H3打ち上げ成功 軌道投入 衛星も分離 JAXA 新ロケット30年ぶり

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前9時22分、国産新型ロケット「H3」の2号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。昨年3月の1号機では点火に失敗した2段目エンジンも正常に燃焼し、目標の軌道投入に成功した。搭載した性能確認用の模擬衛星と超小型衛星2機の分離も確認した。
模擬衛星と2機の超小型衛星を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット2号機=17日午前9時23分(共同通信社ヘリから)
 H3は今後20年、日本の宇宙輸送を担う基幹ロケット。国産新型での成功は、1994年の「H2」以来で30年ぶり。実用化によって、世界で需要が拡大する衛星打ち上げビジネスへの本格参入を目指す。
 開発責任者の岡田匡史プロジェクトマネジャーは記者会見で「打ち上げは満点。これからが勝負なので、しっかりと育てていきたい」と述べた。
H3ロケット2号機(JAXAの資料を基に作成)
 2号機は離陸の約5分後に1段目を切り離し、2段目エンジンが点火した。約16分後には狙い通りの軌道に入り、続けてキヤノン電子の光学衛星「CE-SAT-1E」など2機の超小型衛星を分離した。また模擬衛星の分離試験も行った。
 H3はJAXAと三菱重工業が開発した2段式の液体燃料ロケットで、現在の主力「H2A」の後継機。新開発したエンジン1基当たりの推進力は約1・4倍で、より大型の衛星を運べる。自動車部品などを活用し、1回の打ち上げコストをH2Aの半分の約50億円に抑える目標を掲げる。
 1号機では、新開発した1段目エンジンは作動したが、H2Aと共通部分も多い2段目エンジンが点火せず、失敗した。2号機では点火装置を改良した。当初予定した衛星実機ではなく性能確認用の模擬衛星を載せた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞