より格段に良くなってると、サポーターにもジュビロの横さん(横内昭展監督)や俊哉さん(藤田俊哉スポーツダイレクター)にも、コーチの方々にも言われるようになっていたいですね。

ーそのために必要なことは。
まずはこの生活に慣れること。上に上がるためのサバイバルに勝ち上がっていくことが一番重要かなと思います。やっとスタートラインに立てたので、あとはトップチームでデビューしてスタートを切りたいですね。

尾崎文哉ディレクターの取材後記

生粋のサッカー小僧―。彼ほどこんな言葉が似合う人物はいないと思います。

幼い頃から誕生日やクリスマスのプレゼントはサッカー用品以外はもらったことがない。友達が自宅に遊びに来てゲームに熱中していても、後藤選手は1人でボールを蹴りに行っていた。

小学校時代から身長を伸ばすために、休みの日は夜の9時頃から成長ホルモンが分泌されるという午前10時過ぎまで寝ていた…などなど。後藤選手の幼少期からの話を聞いていると驚く話ばかり。

高校2年生ながらJ2リーグ33試合に出場し、7ゴールを挙げる活躍を見せ海外へと渡った後藤選手。彼自身の才能はもちろんですが、それ以上に彼が誰よりもサッカーを愛し、誰よりもサッカーに向き合ってきたからこそ、今の後藤選手があるのだと感じました。

今後も彼がどんな物語を紡いでいくのか、取材を続けていきたいと思います。

<おざき・ふみや>
入社3年目。SBSテレビ「みなスポ」のジュビロ磐田担当。河井陽介選手らに憧れて藤枝東高に入り、2015年度には左サイドバックで全国高校選手権出場。25歳。静岡市出身。
シズサカ シズサカ

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