地元舞台の大河ドラマ開始 長期視点で客受け入れを【湧水】

 伊豆の国市ゆかりの鎌倉幕府第2代執権北条義時が主人公の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映が始まった。市内外に関連のある史跡が点在し、15日には作品の世界観を伝える大河ドラマ館がオープンする。関係者は「全国から注目されるまたとない好機」と期待を膨らませる。新型コロナ感染拡大の影響がちらつく中、単発で終えるのでなく、長期的な視点でファンやリピーターの獲得につなげたい。
 大河ドラマ館は同市の韮山時代劇場に設置される。ドラマ内で使用した衣装や小道具の展示に加え、地元ガイドが常駐して市内の関連史跡を紹介する特別企画展示「義時の里」や、地場産品を中心に約250品を販売する物産館も整備した。それぞれの事業の担当者は「市内周遊の起点、きっかけになってほしい」と口をそろえ、大河ドラマ館を拠点とした市内の経済活性化や情報発信を目指す。
 大河ドラマ館を目的に訪れた客を受け入れる他の観光施設や史跡、店舗の受け入れ態勢が好印象を与えられるかがファンやリピーター獲得の鍵になりそうだ。大河ドラマ館の運営関係者によると、滞在時間の目安は1時間程度。地元住民でなければ「他の場所にも行ってみよう」となるのは当然で、行き先の印象が悪ければ「もう来なくてもいいか」となってしまうかもしれない。
 年配層に根強いファンが多い印象の大河ドラマで、若者への売り込みも盛り上げポイントの一つだ。市推進協議会は常葉大造形学部の学生の協力を得てPRポスターなどに使用するデザインを作成した。若者に人気の俳優小栗旬さんや菅田将暉さん、新垣結衣さんらが出演するだけに、目に留まれば効果が期待できそうだ。
 ドラマの撮影は伊豆の国市を中心に県内でも行われた。小栗さんは放映開始を前にした記者会見で伊豆について「居心地が良く、温泉が多くて癒やされる」と述べ、新垣さんも「きっと当時の人が見ていたであろう自然豊かな景色が残っているのはすてき」と好印象の様子だった。地域資源を生かすも殺すも地元次第。来訪者の心をつかめるか、これまで以上に試される1年になる。

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