袋井市「ごみ30運動」 8年で30%減目指す 市民の能動的実践必要【解説・主張しずおか】

 袋井市は4月から、8年間で家庭系可燃ごみの排出量を30%減らす「ふくろいごみ30(さんまる)運動」を開始する。2024年度までに15%削減の中間目標を設定し、市民や事業所に分別、リサイクルなどの徹底を求める。ごみ処理量の限界が近づく中、減量化を市民運動として定着させる狙いで、目標達成には市民の理解が欠かせない。

ごみ処理量が限界に近づいている中遠クリーンセンター=3月中旬、袋井市岡崎
ごみ処理量が限界に近づいている中遠クリーンセンター=3月中旬、袋井市岡崎

 「あらゆる場面で協力をお願いし、一丸で取り組みたい」。2日の市議会2月定例会。大場規之市長がごみの減量へ決意表明した。市は22年度一般会計当初予算案に雑紙、草木、古布の回収事業費3200万円を計上。ごみの排出量を減らすための環境を整える。
 ごみの減量は脱炭素化などの課題解決を目的とした取り組みで、18年から庁内で協議を重ねた。当初はごみ処理を有料化し、ごみ袋の値上げで賄う予定だったが、一部の市民や議会から再考を求める声が上がり、方針転換した。
 具体的な行動計画として容器や包装、プラスチックの分別徹底、雑紙の回収などを推進する。24年度末に1人につき1日あたり可燃ごみの排出量を452グラムまで、30年度には372グラムまでの減量を目指す。期間中はごみ処理の推移をホームページなどで公開する。
 積極的な取り組みの背景には中遠クリーンセンターの年間処理量が限界に近づいている事情がある。19年度に処理量が3万2930トンを記録するなど、同施設の限界量3万4千トンに切迫している。市ごみ減量推進課によると、対策を講じなかった場合、2~3年で限界量を超えると想定されるという。処理費も増加傾向で、費用圧縮も課題になっている。
 市は運動の開始を前に、説明会を開くなど住民への周知に努める。参加者からは協力的な意見が寄せられているといい、実際にごみ処理の有料化見送りを決めた昨年10月ごろから1月までの排出量は16~20年度の同時期と比べて減少している。
 同課担当者は中期目標を「簡単ではないが、一丸で取り組めば十分に達成できる」と強調。各自治会で啓発に努め、機運醸成を図る。ただ、目標が達成できない場合はごみ袋の記名方式の導入や有料化を再度検討するという。
 中長期的な減量は市民に相当な負担を強いる。個々の努力だけに頼ると、いずれ限界を迎えるだろう。無理なく参加できる仕組み作りも必要だ。

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