6割 価格転嫁できず 事業者「身を削って補填」 インボイス

 昨年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度を巡り、登録した事業者の6割が消費税や事務的な費用を価格転嫁できていないことが26日、分かった。制度に反対する市民団体がアンケート結果を同日公表し、財務省などの担当者に手渡した。

インボイス導入後の費用補填方法
インボイス導入後の費用補填方法

 調査は「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が3~4月にオンラインで実施。登録事業者となったフリーランスや個人事業主など2740人のうち、62%が値上げできず「身を削って補塡(ほてん)した」と答えた。
 費用を賄うため「商品やサービスの値上げ」をしたとの回答は16・1%にとどまった一方、「借り入れ」をして消費税を納税した事業者は7・4%に上った。調査全体の回答者は7018人で、売上高1千万円未満が約8割を占めた。
 インボイスは消費税が10%と8%の複数税率であることに対応した請求書類で、納税額を正確に計算するため導入された。制度に登録すると、これまで免税だった売上高1千万円以下の事業者にも消費税負担が生じる。
 政府は零細事業者の税負担を軽減するための時限措置を設けているが、調査した市民団体は「制度を継続することには多くの懸念がある」として抜本的見直しと政府による実態調査を求めた。

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