記者コラム「清流」 甘い原稿と計画案の共通点

 恥ずかしい話だが、自分が執筆した原稿を読んで「取材が甘い」とか「曖昧な表現で逃げている」と反省することがある。そんな時はたいていデスクから指摘の電話がかかってくる。現場経験が豊富な人が読めば、記者の自信のなさはすぐに見抜かれる。
 先日、熱海市伊豆山の復興計画検討委員会で、それと似たような場面があった。市が示した復興の基本計画案に、委員の学識経験者は「現場感がなく、どこのまちにもあるような計画」と厳しく指摘した。別の委員も「被災者のヒアリングを徹底し、計画に反映させてほしい」と訴えた。
 市もその努力をしているのだろうが、被災者や地域が何を求めているのかが、計画案からはいまひとつ読み取れなかった。記者と同様、すぐに再取材と書き直しが必要だ。
 (熱海支局・豊竹喬)

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