記者コラム「清流」 ビュフェに共鳴する中学生

 「世界に自分ひとりしかいないようだ」「きれいだけどよく見るときれいじゃない」-。薄暗い部屋に差し込む一筋の光のように鋭利な言葉は、画家ベルナール・ビュフェに触発された中学生が発したものだ。
 長泉町のベルナール・ビュフェ美術館では来月まで、長泉北中生がビュフェの作品に影響されて撮った写真を展示している。塾帰りの夕焼け、机に積み上がる参考書。日常のふとした瞬間を捉えた写真と、ビュフェが抱えた絶望や孤独、その先にある希望が、時代を超えて共鳴していた。
 作品を見た生徒は「みんな詩人だったんだ」と仲間の意外な一面に驚いた様子。心の底に沈んだ思いが自然ににじみ出てしまうのも、写真の面白さなのかもしれない。
 (東部総局・菊地真生)

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