記者コラム「清流」 和装を続ける意志

 世間から正月気分が抜けた1月中旬、和風小物のチャリティー展ではかま姿の1人の若い男性が目に留まった。りんとした所作から、展示会のためにめかし込んだようには見えない。時代と逆行した姿が気に掛かり、理由を尋ねてみた。
 富士宮市の佐野翔平さんは外出時は常に和装をしている。和服の着方を知らない同世代の多さに日本文化衰退へ危機感を抱き、脱サラして伝統工芸品の販売業を始めた。自分をモデルに着物の魅力を伝えている。どんな場面でも和装を貫くという。
 「着物を着ると自然と気が引き締まる」との言葉は、落ち着きあるたたずまいも影響して説得力があった。気の緩みを正すために、和服の力を借りてみようか。

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