都心ターミナル再開発が加速 品川や新宿、鉄道各社は期待

 東京都心の品川や新宿、渋谷といったターミナル駅で「100年に1度」と言われる大規模な再開発が加速している。事業主体となる鉄道会社は鉄道の利用者数が頭打ちとなる中、好立地を生かした不動産事業に活路を見いだしたいと期待。街の顔である駅がどう変わるのか注目される。

工事が進む「高輪ゲートウェイシティ」の超高層ビル。右下はJR高輪ゲートウェイ駅=3月、東京都港区
工事が進む「高輪ゲートウェイシティ」の超高層ビル。右下はJR高輪ゲートウェイ駅=3月、東京都港区

 都心の大規模再開発は2000年代に本格化したが、列車がほぼ終日運行する駅の工事は難しく、再開発の中では後発組だ。鉄道会社は新型コロナウイルス禍で減った運輸収入が完全には戻っていない。一方でテレワークが減り、オフィス需要は盛り返してきた。
 品川駅はリニア中央新幹線の乗り入れを見越し、駅の東西で再開発が急ピッチで進む。東側ではJR東日本が車両基地の跡地でオフィスや住居、商業施設などが入るビルの5棟の工事を進める。モビリティー(乗り物)とITがキーワードで、25年3月から順次開業する。西側は京浜急行電鉄と西武ホールディングスなどがホテルやオフィス、住宅などの整備を計画している。
 新宿駅では西口の小田急百貨店跡地を小田急電鉄と東京メトロ、東急不動産が共同で開発する。都庁より高い約260メートルの超高層ビルが29年度の完成予定で、新宿エリア最大規模の商業施設やオフィスが入る。駅前広場も整備し、東口とは地下と空中デッキで結ぶ計画だ。
 渋谷駅では13年の東急東横線地下化と東急百貨店東横店東館の閉館をきっかけに始まった再開発が27年度まで続く。駅は度重なる増改築で複雑化し「迷宮」と呼ばれているが、複数の超高層ビルを空中デッキでつなぐ計画だ。
 明治大の市川宏雄名誉教授(都市政策)は「いずれも超高層ビルが中心だが、渋谷は新興企業が集まり、周辺を巻き込んで以前とは全く違う街になりつつある」と指摘。「品川と新宿も開発をどう駅の周囲に広げられるかが(成功の)鍵だ」としている。

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