政治部 豊竹喬
とよたけ・たかし 1978年、函南町生まれ。報道番組などを手掛ける制作会社に8年勤務後、2008年に入社。社会部、伊東支局、東部総局、御殿場支局、浜松総局、熱海支局を経て政治部。「最近やせた?」とよく人に言われるが、高校時代からほぼ同じ体型。
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公共工事入札制度を改善 静岡県、地元業者 請け負いやすく
静岡県は2024年度から、建設業者の経営安定化やダンピング(不当廉価)対策を強化するために改善した公共工事の入札・契約制度の運用を始めた。自然災害の頻発化に伴い、緊急時に対応できる地域に根差した建設業者を維持・確保するのが狙い。 伊豆半島や安倍川、大井川、天竜川上流域といった過疎地や振興山村地域の実情に応じ、原則としておおむね20者以上としていた制限付き一般競争入札の参加想定業者数の設定を「最低5者以上」に改めた。県建設業課によると、過疎地などには建設業者が少ないため、これまで地域外の建設業者が公共工事を落札するケースが多かった。参加想定業者数の引き下げにより、地元業者が工事を請け負いやす
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女性の自治会長、静岡県内わずか2.4% 23年度、防災会議委員は市町間で開き
静岡県内の自治会長のうち、女性の割合が2・4%にとどまっていることが、2023年度の県男女共同参画白書で分かった。市町の防災会議における女性委員の割合も8・9%と低く、中にはゼロの市町もあった。自然災害が起きるたびに女性の視点を取り入れた地域防災の重要性が叫ばれるが、県の担当者は「地域社会に性別役割分担意識が根強く残っている」と指摘し、女性防災リーダーの育成支援や自治会の理解促進に努めたいとしている。 ※画像タップで拡大してご覧になれます 白書は、01年度に始まった県男女共同参画推進計画に基づく施策の実施状況や市町の現況、全国比較などを毎年公表している。計画では「政策・方針決定
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【静岡県知事選】県議会ふじが鈴木氏、大村氏に聞き取り 候補選定作業を継続
静岡県議会第2会派ふじのくに県民クラブは16日、知事選への立候補を正式表明した前浜松市長の鈴木康友氏(66)と、元副知事の大村慎一氏(60)からそれぞれ、県政運営や政策の構想を聞いた。所属議員の評価は分かれ、「甲乙つけがたい」との声も聞かれた。会派は支援する候補者の選定作業を17日も続ける。 両者への聞き取りは非公開で、それぞれ約45分間行われた。会派からは、防災対策▽リニア中央新幹線問題▽浜岡原発▽浜松市の新野球場整備―といった県政課題をはじめ、県東部、中部、西部それぞれに必要な施策などを質問した。関係者によると、両者はリニアや新野球場の整備を推進する立場を示し、政策に大きな差はなかった
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連合静岡が鈴木氏支援で一致 静岡県知事選へ緊急会議
連合静岡は11日、知事選(5月9日告示、26日投開票)に向けた緊急会議を静岡市駿河区で開き、立候補の意向を固めた前浜松市長の鈴木康友氏(66)を支援する方針を決めた。首長として行財政改革を断行した手腕を評価した。連合は立憲民主、国民民主の両県連、県議会第2会派ふじのくに県民クラブと連携して候補者を擁立する方針で、13日の4者協議で鈴木氏支援を伝えるとみられる。関係者への取材で分かった。 鈴木氏は15日に出馬を正式表明する見通し。連合は鈴木氏が浜松市長に就任する前の衆院議員時代から推薦してきた。関係者によると、鈴木氏側から11日に支援要請があった。 知事選には元副知事の大村慎一氏(60)が
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静岡知事選6月30日、7月7日、21日の3案浮上 投開票日、県議会検討【川勝知事辞意表明】
川勝平太知事が静岡県議会6月定例会の冒頭で辞職する意向を示したことを受け、知事選について三つの日程案が検討されていることが4日、分かった。県議会の各会派で検討を進めていて、10日の会派代表者会議で方針が決まる見通し。 浮上している知事選の日程案は(1)6月13日告示、同30日投開票(2)6月20日告示、7月7日投開票(3)7月4日告示、同21日投開票ーの3案。いずれも6月定例会の開会日に知事が辞職していったん休会し、知事選を行った後に再開して新知事のもとで所信表明や代表質問などを行う想定。 川勝知事の辞職を巡り、議会内では、県政の空白期間をつくらないよう6月定例会開会の前倒しを求める声が
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静岡知事選へ対策本部 県議会会派ふじ、候補擁立急ぐ 本部長に阿部氏
川勝平太知事の辞意表明を受け、静岡県議会第2会派ふじのくに県民クラブは4日、県庁で議員総会を開き、知事選に向けて選挙対策本部を設置した。本部長には、川勝知事が4選した前回選に続き会派副会長の阿部卓也氏(浜松市浜名区)を選任した。阿部氏は早急に関係団体などに意見を聞き、「一日も早く候補者を擁立したい」と述べた。 川勝知事は辞職の最大の理由として、JR東海がリニア中央新幹線の事業計画を大幅に変更し「大きな区切りを迎えた」ことを挙げている。阿部氏は今後のリニア問題に関し「(次の知事は)県や会派がこれまで積み上げてきた議論を継承してもらわないといけない」と強調。同会派の田口章会長も「(JR東海と)
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記者コラム「清流」 県民生活支える人材
「人手不足」と「人材不足」は字面こそ似ているが、意味は大きく異なる。人手不足は日々の業務を回していく労働力を確保できない状況であり、人材不足は仕事に必要な知識や技術を持っている人が足りていないことを意味する。 公務員の定年退職年齢の段階的な引き上げに伴い、県では3月末時点で60歳の幹部職員108人が役職定年を迎えた。うち7割は4月から班長級として職場に残る。職員に指示する立場だった人が実動部隊に戻ってくるのだから、本人も“元部下”も若干のやりにくさを感じるかもしれない。 だが、幹部職員が蓄積してきた経験や知識は財産だ。県民生活を支える組織が人材不足に陥らないために
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静岡県、インフラ補修に優先順位 長寿命化へ方針 デジタル積極活用
自然災害の頻発化や建設業の担い手不足に加え、橋やトンネルなどの老朽化が加速する中、静岡県はこのほど、10年先を見据えた「社会インフラ長寿命化行動方針」をまとめた。補修の優先順位にメリハリをつけて本格的な「予防保全型管理」を進めるほか、デジタル技術を積極的に活用して点検などの効率化を図る。 県は点検結果を基に、インフラを①健全②予防保全③早期措置④緊急措置―の4段階に区分している。予防保全型管理は、インフラに不具合が生じる前に計画的に補修することでコストが縮減できるため、県はこれまでも維持管理の基本方針に掲げていた。しかし、高度経済成長期に建設されて耐用年数の目安とされる「建設後50年」を超
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浜松「はまゆう大橋」通行無料 花博開催期間、6月16日まで
静岡県道路公社は22日、「浜名湖花博2024」開催期間中の23日から6月16日まで、浜松市中央区の「はまゆう大橋」の通行料金を無料にすると発表した。 はまゆう大橋は、花博会場の「はままつフラワーパーク」と「浜名湖ガーデンパーク」(4月6日開幕)がある庄内半島と浜松市街地を結ぶ1・3キロ。無料化により、周辺の渋滞緩和や市街地への波及効果が期待される。14年の10周年記念事業ではゴールデンウイークを除き、開催期間中の土日祝日のみ無料化された。
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静岡県外の支援活動も協定を 県水道広域連携会議 被災地復旧で課題共有
静岡県と県内市町による県水道広域連携全体会議が22日、県庁で開かれ、各市町の水道事業体が能登半島地震の被災地で実施している支援活動の課題を共有した。各事業体への派遣要請を担う日本水道協会県支部事務局の静岡市の担当者は、応急復旧に当たる施工業者への協力要請を円滑に行うため、被災時に加えて、県外での支援活動も盛り込んだ協定を結ぶ必要があると提言した。 同支部によると、県内の水道事業体は1月3日から給水、同11日から応急復旧の支援を続けている。3月末までの累計で、給水に25事業体の職員853人、応急復旧に9事業体の職員499人と施工業者456人を派遣する見込み。 静岡市の担当者は応急復旧に関し
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土砂災害警戒区域 静岡県内候補9047カ所
静岡県は21日、土砂災害警戒区域に新たに指定される可能性がある場所が、県内で9047カ所に上ることが判明したと発表した。県砂防課ホームページで、具体的な候補箇所を示す地図を公表した。同区域に指定されると、市町に土砂災害への警戒態勢を整える義務が生じる。県は今後、詳細調査を行い範囲を明確にした上で、指定作業を進める。 国が土砂災害防止対策基本指針を変更したことを受け、県は3次元点群データを活用して、30度以上の傾斜がある高さ5メートル以上の急傾斜地など、区域指定の要件に当てはまる場所を改めて調査した。その結果、土石流が発生する恐れがある場所が2862カ所、崖崩れの恐れがある急傾斜地が6185
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週休2日設定率、前年度より上昇 23年度の静岡県内公共工事発注者協 国の目標達成に課題
国、県、市町など公共工事の発注機関でつくる中部ブロック発注者協議会県部会が14日、県庁で開かれ、国が推進する施工時期の平準化や週休2日制導入の県内の進捗(しんちょく)状況が報告された。県と市町の実績値は上昇傾向にあるものの、国が掲げる24年度の目標を達成するには、まだ課題が多い状況が浮き彫りになった。 公共工事の閑散期(4~6月)の1カ月当たりの平均稼働件数を、年度全体の平均稼働件数で割った「平準化率」は、平準を示す「1」に近づけるよう各自治体に求められている。県と市町の全体で2023年度は0・69で、22年度より0・05ポイント改善する見込み。静岡市や浜松市など6市町が24年度目標値の
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土質調査「費用負担大」 処分場整備要望も 関係者に意見聴取 盛り土条例検証 県議会特別委
静岡県盛り土規制条例の効果や課題、規制の在り方などを調査・検証する県議会の特別委員会は6日、盛り土造成の申請や公共工事を担う県行政書士会と県建設業協会の関係者を参考人として招き、意見聴取した。行政書士会は、条例で義務づけている土質・水質調査は費用負担が大きいため廃止を求めた。建設業協会は、建設発生土の受け皿不足が工事発注の遅延につながっているとして、官民で整備する必要性を訴えた。 行政書士会は、御殿場市で行われた約8ヘクタールの工場用地の造成を例示し、申請費用4460万円のうち約1千万円が土質調査に要したと説明。「盛り土規制条例により申請費が35%増しになった。土砂搬入前に土質調査をして
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障害者雇用を後押し 静岡県方針 企業表彰制度創設 静岡県議会
川勝平太知事は、企業の障害者雇用を促し、特別支援学校生徒の就職先の選択肢を広げる方策として、2024年度、障害者雇用などに積極的に取り組む企業を表彰する制度を創設し、「障害者自身が最適な就職先を選択できる環境づくりを進める」と強調した。沢田氏への答弁。 労働雇用政策課によると、特別支援学校生徒の就職先は居住地によって業種に偏りがあるという。通勤可能範囲に障害特性に適した職場が見つからないケースも多く、就職先が限られているのが実情という。 2023年の県内企業の障害者雇用率は2・37%(6月1日時点)で、現行の法定雇用率(2・3%)は上回っている。一方で、未達成企業が1383社、1人も雇用
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天竜川水系の取水制限解除 水利調整協議会
静岡県や浜松市などでつくる天竜川水利調整協議会は28日、天竜川水系で1月10日から実施していた取水制限を解除した。 県によると、水位を下げて施工する必要のある佐久間ダムの工事が完了したことや、2月19日以降に降雨が続いた影響で、一時は28・4%まで落ち込んだ同ダムの貯水率が26日時点で78・3%にまで回復した。 同協議会は1月10日からの50日間、上水道4市1町(浜松、磐田、袋井、湖西、森)、工業用水3市(浜松、磐田、袋井)、農業用水3市1町(浜松、磐田、袋井、森)で5~10%の取水制限を行っていた。
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三保松原「羽衣の松」付近の砂浜 静岡県、海岸保全施設に指定へ
静岡県は19日、世界遺産富士山の構成資産の一つである三保松原(静岡市清水区)のシンボル「羽衣の松」付近の砂浜を海岸保全施設として23日の「富士山の日」に指定すると発表した。県によると、都道府県知事が海岸保全施設に砂浜を指定するのは全国初という。 指定エリアは、羽衣の松付近の南北200メートル、東西73メートル。海岸保全施設は堤防や突堤といった構造物が一般的だが、1999年の海岸法改正で砂浜も指定可能になった。指定された施設は、国から災害復旧費の補助が受けられる。 県河川海岸整備課によると、三保松原周辺は昭和50年代に浸食が目立ち始め、県は1983年から砂を投入して砂浜の復元を図る「養浜(
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川勝知事、理想郷へ「飛翔予算」 財源不足も制御可能【静岡県24年度予算案】
川勝平太知事は2024年度当初予算案を発表した13日の記者会見で、「能登半島地震対応」「イノベーション」「こども・子育て」「スポーツの総合産業化」の4分野を重点に据えた予算案を「飛翔(ひしょう)予算」と銘打ち、富士山など世界級の地域資源や人材を生かして「(SDGsの目標である)17のゴールを目指し、理想郷に向かって飛翔する」と強調した。 予算を重点配分したイノベーション事業の狙いを川勝知事は「大胆な発想で現状を打破する必要がある」と説明。特に「空飛ぶクルマ」の先進導入地域を目指す取り組みに関し、「可能性を日本で最初に切り開きたい」と述べた。 スポーツの総合産業化は、関連事業全体で23年度
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経営管理部の4局廃止、コロナ関連2課も 静岡県24年度組織改編
静岡県は2024年度の組織改編で、県政の課題に迅速に対応できる効率的な体制構築に向けた試みとして、経営管理部に置かれている4局(総務、行政経営、財務、地域振興)を廃止し、部長と課長の間にあった局長ポストをなくす。同部の福利厚生、健康指導の2課も統合し、33人体制の職員厚生課を新設する。 新型コロナウイルス感染対策事業が23年度にほぼ終了したため、関連予算の統括や病床確保などを担当していた新型コロナ対策企画課と、ワクチン供給や接種の調整などを担った新型コロナ対策推進課を廃止する。両課の業務は感染症対策課に引き継がれる。 組織のスリム化を進める一方、先進的な手法で多様な課題解決を目指して予算
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静岡人インタビュー「この人」 大井川流域や南アルプスのジオサイトガイドを作成した 諸橋良さん(静岡市駿河区)
日本列島の誕生に関わる地形・地質遺産の宝庫である大井川に沿う赤石山地と南アルプスの成り立ちや魅力を解説する「ジオサイトガイド」を作成した。ガイドは静岡県ホームページで公開している。静岡県生活環境課職員。新潟県三条市出身。48歳。 ―作成のきっかけは。 「もともとは南アルプスの世界自然遺産登録を目指す動きがあり、2010年ごろに学術的な調査報告書をまとめていたが、一般の人には分かりにくかった。多くの人にその価値を知ってもらい、どこにどんな地質遺産があるか分かるよう地図や写真をふんだんに取り入れた」 ―公開後の反響は。 「関係機関などから好評をいただいている。学校教育に活用したいとの声も
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静岡県教委 不祥事根絶へコンプラ委 初動対応書や法律周知
静岡県教委は8日、教職員の不祥事根絶の取り組みについて、学識経験者や弁護士、PTA関係者らが助言、提言する県教職員コンプライアンス委員会を県庁で開いた。性暴力事件や体罰などの懲戒処分が後を絶たない現状を踏まえ、県教委は2024年度の重点対策として、不祥事に対する初動マニュアルの作成や「教員による児童生徒性暴力防止法」の周知強化などに取り組む方針を示した。 県教委は23年度、研修などを通じて教職員の不祥事根絶に向けた研修などに力を入れてきたが、24年1月末時点ですでに22年度を上回る18件の懲戒処分が出ている。わいせつ行為や盗撮に関し、管理職が県教委や警察に連絡していなかったケースもあった。
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温暖化対策アプリ「クルポ」 新装で利用急拡大、商品券など提供の企業も増加中
静岡県や市町、企業などが参画するふじのくにCOOLチャレンジ実行委員会の地球温暖化対策アプリ「クルポ」の利用が拡大している。2023年2月の大幅リニューアル以降、登録者の「脱炭素アクション」の累計が月間約13万回と従来の約7倍に伸びた。クルポと連動したサービスを提供する企業も増え、脱炭素化の機運向上に一役買っているようだ。 クルポは、環境に配慮したアクション(行動)に対してポイントを付与し、抽選で商品券などが当たるアプリ。食事を食べきる、公共交通を利用する、レジ袋を断る―といった行動とともに、協力店や公共施設などに貼ってあるQRコードを読み込むとポイントが得られる。 ただ、従来は外出しな
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盛り土衛星監視 県全域に 県、24年度予算案計上 富士山麓で成果
静岡県は2024年度、富士山麓で試験的に実施していた人工衛星を活用した不適切盛り土の監視の対象を県内全域に広げる方針を固めた。山間部を中心に、不適切な盛り土造成の“予兆”をいち早く把握し、市町と連携して違法行為の未然防止を図る。24年度当初予算案に関連費用として2千万円超を計上する。31日までの関係者への取材で分かった。 人工衛星を活用した不適切盛り土の監視は、21年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流を教訓にした対策の一つ。県は23年度、富士山麓の約900平方キロメートルを対象に、最新の衛星画像と過去の画像を人工知能(AI)で比較。その結果、公道が通っていないような山間部の奥地で、森林
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水循環計画、策定案了承 緊急度高い圏域から作業 静岡県環境審
静岡県環境審議会(会長・藤川格司常葉大名誉教授)は30日、県庁で会合を開き、静岡県内8圏域(伊豆海岸、狩野川、富士川、安倍川、大井川・菊川、太田川、天竜川、浜名湖)で策定する流域水循環計画について、各流域の現状や課題を点数化して、緊急度が高いと評価された圏域から策定を進める水循環保全部会の案を了承した。審議会は近く川勝平太知事に答申する。 同部会の案は、水質、水量、災害・治水など5分野計26項目の指標を20~100点で採点して合計点を算出。そこから「河川やダムの濁りによる水産資源への影響」「気候変動に伴う水害の激甚化」「森林荒廃による水源涵養(かんよう)機能の低下」といった9項目の課題のう
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第14回地域再生大賞、テンカラセン(熱海市)が優秀賞 伊豆山復興へカフェなど運営
地方新聞47紙とNHK、共同通信が地域活性化の取り組みを応援する「第14回地域再生大賞~つながる、多様性が拓(ひら)く」の各賞51団体が27日、決まった。大賞(副賞100万円)には「貴志川線の未来を“つくる”会」(和歌山市)が輝いた。廃線の危機にあった地方鉄道の永続に向け住民主導で利用を呼びかけ、事業者や行政と連携して沿線の魅力アップを図っている。 準大賞(20万円)はアイドル活動で地元を盛り上げる「リンゴミュージック」(青森県弘前市)、選考委員長賞(20万円)は地域と連携し起業家を育てる「神山まるごと高等専門学校」(徳島県神山町)。 副題に掲げる、つながりや多様
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フェムテック活用に補助 女性活躍へ職場づくり 静岡県24年度予算案
静岡県は2024年度、女性特有の健康課題を解決する製品やサービス「フェムテック」を活用して女性が働きやすい職場づくりに取り組む企業を支援する方針を固めた。生産年齢人口が減少する中、女性が健康上の悩みを理由に離職するのを防ぎ、多様な形で活躍できる環境整備を後押しする。24年度当初予算案に関連費用として1千万円超を計上する。26日までの関係者への取材で分かった。 月経、妊娠・不妊、産後ケア、更年期―とライフステージごとに女性が直面する健康上の課題は多岐にわたる。性に関する悩みは上司に相談しづらく、一人で抱え込むうちに労働量の低下や欠勤、離職につながるケースがある。 本県は、事業所における女性
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木造住宅耐震化「TOUKAI-0」問い合わせ増加 静岡県、市町の連携プロジェクト 25年度末終了「早めに相談を」
能登半島地震を受け、静岡県と市町が連携して実施している木造住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)-0」に関する県民の問い合わせが増えている。能登半島地震の犠牲者の多くが家屋倒壊による圧死で亡くなったとみられることが、県民の危機意識に影響している状況がうかがえる。2025年度末にプロジェクトが終了するため、県の担当者は「未対応の人は早めに相談を」と呼びかけている。 プロジェクトは1981年以前の旧耐震基準で立てられた木造住宅を対象に、市町が窓口となって無料で耐震診断を行い、耐震補強工事費も助成する。県によると、2001年度の開始から22年度末までの耐震補強助成件数は累計2万654
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天竜川水系 10日午前9時から取水制限 少雨影響で佐久間ダム貯水量減少
天竜川水利調整協議会は9日、天竜川水系の取水制限を10日午前9時から開始すると発表した。2023年12月中旬以降の少雨の影響で、佐久間ダムの貯水量が大幅に減少しているため。同水系の取水制限実施は23年1~3月以来、約1年ぶり。 上水道は5%、工業用水と農業用水はともに10%の取水制限を行う。対象市町は上水道4市1町(浜松、磐田、袋井、湖西、森)、工業用水3市(浜松、磐田、袋井)、農業用水3市1町(浜松、磐田、袋井、森)。今回の制限は第1段階で、県は「一般家庭や事業所への給水制限を直ちに行うものではないが、県民に節水努力を呼びかけていく」としている。 佐久間ダムの貯水率は23年12月1日時
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水防対応 市町でばらつき 警戒活動や情報共有 静岡県調査
静岡県内に大きな爪痕を残した2022、23年の台風災害を受け、静岡県が35市町に実施した水防活動に関するアンケートで、被害の報告や河川の巡視などの対応が市町によってばらつきがあることが分かった。県は水防法に基づく水防団、消防団の役割の再確認を呼びかけるとともに、市町が避難指示を出す際の判断などを支援するハード、ソフト面の対策を検討している。 調査は12月1~18日に実施した。県によると、水防業務を所管する部局は危機管理、建設、消防と市町によって異なる。そのため災害時に「被害の報告は最終的にどこまで上げることになっているか」との質問に、80%の市町が災害対策本部と答えた一方、消防本部(8・
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記者コラム「清流」 実のある首長会議を
伊豆半島の13市町の首長と川勝平太知事が地域課題について意見を交わす「伊豆半島地域サミット」を何度か取材したことがある。年に1回、1時間ほどの会合で、各首長は“おらがまち”の課題を訴え、さまざまな支援を求めていた。 ただ、自治体数が多いため一人一人の発言時間は限られていた。あまつさえ内容はバラバラ。知事の回答も表面的で、正直なところあまり成果が期待できる会合とは思えなかった。 先日、13市町の首長らが知事を訪ね、観光施策を中心に議論する場を定期的に設けたいと要望した。伊豆半島の総意をまとめた上で知事と実のある議論をしたいと望む首長らに、知事はひとまず前向きに応じた
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プレジャーボート 一時係留に使用料 静岡県、24年度から導入
静岡県は2024年度から、プレジャーボートが港の岸壁や桟橋、物揚げ場に一時的に係留する際の使用料を導入する。民間マリーナとの料金格差を是正するとともに、収入を港湾施設の維持管理に活用するのが狙い。県はプレジャーボートの受け入れ実績がある沼津港と土肥港で4月から運用し、受け入れ環境の整った港に順次適用する。 21日の県議会12月定例会最終本会議で、新たな使用料を盛り込んだ県港湾管理条例改正案が可決した。 同条例はこれまで、岸壁などの使用料に関し、総トン数1トンあたり24時間につき11円90銭と定めていた。県港湾企画課によると、荷役などの利用を想定していたため、5トン未満のプレジャーボートは
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不適切盛り土160カ所 静岡県内11月末時点 住民通報、新たに9件
静岡県内で、県盛り土規制条例などの法令に違反したり、防災設備の不備などが確認されたりした不適切盛り土が11月末時点で160カ所に上ることが20日までの県への取材で分かった。4月に公表した163カ所のうち、12カ所で是正工事が完了する一方、住民の通報などで新たに9カ所を把握した。県は緊急性の高い盛り土から地質調査や安定性の解析を進め、造成業者などに是正を求めていく。 県盛土対策課によると、160カ所の不適切盛り土のうち、21カ所は地質調査や応急対策工事を進めている。このうち菊川市西方で無許可造成された盛り土については、行政指導に従わない施工主らに対し、同条例に基づく措置命令を出した。現在は施
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橋名板盗難、静岡県西部を中心に7カ所23枚 県管理の橋梁点検
静岡県西部を中心に橋名板の盗難が相次いでいる問題を受け、静岡県は19日、県が管理する橋梁(きょうりょう)のうち橋名板をボルトで取り付けている橋約370カ所を点検した結果、7カ所で計23枚(140万円相当)の盗難被害を確認したと発表した。県は同日までに静岡県警に被害届を提出した。 調査は9月中旬から11月中旬にかけて県全域で実施した。被害があったのは磐田市の3カ所で計9枚、湖西市の2カ所で計6枚、掛川市の1カ所で4枚、藤枝市の1カ所で4枚。橋名板はいずれも真ちゅう製だった。 県道路整備課によると、2016年にも県西部を中心に39カ所で計106枚が盗まれる被害があり、県は橋名板をボルトで取り
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土砂災害情報を高精度化 避難指示「空振り」改善/知事、インドとの経済的交流を推進/第2子保育料無償 県全体で30億試算/80歳歯20本以上7割 静岡県議会12月定例会
静岡県議会12月定例会は11日、自民改革会議の伊藤謙一氏(袋井市・森町)、良知淳行氏(焼津市)とふじのくに県民クラブの田中照彦氏(浜松市中区)、良知駿一氏(同市北区)が一般質問を行った。大雨で土砂災害の危険が高まった際に県と気象庁が発表する土砂災害警戒情報について、勝又泰宏交通基盤部長は、従来よりも高精度な情報を発信することが可能になったとし、2024年度から運用する方針を明らかにした。良知駿氏への答弁。 土砂災害警戒情報は、市町村長が避難指示を発令する際の判断や住民の自主避難を支援するために、都道府県と気象庁が共同で、対象となる市町村を特定して発表している。国は同情報が発表された場合、
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有害鳥獣対策 デジタル駆使 狩猟者支援策も検討 静岡県議会定例会
静岡県議会12月定例会は8日、自民改革会議の伊丹雅治氏(三島市)、野田治久氏(伊豆市)、天野多美子氏(静岡市葵区)、ふじのくに県民クラブの鈴木唯記子氏(浜松市中区)が一般質問を行った。川魚を食い荒らすカワウや農林被害などを引き起こすニホンジカなどの有害鳥獣対策について、県はデジタル技術を駆使して繁殖地の特定や効率的な駆除を進める考えを示した。野田氏への答弁。 カワウの被害は狩野川をはじめ、天竜川、浜名湖など広域で確認されている。近年は猟銃による駆除の反動で、生息域がさらに分散している。県は本年度、伊豆市や狩野川漁協と協働してカワウの目撃情報を収集し、ドローンを活用した生息場所などの調査を行
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災害現場の測量 スマホで省力化 静岡県取り組み「優秀政策」に
スマートフォンなどのモバイル端末を使って3次元点群データを構築し、災害現場の測量や図面作成などの省力化を図る静岡県の取り組みがこのほど、全国知事会の「先進政策バンク」の優秀政策(デジタル部門)に選ばれた。小規模な現場であれば、職員1人でも現場の情報を正確に読み取ることができ、予算や時間の大幅な縮減も可能。自然災害が頻発する中、県の担当者は「市町でも活用してほしい」と期待している。 県の取り組みは、レーザー光で距離や位置を測定する「LiDAR(ライダー)」センサーを搭載したモバイル端末で空間をスキャン。3次元点群データを基につくられた現場の画像をあらゆる角度から見たり、計測したりすることが端
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観光振興へ支援、連携を 伊豆半島首長会議が知事に要望
伊豆半島7市6町首長会議(会長・斉藤栄熱海市長)は1日、県庁に川勝平太知事を訪ね、観光振興を中心とした施策の支援を求める要望書を提出した。国が成長産業に位置づけ、伊豆半島の経済を支える観光について、知事は「重要な産業という共通認識を持っている」とし、同会議と定期的に協議する場を創設することに理解を示した。 要望は、交流産業クラスターの創出と再生▽ネットワーク型交通・高次都市機能の構築▽安全・安心な生活の実現▽官民協働による施策の推進―を重点戦略の柱に据え、インバウンド(訪日客)誘客支援や行政機能の連携などを求めた。 伊豆半島の首長はこれまで、伊豆半島地域サミットで知事と意見交換してきたが
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外来種ヤスデ 静岡県内で拡大 専門家「行政と住民連携し対策を」
節足動物ヤスデの一種で台湾原産の外来種ヤンバルトサカヤスデが静岡県内で生息域を広げている。在来種より繁殖力が強く、温暖な本県では越冬も可能な“不快害虫”。静岡市で2002年に確認されて以来、沿岸部の市町を中心に生息域を拡大し、内陸部の住民からも苦情が出ている。専門家は「外来種対策の優先順位が低く、放置されている」と指摘し、拡大防止策を講じる必要性を強調する。 ヤンバルトサカヤスデは体長3センチほどで、普段は落ち葉の下などに潜んでいる。人をかんだり農作物を食い荒らしたりはしないが、外部から刺激を受けると青酸を含む悪臭ガスを放ち、頭痛や吐き気、下痢を引き起こすことがある
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ネット通販、22年度相談7457件 18年度比1.5倍 半数以上が40~60代
2022年度に静岡県などに寄せられたインターネット通販に関する消費生活相談が7457件に上り、18年度の1・5倍に増加したことが28日までの県への取材で分かった。通販サイトやネット広告の不適正表示がきっかけでトラブルになる事例が多く、40~60代の被害が全体の半数以上を占めた。県はこれまで若年層や高齢者層の消費者教育に力を入れてきたが、中高年への啓発も強化し被害防止を図る。 県県民生活課によると、22年度の消費生活相談2万6109件のうちネット通販関連は約3割を占めた。ネット広告関連の相談も3388件で18年度の約2倍、SNS関連も2074件と約3倍に増えた。 相談内容は「『初回500円
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省エネ設備助成 また予算 底 県の中小向け導入促進事業 受け付け再開1カ月 「これほど早く…」 8億円追加も申請殺到
静岡県内中小企業の脱炭素化を支援するため、県が9月補正予算に8億円を追加して実施していた中小企業等省エネ設備導入促進事業に企業からの申請が殺到し、受け付け開始から1カ月で予算が上限に達したことが、22日までの県への取材で分かった。担当者は「企業の脱炭素化への関心が高まっていることに加え、燃料価格の高騰が大きく影響している」とし、引き続き中小企業の省エネ支援の必要性を強調する。 同補助金は年間エネルギー使用量が原油換算で1500キロリットルに満たない法人や事業主を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量を5%以上削減できる空調、給湯、照明などの導入経費を最大600万円助成する。 本年度は当初予算に5
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所有者不明の土地解消へ 改正民事法制を解説 静岡市で協議会
土地境界を巡る問題の解決や予防を図る県境界問題連絡協議会はこのほど、第5回協議会を静岡市葵区で開いた。社会問題になっている所有者不明土地の解消に向けて改正された民事法制などについて、弁護士や静岡地方法務局、静岡財務事務所の担当者が解説した。 県土地家屋調査士会の会員や県、市町の職員らが参加した。県弁護士会業務改革委員の伊藤祐尚弁護士は、所有者不明土地の発生予防のために来年4月に施行する相続登記の申請義務化を説明。正当な理由がないのに申請を怠った場合は10万円以下の過料対象になるとし、「民事法制で罰則規定を設けることはそう多くない。国としても強制力を持たせたいという思いが表れている」と指摘し
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静岡県SDGSビジネスアワード 採択団体がプラン発表
環境課題の解決に貢献するビジネスプランを表彰する「静岡県SDGsビジネスアワード」(県主催)のキックオフミーティングがこのほど県庁で開かれ、同アワードに採択された9団体が独自に考案したビジネスプランを発表した。 県内の産業廃棄物処理やアパレル、食品加工などさまざまな業種の企業や団体が循環型社会、自然共生、脱炭素などをキーワードにしたプランを説明し、環境ビジネスに詳しい専門家からアドバイスを受けた。 食品廃棄物などの資源化に取り組む富士宮市の「アサギリ」は、化学肥料の低減と有機農業の拡大に向けて、余剰牛ふんやバイオ炭を活用した循環型システムの構築プランを発表した。代表者は、肥料製造から農作
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モンゴル県知事と川勝氏が会談 介護、経済分野で交流深化へ
静岡県と友好協定を結んでいるモンゴル・ドルノゴビ県のオチルフレブ・バトジャルガル知事と同県議が16日、静岡市葵区で川勝平太知事と面会した。バトジャルガル知事の来静は2020年11月の知事就任以降初めて。両知事はこれまでの友好の歴史を振り返りながら、引き続き介護や経済などの分野で交流を深めていくことを確認した。 両県は11年に友好協定を締結し、高校生の交流事業を皮切りに、下水処理技術支援、介護分野の相互協力など多方面で交流を続けてきた。バトジャルガル知事は「新型コロナウイルス禍を乗り越え、交流が続いていることを感謝している」と述べた。会談に先立ち、本県幹部と経済交流などについて意見交換したと
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静岡市に45%集中 建設発生土の県内民間処理施設 増設や偏在解消へ県模索
静岡県内で民間が運営する建設発生土処理施設のうち、45%が静岡市に集中していることが、14日までの県への取材で分かった。県は土砂を再利用するまで仮置きするストックヤードを長泉町、静岡市、浜松市に1カ所ずつ整備し、年内に運用を始める予定だが、建設土木業界からは処理施設の増設や地域偏在の解消を求める声が高まっている。県は建設発生土の有効利用を促進しつつ、地域事情に応じた課題解決策を模索する。 県内の民間処理施設は2022年4月時点で76カ所あった。土砂受け入れ時の規制を強化する県盛り土規制条例施行を境に一時減少したものの、条例上の許可手続きが進み、23年10月時点で73カ所まで回復した。このう
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静岡県、静岡市葵区杉尾の盛り土撤去へ代執行 11月下旬に着手
静岡市葵区杉尾の砂防指定地内で残土処分会社「富田建材」が無許可で造成した盛り土に関し、県は14日、県庁で開いた盛り土対策会議で、土砂撤去に向けた行政代執行を今月下旬に着手することを明らかにした。2021年7月の熱海市伊豆山の土石流以降、不適切盛り土を対象にした県の行政代執行は3件目になる。杉尾地区に隣接する日向地区にも同社が造成した巨大盛り土がある。県は日向地区でも行政代執行を実施する方針を固めていて、25年度末までに完了させたいとしている。 県によると、杉尾地区の盛り土は約1・9ヘクタールの土地の東西に計約5・1万立方メートルが積まれている。代執行では、まず勾配が急な東側の盛り土を撤去す
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クマ目撃62件 過去最多ペース 静岡県、出没マップ公表 警戒呼びかけ
全国でクマの被害が多発し、静岡県内でも目撃情報が相次ぐ中、県は8日、ツキノワグマの出没マップを県ホームページで公表した。本年度は既に62件(6日現在)の目撃情報があり、特に10月は1カ月間で27件と急増した。人身被害は出ていないものの、従来はツキノワグマの生息が確認されていなかった伊豆半島や富士市の住宅地付近でも目撃されているため、県は警戒を呼びかけている。 県自然保護課によると、県内では南アルプスや富士山周辺の山間部にツキノワグマが生息している。一時期は減少したが、現在は回復傾向にあり、植林した樹木の皮を剝ぐなど林業に被害を与えているという。 目撃件数は例年20~40件で推移していた
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官民連携で巴川治水対策 雨水貯留施設、計画の8割整備 公共用地確保に課題
静岡県静岡土木事務所は26日、巴川の流域治水対策の一環で、静岡市清水区の県営吉川団地で整備を進めている雨水貯留施設の工事現場を報道公開した。1974年7月の七夕豪雨を教訓に、官民連携で整備する雨水貯留施設の容量は計画目標値の約8割に達する一方で、県施設の整備率は42%にとどまる。2022年の台風15号災害など近年、激甚・頻発化する豪雨に対応できず、巴川流域で大規模な冠水が発生している。県は国の協力を得ながら整備を加速させたいとしている。 雨水貯留施設は、大雨時に一時的に雨水をため、河川水量を減らして下流域の負担を軽減する。巴川流域では80年代に整備が始まり、既に学校や公園、民間施設など約
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静岡・杉尾の不適切盛り土 静岡県、業者の計画を不承認 撤去代執行へ
静岡市葵区杉尾の砂防指定地内で違法に盛り土を造成した残土処分会社「富田建材」(同市葵区、富田生一社長)が県に提出した原状回復の計画書について、静岡県は19日、同社の計画内容が応急的な対応に過ぎないため不承認とし、行政代執行で盛り土を撤去する手続きを進めると発表した。県は11月中旬に工事を始める方向で調整している。 杉尾地区の盛り土量は約5・1万立方メートル。県は9月、県砂防指定地管理条例に基づく原状回復命令に従わない同社に対し、行政代執行の事前手続きとなる「戒告書」を交付し、現地の原状回復に向けた計画書を提出するよう求めていた。 県河川砂防管理課によると、同社は提出期限の今月16日に計画
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教員採用合格者5年連続減 静岡県教委、受験者確保対策を検討
静岡県教委が公表した2023年度の公立学校教員採用選考試験の結果によると、最終合格者は522人で、前年度より18人減少した。倍率は3・7倍で、前年度から0・3ポイント下がった。志願者、受験者とも右肩下がりの中、県教委は教員のなり手を一人でも多く確保しようと、試験を受けやすい環境の整備を検討している。 県教委によると、23年度の受験者数は1940人で前年度比211人減。最終合格者の内訳は小学校203人(倍率2・5倍)、中学校108人(4・9倍)、高校102人(5・5倍)、特別支援学校小学部49人(1・6倍)、同中学部47人(2・5倍)など。 多様な人材を教育現場に取り入れることを目的とした
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衆院静岡1区に高橋氏、7区に日吉氏擁立へ 立憲民主党県連
立憲民主党静岡県連は9日、静岡市葵区で常任幹事会を開き、次期衆院選の静岡1区に元衆院議員の高橋美穂氏(58)=静岡市葵区=を、静岡7区に元衆院議員の日吉雄太氏(55)=浜松市浜北区=を擁立する方針を固め、各選挙区の総支部長とするよう党本部に上申することを決めた。党本部は10日の常任幹事会で、両氏の公認内定を正式に公表した。 県連の常任幹事会は非公開で行われ、両氏はこれまでの活動や国政挑戦への決意などを県連幹部に述べた。終了後の記者会見で、県連代表の源馬謙太郎衆院議員(静岡8区)は「2人とも大変熱意がある。さまざまな意見が出たが、最終的に全会一致で決まった」と述べた。その上で、国民民主党が県
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静岡県議資産平均3264万円 4月末現在、19年比116万円減
静岡県議会は10日、議員資産公開条例に基づき、4月の県議選で当選した県議68人の4月30日現在の資産を公開した。本人名義の土地・建物の総額、当座、普通預貯金を除く預貯金、株式以外の有価証券の額面、貸付金を合わせた資産総額は、1人当たり平均3264万円だった。 土地・建物の課税標準額が変動したことや県議の顔触れが変わったことから、単純比較はできないが、1人当たりの平均資産は2019年の前回公開時を116万円下回った。 資産総額が最も大きかったのは自民改革会議の杉山盛雄氏(沼津市)の2億8635万円。杉山氏を含め、資産総額1億円以上の県議は7人だった。報告すべき資産がゼロだったのは8人。
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大林GM、川勝知事訪問 国体とVリーグに意気込み 女子バレー「ブレス浜松」
浜松市を拠点にするバレーボールVリーグ女子2部ブレス浜松のゼネラルマネジャー(GM)を務める大林素子さんらが5日、静岡県庁に川勝平太知事を訪ね、7日に開幕が迫った鹿児島国体と28日に始まる今季Vリーグへの意気込みを語った。 5月にGMに就任し、チームや選手の意識改革に取り組んでいるという大林さんは「浜松から世界へ羽ばたくチームをつくっていきたい」と述べ、来年新設される国内リーグ最高カテゴリー「SVリーグ」参入を目指して「選手を後押ししたい」と話した。国体については、昨年の大会で敗れた石川県代表との再戦に向けて健闘を誓った。 静岡県のスポーツに関し、「これまで客観的に見てきたが、静岡県は選
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土木担い手不足 打破遠く 業界、イメージアップに懸命
全国で土木の担い手不足が叫ばれて久しい。静岡県も県建設業協会が2022年に実施したアンケートによると、回答した140社の従業員数は計4378人で、21年の調査(135社回答)に比べ2割以上減少した。県や建設業界は若者に土木の魅力を知ってもらおうと工事現場や最先端技術の見学会などを開いているが、現状打破の兆しが見えない。専門家は「官民が一昔前の業界のイメージを払拭することに重点を置きすぎている」と指摘し、若者へのアプローチの在り方を見直すべきだと提言する。 専門家 「社会貢献意識に訴求を」 同協会のアンケートでは、22年に新卒採用を実施したと答えた39社の採用数は計130人(求人充足率43%
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「給料上がる政治を」 国民・玉木代表、静岡市で講演
国民民主党の玉木雄一郎代表は29日、静岡市葵区で開かれた党幹事長の榛葉賀津也参院議員(静岡選挙区)の政治セミナーで講演し、「給料が上がる経済を実現させる。与野党を超えて未来をつくる」と強調した。来週にも党の経済対策を岸田文雄首相に提示するとし、「もし解散総選挙になったら、それを(国民に)問う」と述べた。 玉木代表は終了後の取材に、岸田首相が臨時国会を10月20日に招集する方針を与党に伝え、経済対策の財源を裏付ける補正予算案を提出する意向を示したことについて、「補正予算の成立までに場合によっては12月までかかる。年内解散は日程的にかなりタイトになったのでは」と語った。一方で、「いつ何が起こる
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建設発生残土 利活用促進へ 静岡県のマッチングシステムに新機能
静岡県はこのほど、建設発生残土の利用促進に向けて運用しているマッチングシステムに新たな機能を追加した。利用者が発生土の状況を確認できるよう画像や動画を掲載できるようにしたほか、「土が出る工事」と「土が必要な工事」のマッチングの可能性がある工事情報を利用者にメールで自動的に知らせる機能などを追加した。県は建設発生土の有効利用率を高め、不適切な盛り土造成などを防ぎたいとしている。 システムは県が独自に開発し、2022年10月に運用を開始した。スマートフォンやタブレット端末などで専用サイトにアクセスすると、土砂が発生する現場と受け入れを希望する現場の一覧表や地図が表示される。今月5日現在の利用
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障害者差別直結の相談増加51件 静岡県内22年度、合理的配慮 事業者側も悩み
静岡県がこのほど発表した2022年度の障害者差別解消相談窓口の相談状況によると、県や市町、県の専門窓口である県社会福祉士会が対応した141件(前年度比19件増)の相談のうち、障害者差別に直結する相談は51件(同14件増)に上った。 県障害者政策課によると、窓口への相談件数は過去5年間減少が続いていたが、22年4月に静岡市が相談窓口を追加設置したことで、悩みの受け皿が広がり、増加に転じた。 障害者差別に直結する51件の相談うち、障害を理由としてサービスの提供や入店などを拒否する「不当な差別的取り扱い」に該当したのは22件あった。行政機関が精神障害を理由に会議の傍聴を認めない趣旨の規定を設け
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静岡県「水循環」計画で保全部会 8圏域ごと策定了承
静岡県環境審議会の水循環保全部会(部会長・蔵治光一郎東京大大学院教授)が29日、県庁で開かれ、県から諮問を受けている「流域水循環計画」策定に向けた基本的な考え方について審議した。同部会は、河川水系や利水状況、各地の課題などに応じて県内を8圏域に分割し、圏域ごとに策定する県の案を了承した。 同計画は県水循環保全条例に基づき、異常気象や開発行為による水環境の変化への対応や、県民の不安払拭を目的に策定する。 計画の枠組みとなる圏域は、砂防、水産資源の保護なども踏まえ、伊豆海岸、狩野川、富士川、安倍川、大井川・菊川、太田川、天竜川、浜名湖の8圏域とすることで一致した。 圏域の計画策定順について
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古屋旅館(熱海市)内田宗一郎社長 現場の課題、DXで解消【キーパーソン】
創業200年余の老舗旅館の17代目。現場の課題を解決するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に導入し、従業員の負担軽減などで効果を発揮している。 -どのような業務にDXを導入しているか。 「お客さまの食物アレルギーの有無や細かな要望事項などは、宿泊予約サイトから自動的に自社の顧客管理システムに反映されないため、社員が一つ一つ確認し、手作業で入力していた。接客や電話対応などと並行して行うため、大きな労力を割いていた。これを遠隔で入力できる仕組みを地元業者と開発し、外部委託したことで現場に余裕が生まれ、サービス向上につながった。月間労働時間も約120時間削減できた」 -人
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省エネ設備補助追加へ 静岡県、9月補正 中小企業に8億円
静岡県内の中小企業の脱炭素化経費を助成する県の中小企業等省エネ設備導入促進事業について、2023年度当初予算編成時の想定を超える申請が寄せられ、県は9月補正予算案に8億円を追加する方針を固めた。同事業初年度の22年度は申請件数が伸び悩んだが、23年度に新設した「特別枠」に対する申請が予想を上回り、早々に当初予算額に達していた。 同事業は、県内外にある事業所全体の年間エネルギー使用量が原油換算で1500キロリットルに満たない法人や事業主を対象にしている。対象企業が二酸化炭素(CO2)排出量を5%以上削減できる空調、給湯、照明などを導入する場合、設置経費の3分の1以内(上限200万円、下限2
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伊豆の廃棄物土砂問題 代執行関連費 静岡県が予算計上へ
伊豆市大平柿木の宗教法人「平和寺本山」の敷地内に投棄された廃棄物混じりの土砂が市有地や柿木川に流出した問題で、静岡県は24日までに、流出した土砂の撤去などを行う行政代執行の調査設計費を2023年度9月補正予算案に盛り込む方針を固めた。24年度までの2年間で限度額3千万円の債務負担行為を設定する考え。 県は、現地の地下水位などを調べた上で、土砂撤去の工法を設計する。調査の結果、地下水位や水脈の経路を見定め、土砂の全量撤去や砂防ダム設置など複数の工法から実施方法を選択するとみられる。 県は21年9月、廃棄物処理法に基づき、同法人などに敷地外へ流れ出た廃棄物の全量撤去と、敷地内の廃棄物の流出防
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静岡人インタビュー「この人」 熱海特産ダイダイの魅力発信に努める 高木康行さん(伊東市)
熱海市特産のダイダイの価値と、活用の機運を高める「熱海だいだい和菓子プロジェクト」を7月に始動した。若手社員と商品開発や普及活動を行い、販路拡大も目指す。伊東市出身。 -始めたきっかけは。 「これまでもニューサマーオレンジなど伊豆地域のかんきつ類を使った和菓子の製造販売に取り組んできた。ダイダイの活用にも挑戦してきたが、独特の苦みや渋みに阻まれていた。そんな中、2年前に熱海市の生産者、岡野谷伸一郎さんと出会い、ダイダイの魅力を広めたいという熱意に共感し、商品開発に改めて挑もうと決意した」 -ダイダイの魅力とは。 「日本では正月飾りでの使用が中心で、あまり食用に使われてこなかった。しか
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犠牲者慰霊と地域再生に願い込め 熱海市伊豆山で4年ぶり花火大会 土石流災害から2年1カ月
28人が犠牲になった熱海市伊豆山の土石流災害の発生から2年1カ月となった3日、伊豆山温泉観光協会は伊豆山温泉納涼海上花火大会を4年ぶりに開いた。夜空を彩るスターマインなどに先立ち、犠牲者28人に向けた慰霊献発花火が伊豆山港から打ち上げられ、住民や見物客は悲劇を改めて胸に刻みつつ、一日も早い地域の再生を願った。 土石流からの復旧復興が道半ばで、今も避難生活を続けている住民がいる伊豆山。被災者でもある同協会の高橋幸雄会長(68)は「犠牲者の慰霊と、一歩ずつ前に進もうとしている地域の姿を発信したい」と花火に込めた思いを語った。 青色の光を放つ28発の慰霊献発花火が上がると、住民らは夜空をじっと
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静岡人インタビュー「この人」 伊豆山温泉旅館組合の組合長を務める 山田洋一さん(千葉県)
8軒の宿が加盟する組合のトップとして、土石流災害からの復興に向けて伊豆山の魅力の発信に力を入れる。ホテル水葉亭を運営する大江戸温泉物語運営本部第3運営部長。49歳。 -伊豆山の魅力は。 「海と山の絶景や走り湯をはじめとした温泉資源。さらに平安時代から続く歴史は、熱海市中心街とは違った魅力がある。狭いエリアではあるが、大手企業が運営する宿泊施設が多く、新たなホテルの建設も進んでいる。それぞれに個性があり、お客さまの選択肢は広いと思う」 -地域の現状は。 「土石流の発生から2年以上がたったが、まだまだ厳しい状況が続いている。ただ、9月1日に警戒区域が解除される予定になり、長いトンネルの先
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特産ダイダイを園児が和菓子に 熱海 「甘くておいしい」
熱海特産のダイダイの価値向上に取り組んでいる和菓子製造販売の石舟庵(伊東市、高木康行社長)はこのほど、熱海市の富士保育園でダイダイを使った和菓子作り教室を開いた。年長、年中園児計18人が参加し、地元の宝であるダイダイのおいしさを堪能した。 高木社長をはじめ同社の「熱海だいだい和菓子プロジェクト」のメンバー5人と、熱海市のダイダイ生産者、岡野谷伸一郎さんが講師を務めた。ダイダイの果汁やピューレを試食した園児は、「酸っぱい」「苦い」などと顔をゆがめた。 その後、同社が用意したピューレを練り込んだあんとだいだい色の生地で上生菓子作りに挑戦。器用にあんを生地で包み込み、ミカン形をした菓子を作り上げた
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花火、音楽ライブ、だいだいサワー、グルメ 熱海の夏 遊び全開 イベント初日盛況
熱海市渚町の親水公園レインボーデッキで28日、飲食や音楽ライブとともに花火大会が楽しめるイベント「熱海であそぼ!花火であそぼ!」(実行委主催)が始まった。熱海海上花火大会やお盆期間に合わせて、8月25日までに計8回開催する。 同市の飲食業界3団体や地元商店が出店し、熱海産ダイダイを使った「あたみだいだいサワー」をはじめとした各種ドリンク、フードメニューを提供する。 初日は開幕直後から多くの観光客が訪れ、アイドルグループのステージなどを満喫した。熱海海上花火大会がある8月5、8、18、22、25の各日は午後3時から9時まで。お盆期間中の8月11、12の両日は午後8時まで。 (熱海支局・豊竹喬)
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熱海土石流の遺族、市長と直接面談 被災復興の進め方で意見交換
熱海市の斉藤栄市長は24日、同市伊豆山で2021年7月に発生した土石流の犠牲になった太田和子さん=当時(80)=の長男、朋晃さん(57)が避難生活を送る市内のアパートを訪ね、被災地の復興の進め方などについて説明した。 面談は、朋晃さんを含む遺族被災者6世帯12人が6月下旬、復興計画の見直しや斉藤市長との直接対話などを求める要望書を提出して実現した。 面談は冒頭を除き報道陣に非公開で行われた。斉藤市長は和子さんの仏前で焼香し、住民の生命財産を守れなかったことを改めて陳謝した。その上で、住民や被災者の声を広く聴き、必要に応じて復興計画を修正すると約束した。 市が6月に開いた住民説明会では、
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参加者「議論ぼんやり」 土石流被災地の公園緑地整備 熱海市WS
熱海市は23日、同市伊豆山の土石流被災地に整備する公園緑地に関する2回目のワークショップ(WS)を市役所で開いた。住民や被災者計10人が参加し、公共空間の効果的な活用方法について意見を交わした。 市は公共空間の整備地点として、逢初(あいぞめ)川上流部に1カ所、中流部に2カ所を想定している。ただ、土地所有者と協議中のため、具体的な場所は明示していない。このため、参加した50代女性は「場所が分からないとイメージできないし、議論もぼんやりする」と指摘した。別の50代女性は「特定の機能や施設を設けると用途が狭まるのでは」と話した。 市によると、犠牲者を慰霊する場所として整備を求める声があるという
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御神船 4年ぶり引き回し 熱海・阿治古神社例大祭 かけ声 威勢良く
熱海市網代地区で20日、阿治古神社例大祭の本祭が執り行われ、御神船「両宮丸」の引き回しが4年ぶりに行われた。威勢の良い男衆のかけ声が漁師町に響き渡り、沿道の住民に元気をふりまいた。 地元の男衆とともに熱海高生、中央大の学生ら計約60人が「ヤー、ヤー」とかけ声を出しながら、全長11メートル、重量5トンの船を引いた。狭い曲がり角はてこを使いながら巧みに方向転換し、国道135号ではスピードアップして地域を駆け抜けた。 同神社の例大祭は400年の歴史があるとされる。両宮丸は豊臣秀吉の小田原城攻めに網代の漁師が参加した際、秀吉から使用が許されたという「流れ瓢箪(ひょうたん)」模様の布をまくのが習わしと
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熱海の宝ダイダイ 世界に 石舟庵(伊東)が和菓子プロジェクト
熱海市特産のダイダイの価値を高めようと、和菓子製造販売「石舟庵」(伊東市、高木康行社長)が「熱海だいだい和菓子プロジェクト」を始動した。香り豊かな果実を活用した商品開発などを通じ、「日本の食文化の宝」として海外市場に売り込んでいきたいと意気込む。 伊豆名産のニューサマーオレンジを使った菓子などを手がけてきた同社。ダイダイを使った菓子も10年ほど前から開発に取り組んできたが、菓子に余分な苦みや渋みに阻まれ、商品化には至らなかった。 そんな中、高木社長は2年前に熱海市のダイダイ生産者、岡野谷伸一郎さんと出会い、その魅力発信にかけた熱意に触れて商品開発に再挑戦することを決意した。20代の若手
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母に憧れ熱海芸妓に 「早くお客さまの前で舞いたい」 6年ぶり新人 百々華さん
観光地熱海を彩る芸妓(げいぎ)に、新たな若者が仲間入りした。地元育ちの百々華さん(18)。母親で芸妓の愛華さんに憧れて今年6月、伝統文化の世界に飛び込んだ。約70人の芸妓が所属する熱海芸妓置屋連合組合によると、新人の加入は6年ぶり。百々華さんは宴席や舞台で踊りを披露できる日を夢見て、厳しい稽古に励んでいる。 百々華さんは市内の小中学校を卒業後、美容専門学校に進学。しかし幼い頃から見てきた愛華さんや他の芸妓衆のように自分も美しく舞いたいと、学校をやめて花柳界に入った。日本舞踊の経験はなく、現在は月5回稽古を積みながら、先輩の稽古を見学して勉強を重ねている。 客前で踊りを披露するには春秋に
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浜降り神事 男衆力強く 熱海・来宮神社例大祭
熱海市の来宮神社例大祭は最終日の16日、神々が鎮座する御鳳輦(ごほうれん)を42歳の厄年の男衆が担いで海に入る浜降り神事を行った。男衆は大勢の観光客が見守る中、威勢のいいかけ声を上げながら地域の繁栄を祈願した。 てんぐの姿をした猿田彦を先頭に、白装束の男衆がみこしを担いで市街地を練り歩いた。熱海サンビーチに到着すると、地元住民や海水浴客らが拍手で迎えた。男衆は「みょうねん、みょうねん」と力強く唱えながら海の中を進んだ。 浜降り神事は新型コロナウイルス禍のさなかも続いて行われたが、今年は行動制限がない上に3連休と重なったこともあって、例年にない盛り上がりを見せた。同神社の厄年奉賛会「結繋酉
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熱海伊豆山の止まり木に 老舗の鮮魚店「魚久」新装オープン 復興へ奮闘
熱海市伊豆山で63年間、住民の生活を支えている鮮魚店「魚久」が14日、新装開店した。土石流災害からの復旧復興を目指す地域を活気づけたいと話す2代目店主の高橋照幸さん(67)は「住民はもちろん、伊豆山を離れている被災者の皆さんがほっとできる『止まり木』のような店にしていきたい」と話している。 伊豆山神社の近くに立つ同店。周辺はかつて、青果店や酒屋、飲食店などが並んでいたが、少子高齢化が年々進み活気を失っていた。さらに2年前の土石流災害で住民が離ればなれになり、地域コミュニティーの弱体化が加速した。 こうした中、同店は地域の役に立つサービスを提供するため、高橋さんの息子で3代目の一平さん(
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ニューアカオ営業再開 熱海のランドマーク コロナ禍、業績悪化経て復活
2021年11月に惜しまれながら営業を終了した熱海市の「ホテルニューアカオ」が今月から営業を再開し、12日、新たな船出を祝う記念式典が行われた。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた観光地の再生を後押しする「熱海のランドマーク」の復活を多くの関係者が祝った。 ホテルは1973年に開業。景勝地、錦ケ浦からの絶景を売りに団体旅行が盛んだった昭和から平成にかけて人気を誇った。だが、コロナ禍に伴う業績悪化や施設の老朽化で、約50年の歴史に幕を下ろした。ホテルは2022年12月、米投資ファンドに売却され、全国でホテル再生を手がけるマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都)に運営が引き継がれた。 営業
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熱海の海水浴場 楽しんで 一斉海開き 安全も祈願
熱海市の熱海サンビーチ、長浜、網代温泉の3海水浴場が8日、一斉に海開きした。開設期間は8月27日までの51日間。新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行してから初の海水浴シーズンを迎え、関係者は海水浴場の安全と盛況を願った。 熱海サンビーチでは市観光協会の安全祈願祭を行い、約50人が神事に参列した。同ビーチでは昨年まで、コロナ対策の一環で人工知能(AI)搭載カメラで混雑状況をチェックしていたが、今年はコロナ禍以前の態勢で行楽客を迎える。 中島幹雄会長はコロナ禍や土石流災害などに見舞われた過去3年間を振り返り、「これまで多くの皆さんが我慢してきた。今年は準備万端整えてお迎えできる。多くのお
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熱海市水道料金 段階的上げ答申へ 市行財政審
熱海市行財政審議会(石井倭雄会長)は6日、市役所で会合を開き、2024年度から水道料金を平均17%値上げする市の諮問案について審議し、市民生活への影響を軽減するため段階的に値上げするよう答申することで一致した。19日に斉藤栄市長に答申する。 審議会では当初から、水道事業を維持する上で値上げに対し一定の理解を示しつつも、物価高騰などを勘案して段階的な値上げを求める声が多かった。 これを受け、市は現行料金に対し、24年度に10%、25年度に15%、26年度に20%値上げする案を提示。試算によると、3年間の値上げ額は1人世帯で総額6768円、3人世帯で同1万4148円になる。料金収入は1億60
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熱海市、水道料金値上げ案 中長期見据えた説明を【東部 記者コラム 湧水】
熱海市は2024年度、水道料金を平均17%値上げする案を市行財政審議会に諮問している。委員からは、人口減などで事業収入が減り続ける中で施設の維持、更新に必要な財源を確保しなければならない事情に理解を示しつつ、市民生活への影響を懸念する声が相次ぐ。水道を取り巻く環境はこの先も厳しく、市は数年先も値上げの必要があるとみる。市民に理解を得るには、中長期を見通した議論と丁寧な情報提供が不可欠だ。 人口減少などの影響で、同市の有収水量はピーク時の1990年度に比べ、2021年度時点で約48%減少した。一方で、高度経済成長期に敷設した管路などの更新費は上昇し続けている。 市は水道事業の支出の大半を占
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熱海土石流発生から2年 124世帯避難続く 帰還後に不安も
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日で発生から2年。いまだ124世帯217人が避難生活を強いられている。市は原則立ち入り禁止としている警戒区域を9月1日に解除する予定で、今月から住宅修繕のための工事業者の立ち入りが可能になった。ただ、9月までにライフラインの復旧箇所は限られ、生活道路の整備もこれから。先が見通せない現状に、被災者からは不安の声が漏れる。 警戒区域への一時立ち入りはこれまで、市が毎月設定する平日の1日と、月命日、第1、3日曜にのみ認められていた。発生から丸2年の前日となった2日、区域内では工事関係者と水道を点検したり、自宅の空気を入れ替えたりする被災者の姿が見られた。 逢初(あ
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行政の検証逃れ 県庁守って人災防げず【再生 道半ば 熱海土石流2年㊦】
ちょうど1年前、熱海市の伊豆山小で行われた土石流災害の追悼式。28人の犠牲者の名前が読み上げられた後、川勝平太知事は参列した遺族を前に意気揚々と誓った。 「いたましい災害が二度と起こらないように、県を挙げて命を守る安全な地域づくりを推進していく」 ところが、トップの発言と裏腹に県の組織で、再発防止に必要な行政対応検証を避ける「検証逃れ」が繰り返されていたことがこの1年に明らかになった。 業者の悪質な開発行為に厳しい規制が可能な砂防法を適用しなかったことに関しては、行政対応検証委員会(第三者委員会)に関連情報が提供されず、ほとんど検証されなかったことが発覚。批判を受けた県は昨年7月末、「
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削り節と世代間交流 楽しんで 熱海「ブシメシ」3日オープン 網代の魅力発信へ
熱海市網代の削り節製造業「丸藤」は3日、同社1階に主力商品のかつお節をはじめ地場の鮮魚を味わえる店舗「BUSHI MESHI(ブシメシ)」を開業する。素材の味を生かしたメニューを通じて、地域の魚文化と和食の魅力を発信する。 同社は1926年創業の老舗。人口減少と高齢化が著しい網代地区の活性化に寄与しようと、削り節製造と並行して住民向けの鮮魚店も営業している。ブシメシは住民に削り節のおいしさを感じてもらいつつ、世代間交流が楽しめる場をつくろうと開設した。店で使う食器を住民から募るなど、準備段階から地域を巻き込んできた。 看板メニューは、削りたてのかつお節をたっぷりと白飯に乗せた「ほやほや削
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走り湯の源泉「午の湯」 2年越しの湯煙 「復興の糧に」
2021年7月に発生した熱海市伊豆山の大規模土石流で被災した日本三大古泉の一つ「走り湯」の源泉「午(うま)の湯」の復旧工事が完了し、30日、湯をくみ上げる「通湯式」が行われた。地域の観光と経済を支える重要な資源の復活を関係者が祝った。伊豆山走湯温泉組合によると、早ければ8月中に地域の旅館などに湯が供給される見通し。 走り湯には2本の源泉がある。このうち横穴式源泉の「戌(いぬ)の湯」は辛うじて土石流の被災を免れたが、午の湯は機械設備を含め全て埋まった。十分な湯量が確保できないため、温泉を利用する旅館などは互いに大浴場の営業時間をずらすなど協力しながら苦境を乗り切ってきた。 復旧工事は昨年8
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熱海市長、市道計画「修正あり得る」 熱海土石流被災者らと対話意向
熱海市伊豆山の土石流災害に関する復旧復興事業で、斉藤栄市長は29日の定例記者会見で、用地買収を伴う市道整備について「まずは計画をしっかり理解してもらうことが大事」としつつ、被災者や住民の意見を反映して計画を修正する可能性があると述べた。 復旧復興事業は、逢初(あいぞめ)川の拡幅と河川両岸への市道整備が柱になっている。県と市は2024年度中の完成を目指しているが、用地買収率は3割にとどまっている。 一部の被災者からは「行政主導の計画であり、地域の声が反映されていない」「道路や河川の規模が必要以上」などと不満の声が聞かれる。斉藤市長は「今の計画を1ミリも動かさないとは考えていない。市道に関
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熱海土石流 汚染土砂、年内搬出目指す 静岡県が作業公開 行政代執行費用11億円見込む
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近に残った不安定土砂を撤去する静岡県の行政代執行で、県は28日、起点から撤去し熱海港芝生広場に仮置きしている汚染土砂を千葉県市川市の処理施設に船で運び出す作業を報道陣に公開した。県は年内をめどに搬出作業を完了させたいとしている。 県盛土対策課によると、起点から撤去する不安定土砂は約2万立方メートル。現場の土砂からは土壌汚染の基準を上回るフッ素や鉛が検出されたため、飛散しないよう大型土のうに入れて仮置きしている。処理施設への搬出は今月15日に始まった。28日までに約1万9千立方メートルの汚染土砂を同広場に運び込んだ。この他に、汚染されていない土砂の撤去も行っ
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二十歳の集い「盛り上げを」 熱海市運営スタッフ初会合
熱海市は24日、来年1月に開催する「二十歳の集い」に向けた運営スタッフの初会合を市中央公民館で開いた。メンバーは人生の節目となる式典に向けて互いに知恵を出し合っていくことを確認した。 運営スタッフは、本年度二十歳になる市内3中学校(熱海、多賀、泉)出身者11人で構成する。会合では、昨年の式典の動画や出席者に配布する記念品を見てイメージを膨らませた。今後、毎月1回の会合を重ねて、記念冊子の作製を進めたり、式典の構成を決めたりしていく。 運営スタッフの代表に選ばれた多賀中出身の沼津高専5年生、白橋カイアさんは「姉もスタッフを務めて楽しそうだったので、自分もやりたいと思っていた。人生に一度の大切な
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ラーメンで復興支援 飲食店、熱海土石流被災の製麺所とコラボ まもなく発生2年 風化防げ
熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から7月3日で2年を迎えるのを前に、同市中央町の飲食店「アンドバルファクトリー」が、土石流で被災した同市の老舗「コマツ屋製麺」とのコラボメニュー「熱海復興夜鳴きラーメン」の販売を始めた。市内でも進みつつある災害の風化を食い止め、少しでも被災者の力になりたいとの思いを込めている。売り上げの一部は伊豆山の復興支援団体に寄付する。 土石流が発生した2021年7月、開業に向けて準備していた同店。当時、市内のさまざまな飲食店が被災者や災害ボランティアなどに食事を提供する支援活動をしていた。三浦渉代表(39)は「自分も何かやりたいと思っていたが、できなかったことが心残り
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熱海土石流 被災地公園緑地WS始まる「住民意見 復興に反映を」 安心安全な交流の場/災害忘れぬ施設
熱海市は25日、同市伊豆山の土石流被災地に整備する公園緑地に関するワークショップ(WS)を市役所で開いた。被災者や地域住民計14人が参加し、安全安心を確保しつつ地域コミュニティーの再生に資する空間の創出に向けて意見を出し合った。 市復興まちづくり計画では、今年9月までに計画、設計を作成する予定になっている。WSは8月までに計3回開催する。市は10月以降、用地測量や買収を進め、2024年冒頭に工事着手し、25年度中におおむねの完成を目指している。 市は逢初(あいぞめ)川上流部と中流部の上部、下部の計3カ所に公共スペースを整備する方針。初回のWSでは「昔ながらの原風景の再建」「災害を忘れな
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二転三転、被災者困惑 熱海土石流被災地 宅地復旧工事費90%補助 市、補正予算案から削除
熱海市は23日夜、同市伊豆山の復旧復興事業に関する住民説明会を市役所で開いた。被災者自身が行う宅地復旧を巡り、方針が二転三転し、説明も不十分なまま事業を進めようとした市の姿勢に、被災者からは怒りや困惑の声が相次いだ。 宅地復旧に対する補助金制度について、斉藤栄市長は同日の市議会で補正予算案の補助金に関する部分をいったん取り下げたことを報告し「しっかりとした過程を踏まず、説明の順番が前後してしまった。申し訳なかった」と謝罪した。 市によると、当初の買収・分譲方式は現地で住宅を建て直すことを希望する10世帯が対象だった。市は124の被災世帯への個別面談後に、その10世帯に方式の見直しについて
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熱海市営温泉19%値上げ 24年度から 市議会6月定例会
熱海市は23日の市議会6月定例会観光建設公営企業委員会で、市営温泉料金を2024年度から19%値上げする方針を示した。人口減少に対応しつつ施設更新費確保のための措置。市は9月定例会に関連議案の提出を予定している。 市によると、市営温泉の受給者や宿泊客数の減少により、有収湯量がピーク時の2007年度に比べ、21年度は37%減少した。市は08年度に18%、12年度に12%値上げし、料金収入は一時4億6千万円まで増えた。しかし新型コロナウイルス禍の影響で、21年度は3億8千万円に減少した。 市は料金徴収業務の外部委託などで人件費を削減するなどしてきたが、現行料金を続けると、24年度から4年間で
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熱海・逢初川両岸の市道整備 用地買収3割が契約 熱海市が発表
熱海市伊豆山の土石流災害に関する復旧復興事業で、市は21日、被災地を流れる逢初(あいぞめ)川の両岸に整備する市道の用地買収について、対象者の3割が買収契約を結んだことを明らかにした。道路整備で生じる残地について、程谷浩成観光建設部長は「公共用地としての活用を検討し、できる限り買収する」と述べた。市議会6月定例会で、越村修氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。 市は逢初川の拡幅と両岸の市道整備を2024年度末までに完成させたいとしている。市によると、今年3月に最初の土地売買契約が成立した。ただ、被災者の中には用地買収に難色を示す人や、家が再建できないほどの狭い土地が残るため市に買収を求める声も
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熱海市伊豆山・残存盛り土 最終処分場への搬出開始 県代執行
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近に不安定な状態で残っている盛り土を撤去する静岡県の行政代執行で、県は15日、起点から撤去し熱海港芝生広場に仮置きしていた土砂を千葉県内の最終処分場に搬出する作業を開始した。 熱海港に横付けされた船に、大型土のうに詰められた大量の土砂がクレーンで次々に運び込まれた。県盛土対策課によると、起点から撤去する不安定土砂約1万9千立方メートルのうち、同日までに約1万8千立方メートルを撤去し、同広場に運んだという。 起点の土砂からは土壌汚染の基準を上回るフッ素や鉛が検出されているため、飛散を防ぐため大型土のうに詰め、シートをかぶせて仮置きしている。 県は6月末ま
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小中生ボクサーが切磋琢磨 静岡県内外から35人、熱海で合宿
静岡県内外でボクシングの腕を磨く小中学生が10日、熱海市立桃山小で合宿を開始した。初めて顔を合わせる参加者同士が、それぞれの目標に向かってともに汗を流した。11日まで。 熱海市をはじめ、浜松市、岐阜県、愛知県、神奈川県のボクシングジム7団体から35人が参加し、桃山小周辺の急坂で走り込みをした後、体育館でスパーリングなどをこなした。 熱海市伊豆山のボクシングスクール「FIST」に通う伊東市立門野中2年の山下瞬さん(13)は「他のジムの強い選手と練習できるのが楽しみ。左利きの相手と戦う時の対策を学びたい。目標は全国大会で勝つこと」と話し、仲間と拳を交えた。 合宿は岐阜県の「岐阜薮田ボクシン
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熱海認定品気軽に通販 JRサイト「伊湘箱」へ出品 「エープラス」認知度強化
JR熱海駅ビル「ラスカ熱海」を運営する湘南ステーションビルは5日、JR東日本の通販サイト「JREモール」内に出店している「伊湘箱(いしょうばこ)バイ・ラスカ」で、熱海ブランド「エープラス」認定商品の販売を開始した。同社は、駅ビル内のアンテナショップと連携して販路拡大や地域経済の活性化につなげたいとしている。 エープラスは熱海商工会議所が2012年から事業展開していて、5日現在、49事業所の92品が認定されている。伊湘箱ではこのうち13事業所の38品を販売している。認定品以外を含めると計59品を取り扱う。 エープラスの認定事業者はこれまで、店舗営業と並行して独自にネット通販を行ってきたが、
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熱海土石流被災者 よみがえる悪夢「震え止まらず」 あの日から1年11カ月
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年11カ月が経過した。県内各地に被害を与えた大雨から一夜。被災者は「あの日の雨と非常に似ていた」「悪夢がよみがえり、震えが止まらなかった」と振り返った。伊豆山の復旧復興に向けて、安全確保を強く求める声も聞かれた。 土石流の発生時刻とされる午前10時半ごろ、被災現場付近に集まった遺族、被災者らは雨の中で犠牲者に黙とうをささげた。2日の大雨で市内は目立った被害がなかったものの、国道135号や伊豆山地区の市道が通行止めになった。 警戒区域内に自宅があり、市内で避難生活を送っている50代の女性は「一昨年のことを思い出して体の震えが止まらなかった。どうし
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ジャカランダ 熱海の街彩る 18日までフェス
熱海市東海岸町のジャカランダ遊歩道で1日、初夏を彩る「ATAMIジャカランダフェスティバル2023」(市観光協会主催)が始まった。涼しげな薄紫色の花が見頃を迎え、市民や観光客を魅了している。18日まで。 ジャカランダは熱帯地域を中心に分布する世界三大花木の一つで、「花が頭に落ちると幸せが訪れる」との言い伝えがある。同遊歩道や国道135号沿い、渚町の親水公園には高木、低木が計100本以上植えられている。 梅雨の晴れ間が広がった1日は、多くの観光客が見物に訪れ、かれんな花を間近で見たり、カメラに収めたりして初夏のひとときを楽しんだ。 期間中は午後6時から10時まで遊歩道をライトアップする。
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「♨温泉あってこその熱海」養生法開発や歴史発信… 団体の20年を冊子に
熱海市の熱海養生法実行委員会(北島鉄修会長)はこのほど、発足5周年を記念し、前身のNPO法人エイミックの20年間にわたる活動をまとめた冊子を発行した。同法人の初代理事長で医学博士の内田実さんが執筆した。温泉を使った養生法の開発や熱海温泉の歴史的魅力を発信してきた内田さんと北島会長は「温泉あってこその熱海」と強調し、まちの財産の有効活用に改めて意欲を示した。 同法人は温泉とまちづくりをテーマに活動を展開した。温泉療法専門医でもある内田さんが中心となって入浴滞在プログラム「熱海養生法」を開発。足湯養生法も考案し、1万人以上の観光客に広めてきた。徳川家康と熱海温泉のつながりもひもとき、JR熱海駅
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ずぶぬれで温泉に感謝 熱海・湯河原で「湯かけまつり」
熱海市泉地区と神奈川県湯河原町にまたがる湯河原温泉街で27日夜、江戸時代の献湯儀式にちなんだ「湯かけまつり」が行われた。みこしを担ぐ男衆に、大勢の住民や観光客が湯を浴びせかけながら、温泉の恵みに感謝した。 新型コロナウイルス禍の影響で4年ぶりの開催。湯河原町立美術館から熱海市の泉公園までの約1キロ区間を男衆がずぶぬれになりながら3基のみこしを担いで練り歩いた。 泉公園ではかがり火の周りに湯が入ったたるや手おけが用意され、みこしを待ち構えていた住民らがみこしを目がけて豪快に湯をまいた。3基のみこしがそろうと熱気は最高潮に。担ぎ手はもちろん、住民や観光客もずぶぬれになって伝統の祭りの復活を喜
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熱海市の22年度宿泊客、249万人 コロナ前8割に回復
熱海市は26日、入湯税に基づく2022年度の市内の宿泊客数が249万1786人(前年度比46・2%増)だったと発表した。新型コロナウイルス禍前の19年度の83%まで回復した。 22年度は新型コロナ感染予防の行動制限がなく、全国旅行支援が展開されたり、海外からの入国制限が緩和されたりしたことなどから観光需要が底上げされた。繁忙期を中心に大勢の観光客が同市を訪れたが、宿泊施設の人手不足により需要に応えきれず、客室の稼働率を抑えざるを得ない状況が続いている。 斉藤栄市長は26日の定例記者会見で、宿泊客数がコロナ禍前の8割まで回復したことについて「熱海市としては厳しい数字。誘客に向けた花火大会の
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熱海の被災宅地復旧工事費90%補助 被災者「説明不足」/市長「不安踏まえた」
熱海市伊豆山の土石流被災地の宅地整備に関し、被災者が復旧工事を行い、市が工事費の90%(上限1千万円)を補助する制度を設けたことについて、斉藤栄市長は26日の定例記者会見で「被災者の不安を踏まえ、より良い方式に変えた。反対の声は聞いていない」との認識を示した。ただ、被災者からは「寝耳に水。もっと丁寧に説明すべきだ」と不満の声が聞かれた。 市はこれまで、避難先から帰還することを前提に被災者の宅地を買収し、一体的な住宅地を整備して分譲する方針だった。しかし被災者から「分譲価格が不透明」「希望する分譲地が他の被災者と重なった場合はどうなるのか」などと不安や疑問が相次いでいた。 市によると、買収
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初島振興、レモンでバズって! 国産発祥PR 熱海高生と富士急グループがアイデア交換
「国産レモン発祥の地・熱海」をPRし、地域活性化に取り組んでいる熱海高の生徒と富士急グループがこのほど、熱海市初島で計画しているレモンを活用した振興策について意見を交わした。同グループは生徒の意見を参考にしながら、今夏までにレモンをイメージしたフォトスポットを設置し、カフェメニューなどを販売したいとしている。 「初島レモン島計画」と銘打ち、富士急行企画部の担当者が作製したフォトスポット案や、初島の複合リゾート施設「PICA初島」の支配人が提示したカフェメニューの案を基に意見を交わした。初島航路を運航する富士急マリンリゾートの担当者が生徒に企画の意図などを説明した。 フォトスポットは、誰
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「天使の歌声」児童に手ほどき 熱海にウィーン少年合唱団指導者
熱海市立第二小の児童有志がオーストリアを拠点に活動しているウィーン少年合唱団「ハイドン組」のカペルマイスター(担当合唱団指導者)、ジミー・チャンさんに合唱の指導を受けた。「天使の歌声」と称される同合唱団の指導法を体験した児童は、美しい歌声を響かせた。 27日に市内で公演する合唱団と地元主催者の双方が交流の機会を設けようと実現した。同校体育館に集まった4~6年生約30人にチャンさんは「声をバスケットボールだと思って、遠くのゴールに入れるイメージで」「ストローでジュースを飲む時のように息を吸って」などと分かりやすい表現で指導した。 真剣な表情で学んだ児童は「ふるさと」を合唱。透き通った歌声
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ヒラメの稚魚1万5000匹放流 熱海沖で地元漁協
熱海市の大熱海漁協(遠藤哲也組合長)はこのほど、同市沖でヒラメの稚魚約1万5千匹を放流した。水産資源の安定供給を目的に25年ほど前から続けている取り組み。 稚魚は県温水利用研究センターでふ化し、同漁協で4月下旬から育ててきた。同市の錦ケ浦沖では、バケツに入った4~6センチの稚魚を漁師が、水深5メートルほどの天敵の少ない砂地に向かって勢いよく放った。順調に育てば半年から1年後に30センチ以上の成魚になるという。 遠藤組合長は「卵を産んで増えていくのが理想。ヒラメの漁獲量が落ち込んでいるので、今後も続けて全体量を増やしていきたい」と話した。
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熱海から静岡へ「被災者と共に」支援のバトン 相談員、経験つなぐ
昨年9月の台風15号の被災者を支援する静岡市地域支え合いセンターが、一昨年の熱海土石流の被災者を見守り続ける熱海市伊豆山ささえ逢いセンターに支援のノウハウや住民の交流施設の運営手法などを学んでいる。災害の性質は異なるが、被災者の生活再建支援や孤立防止など両センターが取り組む課題は重なる。静岡側の「学びたい」思いに、熱海側は「経験を伝えたい」と応える。被災地から被災地へ、支え合いのバトンがつながっている。 支え合いセンターは社会福祉協議会が中心となって被災者の生活相談や心身のケアを行う機関で、各地の被災地で運営されている。熱海市では土石流から3カ月後の2021年10月に設置された。避難生活
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鈴なりの梅 児童ら歓声 熱海梅園で恒例の収穫作業
熱海市は16日、同市の観光名所の一つ、熱海梅園で恒例になっている梅の実の収穫作業を行った。市職員らとともに第一小の2年生26人が参加し、熱海の初夏の風物詩を体験した。 長い竹の棒で職員らが木の枝を揺すると、直径2~3センチの青い実がパラパラと音を立てて落ちた。木の下でブルーシートを広げて待ち構えていた児童は歓声を上げて喜んだ。 同園には60種469本の梅が植栽されている。このうち、冬至梅や白加賀など約3割が実を付ける品種という。市公園緑地課によると、同園では過去2年続けて千キロを超える実を収穫した。今年も昨年並みの豊作が見込まれるという。収穫作業は1週間ほどで終える予定。 収穫した梅は
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温泉の永続祈願 熱海・伊豆山 走り湯神社で例大祭
熱海市の伊豆山温泉の元湯「走り湯」を守る走り湯神社で14日、例大祭が行われた。走り湯温泉組合の関係者ら約20人が参列し、地域の重要な資源である温泉の永続を祈願した。 境内での神事に続き、湯煙が立ちこめる走り湯の洞窟前で「湯くみ式」を行った。原嘉孝宮司が長い柄の付いたひしゃくで湯だまりから高温の湯をくみ上げ、温泉利用施設が持ち寄った木だるに注いだ。 走り湯は日本三大古泉の一つに数えられ、1300年以上の歴史があるとされる。2021年7月の大規模土石流で2本ある源泉のうちの1本が土砂に埋まり、昨年10月から復旧工事が行われている。 組合によると、既に地下約600メートルまでの掘削工事を終え
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“熱海愛”歩いて深めよう 健康増進教室開講 「お宮の松」など名所巡り
熱海市の観光名所や史跡などを市民が巡り、同市への愛着を深めながら健康増進を図る「熱海まち歩き教室」がこのほど、開講した。市の春季市民教室の一環。初回は20~80代の23人が参加し、熱海温泉の歴史を象徴するスポットを回った。 「湯けむりコース」と銘打ち、熱海七湯や大湯間欠泉、お宮の松などを熱海まち歩きガイドの会のメンバーが案内した。参加者の中には移住して間もない人もいて、友人や外国人に紹介しようと熱心にガイドの説明に耳を傾けた。 同教室は7月4日まで計4回開催し、源頼朝とゆかりの深い伊豆山地区を回ったり、初夏の熱海を彩るジャカランダなどの花をめでたりするコースを予定している。市は9~11月
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熱海・伊豆山「警戒区域」 ライフライン復旧工事始まる
熱海市伊豆山の土石流被災地に設けられている立ち入り禁止の「警戒区域」で9日、ライフラインの復旧工事が始まった。市は9月1日に区域解除を予定していて、避難生活を強いられている住民が一日も早く帰還できるよう急ピッチで工事を進める。 区域内の中心を通る市道岸谷本線の約150メートル区間で、土砂が流入した水道とガスの本管を敷設替えする。市は6月下旬までに工事を終える予定で、7月から住宅の修繕工事が行える環境を整える方針。 初日は道路の掘削や損傷した古い管の撤去などが行われた。今後、電気や通信の復旧工事も行い、9月1日までに完了させたいとしている。区域内には46棟が土石流に流されずに残っていて、同
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熱海土石流1年10カ月 警戒区域解除へ 復旧遠く帰還見通せず 被災者嘆き
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年10カ月が経過した。市は被災地の「警戒区域」を9月1日に解除する方針だが、同日時点で避難先から帰還できる住民は一部にとどまる。被災者からは「まだ戻れない人は、いつ帰還できるのか」「ただ待つばかりでは心が折れてしまう」と嘆きの声が聞かれた。 警戒区域付近では3日、発災時刻とされる午前10時半ごろに遺族や被災者が犠牲者に黙とうをささげた。母親を亡くし、自宅が土石流で流された太田朋晃さん(57)は「うちがあった場所は道路と川になる計画だが、自宅の代替地がどうなるのか、先のことが見通せない」と不安を口にした。 市によると、警戒区域内に残っている46棟
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ビールや海の幸、楽しんで 熱海で祭り 7日まで
熱海市渚町の渚親水公園で3日、大型連休恒例の「第10回春のあたみビール祭り」(実行委主催)が始まった。さわやかな青空の下で新鮮な海の幸やビールを味わおうと、大勢の行楽客が繰り出した。7日まで。 3000円でサバやキンメダイなど6種の魚介類が味わえるセットメニューをはじめ、伊勢エビやアワビなどが通常の半額ほどで販売された。海の幸をその場で味わえる浜焼きコーナーは開場前から長蛇の列ができ、瞬く間に満席に。甲府市から家族で訪れた横内宏樹さん(49)は「毎年楽しみにしているイベント。朝早く出てきたかいがあった」と笑顔で話した。 新型コロナウイルス感染対策の行動制限がない大型連休の後半戦初日。繁華
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ツツジ 連休彩る 熱海の公園「花まつり」
熱海市伊豆山の姫の沢公園で7日まで、大型連休恒例の「花まつり」が開かれている。鮮やかに咲き誇るツツジが来園者を楽しませている。 園内には約6万株のツツジが植えられている。今年は比較的気温が高いため、例年より1~2週間ほど開花の進みが早いという。2日は標高の高いエリアで遅咲き種が見頃を迎えていた。来園者は高台を散策しながら、濃いピンク色の花と相模灘の眺望を楽しんだ。園内では西洋シャクナゲも見頃を迎えている。今月末ごろからサツキが開花する見通し。 まつり期間中は、市民などから寄せられた約40本のこいのぼりが飾られている。3~5日は地元音楽グループなどステージイベントが行われるほか、スポーツ広
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甘い香りで魅了 ローズフェスタ開幕 熱海の観光庭園
熱海市の観光庭園「アカオ・フォレスト」で28日、アカオ・ローズフェスタ2023が開幕した。青空の下で早咲きの品種のバラが咲き始め、園内に甘い香りを漂わせている。6月30日まで。 20万坪(約66万平方メートル)の広大な敷地には600種、4千株のバラが植えられている。標高が高く、日当たりの良い「コレクションガーデン」では、トワイライトトリストやロサギガンティアなどの品種が咲き、来園者を楽しませている。担当者によると、今年は気温が高いため開花の進みが早く、5月中旬~6月上旬に見頃を迎える見通し。 期間中はダマスクローズの精油を使用したアロマオイルやソリッドパフュームの製作体験や、音楽大生によ
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伊豆山の水道、ガス 5月工事開始 熱海市、警戒区域内復旧へ
熱海市の斉藤栄市長は25日の定例記者会見で、9月1日に予定している同市伊豆山の警戒区域解除に向けて、区域内のライフライン復旧工事を5月8日に開始することを明らかにした。市は6月下旬までに工事を終え、区域内の住宅修繕工事を7月から実施できるようにする方針。 工事は区域内の中心部を通る市道岸谷本線の150メートル区間で行う。市道の地下に埋設されている上水道と都市ガスの本管の敷設替えを先行実施し、住宅の修繕工事などに支障がでないようにする。市は並行して電柱の設置位置を検討していて、9月1日までに水道などの復旧が見込まれるエリアの電気や電話も復旧させたいとしている。 市が土石流被災地に設定してい
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「参加型民主主義」 参政党代表が強調 熱海で演説
参政党の松田学代表は19日、統一地方選後半戦(23日投開票)の候補者応援のため、熱海市のJR熱海駅前で街頭演説した。 松田代表は、統一地方選に約250人の公認候補を擁立したとし、「地域から声を上げて、本当の日本を取り戻したい」と述べた。国民に新たな政治の選択肢を示すことで「参加型民主主義を確立したい」とも強調した。
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「あいぞめ珈琲店」1周年 熱海・伊豆山 支え合い「心のつながり」紡ぐ 「誰もが帰れる場所に」
熱海市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」がこのほど、開店1周年を迎えた。大規模土石流に襲われた地域に「心と心のつながり」を紡ごうと、地元のNPO法人「テンカラセン」が運営してきた。高橋一美代表(46)は「これからも誰もが立ち寄り、帰ってこられる場所でありたい」と話している。 同店は当初、月命日の3日に開店する予定だったが、伊豆山神社の例大祭のある4月15日にした。住民にとって特別な日であり、笑顔が行き交う地域がよみがえるよう願いを込めた。 店内には、伊豆山を応援する人々のメッセージが書き込まれた木製のコースターがびっしりと貼られている。「忘れてはいけない」「前へ進もう」-。一つ一
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熱海市議選17人立候補 伊豆山地区の出馬なし 土石流風化懸念
23日の投開票に向けて論戦が繰り広げられている統一地方選後半戦。熱海市では定数15の市議選に17人が立候補した。2021年7月に発生した土石流災害からの復旧復興を目指す伊豆山地区から出馬した候補者はおらず、災害の風化を懸念する住民は少なくない。立ち入り禁止になっている警戒区域は9月に解除される予定だが、避難先から帰還できる被災者は一部にとどまる見通し。復興までの長い道のりに「寄り添う」と訴える候補者に、住民は「有言実行を」と求める。 ■復旧復興の道のり長く 住民「取り残されないか」 4年前の市議選は伊豆山在住の候補者2人が当選した。しかし1人は任期途中に体調不良となり辞任。もう1人は自宅
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夜空に彩り3千発 熱海で海上花火大会 年内に12回実施予定
熱海市の熱海湾で15日夜、2023年度最初の熱海海上花火大会(市ホテル旅館協同組合連合会主催)が行われた。雨が降りしきるあいにくの空模様となったが、約3千発が夜空を彩り観光客を楽しませた。 熱海港の防波堤から20分間、コンピューター制御のスターマインや名物の「大空中ナイアガラ」などが打ち上げられた。同市渚町の親水公園では、傘を手にした観光客が雨を忘れて光のショーに見入った。 同花火大会は5月13日~12月3日までに12回予定されている。 日程は次の通り(いずれも午後8時20分から)。 春季 5月13、21日、6月4日▽夏季 7月28日、8月5、8、18、22、25日▽秋季 9月18日
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みこし下り 4年ぶり披露 復旧復興へ 活気づけ 熱海・伊豆山神社で例大祭
熱海市の伊豆山神社で15日、例大祭が行われた。本殿で行われた神事で、住民が土石流災害からの一日も早い復旧復興を祈願した。42歳の厄年を迎える男衆らでつくる伊豆山厄年奉賛会は4年ぶりに伝統の「みこし下り」を披露。威勢のよいかけ声で地域住民を活気づけた。 神事では、地元の女子小中学生が「神女舞」と「実朝の舞」を奉納した。厳かな雰囲気の中、小中学生は緊張した表情を見せながらも練習の成果を堂々と発揮した。神社総代会長の大舘節生さん(76)は「一日も早く復興し、昔の絆を取り戻したい。避難している住民が早く帰還できる環境が整ってほしい」と願った。 約700段の急な階段が続く神社の参道では、厄年奉賛会
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熱海のしゃぶしゃぶ店「ふくや」開業70年 家族経営で父の味守る
熱海市田原本町のしゃぶしゃぶ店「食事処ふくや」が今月、開業70周年を迎えた。旅館、飲食店と業態を変えながら、家族経営で観光客や市民をもてなしてきた。店主の三枝智さん(57)は「これからも熱海の観光に貢献したい」と意気込みを語る。 ふくやの前身は祖父敏三郎さんが1935年に開業した理髪店。その後、熱海駅前の仲見世通り商店街に移転し、53年に父俊雄さんが現在の場所で「ふくや旅館」を開業した。智さんは旅館の料理を作る俊雄さんの背中を見て育った。 ただ、バブル経済崩壊を境に熱海の観光客は減り、同旅館は2000年に閉館した。ふくやは宿の趣を残した飲食店として再出発した。当時理容師だった智さんも父の
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レモンで初島盛り上げ 熱海高と富士急グループ 共同プロジェクト始動 苗木植樹、メニュー開発も
「国産レモン発祥の地・熱海」をアピールし、地域活性化に取り組んでいる熱海高ビジネス観光類型の3年生が12日、熱海市初島の複合リゾート施設「PICA初島」でレモンの植樹を行った。富士急グループとの共同プロジェクトの一環。生徒は今後、熱海産レモンを生かした初島の活性化に取り組む。 同校で2年間育てたレモンの苗木3本を施設内の「アジアンガーデン」に植え、島内で排出された生ごみを活用した肥料を与えた。果実は3~5年後に収穫できる予定という。 同校は2019年から熱海産レモンの栽培や商品開発などを行っている。市内の小中学校や観光施設などとも連携した活動も展開している。今回のプロジェクトは、熱海ら
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記者コラム「清流」 被災者が望む地域像は
熱海市伊豆山の大規模土石流は発生から2度目の春を迎えた。流された住宅の跡地に咲く菜の花が月日の流れを残酷に物語る。「復興なんてしなくていい。とにかく元の生活に戻りたい」。土石流で母親と自宅を失った男性は、何カ月も変わらない被災地の景色をもどかしそうに見つめた。 伊豆山が安全で快適な地域になってほしい気持ちはある。ただ、それは何年先なのか。このままでは「伊豆山に帰りたい」という思いが消えてしまうのではないか。男性はそんな不安な気持ちも吐露した。 県や市は本年度から復旧復興に向けた工事を本格的に進める。だが、河川や市道の整備計画に疑問を呈する声が今も聞こえる。被災者が望んでいる伊豆山の姿とは
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土石流被災地の「警戒区域」 9月1日解除予定 熱海市が方針
熱海市伊豆山の大規模土石流の被災地に設けられている立ち入り禁止の「警戒区域」について、市は11日に市役所で開いた住民説明会で、同区域を9月1日に解除する方針を明らかにした。ただ、同日時点で避難先から区域内に帰還できる被災者は一部にとどまる見込み。被災者からは「大きな一歩ではあるが、先はまだ長い」と不安の声が聞かれた。 市によると、避難生活を送っている住民は11日現在、132世帯、227人。市はこれまで、土石流の起点付近に残る不安定土砂の撤去と新砂防ダムの完成を条件に「夏の終わりごろ」に区域を解除する方針を示していたが、具体的な日程を示したのは初めて。 土石流の起点付近では、県が5月末の完
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工事犠牲者に感謝 丹那トンネル「熱海の礎」
熱海市と市観光協会は6日、同市を全国屈指の温泉観光地として発展させる礎を築いた丹那トンネルの感謝祭を同市昭和町の起雲閣で行った。行政や観光団体、JR関係者ら約20人が出席し、世紀の大工事で犠牲になった67人に感謝の思いを込めて献花した。 斉藤栄市長は16年を要したトンネル工事で、芦ノ湖(神奈川県箱根町)3杯分ともいわれる湧水などと闘った先人の苦労に思いをはせ、「犠牲者は熱海発展の人柱であり、決して忘れてはならない」とあいさつした。中島幹雄観光協会長も「尊い犠牲のおかげで今の観光地熱海がある。工事に携わった多くの人に感謝したい」と述べた。 熱海-函南間にある丹那トンネルは全長約7・8キロ。19
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牧野富太郎と熱海 意外なつながりは 「らんまん」の主人公モデル 市立図書館で企画展 あたみ桜鑑定
熱海市立図書館で5月21日まで、熱海と植物学者の牧野富太郎(1862~1957年)のつながりを紹介する企画展が開かれている。牧野はNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデル。展示からは桜などの植物を通じて、観光地熱海の繁栄を願った牧野の姿が浮かび上がる。 牧野に関する蔵書など16点を展示した。同市東海岸町の古屋旅館のあるじだった内田勇次氏の著書「熱海桜の由来」によると、牧野は1935年ごろ、旅館に滞在していたジャーナリスト徳富蘇峰(1863~1957年)の紹介で、「あたみ桜」を鑑定したと伝えられている。早春の熱海を彩るあたみ桜は同市の重要な観光資源になっている。 牧野は著書「続植物記」
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若い力巻き込み再生を 「あいぞめ珈琲店」店主/中野裕基さん(33) 熱海市在住【決める、未来 持続可能な街へ 私の願い④】
3月下旬の昼下がり。相模灘に浮かぶ初島が望める熱海市伊豆山の「あいぞめ珈琲店」は、地元の高齢者や観光で訪れた若者らでにぎわっていた。その輪の中に、常連客と語らう店主の中野裕基さん(33)の姿があった。 大阪府出身の中野さんは、まちづくりに携わる仕事をしようと2020年に熱海に移住。土石流はその翌年に発生した。中野さんは発災直後から見ず知らずの住民の家を一軒一軒回って困り事を聞いたり、支援物資を届けたりしてきた。時には、住民の悲痛な叫びを行政に伝えたりもした。カフェは、その活動で共に汗を流した仲間と設立したNPO法人「テンカラセン」が運営している。 開店からまもなく1年。被災者を含め、カフ
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華やか ひな人形750体 熱海・今宮神社
熱海市桜町の今宮神社で1日、ひな人形の展示が始まった。参道や本殿前、社務所に計約750体の人形が並び、地域住民らを楽しませている。3日まで。 ひな祭りが月遅れの4月3日に行われていた同市西部地区の風習にちなみ、同地区町内会連合会が昨年から実施している。自宅で飾らなくなったひな人形を市内全域から募り、役員らが丁寧に並べた。 神社入り口の18段の階段に並んだ人形を見物した親子連れは「かわいい」「きれい」などと話し、春のひとときを楽しんだ。 同連合会の清水一衛相談役は「西部地区の憩いの場所として神社を活用し、住民同士の交流や親睦が深められれば」と話した。 展示は午前10時から午後3時まで。
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下り坂の転倒、注意呼びかけ 熱海署 自転車ヘルメット努力義務化スタート
熱海署は31日、4月1日施行の改正道交法で努力義務化される自転車のヘルメット着用の啓発活動をJR熱海駅前で行った。市民や観光客に署員と交通安全指導員が反射材付きのたすきを配りながら周知した。 坂道が多い同市では自転車利用者が少ないが、下り坂で転倒すると重大事故につながる恐れがある。署員は「自転車が絡む事故では頭に外傷を負うケースが多い」と説明し、着用を促した。
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熱海特産ダイダイ ブランド化へ 静大生が研究報告 生産者増、販路拡大に期待
熱海市特産のダイダイのブランド化に向けて地元生産者と共同プロジェクトに取り組む静岡大農学部園芸イノベーション学研究室(松本和浩教授)の学生が27日、ダイダイの苗木生産技術などに関する研究報告会を熱海商工会議所で開いた。 研究室は昨年4月から同市の生産者「シトライカンパニー」(岡野谷伸一郎代表)と連携し、農家や収穫量が減少傾向にあるダイダイ生産の再興に向けた栽培方法や商品開発を研究してきた。 プロジェクトリーダーの厚味莉歩さん(3年)はダイダイの栽培方法により味覚や品質に違いがあることや、成熟した枝を発酵促進剤につけて挿し木することでクローン苗を作れることを説明した。 種子から育てた実生
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待望の「36人目の仲間」 新ポンプ車を配備 土石流で被災 熱海市消防団第四分団
熱海市伊豆山の大規模土石流で消防ポンプ車が被災した市消防団第四分団(押田貴史分団長、団員35人)に26日、新たなポンプ車が配備された。熱海消防署で行われた式典で、団員は「36人目の仲間」として待望の新車両を歓迎し、地域の安全安心の確保に向けて決意を新たにした。 第四分団の旧ポンプ車は2021年7月の土石流に襲われた市道伊豆山神社線沿いの詰め所で大破した。配備してまだ5年目だった。以来、市消防本部から代替車を借りて活動していた。 新ポンプ車は伊豆山の狭い道を走行できるコンパクトな車両に、タッチパネルで水圧などを自動調整できる最新機能を搭載。仮詰め所の伊豆山コミュニティ防災センターに配備する
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熱海港周辺の美化推進 静岡県ポートサポーター 青木建設を認定
静岡県熱海土木事務所はこのほど、熱海市の熱海港周辺の環境美化を担う「しずおかポートサポーター」に同市の青木建設(佐野茂樹社長)を認定し、市を交えた調印式を市役所で行った。同事務所管内での認定は初めて。 ポートサポーター制度は、県が管理する港湾の美化を官民協働で推進するのが狙い。同意書を交わした団体は、県から活動に必要な物品の支給を受けられる。県内では2月時点で21団体が認定されている。 青木建設は港湾の公共工事を多く手がけていて、港周辺の清掃活動を続けている。調印式で同社の星合信行常務は「港湾施設を熟知しているプロとして、安心、安全、美化のために協力していきたい」と抱負を述べた。
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宿泊税、DMO「協議継続を」 熱海市説明会 旅館経営者ら訴え
熱海市ホテル旅館協同組合連合会は20日、持続可能な観光地経営を目指して市が導入を目指している宿泊税やDMO(観光地域づくり法人)に関する説明会を市内で開いた。斉藤栄市長や市幹部が税の目的や想定している税額などを説明した。参加者からは、観光施策や税の使途について議論を重ねる必要性を訴える声が相次いだ。 旅館経営者ら約60人が参加した。市は法定外目的税として宿泊税を導入し、観光振興に特化した財源を安定的に確保したい考え。入湯税とは別に、宿泊者1人1泊につき200円を宿泊施設が徴収する案を提示している。 参加者からは「必要な税収額を精査すべきだ」「DMOで観光施策を議論する方が先ではないか」「
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熱海土石流 各戸回り「とにかく逃げろ」と叫んだ 命守る署員91人の実録、熱海署が文集
2021年7月3日に熱海市伊豆山で発生し、28人の命を奪った大規模土石流で、住民の避難誘導や行方不明者の捜索、遺体の検視などに奔走した熱海署員が、災害から学んだ教訓や警察官としての使命感、犠牲者への思いをつづった文集を作製した。今春、同署を離任する本間章浩署長は「熱海の安全安心を守るための道しるべ」として、未来の署員にも読み継いでもらいたいとしている。 「伊豆山」と題した文集には本間署長をはじめ、発災当時に同署に在籍していた91人の思いを収録している。一般向けに公開しておらず、同署の“財産”として残している。 発災直後を振り返った本間署長は、二次災害の恐れがある現
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神田さん(桃山小6年)が知事賞 県子ども会連合会体験記コンクール 諦めない気持ち学ぶ
静岡県子ども会連合会主催の「チャレンジ冒険遊び事業体験記コンクール」で最高賞の知事賞に輝いた熱海市の桃山台町子ども会の神田恵依さん(桃山小6年)がこのほど、市役所に斉藤栄市長を訪ね、喜びを報告した。 神田さんは、昨年10月に子ども会で実施したボルダリング体験を題材にした。手にまめができ、皮をすりむいても何度も挑戦し、ようやくゴールするまでの過程を丁寧に書き上げた。「諦めないで頑張れば、目指しているものを勝ち取ることができるかもしれない」ことを学んだという。 作品を読んだ斉藤市長は「素晴らしい作品。自身と誇りを持ってこれからもいろんなことに挑戦してほしい」と激励した。 (熱海支局・豊竹喬)
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熱海土石流「市は責任負うべき」 市議会百条委の報告書可決
熱海市議会は15日、同市伊豆山の大規模土石流に関する市議会特別委員会(百条委員会)の調査報告書案を全会一致で可決した。被害を拡大させた盛り土を巡る市の一連の対応は「最善ではなかった」と批判し、28人が犠牲になった重大な事実に対し、「市はしかるべき責任を負うべきだ」と総括した。 報告書は、土石流起点の旧土地所有者である不動産管理会社(神奈川県小田原市)が提出した盛り土造成の届け出書に不備があるのに熱海市が受理した点や、同社に措置命令を出さなかった市の判断とその後の対応など8項目を問題点とし、参考人や証人の発言内容と市議の意見をまとめた。 本会議で、調査結果を報告した稲村千尋委員長は、市が条
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橋幸夫さん、運転免許証を自主返納 同世代に検討呼びかけ
熱海市在住の歌手、橋幸夫さん(79)が8日、熱海署を訪れ、運転免許証を自主返納した。高齢ドライバーによる事故が多発する中、橋さんは「体力に自信がなくなったら返納を検討してみては」と同世代のドライバーに呼びかけた。 本間章浩署長から運転経歴証明書を受け取った橋さんは、「18歳のころに免許を取得し、国産車や外国産車を20~30台は乗り換えた。もう運転は十分堪能した」と振り返った。5年ほど前から自ら運転することは控えていて、80歳になる5月に歌手活動から引退することを表明している。 免許証の自主返納は「強制するものではなく、あくまで自主的なこと」と強調し、「迷っているのなら、返納した方が良いの
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熱海土石流 開発行為完了促す 現所有者に市方針 起点近くに盛り土
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点北側にある宅地造成地に崩壊した擁壁や盛り土がある問題について、窪田純一観光建設部理事は8日の市議会2月定例会で「直ちに危険な状態ではない」としつつ、現土地所有者に開発行為を完了させるよう協議する方針を示した。米山秀夫氏の一般質問に答えた。 現地には工事中に崩壊した擁壁や高さ12メートルの盛り土があるとされる。市によると、擁壁は2007年に築造されたとみられ、開発許可申請を出した事業者の業績悪化に伴い工事が中断された。申請者の地位は20年に現所有者に承継された。窪田理事は「開発行為の再開に向けて協議していたが、21年7月の土石流で遅れた。今は現所有者との協議を
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記者コラム「清流」 DXともてなしの心
デジタル技術を活用して生活や仕事に変革をもたらすデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む自治体や企業が増えている。一方で、デジタルと聞いただけで「ついて行けない」と苦手意識を口にする人もいる。 熱海市では、デジタル分野に明るい若手事業者らが宿泊施設や飲食店、中小企業のDX化をサポートする活動をしている。まだ本格的な事業変革とまではいかないが、受注や書類管理などにデジタル技術を導入したことで、ミスの回避や従業員の負担軽減などにつながっているようだ。 ある飲食店では従業員の気持ちに余裕が生まれ、客への心遣いに充てる時間が増えたという。人手不足が深刻な観光地。もてなしの質を維持、向上させ
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初島航路の新規客獲得へ 富士急マリンリゾート(熱海市)/堀内明広社長【キーパーソン】
静岡県内唯一の有人島「初島」と熱海港を結ぶ定期船を運航する。新型コロナウイルス禍で低迷した観光の客足が回復傾向にある中、本格的な再生に向けて新たな戦略が求められている。今後の展望を聞いた。 -新型コロナ禍からの回復状況は。 「熱海市の宿泊客数はコロナ禍前の7割程度まで回復してきた。初島航路の利用客数も全国旅行支援などの効果で、コロナ禍前の年間50万人の8割程度まで回復してきている。一般客はほぼコロナ禍前に戻っているが、団体利用はなかなか回復しない。物価高騰もあり経営は厳しい状況が続いている」 -初島航路の利用促進の取り組みは。 「客船の旅を楽しみ、島の食堂街やアジアンガーデンなどの施
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「津波てんでんこ」忘れず 静岡県東部で避難訓練
東日本大震災の発生から12年を迎えるのを前に、熱海市は5日、市津波避難訓練を実施した。沿岸部の地区の住民が避難経路やハザードマップの確認などを行った。訓練のモデル地区となった網代地区では、住民が自宅から高台に逃げる所要時間などを確認した。 沿岸から高台へ迅速に 熱海 相模トラフ沿いで最大級の「レベル2」の地震、津波が発生した想定。海抜約7メートルの旧網代小周辺では、午前10時にサイレンが鳴ると、住民が海抜約17メートルの同校屋上に避難した。消防団や医療機関も協力して、高齢者などの要支援者を車いすに乗せて移動した。避難は約15分で完了した。 訓練後、網代自主防災会は意見交換会を開き、災害時
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自宅跡で女性の遺族慰霊「一つの区切り」 熱海土石流、最後の死亡確認
熱海市伊豆山の大規模土石流で最後の行方不明者となり、1月に土砂仮置き場から腕の骨が見つかった女性=当時(80)=の葬儀が5日、市内で行われた。遺族は葬儀後、女性の遺骨や位牌(いはい)などを胸に抱いて警戒区域内の自宅跡を訪れ、女性の霊を慰めた。 女性の遺骨は同日、荼毘(だび)に付された。1年8カ月の月日を経て、無言の帰宅をした。土石流に流された自宅の周りには、今も崩れた石垣やシートに覆われた被災家屋など痛ましい爪痕が残る。 時折冷たい風が吹き付ける中、遺族は女性に花を手向け、静かに手を合わせた。長男(57)は「やっと家族と共に母を自宅に連れて帰ってくることができた。本当に『お帰りなさい』と
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しゃぎり挑戦 にぎやか 熱海・初島小中生 三島の伝統芸能学ぶ
熱海市の初島小中学校の児童、生徒らがこのほど、三島市の伝統芸能「しゃぎり」を体験した。子どもたちは軽快なリズムに乗って、にぎやかな祭りの雰囲気を楽しんだ。 三島市の芝町青年会と三嶋緑町しゃぎり会のメンバーが同校を訪れ、児童らに摺り鉦(すりがね)の鳴らし方などを手ほどきした。 しゃぎりの競り合いで披露する「屋台」というおはやしにも挑戦。大きな音に戸惑っていた児童も、軽やかなリズムが刻めるようになると笑顔を見せた。 芝町青年会のメンバーで、しゃぎりフェスティバル実行委員会の福田勝彦代表(50)は「三島の伝統芸能に触れることで、自分の地域の伝統芸能を見つめ直し、魅力を感じてほしい」と話した。
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火災予防を徹底 交通機関で検査 熱海市消防本部
春季全国火災予防運動に合わせ、熱海市消防本部はこのほど、市内の駅やバスターミナルなど交通機関の立ち入り検査を実施した。 JR熱海駅では駅員立ち会いの下、消防職員2人が消火栓内のホースの状況や消火器の設置場所、避難経路などが適切かどうかを確認した。 同本部の担当者は「安全安心がしっかり確保されるよう防火に協力を」と呼びかけた。同本部は7日までに7施設を検査し、火災の未然防止を図る。
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文化香る「起雲閣通り」 熱海の商店主ら命名
熱海市昭和町の文化施設で、同市を代表する観光スポット「起雲閣」周辺の商店主らがこのほど、施設に面した市道を「起雲閣通り」と命名し、市民や観光客に愛着を持ってもらおうとPRを始めた。手始めにマップを作製し、熱海駅やホテル、旅館などで配布している。商店主は「認知度を高め、まちの回遊性を高めたい」と話している。 マップには、文化芸術が香る「おしゃれな大人の起雲閣通り」をコンセプトに、起雲閣や山口美術館をはじめ、沿線の飲食店、美容室、生花店など18店を掲載。商店主らは「起雲閣通り商店街」も結成した。写真館経営の鈴木信太郎会長(50)は「熱海駅前や熱海銀座通りから起雲閣通りを巡る回遊性を高めて、全
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熱海市 コミュニティー拠点整備【東部23年度予算案⑤】
2年前に閉校した熱海市立網代小。2月下旬、母校の前で地元出身の山崎明洋さん(40)と渡辺淳司さん(38)はつぶやいた。「古里が衰退していくのはやはり寂しい」「でも、住民だけで再生するのは厳しい」-。 網代地区の人口は1274人(1月現在)。15年間で3割減った。2006年に網代中が閉校し、17年に網代幼稚園が休園に。住民の心のよりどころが次々に閉鎖され、活力が失われつつある。 一方で、新型コロナウイルス禍を機に首都圏から移住してきたり、都心との2拠点生活を始めたりする人もいる。山崎さんたちはこうした人を巻き込んで地域再生を目指している。「今の網代には住民と移住者、企業をつなぐ場所が必要。
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熱海の創業70年料理旅館、建て替えへ 24年度中再開目指す
創業70年の熱海市渚町の料理旅館「渚館」が6日から休業し、老朽化していた施設の建て替え工事に入る。熱海の海や名物の海上花火大会などの眺望を生かしつつ、長期滞在できる施設にリニューアルし、2024年度中の開業を目指す。 現在の渚館は地上5階、地下1階建てで、客室は15室。市内でいち早くペット同伴の客を受け入れるなどしてリピーター客を中心に長年親しまれてきた。 新たな施設は地上10階建て、45室程度の規模の和風モダンなイメージを目指している。新施設の名称は未定。土地、建物はこれまで通り東日本都市開発(千葉県船橋市)が所有し、施設をANAファシリティーズが借り上げる。運営は引き続き旧軽井沢ホテ
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文豪坪内逍遥の遺徳しのぶ 熱海で命日に記念祭
熱海ゆかりの文豪、坪内逍遥(1859~1935年)の命日に当たる28日、熱海市昭和町の起雲閣で「第52回逍遥忌記念祭」(市、熱海稲門会など主催)が開かれた。市や早稲田大関係者らが出席し、熱海の文化芸術の発展に貢献した逍遥の遺徳をしのんだ。 熱海で晩年を過ごした逍遥は、市歌を作詞したほか、図書館創設時に大量の蔵書を寄贈するなど地域に大きな足跡を残した。式典では斉藤栄市長、熱海稲門会の森田金清会長、早稲田大坪内博士記念演劇博物館の岡室美奈子館長がそれぞれ逍遥に宛てた「お慕いの言葉」を述べた。 日本大文理学部の紅野謙介特任教授の記念講演も行われた。紅野特任教授は、言文一致運動の先駆者である逍
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熱海土石流 起点の残存土砂撤去開始 静岡県代執行、5月完了目指す
静岡県は28日、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近に残る不安定土砂の撤去、搬出作業を開始した。前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)に代わり行政代執行として実施し、5月末ごろまでに撤去完了を目指す。土石流から間もなく1年8カ月。被災地の復旧復興の前提となる工事がようやく本格的に動き出した。 県によると、撤去する土砂は約2万立方メートル。行政代執行は昨年10月に始まり、これまで現場の伐採や測量、崩落箇所の上部と谷底に進入する2本の工事用道路を整備してきた。現場は土質が悪く足場が弱いため、工事計画の変更や調整に時間を要した。 28日は、起点の上部から掘削した土砂を大型土のうに詰め
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熱海の海水を利用 塩ラーメン販売 「らーめん しゅん」3月1日から
熱海市沖の海水から生まれた塩を使った「熱海塩らーめん」が1日、同市銀座町の「らーめん しゅん」で発売される。同店を経営する木村俊一さん(50)と、市内で焼き肉店を営みながら塩を製造している山崎信二郎さん(49)のコラボ商品の第1弾。山崎さんは「今後も飲食店と協力して『熱海塩』メニューを増やしていきたい」と話している。 熱海塩は、同市のパワースポットとして知られる来宮神社、伊豆山神社、初島の初木神社の3カ所を結んだ熱海沖のエリアから採取した海水を丹念にろ過し、2日間かけて炊き上げて作っている。山崎さんが経営する同市渚町の焼き肉店「ソルト&ミート渚」では熱海塩で味わう焼き肉が人気を呼んでいる。
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熱海の宿泊客数 コロナ前の7割、2022年 49%増、回復途上
熱海市は24日、入湯税に基づく2022年1~12月の宿泊客数が229万2918人(前年比49・6%増)だったと発表した。全国旅行支援などの効果で大きく回復したものの、新型コロナウイルス禍前の19年の約7割にとどまった。 まん延防止等重点措置が適用されていた1~3月は19年の6割程度だった。感染対策の行動制限がなくなった4~9月は72・5%に回復し、全国旅行支援が始まった10月以降は88・5%に上昇した。 斉藤栄市長は24日の定例記者会見で「客足が回復してきたことは喜ばしいが、旅行需要の喚起策があってもコロナ禍前の水準にはなかなか戻らない」と厳しい見方を示した。さらに従業員不足が深刻で、
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伊豆山港に沈む災害廃棄物 地元漁師とダイバーが回収 熱海土石流
熱海市伊豆山の土石流災害で大量の土砂が流れ込んだ伊豆山港で21日、地元漁師とボランティアのダイバーが港内に残る災害廃棄物などを回収した。海底には折れ曲がった電柱や建物の柱などが沈んでいて土石流の爪痕が残っていた。漁師らは今後も回収作業を続け、港をよみがえらせたいとしている。 都内のダイバーを含め15人が参加し、茶わんなどの食器や折り畳みいすなどを次々に回収した。土石流で流されたとみられる金属製の電柱や配管類なども引き上げた。土石流の直後から被災者の思い出の品などを港で回収してきた漁師の金子友一さん(57)は「まだ細かい物が残っている。全部取るとなると大変な量」と話した。 ただ、海底には砂
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土石流被災者 心に寄り添う 多角的に支援 熱海市伊豆山ささえ逢いセンター長/原盛輝氏【本音インタビュー】
2021年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の被災者の見守り支援を続けている。被災者の悩みは多岐にわたり、時間とともに変化もする。現地のインフラの復旧工事が本格化する中、一人一人に寄り添いながら、分断された地域コミュニティーの再生を目指している。 -被災者と接して感じることは。 「センターは発生3カ月後に開設し、保健師や社会福祉士など6人の相談員が被災した127世帯を訪問したり、電話したりして悩みや不安を聞いてきた。少しずつ前に進もうとしている人もいれば、まだ誰とも話したくないという人もいる。先日、最後の行方不明者の太田和子さん=当時(80)=の骨の一部が発見された。良かったと思
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記者コラム「清流」 太田さんが突きつけた現実
執念が呼び起こした奇跡か。県警が熱海市伊豆山の土石流災害で行方不明になっていた太田和子さん=当時(80)=の腕の骨を大量の土砂の中から見つけた。いてつく寒空の下でも、真夏の炎天下でも常に「可能性がある限り諦めない」と言い続けてきた関係者の熱意が実を結んだ。 1年7カ月ほど前、こんなことがあった。不明者がなかなか見つからない日が続き、ある男性が「捜索は一体どうなっているんだ」と怒り交じりに私にこぼしてきた。過酷で危険な現場の状況を伝えると、男性は力が抜けた声でこう語った。「分かってはいるけど、やりきれないんだよ。なんでこんなことに…」 太田さんの骨が発見されたことは良かったと
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児童生徒が熱海の課題研究 交通や医療など 市教委に成果発表
熱海市教育委員会はこのほど、市内の児童、生徒が社会的な問題や地域の魅力について学習した成果を発表する「市総合的学習発表会」を開いた。各校と市教委をオンラインでつなぎ、それぞれの代表者やグループが課題解決策や今後の目標などを発表した。 市教委の「魅力ある総合的な学習の授業作り」の一環で、本年度初めて実施した。中学生の部では、持続可能な開発目標(SDGs)や地域の交通、防災、医療をテーマにした発表が行われた。 地元の長浜海岸周辺の交通環境を取り上げた多賀中1年の真野玲菜さんは、横断歩道のない場所を渡る人が多い現状を説明。現地の写真を示しながら横断歩道の案内看板やガードレール設置などの改善策を
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熱海市予算案 本格的な復旧復興に主眼 一般会計202億4100万円 伊豆山関連11億5000万円
熱海市は14日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・0%増の202億4100万円。伊豆山の土石流災害からの本格的な復旧復興を主眼に置き、関連予算に約11億5千万円を計上した。特別、公営企業会計を含めた総額は4・9%増の401億5100万円。 被災者の生活再建策として、今夏に予定する警戒区域解除の後も応急仮設住宅の家賃補助を続ける。原則は解除後3カ月までだが、区域内の自宅に戻る世帯には現地のインフラが整うまで支援する。 応急仮設住宅から転居する際に30万円(単身世帯は22万5千円)を支給する。区域内の自宅に帰還する世帯にはリフォームなどの資金として100万円(同75万円
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温泉の恵みいつまでも 熱海・湯前神社で献湯祭
熱海市上宿町の湯前神社で10日、春季例大祭の献湯祭が行われた。同神社奉賛会や市、議会、観光関係者が神事に出席し、温泉の永続と地域の繁栄を祈った。 約1200年前に創建されたとされる湯前神社は熱海温泉の守り神として知られ、毎年春と秋に例大祭を執り行っている。 奉賛会の小倉一朗副会長は、新型コロナウイルス禍で停滞した同市の観光について「ようやくお客さまが戻りつつあるが、まだ予断を許さない状況」と述べた。その上で、風光明媚(めいび)な地形と温泉が熱海の繁栄を支えてきたとし、「これからも温泉を大切にする気持ちを忘れずに魅力を発信していきたい」と語った。
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熱海土石流 市議会百条委 最終報告書案、おおむね合意 3月正式決定へ
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)は8日、会派代表者らによる小委員会を開き、起点の盛り土を巡る行政対応などの検証結果をまとめる最終報告書の内容を協議し、おおむね合意した。3月9日の百条委で正式決定し、15日の2月定例会最終本会議で議決する見通し。 小委員会は非公開。終了後の取材に応じた稲村千尋委員長によると、全委員から「行政に対し、もう少し厳しい意見を」との指摘があり、報告書に反映することで一致した。市議会は15日の最終本会議で議決後、斉藤栄市長に報告書を手渡す。 百条委は昨年3~8月、斉藤市長をはじめ県や市の職員、起点の現旧土地所有者ら延べ39人を参考
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熱海のぬくもり アートで表現 あいぞめ珈琲店で作品展
熱海市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」で3月5日まで、同市出身のアーティスト富岡美紀さんと写真家YUTAさんの作品展「永縁(えいえん)2」が開かれている。 昨年8月に行われた作品展の第2弾。市内の飲食店や美術館、駅など17施設で働く人の温かさや店舗の魅力などを伝える作品19点を展示した。YUTAさんが撮影したポートレートに富岡さんがそれぞれの施設を象徴する絵を重ね合わせた。 作品を通じて、人と人のつながりを広げたいとの思いで活動している2人。富岡さんは「観光で訪れた人にも地元の人にも作品に登場する店に足を運んでもらい、熱海のことをもっと好きになってほしい」と話した。YUTA
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逢初川の改修 関係者、安全を祈願 熱海土石流 3月から本格工事
熱海市伊豆山の大規模土石流が流れ下った逢初(あいぞめ)川の改修工事の安全祈願式が8日、現地で行われた。事業主体の県をはじめ、市や工事関係者ら約30人が神事に出席し、一日も早く地域の安全安心が確保されるよう願った。 工事は逢初川の中下流部の約650メートル区間で実施する。30年に1度の大雨に耐えられるよう川幅を広げるほか、河川の勾配を緩やかにして水流の勢いを抑える。中流部では地下水路部分を開水路にして維持管理をしやすくする。 県は今月中に地元説明会を開き、3月から本格的な工事を始める。最初に市道伊豆山神社線の地下を通る水路を拡幅するために道路の付け替え工事を行う。全体の完成は2年後を目指
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静岡人インタビュー「この人」 熱海芸妓置屋連合組合の組合長を務める 小笠原亜紀子さん(熱海市)
2022年6月に22代目の組合長に就任した。観光地熱海の「華」である芸妓(げいぎ)衆の先頭に立って、伝統文化の継承と魅力の発信に努めている。芸名は「美保」。佐賀県出身。 -組合長としての抱負は。 「まちの人から愛され続ける組合にしていきたい。現在、組合に所属する芸妓は70人ほど。芸妓の伝統文化を継承していくためにも、担い手の発掘、育成に努めていく。師匠に学ぶ踊りや唄、鳴り物、茶道、華道は生涯の宝になる。若い人が憧れて飛び込んでくるような世界にしていきたい」 -芸妓を取り巻く環境は。 「新型コロナウイルス禍を境に大人数の宴会が激減し、厳しい状況に置かれた。組合員みんなで励まし合って、何
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ダイビング客向けシャワー室再建 伊豆山港復興へ大きな一歩 地元漁師「笑顔集まる場所に」 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流で全壊し、再建工事が進められていた伊豆山港のシャワー室が4日、完成した。主にダイビング客が利用する施設で、漁師らが港の復旧復興の象徴にしようとクラウドファンディング(CF)で資金を募り、再建にこぎ着けた。土石流で倒壊した施設が復活した初の事例で、漁師は「大きな一歩」と喜びをかみしめた。 2021年7月3日の土石流は、起点から約2キロ離れた伊豆山港にまで到達した。シャワー室は土砂が直撃し、壊滅的な被害を受けた。港内に堆積した土砂の撤去は行われたものの、ダイビング客を迎えられない状況が長く続いていた。 地元漁師でつくる伊豆山漁業会は昨年、「元の港に戻して笑顔が集ま
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熱海富士の豆まきに歓声 熱海・来宮神社と今宮神社、江原啓之さんらも参加
熱海市西山町の来宮神社と同市桜町の今宮神社では、同市出身の大相撲十両、熱海富士(本名武井朔太郎、伊勢ケ浜部屋)らが境内の舞台から豪快に豆や菓子などをまいた。 来宮神社では、紋付きはかま姿の熱海富士が登場すると、参拝者から「(本名の)朔太郎」「頑張って!」などと声援が飛んだ。 俳優の黒田アーサーさん、二宮さよ子さん、音楽評論家の湯川れい子さん、スピリチュアリストの江原啓之さんらも参加した。 「福は内」の威勢の良いかけ声がかかると、詰めかけた参拝者は福をつかみ取ろうと懸命に手を伸ばした。
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熱海土石流「自宅解体、決められない」 悩み尽きない被災者 発生から1年7カ月
災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年7カ月が経過した。現場付近で犠牲者に黙とうをささげた被災者は、被害を受けた自宅の公費解体や市の生活再建支援の在り方に複雑な思いを口にした。 土石流の発生時刻とされる午前10時半ごろ、被災者や住民、近くの福祉施設の利用者らが現場に向かって黙とうした。行方不明になっている太田和子さんの自宅跡周辺では、熱海署員が太田さんの手掛かりを求めて捜索活動を行った。 市は2023年度当初予算案に、これまで公費解体の対象外になっていた半壊未満の家屋の解体費用を半額補助するほか、被災地で生活再建する人のリ
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半壊未満の家屋 熱海市が解体を半額補助 リフォーム費も支援 新年度予算案に計上へ
熱海市伊豆山の大規模土石流に関し、市は被災した家屋のうち公費解体の対象外になっている半壊未満の建物の解体費用を半額補助する方針を固めた。警戒区域内での生活再建に向けた自宅リフォームなども補助する。23年度当初予算案に関連予算を計上する。2日までの関係者への取材で分かった。 土石流で被災した135棟のうち、公費解体の対象になっている半壊以上は89棟。市によると、申請のあった63棟(2日現在)のうち21棟が既に解体済み。半壊未満の準半壊や一部損壊の計46棟は解体する場合、現状は所有者が費用負担しなければならない。 土石流発生から3日で1年7カ月。被災地は今も立ち入り禁止の警戒区域になっていて
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熱海・伊豆山 消防団詰め所解体へ 新たな拠点模索
2021年7月に発生した熱海市伊豆山の大規模土石流で被災した市消防団第四分団の詰め所の解体工事が1日、始まった。初日は足場や幕に囲まれた建物に資機材が運び込まれた。市は新たな詰め所の建設場所を同分団の意見を聞きながら検討している。 土石流が流れ下った場所に立つ詰め所は、鉄筋コンクリート造り地上3階、地下1階建て。市によると、解体工事は3月中旬までに完了する予定。解体費は約1200万円。 土石流の際、詰め所は大量の土砂をかぶり、ポンプ車が廃車になるなど甚大な被害を受けた。そんな中、団員は命がけで住民の避難誘導に当たった。外壁に残った泥の跡や割れた窓ガラスは当時のすさまじい状況を物語っていた
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想定外の災害に備えを 東工大教授が熱海で講演 自助、共助の重要性説く
熱海市は31日、地震防災講演会を同市のMOA美術館能楽堂で開いた。東京工業大理学院火山流体研究センターの野上健治教授が「災害は想像を超えてやってくる」と題し、さまざまな自然災害への備えと自助、共助の重要性を説いた。 野上教授は「日本列島で生きる上で自然災害とは無縁ではいられない」と指摘し、風水害などの気象海象災害、地震に伴う津波、火山災害の特徴を解説。特に火山災害は交通を遮断し、水道や電力などへの影響や火山灰による健康被害が長期化すると説明した。 被害をハード対策で抑止する防災には限界があるとし、「大規模災害時には市役所や県の職員も被災者。地域に根付いた人、団体で助け合うことが大切」と述
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確定申告はスマホで 橋幸夫さんがPR 熱海芸妓見番歌舞練場
熱海伊東青色申告会は28日、スマートフォンによる確定申告のPRイベントを熱海市の熱海芸妓(げいぎ)見番歌舞練場で行った。同市在住の歌手、橋幸夫さん(79)が同申告会の事務局員から操作方法などの手ほどきを受けながら、便利さをアピールした。 見番の舞台で橋さんがスマートフォンでマイナンバーカードや源泉徴収票を読み取るなどして確定申告の手続きを進めた。同会の会員でもある橋さんは「税務署に行かなくても確定申告できるのでとても便利。スマートフォンの操作が苦手な高齢者でも簡単なので積極的に活用してほしい」と呼びかけた。 イベントは2月16日から確定申告の受け付けが始まるのを前に、スマートフォン申告の
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一足先に熱海に春 「あたみ桜」が見頃 2月5日まで糸川桜まつり
熱海市中心部を流れる糸川沿いで、早咲きの品種として知られるあたみ桜が見頃を迎えている。2月5日まで「糸川桜まつり」が開催中で、久々の晴天に恵まれた28日は多くの観光客でにぎわった。 市によると、糸川沿いには58本のあたみ桜が植えられている。26日現在、21本が見頃を迎え、20本が五分咲きになっている。見物に訪れた観光客は、青空に映えるピンク色の花をカメラに収めたり、散策を楽しんだりした。まつり期間中はライトアップするほか、土日祝日に桜茶の無料サービスを行っている。 28日は熱海市と観光交流協定を結んでいる御殿場市の観光イメージガール「富士娘」や同市のキャラクター「ごてんばこめこ」が登場し
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熱海市民駅伝 3年ぶり力走 中部Aが7連覇
第19回熱海市民駅伝競走大会(市主催)が28日、市内で行われた。町内会などでつくる11チームが出場し、中部Aが51分6秒で7連覇を果たした。2位に多賀A、3位に泉が入った。 旧網代小前から市役所までの6区間14・2キロのコース。選手は号砲とともに勢いよく駆け出し、長浜海岸や熱海サンビーチ、銀座通り商店街などを力走した。沿道では多くの住民や観光客が選手に声援を送った。 中部Aで3区を担当し、優勝に貢献した漆原幹人さん(韮山高2年)は「みんなで勝ち取った勝利。絶対に1位でたすきをつなぎたいと思って走った」と振り返った。 同大会は新型コロナウイルス禍の影響で中止が続き、3年ぶりの開催となった
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熱海土石流 県所管法令運用「総合的に検証を」 熱海市長
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する県議会特別委員会が、県所管法令の運用について再検証すべきだとする報告書をまとめたことについて、同市の斉藤栄市長は27日の定例記者会見で「(県が設置した行政対応検証委員会の検証は)県土採取等規制条例に重きが置かれていた。他の法令も重要であり、総合的な検証が必要」と特別委と同様の認識を示した。 斉藤市長は昨年5月、行政対応検証委の最終報告の内容について「全体的にバランスを欠いていて納得しかねる」と主張。同11月公表した土石流に関する行政対応の総括でも、市に権限のある県土採取等規制条例だけでは再発防止が果たせないと指摘し、県所管の森林法、砂防法、廃棄物処理法など
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マジックアワー 息のむ写真紹介 熱海の秋山さん個展
熱海市上多賀の写真愛好家秋山精太郎さん(73)の作品展「黄昏(たそがれ)時、彼誰(かわたれ)時」が27日、同市の起雲閣で始まった。29日まで。 日没後や日の出前に見られる薄明の時間帯「マジックアワー」に撮影した風景写真や昨年11月の皆既月食などを捉えた写真40点が並んだ。 ピンク色や紫色の空を背景に浮かび上がる富士山のシルエットや夜景、朝日に照らされる熱海市の海岸などの美しい写真に来館者は見入った。 秋山さんは「イメージした色の写真が撮れるまで何度も同じ場所に通って撮影した」と振り返った。
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新型コロナ5類へ「観光地として歓迎」 熱海市長 定例記者会見
熱海市の斉藤栄市長は27日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられることについて、「観光地として基本的に歓迎すべきこと」と述べた。引き続き感染対策に注力する考えも示した。 観光需要が回復傾向にある中、斉藤市長は「観光地として掲げてきたウィズコロナに一歩近づいた」と評価。一方で感染リスクと向き合う上で「来遊者、受け入れ側の双方の対策を両立させることが重要だ」と述べた。 市内の飲食店や宿泊施設への対応については「基本的に政府の方針にのっとって各事業者が対応していくことになると思う。市として特別な対応は今のところ考えていない」とし
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梅園継承へ意見交換 熱海で全国サミット開幕
梅を観光や産業の資源としている全国13市町の首長らが一堂に会する第28回全国梅サミット(同サミット協議会主催)が27日、熱海市で開幕した。初日は「梅によるまちづくりの可能性について」と題し、首長らが意見交換した。28日まで。 熱海市でのサミット開催は4回目。同協議会長の斉藤栄熱海市長は、2021年7月に伊豆山地区で発生した大規模土石流の際に、加盟市町から多くの支援が寄せられたことに感謝した。その上で「梅を世界に広げ、加盟市町の発展につなげたい」とあいさつした。 意見交換では、各地の梅林管理の担い手不足が深刻化している状況などが報告された。神奈川県小田原市の守屋輝彦市長は次世代への継承策と
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熱海土石流 土砂撤去後の伊豆山港で不明者捜索 静岡県警
静岡県警は26日、熱海市伊豆山の大規模土石流で行方不明になっている太田和子さんの捜索活動を同市の伊豆山港で実施した。県が12日に土砂の撤去作業を行った船揚げ場付近の約800平方メートルを機動隊水難救助部隊が潜水して捜索したが、この日は太田さんの手掛かりは見つからなかった。 冷たい風が吹き付ける中、隊員ら13人が声を掛け合いながら捜索に当たった。県警はこれまでも港内を入念に捜索してきたが、12日に行われた土砂の撤去作業を受け、改めて港内を隅々まで調べた。 12日の撤去作業では約200立方メートルの土砂が取り除かれた。県警は後日、この土砂をふるいにかけて再度、太田さんの手掛かりがないかどうか
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変電所での火災想定し連携 熱海消防署と東電が訓練
熱海市の熱海消防署と東京電力パワーグリッド静岡総支社は24日、同市の初川変電所で火災を想定した初期対応訓練を行った。消防隊員と同支社の社員が連携を取りながら消火活動の手順や二次災害を防ぐための注意点などを確認した。 変電所の地下にある変圧器から出火したとの想定。所内をモニターで監視している伊豆の国市の制御所で機器の異常を感知し、熱海市消防本部に通報した。 駆けつけた消防隊員は、同支社の社員から変電所内の構造や火災の状況を確認。所内は二酸化炭素消火設備が作動しているため、酸素マスクを装着して所内に進入して消火活動に当たった。 熱海消防署の鈴木正人署長は「顔の見える関係を構築し、連携を密に
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不安定土砂の搬出、5月完了めど 静岡県が撤去用道路の整備着手 熱海土石流
静岡県は23日、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近で不安定土砂を撤去する行政代執行に必要な工事用道路の整備に着手した。冷たい雨が降る中、作業員が重機を搬入し本格的な工事に向けて準備した。県は5月ごろまでに不安定土砂の撤去完了を目指している。 工事用道路は、起点の崩落部分の上部を横断する延長約130メートルと、隣接する宅地エリアから谷底に進入する約240メートルの道の2ルートを造る。谷底に土砂流出を防ぐための土留めを設置する。道路整備に伴う現場外への土砂搬出は行わない。 23日は崩落部分上部の道の整備に着手した。午前8時半ごろからショベルカーなどの重機が現場に入り、工事用道路の入り口付近
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熱海市の都市計画道路 審議会が廃止案了承
熱海市都市計画審議会(大方潤一郎会長)は20日、市役所で会合を開き、市が提示していた都市計画道路2路線を廃止、別の2路線を一部廃止する案を審議し、計画変更を了承する答申書を斉藤栄市長に提出した。 廃止するのは、南熱海地区の市道宮脇片山線(延長約1060メートル)と市道風越藪ノ内線(約1370メートル)。2路線は1985年に都市計画決定したが、全線が未着手になっていた。ただ、既存の道路があり幹線道路も並行しているなどとして、必要性が乏しいと判断した。 市中心街の市道温泉通り水口線(約1200メートル)のうち約520メートル区間と初川遊歩道2号線(約530メートル)のうち約210メートル区間
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静岡人インタビュー「この人」 干物の“可能性”を発信する飲食店を開業した 二見一輝瑠さん(熱海市)
創業150年余りの老舗干物店「釜鶴」の5代目。熱海市銀座町の国道135号沿いにあった支店を全面改装し、「干物の可能性を拓(ひら)く」をテーマにした飲食店「ヒモノダイニング かまなり」として今月オープンした。斬新なメニューで幅広い世代に干物の活用方法を提案する。44歳。 -飲食店を開業したきっかけは。 「干物の主な購買層は中高年で、『グリルを使いたくない』『骨が苦手』と敬遠する若者が多いのが実情。一方で、熱海には若者の観光客が増えている。その世代に干物の新しい食べ方を提案したいとの思いで開店した。新鮮な魚を使った自家製干物の味を通じて、熱海へのリピーターを増やしたい」 -メニューの特徴は
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人手不足解消へ求人サイト 3月末まで利用無料 熱海商議所、会員事業所向け開設
熱海市の熱海商工会議所はこのほど、会員事業所向けの求人情報サイトを開設した。基幹産業の宿泊や飲食業界を中心に深刻化している人手不足の解消と事業所の働き方改革を支援しようと周知に力を入れている。 観光需要が回復傾向にある一方、宿泊施設や飲食店は従業員を確保できず、客室や客席の稼働を制限しているケースが多い。建設業界も業務受注を縮小せざるを得ない状況が続いている。同商議所の担当者は「売り上げの面だけでなく、今後の事業継続にも影響しかねない」と気をもむ。 こうした中、同商議所は厚生労働省の働き方改革推進支援助成金を活用して昨年12月、求人情報大手マイナビの協力を得てサイトを開設した。会員事業所
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1票の大切さ、模擬投票で体感 熱海・泉中で選挙啓発授業
熱海市明るい選挙推進協議会(中島洋一郎会長)と市選挙管理委員会事務局は19日、同市の泉中で選挙啓発授業を行った。3年生8人が、選挙制度や1票の重みを学んだ。 同協議会の北川幹夫副会長が講師を務め、日本の選挙の歴史や近年の投票率の推移などを解説した。選挙運動に関するクイズも出題し、選挙違反に当たる行為などを分かりやすく説明した。 生徒は模擬投票用紙を使い、実際の選挙で使う投票箱に一票を投じるデモンストレーションを行った。中島会長は「選挙はより良い暮らしや私たちの思いを実現させるための大切な権利。4月の統一地方選に注目し、選挙や政治に関心を持ってほしい」と話した。
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バスケ楽しさ伝えたい 高校全国出場の神成さん(熱海中出身)市長訪問
熱海市の熱海中出身で、バスケットボールの全国高校選手権大会に出場した兵庫県の報徳学園高3年の神成勁翔(けいと)さんが19日、市役所に斉藤栄市長を訪ね、大会を振り返るとともに今後の抱負を語った。 ポイントガードの神成さんは、試合の悪い流れを変える6番目の選手「シックスマン」として活躍した。同校は初戦を突破したものの、2回戦で複数の留学生を擁する強豪の桜丘(愛知県)と対戦し、延長の末、1点差で涙をのんだ。 小学生のころから憧れていた舞台。神成さんは「チームが一つになって戦えば強くなれると実感した」と振り返った。親元を離れて過ごした高校生活は「大変だったが、家族のありがたさを改めて感じた」と語
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記者コラム「清流」 力強い同級生とともに
熱海市で開催された「二十歳の集い」で、同市出身の大相撲十両、熱海富士(本名武井朔太郎、伊勢ケ浜部屋)のビデオメッセージが上映された。熱海富士も本年度20歳になった若者。郷土の同級生とともに「熱海を盛り上げていけたら」と、あの屈託のない笑顔で語っていた。 昨年の1月、このコラムで十両昇進を決めた彼の話題に触れた。あれからわずか10カ月で新入幕を果たし、地元を大いに沸かせた。だが、上位の厚い壁にぶち当たった。初場所は白星発進したものの、インフルエンザで休場に。残念だが、悔しさを糧に力強さを増して戻ってくるだろう。 「サクに負けていられない」-。同級生の一人はそう語った。壁を乗り越え、一歩ずつ
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青少年育成へ4800万円寄付 熱海ゆかり 柏木さん、故田中さん
熱海市田原本町出身の貿易商、柏木章秀さん(63)=東京都=が19日、市役所に斉藤栄市長を訪ね、市の青少年育成資金として4800万円を市に寄付したことを報告した。 寄付は柏木さんと、同市春日町に住んでいた気学家で今月91歳で亡くなった田中愛子さんの連名。2人は40年来の親交があり、生前から同市への寄付を検討していたという。 柏木さんは「田中さんは熱海への思い入れが強かった。これからの熱海を担う若者のために役立ててほしい」と話した。斉藤市長は「大変ありがたい。田中さんのご遺志に沿った形で大切に活用させていただく」と感謝した。
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飲食、物販店舗「BUSHI MESHI」5月開店へ 住民交流拠点に 熱海のかつお節製造業「丸藤」
熱海市網代のかつお節製造業「丸藤」(藤田昌弘社長)が、同社1階に飲食や物販サービスを提供する新店舗「BUSHI MESHI(ブシメシ)」の開店に向けて準備を進めている。店舗を住民の交流拠点にして、人口減少が著しい港町に活気を取り戻したいと意気込んでいる。 同社1階の鮮魚店の前に、カウンター席などを設けた店舗を設け、主力商品のかつお節を使った軽食を提供するほか、乾物などの土産物を販売する。5月ごろの開店を目指し、現在は内装デザインや軽食のメニューなどを検討している。 今月14日には店舗で使う食器を地元住民から募り、約2800点を集めた。かつて公民館で使っていた婦人会の茶わんや昭和40年代
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熱海芸妓「金色夜叉」名場面を再現 尾崎紅葉没後120年
熱海海岸などを舞台にした小説「金色夜叉」の著者尾崎紅葉をしのぶ第81回尾崎紅葉祭(市主催)が17日、熱海市東海岸町のお宮の松前広場で行われた。熱海芸妓(げいぎ)が小説の名場面を再現する踊りを披露し、観光客らを魅了した。 今年は紅葉の没後120年の節目。市や議会、観光団体の関係者が紅葉の石碑に献花した。斉藤栄市長は「熱海温泉の発展の礎を築いた大恩人。今後もまちの発展を見守ってほしい」と述べた。紅葉のひ孫、横尾靖さん(66)=東京都世田谷区=も出席し「世界や若者に向けて先人が築いてきた文化を守り、伝えていくことが大切」と語った。 献花に続き、芸妓の踊りが披露された。学生服姿の貫一役を琴千代さ
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熱海特産ダイダイでマーマレード作り 4000個製造、販売へ NPO法人オアシス21
熱海市のNPO法人あたみオアシス21(中島美江代表)はこのほど、特産のダイダイを使ったマーマレード作りを同市中央町のいきいきプラザで始めた。31日までメンバーがさわやかな香りの中で作業に打ち込んでいる。 熱海ならではのおもてなしをしようと、2006年に始めた取り組み。今年は約600キロのダイダイを加工し、1瓶230グラム入りを4千個製造する予定。同市昭和町の起雲閣やネットショップなどで販売する。 作業は10日に始まった。17日はメンバーが丁寧にダイダイの果汁を搾り取ったり、皮を細かく刻んだりして作業を進めた。中島代表は「毎年楽しみに待ってくれている人がいる。地場産品を多くの人に味わって
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熱海・老舗和菓子店「間瀬」 創業150年記念でレモンケーキ発売
熱海市網代に本店を構える老舗和菓子店「間瀬」は15日、創業150周年を記念した菓子の第1弾として「熱海レモンケーキ」の販売を開始した。今後も記念商品を次々に販売する予定。 国産レモン発祥の地とされる熱海らしさを前面に押し出した商品として、同市上多賀で栽培されたレモンをふんだんに使った。手作業で丁寧に搾り出した果汁と外皮でさわやかな味わいに仕上げた。 熱海でレモン栽培が始まったのは、同社が創業したのとほぼ同時期という。レモンケーキは洋菓子の修業をした5代目社長の間瀬真行さん(72)が30年ほど前から作り続けている商品で、これまでは年末年始だけ販売していた。150周年を機にパッケージデザイン
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67人9団体の功績たたえる アタミ・ジュニアGP
熱海市青少年健全育成市民会議(野田正身会長)は15日、さまざまな分野で活躍した児童、生徒をたたえる「第22回アタミ・ジュニア・グランプリ」の表彰式を同市のMOA美術館能楽堂で行った。 2022年度は過去最多の67個人9団体を表彰した。同会議名誉会長の斉藤栄市長は壇上で児童、生徒に表彰状を手渡し、「自分のやりたいことにまっすぐに取り組んでほしい。目標に向かって努力する子どもの姿を見ることが大人にとっての喜び」と述べた。 野田会長は新型コロナウイルス禍で我慢を重ねてきた児童、生徒の頑張りをたたえ、「子どもの無限の力を実感した。これからも大きく羽ばたいてほしい」と激励した。 同グランプリは「
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記者コラム「清流」 当事者に寄り添った姿勢を
熱海市が導入を目指している宿泊税を巡り、旅館やホテルから不満の声が上がっている。税そのものというより、現場に十分な説明をしていない市の姿勢に対してだ。 少子高齢化に伴う税収減が避けられない中、基幹産業の観光に磨きをかけるための財源を安定的に確保したい狙いは理解できる。ただ、市の案では宿泊客から1泊につき200円の税を徴収し、市に納める義務を負うのは宿泊施設とされている。現場の理解が不可欠の仕組みといえよう。 客に税の使途などを尋ねられた場合、窓口となる宿泊施設の立場として「市に聞いてください」とはなかなか言えないだろう。伊豆山地区の復旧復興に関してもそうだが、市には当事者が抱える不安や疑
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伊豆山の豊かな海「取り戻す」 地元漁師と水技研 海藻「カジメ」増殖プロジェクト再始動
熱海市伊豆山の漁師でつくる伊豆山漁業会と静岡県水産・海洋技術研究所は10日、特産のアワビやサザエの餌となる海藻「カジメ」を増やす取り組みを伊豆山港で始めた。一昨年の土石流災害で大量の土砂が流入し、海藻がほぼ全滅した同港。しかし昨年からカジメが芽生え始め、復活の兆しを見せている。漁師は「豊かな漁場を取り戻し、支援してくれた人たちに恩返ししたい」と話している。 伊豆山近海では数年前から広範囲で海藻がなくなる「磯焼け」が深刻化していた。そこに土石流が追い打ちをかけ、漁業に打撃を与えた。同会は昨年6月、カジメの幼体が付いた石を沈めて藻場造成を試みたが、思うように生育しなかった。一方で、港内の消波ブ
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熱海の老舗干物店「釜鶴」がレストラン 1月11日オープン アレンジメニューも
熱海市銀座町で150年余り続く老舗干物店「釜鶴」が11日、干物を使ったオリジナルメニューを味わえる飲食店「ヒモノダイニング かまなり」をオープンする。二見一輝瑠(ひかる)社長(44)は「干物の新たな可能性を感じられる場所にしたい」と話している。 国道135号沿いの「釜鶴ひもの店海岸支店」をリノベーションした。34席を設けたレストランでは、従来の「焼く」だけの干物ではなく、カレーライスやハンバーガー、地場の食材とコラボしたアレンジメニューを提供する。主に朝、昼食での利用を想定している。 店舗の地下には源泉「釜鳴の湯」があり、50年ほど前まで共同浴場を営業していたという。新店舗ではそんな歴史
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復興、経済再生に重点 熱海市予算ヒアリング
熱海市は10日、2023年度当初予算編成に向けた市長、副市長による各部、教育委員会へのヒアリングを始めた。伊豆山の土石流災害からの復旧復興や被災者の生活再建支援をはじめ、新型コロナウイルス禍や物価高に対応した経済対策といった重要課題を念頭に編成するとみられる。 市によると、一般会計の予算規模は200億円台前半を想定している。200億円超となれば18年度以来となる。各課の要求額212億8千万円に対し、歳入は177億円600万円を見込む。差額の約35億7千万円を事務レベルの査定で21億円ほどに既に圧縮している。最終的な不足分の財源は起債や財政調整基金の取り崩しで対応する考え。 23年度に新規
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アジの干物、炭火で振る舞う 熱海・網代でまつり、9日まで
熱海市下多賀の大縄公園で8日、毎年恒例の「網代温泉ひもの祭り」(網代温泉観光協会主催)が開かれ、多くの観光客でにぎわった。9日まで。 地元特産のアジの干物3千枚を用意し、協会員が炭火で焼いて来場者に無料で振る舞った。会場には食欲をそそる香りが漂い、炭火の前に行列ができた。サザエのつぼ焼きやサザエ飯、イカの塩辛、イカメンチといった港町ならではのグルメも販売され、人気を集めた。 網代温泉ひもの祭りは2月25、26の両日にも同市の長浜海浜公園で開く。アジの干物の無料提供は各日3千枚を予定している。
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早咲きほころぶ 熱海・梅まつり開幕
熱海市の新春を飾るイベント「梅まつり」が7日、同市の熱海梅園で開幕した。温かな日差しの中で早咲きの梅がほころび、来園者は甘い香りを楽しんだ。3月5日まで。 開幕式典で熱海芸妓(げいぎ)衆が舞を披露し、同市を代表する観光イベントのスタートを華やかに演出した。市観光協会の中島幹雄会長は同日開幕した「糸川桜まつり」(2月5日まで)と併せて「『常春熱海』を多くの観光客に楽しんでほしい」とPRした。 市によると、6日現在、園内の梅469本のうち210本が開花した。「冬至梅」や「八重寒紅」などの早咲きの梅は270本植えられていて、10本が見頃を迎えている。まつり期間中は週末を中心に甘酒や梅茶の無料サ
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熱海を楽しく「おんぱく」スタート 多彩な体験、関係人口増に期待
熱海市の魅力を再発見する体験イベントを集中的に開催する「熱海おんぱく2023 熱海温故知新博覧会」が7日、市内で始まった。同市のまちづくり会社「マチモリ」が2月5日まで、熱海の街、自然、食、アートをテーマに多彩なプログラムを提供する。 同社が09~11年に住民や別荘所有者らをターゲットに開催し、地域活性化のきっかけとなった「温泉玉手箱(オンたま)」を進化させた取り組み。住民自らが「今の熱海」の魅力を発信し、地域外の人との関係を強化するのが狙い。 初日は東京都や神奈川県、石川県から計6人が参加し、同市銀座町の待合茶屋「華志づ本」で芸妓(げいぎ)のこはくさんと交流した。踊りを鑑賞したり芸妓の
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熱海で消防出初め式 200人がパレードや一斉放水
熱海市の消防出初め式が7日、同市の親水公園などで行われた。消防団員ら約200人がパレードや一斉放水などを行い、防火への誓いを新たにした。 式典では、伊豆山の土石流災害で住民の避難誘導や夜間パトロールなどに尽力した市消防団(桜井佳久団長)に内閣総理大臣表彰が伝達されたほか、長年にわたり消防団活動に貢献した団員らを表彰した。植田宜孝消防長は「常備消防と消防団が連携し、引き続き安全安心の確保にまい進する」と述べた。 この他の主な被表彰者は次の通り。 【知事表彰】消防功労 河元晋哉、坂下克己、萩原辰生、西村彰人【県消防協会長表彰】勤続功労章(35年)多田純、太田利康、杉崎文博、甲木公之、尾崎隆
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経済発展へ協力を呼びかけ 熱海3団体が賀詞交歓会
熱海市観光協会(中島幹雄会長)、熱海商工会議所(内田進会頭)、熱海温泉ホテル旅館協同組合(森田金清理事長)は5日、合同の新年賀詞交歓会を市内のホテルで開いた。各種団体、事業所の代表者や行政、議会関係者ら約150人が出席した。 欠席した観光協会の中島会長に代わりあいさつに立った駒嶺洋副会長が、新型コロナウイルス禍で様変わりした観光の形に触れ、「観光地のリーダーとして新しいことに率先して挑戦することが必要」と述べ、地域経済の発展に向けて協力を呼びかけた。 斉藤栄市長は時代に合った観光の仕組み作りの重要性を指摘し、「新たな市場開拓を進めるなどして熱海経済を力強く復活させたい」と述べた。
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熱海芸妓 新春を彩る あでやかな舞 観客魅了
熱海市中央町の熱海芸妓(げいぎ)見番歌舞練場で1、2の両日、「湯めまちをどり華の舞」の新春特別公演が行われた。大勢の観客が訪れ、芸妓(げいぎ)衆の美しい舞に魅了された。 熱海が舞台の小説「金色夜叉」の名場面を再現した踊りや、同市の早春を彩る「熱海梅園梅まつり」のために作曲家中山晋平が手がけた「梅まつりの歌」、花街のにぎわいをうたった「三下り甚句」などを披露した。 熱海芸妓置屋連合組合の公式キャラクター「熱海まめっこ」も正月用に新調した衣装で登場し、愛嬌(あいきょう)をふりまいた。新型コロナウイルス禍で見合わせていた芸妓衆との記念撮影も再開し、観客は正月の思い出をカメラに収めた。 同組合
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熱海梅園梅まつり/あたみ桜糸川桜まつり 1月7日、熱海で開幕
熱海市の新春を飾るイベント「第79回熱海梅園梅まつり」と「第13回あたみ桜糸川桜まつり」が1月7日、開幕する。 熱海梅園で開催される梅まつりは3月5日まで。園内には早咲きから遅咲きまで60品種469本の梅が植栽されている。週末を中心に中央広場で大道芸や音楽演奏などのイベントが繰り広げられる。日曜、祝日には甘酒や梅茶の無料サービスも行う。 「日本で最も早咲きの桜」と言われるあたみ桜が植えられている市中心部の糸川沿いで開催される桜まつりは2月5日まで。土日曜と祝日に飲食店が出店するほか、桜茶が振る舞われる。期間中は午後4時半~11時にライトアップを行う。
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復興と飛躍を 画家が干支ラベル 熱海・純米酒「天虹」販売
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の復興支援を続ける同市渚町の日本画家坂本武典さん(46)が手がけた新春干支(えと)ラベルを貼った純米酒「天虹(てんこう)」の販売が29日、市内の酒店で始まった。製造元の駿河酒造場(静岡市駿河区)は売り上げの一部を伊豆山の災害支援金として市に寄付する。 ラベルの絵は、2023年の干支、卯(う)が熱海の海を背景に元気に飛びはねる姿を描いた「波兎(なみうさぎ)熱海湾を奔(はし)る」。熱海梅園の梅や海に浮かぶ初島も描かれている。 波兎は古くから縁起物として親しまれている図柄。「熱海が元気に飛躍することを願って描いた」と坂本さん。29日に天虹を店頭に並べた熱海市
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ミカンに囲まれ宿泊いかが 熱海の旅館 特産品や観光、客室に演出
熱海市東海岸町の旅館「湯宿みかんの木」(藤間恵見子社長、客室数14)にこのほど、熱海の特産品や観光資源を前面に押し出した客室「コンセプトルーム」が登場した。ミカンと海がテーマで、大人から子どもまで「わくわくできる空間」を演出している。 コンセプトルームは、特定のテーマに沿ってデザインした部屋。若手女性スタッフのアイデアを基に、二つの客室を約1カ月かけて改装した。 このうち「蜜柑(みかん)」と名付けた客室は、壁一面にミカンの輪切りの写真を貼り、畳や天井も淡いオレンジ色にして明るい印象に仕上げた。もう1室の「南津海(なつみ)」はクラゲが漂う壁紙を貼り、海の中にいるような感覚を表現。畳は薄い灰
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熱海土石流 「復興麺」で被災地の姿発信 創業80年のコマツ屋製麺、工場再建しふるさと納税返礼品に出品
熱海市伊豆山の大規模土石流で被災した創業80年以上の老舗「コマツ屋製麺」が、再建した工場で製造した商品を同市のふるさと納税の返礼品として出品している。発災からまもなく1年半。中島秀人社長(54)は「諦めずに頑張る被災地の姿を発信し、災害の風化を防ぎたい」と話し、地域再生に協力を呼びかけている。 昨年7月3日、中島さんの自宅兼工場は大量の土砂が流れ込み、機械類や冷蔵庫が損壊した。建物は立ち入り禁止の警戒区域内にあり、事業再開のめどが立たない。それでも中島さんは「絶対に工場を畳みたくない」との思いで工場再建を決意。クラウドファンディングで募った資金を活用して同市上多賀に新工場を設け、今年7月に
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復興願い「がんばろう」 熱海海上花火大会 ドローン100機で彩る
熱海市の熱海湾で24日夜、2022年最後の熱海海上花火大会が開かれ、3千発が冬の夜空を鮮やかに彩った。ドローンを駆使したショーも初めて行われ、観客を魅了した。 花火に先立ち、高輝度の発光ダイオード(LED)を搭載した100機のドローンが登場し、夜空をキャンバスにクリスマスツリーや熱海温泉ホテル旅館協同組合の公式キャラクター「あつお」などを描いた。新型コロナウイルス禍や伊豆山地区の土石流からの復興を祈り、「がんばろう」とのメッセージも発信した。 主催団体によると、この日は約5千人が見物に訪れた。
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熱海署 警察犬所有者に嘱託書「市民安全に力添えを」
熱海署は23日、嘱託警察犬の所有者兼訓練者の菅原小夏さん(47)=熱海市泉=に嘱託書を交付した。 嘱託警察犬はシェパードの「エヴァ オブ サラ ロブスタ号」(7歳、雌)で、10月下旬に行われた審査会で合格した。来年1月1日から1年間、行方不明者の捜索や事件捜査などで活動する。 菅原さんは「年々警察犬が減っているので広報活動などでも貢献したい」と話した。本間章浩署長は「市民の安全のために力添えしてほしい」と期待した。
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熱海市側、初弁論欠席 遺族批判に市長釈明「弁護士の助言受け」 熱海土石流損賠訴訟
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟で、市側が第1回口頭弁論に欠席したことについて、斉藤栄市長は23日の定例記者会見で「出席したかったが、弁護士の助言を受けてやむを得ず欠席の判断をした」と述べた。市の対応に遺族から批判が出ていて、今後の復旧復興事業に影響を与えかねないとの声も上がっている。 第1回口頭弁論は今月14日、静岡地裁沼津支部であり遺族が意見陳述を行った。県側は代理人が出廷していたが、市側は弁護士と市職員計13人の代理人全員が欠席した。 斉藤市長は会見で「原告と裁判所が決めた弁論期日に顧問弁護士の予定が合わなかった」と釈明。指定代理人
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ピングーがお出迎え 初島、十国峠でコラボ 富士急行
富士急行は24日から2023年2月5日まで、スイス生まれの人気キャラクター「ピングー」とのコラボレーションイベントを静岡県内唯一の離島である熱海市初島や、同市と函南町の境にある十国峠などにある同社グループが運営する施設で展開する。 熱海港-初島港の定期船「イルドバカンスプレミア号」と十国峠のパノラマケーブルカーをピングーのキャラクターで装飾し特別運転する。初島のリゾート施設「PICA初島」のレストランや十国峠の山頂カフェではコラボメニューを提供する。十国峠の山麓売店では、タンブラーやマスキングテープなどのグッズを販売する。 熱海市東海岸町のホテル「熱海シーサイドスパ&リゾート」と初島の「
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芸妓文化を身近に 熱海の園児が見番見学 扇子の使い方も学ぶ
熱海市のあたみこども園の年長園児がこのほど、同市中央町の熱海芸妓(げいぎ)見番を訪れ、芸妓衆の踊りの稽古を見学した。芸妓の“商売道具”である扇子の使い方も学び、熱海を代表する伝統文化の魅力に触れた。 芸妓5人と踊りの師匠の花柳あらたさんが講師を務めた。華やかな舞を披露する芸妓に園児は興味津々。大人用の扇子が一人一人に配られると、しなやかな動きで扇子を開いたりとじたりする動作を教わった。熱海芸妓置屋連合組合の公式キャラクター「熱海まめっこ」も登場し、園児を楽しませた。 市教委は子どもの郷土愛を育むことを目的に、2020年度から地元の自然や文化を生かした「特色ある保
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熱海土石流/損賠訴訟併合審理へ 責任追及、当事者そろう【追跡2022③】
14日、静岡地裁沼津支部の法廷。「住民の生命財産を守る責務を全うするために、行政はやるべきことをやってきたのか。到底そうは思えない」。熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族、被災者でつくる「被害者の会」の瀬下雄史会長(55)の怒りを帯びた低い声が響いた。 未曽有の「人災」の責任追及を巡り、遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論。被告席で瀬下会長の意見陳述に耳を傾けたのは県の代理人のみで、熱海市の代理人の姿はなかった。 事前に答弁書を提出した市が初弁論を欠席することは法的に認められている。ただ、遺族からは「不誠実だ」「私たちと向き合う気がないのか」と怒りや嘆きの声
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熱海市行財政審「現場に丁寧な説明を」 宿泊税導入で議論
熱海市行財政審議会(石井倭雄会長)は20日、市が諮問している宿泊税の創設に関する2回目の会合を市役所で開いた。委員からは、現場で税を徴収する立場になることが想定される宿泊施設側に丁寧な説明を求める声が上がった。 市は観光振興財源を安定的に確保する方策として、法定外目的税の宿泊税を導入し、来遊客の満足度向上や持続可能な観光地経営を目指している。諮問案では、宿泊施設が特別徴収義務者として一律200円の税を客から徴収し、市に納める方法を提示している。 審議会の委員を務める市ホテル旅館協同組合連合会の森田金清代表理事は、宿泊税の意義に理解を示しつつ「現場に制度の説明が伝わっていない。税の使途を明
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縄跳び耐久 児童が真剣勝負 熱海で大会
熱海市子ども会育成指導者連絡協議会(須田哲義会長)は17日、縄跳びの耐久時間を競う「第47回なわとび大会」を同市下多賀の南熱海マリンホールで開いた。市内の小学1~6年生約70人が参加し、日頃の練習の成果を披露した。 学年、男女別で行われ、20分間を上限に両足1回前跳びをどれだけ跳び続けられるかを競った。児童は一点を見つめながら真剣な表情で競技に取り組んだ。 20分間跳び続けて5年生女子の部で優勝した第二小の赤山椿季さん(11)は「大会に向けて3週間前から練習をしてきたので、とてもうれしい。来年も優勝目指して頑張りたい」と笑顔を見せた。
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物価高騰で事業者に支援金 2月末まで受け付け 熱海市
長期化する新型コロナウイルス禍やエネルギー価格などの高騰を受け、熱海市は16日、市内事業者を対象とした支援金の申請受け付けを開始した。来年2月末まで受け付ける。 支援金は法人に4万円、個人事業者に2万円支給する。申請時点で事業実態があることや、納期までに市税を完納していることなどが条件。 市ホームページから申請書を入手し、必要書類を添えて市観光経済課産業振興室に原則郵送で申し込む。専用フォームからの電子申請も可能。ただし今月21日~来年1月13日はシステムメンテナンスのため、アクセスできない。 問い合わせは同室<電0557(86)6203>へ。
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熱海の紅白梅 上皇さまに献上へ 健康祈り厳選40本
熱海市は15日、上皇さまの誕生日(23日)をお祝いして贈る「献上梅」の枝切りを同市の熱海梅園で行った。上皇さまが皇太子だった1969年から続けていて、今年で54回目。 市職員らが、つぼみが大きく膨らんだ早咲きの紅梅「八重寒紅」と白梅「冬至梅」計40本を厳選した。緊張した表情で枝にはさみを入れた公園緑地課の加藤可奈さんは「上皇さまの健康と長寿を祈りながら切った。誕生日に見頃を迎えられれば」と話した。 梅は16日に市職員が東京都港区の仙洞(せんとう)御所に届ける。同市と親交のある英国、韓国、ブルネイの各大使館にも贈る。 同園では10月21日に梅の初開花が確認された。過去10年間で最も早い開
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熱海市議会が閉会 5議案可決、同意
熱海市議会11月定例会は15日、最終本会議を開き、2022年度一般会計補正予算案など5議案を原案通り可決、同意して閉会した。「加齢性難聴者の補聴器購入」に関し、市に助成制度の創設を求める請願も採択した。 同市伊豆山の大規模土石流に関する調査特別委員会(百条委員会)は11月定例会で検証結果を報告する方針を示していたが、取りまとめに時間を要しているため2月定例会で報告する見通しになった。
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⚽東海リーグ2部昇格 社会人サッカークラブ「SS伊豆」 熱海市長に喜び報告
熱海市の姫の沢スポーツ広場をホームグラウンドとする社会人サッカークラブ「SS伊豆」が東海社会人リーグ2部昇格を決めた。同クラブの片岡大輔代表が13日、市役所に斉藤栄市長を訪ね、来季の抱負を語った。 県社会人リーグ1部の同クラブは今月3、4日に三重県で行われた東海社会人サッカートーナメント大会で2連勝し、東海リーグ2部昇格を決めた。昨年も同大会への出場権を得ていたが、新型コロナウイルス禍で中止になっていた。 伊豆山の復興支援などのボランティア活動にも力を入れている同クラブ。片岡代表は「地域に支えられて戦ってきた。来季もチャレンジ精神を忘れずに戦いたい」と語った。斉藤市長は「スポーツで本市
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退任民生委員ら24人に感謝状 熱海市が贈呈式
熱海市はこのほど、退任した民生委員・児童委員に対する感謝状贈呈式を市役所で行った。斉藤栄市長が住民福祉の向上に貢献した24人の功績をたたえ、感謝状を手渡した。 退任者を代表して市民生委員・児童委員協議会長を務めた谷口成伸さんが、昨年7月に同市伊豆山で発生した大規模土石流の際に避難所で行ったボランティア活動などを振り返り、「活動を続けてこられたのは先輩、同僚の支えと行政のサポートのおかげ」と感謝の言葉を述べた。 同日は、新任の24人を含む同委員への委嘱状伝達式も行った。
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市長「5億円見込む」 熱海土石流 被災地の公共施設整備
熱海市の斉藤栄市長は8日、伊豆山地区の土石流被災エリアの復興事業に関し、逢初(あいぞめ)川両岸に整備する市道の用地取得や造成の費用と、公園、緑地などの公共施設整備費に5億円程度を見込んでいることを明らかにした。市議会11月定例会で稲村千尋氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。 市が復興事業の柱に据える「小規模住宅地区改良事業」で行う宅地の用地買収や造成の費用は含まれていない。斉藤市長は事業推進に向けて「計画区域内の権利者の協力が不可欠。合意形成に努める」と強調した。 宿崎康彦観光建設部長は同事業の合意形成の進捗(しんちょく)について「年内にも権利者を個別に伺い、事業への理解、協力を得たい」
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熱海観光 お座敷遊びは泊食分離で 市が新プラン、地場の味堪能
新型コロナウイルス禍の影響で宴席が激減している芸妓(げいぎ)の活躍の場を創出しながら、新たな観光コンテンツを生み出そうと、熱海市は熱海芸妓置屋連合組合などと協力して新たな観光商品のテスト販売を始めた。地元の飲食店が提供する食事とともにお座敷遊びが楽しめるプランで、2月上旬まで催行している。 コロナ感染対策の行動制限が撤廃され、観光の客足がコロナ以前の水準に戻りつつある同市。この3年間で旅行形態は大きく変わり、芸妓衆の“主戦場”である宴席の需要はなかなか回復しないのが実情だ。 こうした中、市はウィズコロナに対応した旅行スタイルとして、宿泊客がホテルや旅館以外で食事を
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生活再建へ支援訴え 土石流発生から1年5カ月 熱海・伊豆山
災害関連死を含め27人が死亡した熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年5カ月が経過した。被災現場付近で犠牲者に黙とうをささげた被災者からは、生活再建に向けた行政の支援の必要性を訴える声が聞かれた。 立ち入りが原則禁止の警戒区域には、公費解体の対象にならない半壊未満の住宅が数多く残っている。長い月日の間に家の傷みが進んでいるため、避難先からの帰還を諦めている住民も少なくない。 市は土石流の起点付近に残る不安定土砂の撤去と新たな砂防ダムの完成を前提に、来夏に警戒区域を解除する方針だ。ただ、それまでの間、半壊未満の住宅を維持管理するための補助制度はない。 全壊した自宅の公費解体が終わ
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熱海高と旅館の事例 産官学連携の重要性理解 静岡県教育研究会
静岡県教育研究会商業部会はこのほど、地域と学校の連携や地元就職率の向上をテーマにしたパネル討論会を熱海市下多賀の旅館「ニューとみよし」で開いた。県内の商業科設置校の教員が、熱海高の実習「高校生ホテル」などの事例を通じて産官学の連携の重要性に理解を深めた。 高校生ホテルは観光地の特色を生かして地域に根付く人材を育てようと、熱海高が同旅館の協力を得て2016年に始まった。接客などの訓練を重ねた生徒が2日間、同旅館を運営する。 パネリストを務めた同校の小見山秀彦教諭は「単発ではなく、継続した取り組みにするために地域の人に生徒を育ててもらう環境づくりが重要」と述べた。同旅館の富岡篤美社長は「生徒
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アカオ ホテル事業売却へ 12月中旬めど、米投資ファンドに
熱海市のアカオ・スパ&リゾートは22日までに、ホテルアカオアネックス(旧ホテルニューアカオ)とホテルアカオ(旧ロイヤルウイング)を、12月中旬をめどに米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却すると発表した。両施設の運営は、同ファンド系のマイステイズ・ホテル・マネジメント(東京都)が引き継ぐ。 1973年に開業した旧ホテルニューアカオは、景勝地の錦ケ浦に面した同市を代表するホテルだったが、新型コロナウイルス禍に伴う客室稼働率の低迷や施設の老朽化により昨年11月に営業を終了していた。以来、アカオ社の宿泊事業は敷地内のホテルアカオに一本化していた。 アカオ社はホテル事業か
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交通事故防止に尽力 栗本油店の山田さんダブル受賞
熱海署と熱海地区安全運転管理協会はこのほど、優良安全運転管理者などとして関東管区警察局長・関東安全運転管理者協議会連合会長連名表彰を受けた熱海市和田浜南町のガソリンスタンド「栗本油店」の代表取締役山田晃弘さんに表彰を伝達した。 同社は交通安全優良事業所としても表彰され、山田さんはダブル受賞を果たした。同署で安本剛洋副署長と小原進一会長から表彰状などを受け取った山田さんは「従業員に安全運転を徹底するよう指導している。観光客にも交通安全を呼びかけていきたい」と話した。
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租税教育を推進 第二小に感謝状 熱海税務署
熱海税務署は17日、租税教育を推進している熱海市立第二小に感謝状を贈呈した。 同校は毎年、税に関する作文やポスターなどを積極的に応募しているほか、多方面から講師を招いて6年生を対象にした租税教室を開くなどしている。 同校で藤沢久志署長から感謝状と記念品を受け取った加藤悦子校長は「税の使われ方などに関する児童の学びが深まっている。今後も継続していきたい」と話した。
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熱海市結団式「仲間信じ全力で」 目標20位以内【市町対抗駅伝】
12月3日に静岡市で開かれる県市町対抗駅伝(静岡陸上競技協会、静岡新聞社・静岡放送主催)の熱海市チームは17日夜、同市の多賀中で結団式を行った。選手を代表して小川知紘さん(熱海中3)と小竹花歩さん(多賀中2)が「仲間を信じてたすきをつなぎ、最後まで諦めずに全力で走りきる」と健闘を誓った。 9月から強化練習を重ねてきた。大川慎一郎監督(初島小教諭)は「市の過去最高を上回る2時間21分50秒、20位以内」を目標に掲げた。斉藤栄市長は「練習の成果を存分に発揮してほしい。市民みんなが応援している」と激励した。 その他の選手は次の通り。 石田璃久登(第二小6)平井哲太(多賀小6)斉藤晴伸(第一小
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ゼロカーボンシティー実現へ 熱海市と熱海ガスが連携協定
熱海市と熱海ガス(同市)はこのほど、ゼロカーボンシティー実現に向けた連携協定を締結した。温室効果ガス排出量「実質ゼロ」を目指して、公共施設の脱炭素化や環境教育をともに推進する。 斉藤栄市長は9月の所信表明で、2050年をめどに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティー宣言を行った。一方、熱海ガスは観光文化施設「起雲閣」のカーボンニュートラル(CN)電気導入を後押しするなど脱炭素社会に向けた取り組みを強化している。 協定により、市と同社は環境に関する情報発信や教育を推進し、地球温暖化防止に対する市民意識の向上を図る。ゼロカーボンシティー実現に関する具体的な事業は今後協議
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パーティーバイクで熱海周遊 8人乗り、19日開業 オランダ発祥の体験型アクティビティー
オランダ発祥のカウンター付き8人乗り自転車で熱海市内を周遊する「熱海パーティーバイク」が19日、営業を開始する。運営スタッフは観光地の新たなアクティビティーを通じて、熱海の魅力を体感してもらおうと意気込んでいる。 カウンターを囲むように座席が設置されていて、乗客は地ビールや熱海特産のダイダイを使ったドリンクを味わいながらペダルをこいで街を巡る。ハンドルやブレーキの操作は専従の運転手が行い、ガイドも同乗する。 海岸沿いの同市渚町や熱海銀座商店街などを約40分かけて回るコースを用意している。途中、地元土産店などの商品を試食する時間を設ける。最少催行人数は4人。1人3300円。別途1ドリンクオ
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薄いピンク色 熱海「ヒマラヤ桜」の原木開花 例年並み
熱海市は15日までに、同市下多賀の熱海高付近の斜面で育つヒマラヤ桜の原木が開花したと発表した。市によると、開花時期は例年並みで、11月末ごろから12月上旬に見頃を迎える。 原木の種は、ネパールのビレンドラ元国王に熱海の桜と梅を献上した熱海植物友の会への返礼として、1968年に贈られた。以来、ネパールとの友好のシンボルとして大切に育てられている。 例年11月中旬に開花していて、今年は14日に市公園緑地課の職員が確認した。15日は日当たりの良い南側の枝に薄ピンク色の花や開花間近のつぼみが多く見られた。市内では渚町の渚親水公園でも開花が進んでいる。
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台風15号で静岡市に派遣 熱海市職員が活動報告
台風15号に伴う大雨で甚大な被害が出た静岡市に応援職員として派遣された熱海市税務課の松山弘夢副主任が15日、市役所で斉藤栄市長に活動報告した。 松山副主任は10月31日から11月4日まで静岡市の葵区役所で被災届出証明書の受け付けや交付などを行った。 松山副主任は「多岐にわたる支援策を全て把握し、正しく案内する責任の大きさを改めて感じた」と述べた。斉藤市長は「今回の経験を庁内で共有してほしい」と呼びかけた。
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シニア向けマンション入居者の力作展示 熱海・起雲閣、20日まで
シニア向けマンション「中銀ライフケア」の入居者の自慢の作品を展示した「中銀ライフケア総合美術展」が15日、熱海市昭和町の起雲閣で始まった。20日まで。 38人が手がけた絵画や書、クリスマスリースなど計59点が並んだ。繊細な筆遣いや美しい色彩などが光る力作が来場者の注目を集めている。 自作の絵本「空と海」とともに、居室から見える海の風景画を出品した古田凛さん(82)は「天気によって毎日違う表情を見せてくれる。まるで人生みたい。自然が美しい熱海がとても気に入っている」と生き生きとした表情で話した。 開場時間は午前10時~午後4時。16日は休館。
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優良運転者ら表彰 交通安全協会熱海地区支部など
静岡県交通安全協会熱海地区支部と熱海署はこのほど、2022年度下半期の交通功労・優良運転表彰式を熱海市役所で行った。交通安全に貢献した22人に原規行支部長と本間章浩署長が表彰状を贈呈した。 表彰を受けた人は次の通り。 交通功労銅賞 山田康裕(和田町)▽優良運転銅賞 磯貝邦子(上多賀)椎野利夫(同)瀬尾孝寛(春日町)横山明(清水町)▽優良運転青銅賞 飯塚岳徳(下多賀)岩下恵子(上宿町)後藤希実(西山町)佐藤真樹(梅花町)杉本久子(伊豆山)高瀬文夫(福道町)土屋明彦(網代)土屋泰彦(同)冨田謙吾(上多賀)早瀬千勢(和田町)平野善次(上多賀)松本啓太(福道町)水野伸之(網代)山田宏美(水口町)
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起点周辺の盛り土、開発行為 専門家「行政や所有者 早急な対策を」 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土と周辺の開発行為の問題点について学ぶ勉強会が11日夜、現地の集会場で開かれた。土石流の原因究明を続ける土木設計エンジニアで、市議会調査特別委員会(百条委員会)に参考人として出席した清水浩さん(54)が現場の状況を解説し、行政や土地所有者が適切な対策を早急に講じる必要があると指摘した。 県は行政代執行で起点付近の不安定な土砂約2万立方メートルを撤去する一方、周辺の約1万立方メートルの盛り土は「安定している」として撤去しない方針を示す。ただ、清水さんは「試掘するなどして本当に安全だという根拠を示すべきだ」などと、県の姿勢を疑問視した。 崩落部北側
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納税功労者ら7人に表彰状 熱海税務署
熱海税務署と熱海伊東税務推進協議会は11日、2022年度の納税表彰式を熱海市の同税務署で行った。 税務行政の推進に貢献した7人に、藤沢久志署長が表彰状を手渡し「日頃から皆さまのさまざまなご尽力により税務行政が成り立っている。今後もご協力をお願いします」と感謝した。名古屋国税局長表彰を受けた熱海市の山田泰基さん(熱海伊東青色申告会理事)の功績披露もあった。 表彰を受けた人は次の通り。 熱海税務署長表彰 河野努(熱海市)佐藤敬子(同)▽熱海伊東税務推進協議会長表彰 大塚和輝(伊東市)菊地康友(熱海市)杉本賀一郎(伊東市)寺島淳二(熱海市)中山光弘(同)
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熱海土石流被災 「午の湯」復活へ掘削進む 年度末の完了目指す
熱海市の伊豆山温泉組合は10日、日本三大古泉に数えられる「走り湯」の源泉のうち、昨年7月の大規模土石流で被災した「午(うま)の湯」の復活に向けて進めている掘削工事の現場を視察した。組合員は伊豆山のシンボルである走り湯の早期復旧を願った。 走り湯には2本の源泉がある。このうち横穴式源泉の「戌(いぬ)の湯」は被災を免れたが、伊豆山港近くの午の湯は機械設備も含めて全て土砂に埋まった。現在は戌の湯のみを利用施設に供給しているが、湯量が足りないため観光スポットの足湯は休止したままだ。 午の湯の復活に向けた掘削作業は10月中旬に開始。被災前の源泉から約1・2メートル離れた場所を600メートル掘る計
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e-Taxの利用推進 熱海伊東青色申告会など車にステッカー
税を考える週間(11~17日)に合わせ、熱海伊東青色申告会と熱海税務署は11日、国税電子申告・納税システム「e-Tax」の普及推進・PR宣言式を熱海市の同税務署で行った。 同会の富岡篤美会長と橋本慎一郎青年部長、藤沢久志署長が会員事業所の社用車にPRステッカーを貼った。確定申告が終わる来年3月15日まで、53台の車で広報活動を行う。富岡会長は「スマートフォンで確定申告ができることやインボイス制度への理解を呼びかけていきたい」と述べた。
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新入幕 熱海富士にエール 市役所に写真パネル、懸垂幕
13日に初日を迎える大相撲九州場所で新入幕する熱海市出身の熱海富士(本名武井朔太郎、伊勢ケ浜部屋)を応援しようと、地元後援会は11日、同市役所に熱海富士の写真パネルや懸垂幕を設置した。来庁者は郷土の星の活躍に期待した。 市役所1階ロビーには、化粧まわしを付けた熱海富士の写真パネルが掲げられた。たくましい表情に見入っていた堤三枝子さん(72)は「熱海は最近いろいろなことがあったが、若い人の活躍に勇気づけられる。さらに上を目指してほしい」と話した。熱海富士の取組を毎場所楽しみにしているという平美恵子さん(80)は「本当にいいしこ名。今までは早い時間の取組だったが、これからは落ち着いてテレビ観戦
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いで湯の永続と復興祈願 熱海・伊豆山神社で温泉感謝祭
熱海市の伊豆山神社と伊豆山温泉組合は10日、同神社で温泉感謝祭を執り行った。伊豆山地区の宿泊施設や源泉所有者計23人が参列し、いで湯の恵みの永続と土石流災害からの一日も早い復旧復興を願った。 神事に続き、参列者が同日朝に各施設でくみ上げた「初湯」を本殿前に置かれたたるに注ぐ「献湯の儀」が行われた。初湯は火と水をつかさどる同神社の祭神「天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)」にささげた。 同日は、昨年7月の大規模土石流で甚大な被害を受けた赤井谷、走り湯の両温泉組合に、県温泉協会が募った寄付金計16万6400円が贈られた。 伊豆山温泉は1300年の歴史があるとされる。感謝祭は伊豆山の温泉利
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芸妓衆が一日署長 雑踏事故防止PR 熱海署
熱海署はこのほど、熱海芸妓(げいぎ)置屋連合組合の芸妓衆に特別警備対策監や一日署長などを委嘱し、熱海市で開催された熱海海上花火大会の来場者に防犯や雑踏事故防止の広報活動を行った。 同組合長の美保さんが特別警備対策監、小夏さんが一日署長、琴千代さんと公式キャラクター「まめっこ」が安全安心アンバサダーとして、それぞれ本間章浩署長から委嘱状を受けた。 美保さんはソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)の雑踏事故を受け「予想しない事件や事故がいつ起きるか分からない。お客さまが安全に楽しめるよう万全の警備をお願いします」と署員に訓示した。 同署は花火大会開催日に、市や観光関連団体とともにJR熱海駅で
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ロープ渡りに子ども挑戦 熱海で防衛防災フェスタ
熱海市の渚小公園で6日、安全安心をテーマにしたイベント「あたみ防衛防災フェスタ」「消防ひろば」が開かれた。警察、消防、自衛隊、海上保安庁、熱海建設業協会がそれぞれブースを出展し、防災や防犯、交通安全などをPRした。 パトカーや消防車、自衛隊車両などを展示したほか、ロープ渡り、煙ハウスなどの体験コーナーが設け、子どもたちが挑戦した。ご当地ヒーローのショーなども行われ、会場を盛り上げた。 市防火協会幼年消防クラブに参加する富士保育園、栄光熱海中央保育園、MOAあたみ幼児学園の園児が「火の用心」の歌を合唱し、来場者に防火意識の向上を呼びかけた。 公園近くのスパ・マリーナ熱海では「マリンフェス
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若手芸術家、熱海に集結 27日まで「アートグラント」 旧ホテルニューアカオも会場に
熱海市内を回遊しながら国内外の若手芸術家の作品が楽しめる「アタミアートグラント2022」のオープニングセレモニーが4日、同市熱海のアカオ・スパ&リゾートで開かれた。50組の参加芸術家や関係者が集まり、アートの力で地域を盛り上げるイベントのスタートを祝った。 新進気鋭の芸術家が手がけた絵画、写真、映像、立体、照明などの作品を27日まで市内21カ所で展示している。昨年惜しまれながら営業を終了した旧ホテルニューアカオも会場の一つ。昭和の雰囲気が漂うロビーやダンスホール、客室などにユニークな作品が並ぶ。熱海魚市場や姫の沢公園、来宮神社なども会場になっている。 セレモニーで、イベント発起人の中野善
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住宅密集地 火災を防げ 熱海で消防演習
熱海市消防本部は6日、市内2カ所で市消防団との合同演習を行った。消防本部の2隊と初島を除く消防分団計10団の計約200人が参加し、迅速な消火体制を確認した。 市中心部では、住宅密集地で火災が発生し強風で延焼している事態を想定した。隊員らは消火栓から素早くホースをつなぎ、出火現場に見立てた糸川へ一斉に放水した。 合同演習は、秋の火災予防運動(9~15日)の一環で実施した。桜井佳久消防団長は「これから空気が乾燥し火災が起きやすくなる。常備、非常備消防が連携し、火災を出さないよう啓発に努めたい」と述べた。
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浜焼きや干物作り盛況 熱海おさかなフェスティバル
熱海市渚町の親水公園で5、6の両日、地場産の新鮮な魚介類を堪能できる「第12回熱海おさかなフェスティバル」(実行委主催)が開かれ、大勢の行楽客でにぎわった。 アジやカマスなどの干物や伊勢エビ、アワビなどが格安で販売された。会場に設けられた浜焼きコーナーは開場後すぐに満席になるほどの盛況ぶりで、家族連れが七輪を囲んで海の幸に舌鼓を打った。 干物作りの体験コーナーも人気を集めた。干物店スタッフの指導の下、子どもたちがイサキやアジなどを開いた。魚を塩水に浸して乾かす工程を保護者も珍しそうに見物していた。 同市の干物店「釜鶴」の二見一輝瑠(ふたみ・ひかる)社長は「海の恵みをいただいていることを
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「アートグラント」開幕 若手芸術家の作品 熱海市内彩る
熱海市内を回遊しながら若手芸術家の作品を楽しめる「アタミアートグラント2022」(実行委主催)が3日、開幕した。公募で選ばれたり、市内に滞在しながら制作したりしてきた芸術家やグループ計50組の作品がまちを彩っている。27日まで。 同市昭和町の起雲閣では、絵画、写真、映像などの視覚メディアを活用した高木彩圭さんの作品が展示されている。かつて旅館だった起雲閣を愛した谷崎潤一郎、山本有三、志賀直哉といった文豪の小説の一節を多彩な手法で表現している。来館者は、起雲閣の日本庭園と調和した美しい世界観を楽しんだ。 アートグラントは「熱海の魅力をアートにより再発見」することを目的に昨年スタートした。今
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熱海MOA美術館で展覧会 「人間国宝」工芸品、間近で
熱海市桃山町のMOA美術館で12月11日まで、日本の伝統工芸を手がける12人の重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品を集めた「ホモ・ファーベル展 12ストーン ガーデン」(同美術館、ミケランジェロ財団、日本工芸会主催)が開かれている。 工芸技術の振興と次世代への継承をテーマに、4月にイタリアのベネチア・ビエンナーレに合わせて開催された展覧会の帰国展。日本民芸館の深沢直人館長とMOA美術館の内田篤呉館長が企画した。世界から注目を集めた日本の名工の技が光る焼き物、蒔絵(まきえ)、漆器、織物などを間近で堪能できる。 展覧会の開幕に合わせて開かれた記者会見で、ミケランジェロ財団のアルベルト・カヴ
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熱海成田山に「宝相華」奉納、お披露目 絵付師宮本さん
熱海市水口町の寺院・熱海成田山で1日、開創88周年例大祭特別大護摩供が執り行われ、同市春日町の絵付師宮本美夏さん(63)が描いた宝相華(ほうそうげ)がお披露目された。 宝相華は仏を供養するための花の模様。朱色や緑などの極彩色に塗られた本尊の柱に、かれんな牡丹(ぼたん)の花が描かれている。3年前に同市の日本画家坂本武典さんが奉納した天井画「月輪花銀河」と調和し、荘厳さを増した。 欧州の建築物の室内装飾を手がける傍ら、仏教美術を学んできたという宮本さんは「自分の作品を奉納できる機会を与えてくれて感謝している。地元の人を優しく包み込む場所になれば」と期待した。 特別大護摩供では住民らが家内安
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伊豆山「安全なまちに」 熱海土石流 発生1年4カ月を前に法要
熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から1年4カ月が経過するのを前に、地元の主要団体でつくる「熱海伊豆山で心をつなぐ集い」は2日、被災現場近くの寺院「般若院」で法要を営み、犠牲者の冥福と地域の復興を祈った。 同団体は今年2月から毎月、慰霊行事を行っている。この日は町内会や観光関係団体の役員ら約20人が出席し、読経に合わせて焼香した。 被災現場は今も立ち入りが規制されている警戒区域。泥をかぶったまま公費解体を待つ被災家屋が多く残っている。県と市は、河川改修や道路整備に向けて地権者と用地交渉を進めているが、本格的な工事が始まるまでにはまだ時間を要する。 市は逢初(あいぞめ)川源頭部の不安定土砂
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台風15号 静岡市派遣2職員が活動報告 熱海市
台風15号に伴う大雨で甚大な被害が出た静岡市清水区に、被害家屋認定調査の応援に派遣された熱海市職員2人が2日、斉藤栄市長に活動内容などを報告した。 派遣されたのは、税務課の小松一行副主任と森田翔大主事。2人は10月24~30日に同区で調査に当たった。 小松副主任は「地震や津波が発生した場合、熱海市では甚大な被害が出ると思う。その時に今回学んだことが生かせれば」と語った。森田主事は「職員として緊急時に期待されていること、信頼されていることを強く感じた」と振り返った。 2人にねぎらいの言葉をかけた斉藤市長は「災害時のノウハウや学んだ知見を庁内で共有してほしい」と呼びかけた。
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津波災害警戒区域 熱海で指定説明会 静岡県と熱海市
静岡県と熱海市は1日、来年3月に同市など県内7市で指定を予定している津波災害警戒区域に関する説明会を市役所と初島漁業総合会館で開いた。 同市の指定予定区域は、県第4次地震被害想定(レベル2)の最大津波で浸水被害が予想される熱海港沿岸部と多賀、網代、初島地区。区域指定されると市はハザードマップの作成や周知、避難困難者が利用する施設の避難確保計画の作成などが義務づけられる。 県の担当者は区域指定について「より確実に逃げるための体制が整備され、人命を守ることが可能になる」と理解を求めた。市の担当者も、避難誘導標識の増設や避難行動を各自でまとめる「わたしの避難計画」の作成を推進して市民の防災力を
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新入幕の熱海富士に期待 熱海市長「さらなる活躍を」 大相撲
31日に発表された大相撲九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)の番付で、熱海市出身の熱海富士(20)=本名武井朔太郎、伊勢ケ浜部屋=が西前頭15枚目で新入幕を果たしたことを受け、斉藤栄熱海市長は同日、「心からお祝い申し上げます。大変喜ばしく、本市にとっても明るい話題。今後も稽古に励み、さらなる活躍で熱海富士と熱海の名を広めていただきたいと思います」とコメントした。
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23件を可決、認定 熱海市議会が閉会
熱海市議会9月定例会は25日、最終本会議を開き、2022年度一般会計補正予算案や21年度各種会計の決算認定案など23件を可決、認定して閉会した。起雲閣や沢田政広記念美術館など市内6文化施設の指定管理者に、ジェイアール東日本企画(東京都)とNPO法人あたみオアシス21(熱海市)の共同事業体「熱海市文化施設運営委員会」を指定する議案も可決した。指定管理期間は23年4月1日から5年間。
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内田進会頭を再任 熱海商議所
熱海市の熱海商工会議所は25日、臨時議員総会を同商議所で開き、内田進会頭(75)=古屋旅館会長=の再任などを含む役員人事を決めた。任期は11月1日から3年間。内田会頭は4期目となる。 内田会頭は、基幹産業の観光が回復傾向にある現状について「一見、いいように見えるが課題はたくさんある」と指摘し、「熱海の商工業の力になれるよう全力を尽くす」と抱負を述べた。 副会頭は中島幹雄(中島水産社長)、森田金清(東海聚楽社長)、佐野茂樹(青木建設社長)の各氏に加え、溝口寛氏(熱海瓦斯社長)を新たに選任した。
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年長園児 100人集まり交流 熱海サンビーチ
熱海市教委は24日、市内の幼稚園、保育園、認定こども園の園児の交流を深める体験保育「みんなでつながろう」を同市の熱海サンビーチで行った。9園の年長園児ら約100人が集まり、ゲームなどを楽しんだ。 来春入学を迎える園児が、他園の園児と一緒に遊ぶ楽しさを経験して社会性を身につけるのが狙い。ビーチで清掃活動を行った後、他園との混合チームをつくってチーム対抗のリレーを行った。この日初めて顔を合わせた園児同士が大きな声で応援し合い、ビーチに元気な声が響いた。 市教委は2020年度から、身近な自然や歴史、市民との触れ合いを通じて郷土愛を育む体験保育に力を入れている。
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伊豆山復興の思い、ベンチに 地元出身作家とカフェ客共作 熱海の国道135号沿いバス停
熱海市出身のイラストレーター富岡美紀さん(35)と写真家YUTAさん(32)が、同市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」に訪れた客とともに作ったベンチが24日、同店近くの国道135号沿いのバス停「伊豆山中央」にお目見えした。土石流からの復旧復興を応援する人々の思いがこもったベンチに、住民から感謝の言葉が聞かれた。 ベンチの制作は、富岡さんとYUTAさんが同店で8月に開いた作品展「永縁(えいえん)」をきっかけに、住民と来訪者のつながりを形にしようと企画した。熱海の海に生息する魚などの型を切り抜いたステンシルを富岡さんがデザインし、その上から約50人の来訪者が思い思いの色で転写した
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早咲きの梅の名所 熱海梅園で初開花 過去10年間で最速
熱海市は22日までに、早咲きの梅の名所として知られる同市の熱海梅園で、2022年度の初開花を確認したと発表した。市によると、過去10年間で最も早いという。 開花した梅は、正面管理棟前に植えられている八重寒紅(やえかんこう)で、21日に開花が確認された。22日は同じ木に3輪ほどのピンク色の花が咲いていた。 同園の梅は過去10年間、主に11月中旬に初開花が確認されていた。10月中の開花は昨年に続き2回目。今年は前年より4日早かった。ここ数日の寒暖差の大きさが影響したとみられる。 園内には樹齢100年を超える古木を含め約470本の梅が植えられていて、毎年2月から3月にかけて見頃を迎える。
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懐かしの名作音楽披露 熱海怪獣映画祭、23日まで上映会
かつて多くの怪獣映画の舞台になった熱海市で22日、「第5回熱海怪獣映画祭」が開幕した。往年の名作の上映や怪獣音楽のライブなどが繰り広げられ、多くのファンを魅了した。23日まで。 「熱海を怪獣の聖地に」を合言葉に、2018年に始まったイベント。「熱海怪獣ひろば」と題した同市渚町の親水公園では、同市のコーラスグループ「ソウルウイングス」が、「モスラ」や「ウルトラマンタロウ」などの歌を披露し、大人から子どもまでを魅了した。同市中央町の熱海芸妓(げいぎ)見番では、上映会やトークショーが行われた。 23日の怪獣ひろばは午前11時半~午後7時。熱海芸妓見番では午後3時から全国自主怪獣映画選手権、午後
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小学生サッカー 12チームが熱戦 熱海でオラッチェ杯
熱海市の姫の沢公園スポーツ広場で22日、第7回オラッチェ杯争奪SS伊豆サッカーフェスティバル(SS伊豆、酪農王国主催)が開かれた。伊豆地域を中心に、小学生低学年でつくる12チームが参加し、熱戦を繰り広げた。 競技は8人制で前後半各10分。四つのブロックに分けた予選リーグと、順位別のトーナメント戦が行われた。 懸命にボールを追いかけたり、鋭いシュートを放ったりする子どもたちに保護者や仲間から熱い声援が飛んだ。
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作家13人と1団体「アート・エキスポ」 熱海・起雲閣で作品展
熱海市内で開催中のイベント「アタミ・アート・エキスポ2022」は21日、主会場になっている同市昭和町の起雲閣で出展作家、団体の作品展示を開始した。23日まで。 熱海にゆかりのある13人の芸術家と1団体が、写真や刺しゅう、鍛金、立体作品などを音楽サロンや展示室など施設内の5室に展示した。来場者は、出展作家との交流を楽しみながら作品を鑑賞した。 同イベントは、地元の芸術家が作品を発表できる場をつくろうと12年前から始まった。起雲閣のほか、市内ギャラリーやJR熱海駅ビル「ラスカ熱海」などで11月末まで作品展示や物販、制作体験などを繰り広げている。運営事務局の担当者は「熱海を散策しながら芸術の秋
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神幸行列勇ましく 熱海・今宮神社例大祭 厄年の男衆、地域繁栄願う
商売繁盛の神などとして親しまれる熱海市桜町の今宮神社で19日、例大祭が始まった。初日は神幸行列などを行い、地域の繁栄を願った。20日まで。 神幸行列は例年、厄年奉賛会の男衆が「御鳳輦(ごほうれん)」を担いで同市の西部地区を練り歩くが、新型コロナウイルス禍の影響で中止や規模縮小が続いていた。 3年ぶりに通常ルートで実施した今回は、京都市の葵祭などで使われる牛が登場。御鳳輦を乗せた台車を牛が引き、男衆が威勢のよいかけ声を上げながら福餅を配った。沿道に集まった住民は、男衆に声援を送ったり堂々と歩く牛をカメラに収めたりして楽しんだ。 20日は午後4時から社伝神楽や稚児舞を奉納する。
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巨大地震の揺れ 児童らが体感 熱海・桃山町で防災訓練
熱海市の桃山台町自主防災会と同市に本部を置く世界救世教は13日、大規模地震を想定した総合防災訓練を同市桃山町の瑞雲(ずいうん)会館で実施した。町内会役員や世界救世教の各種団体、MOA美術館の職員ら計約100人が参加し、防災意識を高めた。 相模トラフを震源とする巨大地震が発生したとの想定で、参加者は徒歩で会館に集まり、グループに分かれて消火訓練や自動体外式除細動器(AED)を使った救命措置の訓練などを行った。 地元の桃山小の1、2年生やMOAあたみ幼児学園の園児も参加し、地震体験車に乗って東日本大震災や関東大震災の地震の揺れを体感した。 同自主防災会の大山正晃会長は「住民だけでなく観光客
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静岡人インタビュー「この人」 熱海市の「起雲閣」を題材にした小説を出版した 中尾千恵子さん(熱海市)
海外向けの企業資料の編集や翻訳、貿易業務代行などのビジネスを手がけながら、小説の執筆活動を続けている。仕事で関係の深いロシアや伊豆を舞台にした作品を発表し、2017年に「熱海残照」で第20回伊豆文学賞最優秀賞を受賞した。浜松市天竜区出身。76歳。 -執筆活動のきっかけは。 「市場調査や翻訳など仕事で培った知識や経験を生かし、クリエーティブなことをやってみたくて60歳あたりから始めた。膨大な資料を読み込んだり、人に会って話を聞いたりして取材することに楽しさを感じる。今後、故郷の北遠地域を舞台にした作品を書いてみたい」 -起雲閣を題材にした小説を執筆する上で苦労したことは。 「史実に基づ
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記者コラム「清流」 「恩送り」のつながり
「『恩返し』ではなく、『恩送り』の輪を広げたい」。台風15号で甚大な被害を受けた静岡市清水区に送る大量の支援物資を車に積み込みながら、熱海市伊豆山のボランティア団体のメンバーはそう実感を込めて語った。 恩返しは、助けてくれた人に直接返礼すること。恩送りは、人から受けた恩を別の誰かに受け継ぐこと。昨年7月の大規模土石流で、伊豆山には全国から多くの人的、物的支援が寄せられた。住民がその恩を忘れたことはない。同時に、心も体も疲れ切っている被災者の気持ちが痛いほど分かる。だからこそ、つながって力になりたい。住民が団体に託した支援物資にはそんな思いが込められていた。 災害が後を絶たないこの国では、
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熱海土石流 市長個人への損賠請求 訴訟費用は公費負担せず 市議会一般質問
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点を含む土地の現所有者が斉藤栄市長に損害賠償を求めた訴訟について、同市の中田吉則経営企画部長は11日、「市長個人に対する訴訟であり、訴訟費用などは市として特段の対応はしない」との方針を明らかにした。市議会9月定例会で竹部隆氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。 現所有者は9月6日、土石流で土地の資産価値が失われたなどとして、斉藤市長に10万円の損害賠償を求めて静岡地裁沼津支部に提訴した。中田部長は、遺族らが市と県、現旧所有者らにそれぞれ損害賠償を求めた訴訟と市長の訴訟が併合される可能性に触れ、「市の顧問弁護士と協議しながら状況を注視する」と述べた。 遺族らが市
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残存盛り土 静岡県が代執行開始、2023年5月末までに撤去 熱海土石流
静岡県は11日、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近で不安定な状態で残っている盛り土を撤去する行政代執行を開始した。土石流発生から1年3カ月余り。被災地の安全を確保する上で最大の懸案がようやく動きだす。県は来年5月末までに撤去完了を目指す。 県によると、撤去する盛り土は約1万6千立方メートル。工事費用は、土砂の撤去や仮置き場への運搬といった本年度分だけで4億円を見込む。処分費を含んだ総額は未定で、土砂に有害物質が含まれていた場合は費用が大きく膨らむ可能性がある。県は全体の費用が確定した後に、2011年まで起点を含む土地を所有した不動産管理会社「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)に請
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グッズで「伊豆山、忘れない」 ピクニックシート販売 熱海
熱海市など伊豆地域を中心に活動する函南町のデザインユニット「BACCO(バッコ)」が10日まで、同市伊豆山の復興支援グッズとして製作したピクニックシートをJR熱海駅ビル「ラスカ熱海」で販売している。土産物を通じて観光客にも伊豆山を応援してほしいとの願いが込められている。 バッコは同市のボランティア団体「テンカラセン」と地元アーティストによる復興支援ブランド「is3(イズサン)」に参加している。シートは電線や鋼鉄コイルの包装に使う紙でできていて、強度や耐水性に優れる。伊豆山神社や逢初(あいぞめ)橋、伊豆山の山々をイメージした模様がプリントされている。売上金はテンカラセンの復興支援活動に役立て
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努力にじむ絵、書、手芸 熱海で障害者作品展
静岡県身体障害者福祉会東部ブロック連絡協議会の第47回文化作品展が10日まで、熱海市の市総合福祉センターで開かれている。 県東部の6市町(熱海、三島、裾野、伊東、長泉、函南)の55人と1団体が手がけた絵画、書道、手芸など85点が並んだ。全盲者が「お花紙」で作った直径5ミリほどの玉を並べて描いた十二支や、リウマチ患者が痛む手でしたためた書など、作品からは出展者の努力がにじみ出ている。 熱海市身体障害者福祉会の岩瀬輝美会長は「会員の高齢化が進み出展者が減りつつあるが、皆が目標を持って活動している。今後も社会参加の機会として大事にしていきたい」と話した。
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明治期の熱海温泉本、現代に 「鉱泉誌」内田さん兄弟が復刻
熱海市の熱海商工会議所会頭の内田進さん(75)と弟で医師の実さん(72)がこのほど、明治期に出版された熱海温泉の観光案内本「熱海鉱泉誌」の復刻版を発行した。温泉の効能や街並みの絵図、旅館の広告などが収録された一冊。温泉療法専門医である実さんは「医学的視点で温泉や海水浴を紹介していて興味深い。熱海の歴史や温泉を楽しむきっかけになれば」と期待している。 熱海鉱泉誌は1890(明治23)年に初版が発行された。開業200年余りの老舗「古屋旅館」(同市東海岸町)の13代目当主で内田さんの曽祖父に当たる市郎左衛門さん(1871~1948年)が編集に関わった。 同旅館には1901年に発行された第7版が
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交通事故の発生状況 理解深める 熱海地区安管協が研修会
熱海地区安全運転管理協会(小原進一会長)は5日、会員事業所を対象にした研修会を熱海市内で開いた。約30人が出席し、熱海署管内の交通事故発生状況に理解を深めた。 同署の下山晃司交通課長が管内の交通事故の特徴として、高齢者やレンタカー運転者が当事者となるケースが多いと説明。本間章浩署長は、管内の高齢運転者の割合が県平均を大きく上回っているとし、行政や事業所と連携した交通安全対策の重要性を説いた。 医療ジャーナリスト森まどかさんによる「企業における健康管理」と題した講演会も行われた。
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島田商高生、伊豆山の力に 熱海レモンのスコーン売上金届ける
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山と竜巻被害に遭った牧之原市の復興支援に取り組んでいる島田商高(島田市)のボランティア委員会は5日、熱海市田原本町のパン店「パン樹 久遠」を訪れ、文化祭で販売した熱海産レモン入りのスコーンの売上金1万7500円を届けた。同店は市に復興支援金として寄付する。 同委員会は商業高校の特性を生かして、商品販売による被災地支援を続けている。文化祭で販売したスコーンは熱海産レモンを活用した地域活性化策として熱海高生と同店が共同開発し、2年前に商品化した。文化祭では40個を用意し、完売したという。 柴本楓葵(ふづき)委員長(3年)から売上金を預かった武山陽司社長は「熱
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島田商高生が伊豆山支援 文化祭で熱海の産品販売 売上金届ける
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山と竜巻被害に遭った牧之原市の復興支援に取り組んでいる島田商高(島田市)のボランティア委員会は5日、熱海市田原本町のパン店「パン樹 久遠」を訪れ、文化祭で販売した熱海産レモン入りのスコーンの売上金1万7500円を届けた。同店は市に復興支援金として寄付する。 同委員会は商業高校の特性を生かして、商品販売による被災地支援を続けている。文化祭で販売したスコーンは熱海産レモンを活用した地域活性化策として熱海高生と同店が共同開発し、2年前に商品化した。文化祭では40個を用意し、完売したという。 柴本楓葵(ふづき)委員長(3年)から売上金を預かった武山陽司社長は「熱
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事業者経営応援センター再始動 販路拡大へマッチング 熱海市
熱海市は3日、市内事業者の経営力強化を支援する市チャレンジ応援センターをリニューアルオープンした。事業者が抱えるさまざまな課題を関係機関が連携して支援し、商品開発や販路拡大に向けた外部パートナーとのマッチングなどを支援する。 センターの愛称は「A-supo(エーサポ)」。昨年まで個店の伴走型支援の拠点として運営していた「A-biz(エービズ)」の機能を強化し、有限責任監査法人「トーマツ」の専門家が事業所の課題解決や目標達成に合った支援を行う。 海外展開や事業拡大に向けた設備投資などの「出口戦略」を重視し、熱海商工会議所や静岡銀行、三島信用金庫などとも連携する。 センターは、市内事業者
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「悔しいが前へ」 わが家解体に被災者複雑 熱海土石流発生1年3カ月
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年3カ月が経過した。土石流の起点で崩れずに残っている盛り土を撤去する県の行政代執行が11日に始まるのを前に、被災者は地域の安全が一日も早く確保されるよう願った。警戒区域内の自宅が公費解体される被災者は「悔しいが、前に進まなければいけない」と複雑な心境を吐露した。 発生時刻の午前10時半ごろ、現場付近に集まった被災者が犠牲者に黙とうをささげた。土石流で全壊した太田滋さん(66)宅はこの日、解体作業が始まった。太田さんは「これで少し前に進むのかな。でも、納得しているわけではない。なぜこんなことになったのか、まだ解明されていない」と述べ、盛り土に関与し
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起雲閣題材に歴史描く 小説「グレビレアロブスタ」 作家中尾ちゑこさん(熱海)出版
熱海市の作家中尾ちゑこ(本名・千恵子)さんがこのほど、同市を代表する観光施設「起雲閣」を題材にした小説「熱海起雲閣物語 グレビレアロブスタ」を出版した。政財界人の別邸、旅館だった同施設を舞台に、大正から平成までの熱海と日本の歴史や人々の生きざまを描いている。 中尾さんは浜松市天竜区出身。第20回伊豆文学賞で最優秀賞に輝いた「熱海残照」の著者でもある。 起雲閣は1919年に海運関連の事業で財をなした内田信也が別荘として建てた。25年に「鉄道王」として知られた根津嘉一郎が買い取り、大規模拡張工事を実施。47年に桜井兵五郎が高級旅館として開業した。 小説では、起雲閣に住み込みで働いた母娘を軸
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平和の尊さ、次の世代に 熱海で戦没者追悼式
2022年度の熱海市戦没者追悼式が30日、同市の熱海梅園内の「やすらぎの塔」前で営まれた。新型コロナウイルス感染対策で出席者を限定し、遺族代表や市、市議会関係者ら計7人が参列し、戦没者の冥福を祈った。 市遺族会の米山勉会長は、終戦から77年が経過したことを踏まえ、「多くの犠牲の上に今日の熱海がある。平和の尊さを次世代に継承していかなければならない」と述べた。 終了後、静霊奉賛会熱海市連合会支部と市遺族会による慰霊祭も執り行われた。やすらぎの塔は、西南戦争から第2次世界大戦までの戦争で亡くなった熱海出身者1026人をまつっている。
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熱海ゆかりの芸術家集う 「アート・エキスポ」、11月末まで
熱海市ゆかりのアーティストが集結して作品を発表する「アタミ・アート・エキスポ」が30日、市内で開幕した。22人の芸術家と1団体が市内10会場で展示や制作体験などを繰り広げる。11月30日まで。 初日は、JR熱海駅ビル「ラスカ熱海」の1階ガラス壁面をキャンバスにしたライブペインティングが始まった。同市出身のアーティスト富岡美紀さんが熱海近海の魚群を描き、さまざまな個性が集まったにぎやかなイベントを表現した。制作は10月2日まで。 エキスポ期間中は市内のギャラリーやホテルなどを会場に、絵画や写真、ちりめん細工、彫金など多彩な分野の作品が展示される。同市昭和町の起雲閣では21~23日に14人の
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東北・熱海復興支援 手づくり作品を展示 10月1日まで起雲閣
熱海市昭和町の起雲閣で29日、「東日本大震災・熱海土石流復興支援 手づくり展」(実行委主催)が始まった。10月1日まで。 神奈川県在住のクラフト作家8人が手がけた古布小物や草絵、洋服などが並んだ。宮城県南三陸町産のワカメの特別販売も行っている。 同展は今年で7回目。売り上げは、NPO法人チェルノブイリ連帯基金を通じて東日本大震災の被災地に送られるほか、熱海市のNPO法人テンカラセンに寄付して伊豆山地区の土石流被災者の支援に充てられる。
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熱海土石流損賠2訴訟 併合審理 土地現旧所有者と県・市 静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、静岡地裁沼津支部は28日、原告の遺族らが崩落した盛り土を含む土地の現旧所有者らに損害賠償を求めた訴訟と、市と県に対する損害賠償請求訴訟を併合審理する方針を示した。同日行われた弁論準備手続き後、原告と現旧所有者の代理人弁護士がそれぞれ明らかにした。 弁論準備手続きは非公開。原告側は昨年9月、違法な盛り土を造成したなどとして現旧所有者や関連会社などに計約58億円の損害賠償を求めて提訴。今月5日には、盛り土の危険性を認識しながら必要な措置を怠ったとして市と県に計約64億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。 原告側の加藤博太郎弁護士は取材に、11月にも市と県
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安倍元首相の国葬 熱海市は半旗掲揚 方針決定は前日夕刻
安倍晋三元首相の国葬が行われた27日、熱海市は市役所本庁舎前に半旗を掲揚した。斉藤栄市長は同日の定例記者会見で「国葬に賛否はあるが、政府が決めたことであり弔意を示すのは自然なこと」と述べた。 ただ、半旗掲揚の方針は前日夕刻まで決まらなかった。斉藤市長は「国からの要請がなく、過去の事例や近隣市町の対応を見て決めた」と説明した。黙とうや記帳台設置などは行わなかった。 一方、公表が遅れている同市伊豆山の大規模土石流に関する総括については、「事実関係の確認や再発防止策の検討を鋭意進めている。遅くとも年内には出したい」と述べるにとどめた。
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熱海、伊東3水系 治水計画を確認 県土木事務所
静岡県熱海土木事務所はこのほど、熱海・伊東地域大規模氾濫減災協議会を県熱海総合庁舎で開き、今後5年間実施する逢初(あいぞめ)川(熱海市)、伊東大川、烏川(いずれも伊東市)各水系の治水プロジェクトなどを確認した。 会議はオンラインで開催し、熱海、伊東の両市や国、県の関係機関の担当者が参加した。昨年7月に大規模土石流が流れ下った逢初川では、市の復興計画を踏まえた河川改修を行うほか、監視体制を強化するため河川監視カメラを設置する。伊東大川では、奥野ダムの事前放流などを通じて洪水調整機能を強化する。烏川は河道掘削などの改修を継続するほか、洪水浸水想定区域図の作成などを進める。
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住民サービス向上へ協定 熱海市と佐川急便
熱海市と佐川急便は27日、地域住民サービス向上に向けた包括連携協定を締結した。同市の災害対策や地域医療、観光支援など幅広い分野で連携し、地域活性化を目指す。 同市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流で、同社は市の依頼を受けて全国から寄せられた支援物資の保管や避難所への輸送などを担った。包括連携協定は、この取り組みをきっかけに実現した。協定に基づき、市と同社は互いの人的、物的資源を活用して災害時の物資輸送や住民の見守り支援、イベント協力などを行う。 市役所で行われた締結式で、同社の森裕一郎東海支店長は、観光客の手荷物預かり、配送サービスなどに意欲を示し、「官民で顔の見える関係を築き、地域
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熱海土石流復興「住民意見実現を」 まちづくりワークショップ最終回
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の復興まちづくりワークショップ(WS)の最終回が25日、市役所で行われた。被災者や住民計19人が参加し、伊豆山での生活再建に必要な具体的な施策について話し合った。 WSは5月から毎月1回開催してきた。市は9月2日に策定した復興まちづくり計画の実施方針にWSなどで上がった住民の意見を盛り込んだ。 最終回のWSでは、交通弱者支援や避難路整備、住民同士が日常的に集まれる場所づくりなど住民が求めている具体的な施策に向けて住民、行政の役割について意見を交わした。被災者の一人、中島秀人さん(53)は「今後も被災者がまちづくりに関わっていくことが大事。要望したことが
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熱海に新形態の宿 ワーケーションなど狙う 関係人口増加に期待
首都圏に近く、企業のワーケーションや滞在型研修の需要が高まっている熱海市で、新しいタイプの宿泊施設が23日、オープンした。来訪者が熱海の生活文化や課題に触れながら市民と交流するための拠点で、運営会社はまちの関係人口の増加を目指す。交通弱者支援や空き家問題など同市が抱える課題の解決に向けて、市民と市外の企業、人材の共創が期待される。 宿泊施設は、若者が行き交う熱海銀座商店街に立つビルの2、3階に、同市のまちづくり会社マチモリが開業した。ここ数年、店舗出店の需要が高く、地価が上昇傾向にある同市だが、中心市街地には築年数が古く、上層階が空室になっている物件が多い。宿泊施設が入るビルも2階以上が長
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企業研修など受け入れ 熱海に新宿泊施設、まちづくり人材の拠点に
熱海市のまちづくり会社マチモリは23日、同市銀座町の沢口ビル2、3階に個人の中長期滞在や企業研修などを受け入れる宿泊施設「キテン・スローアンドワークステイ」をオープンした。同社は近隣で運営するコワーキングスペースなどを活用するなどして、まちづくりに関心がある市民との交流拠点にしたいとしている。 個室5室(1人利用9500円から、2人利用1万4千円から)とカプセルタイプの8室(6千円から)を備えた。不動産情報サービス会社ライフル(東京都)が全国展開する定額多拠点居住サービスに登録し、メンバー登録すると定額で何度でも利用できる。 新型コロナウイルス禍で、旅行ニーズや働き方が多様化している中、
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記者コラム「清流」 市長選に感じた「冷めた目」
11日に投開票した熱海市長選の投票率は44.33%と過去最低だった。新型コロナウイルス禍からの経済再生や伊豆山の大規模土石流からの復興など大きな課題に直面している熱海市だが、低投票率になりそうな気配は感じていた。 現職、新人ともに立候補の表明が遅く、観光振興や復興に対する考え方に大きな違いはなかった。現職の多選を批判する声も聞かれたが、大きな波にはならなかった。 ほとんどの市議が両候補と距離を置いていたのも低投票率の要因になった気がする。さまざまな事情はあろうが、多くの市民と同じようにどこか「冷めた目」で選挙戦を見ていたのではないか。選挙はまちの将来を考える重要な機会だ。市議にはその先頭
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交通安全 ジオラマで呼びかけ 熱海の南さんが製作
熱海署にこのほど、市民から交通安全意識を喚起するジオラマが届いた。スピードは控えめに、ブレーキは早めに-。バイクに乗った2匹の愛らしいカエルが「無事に帰ってきてね」と安全運転の実践を呼びかけている。 ジオラマは熱海市西山町の南博光さん(74)が手掛けた。ツーリングを楽しむ2匹のカエルに、交通安全のメッセージが添えられている。同署玄関に展示している。 坂が多く、観光客の往来が激しい同市。南さんは「警察とともに交通事故防止を呼びかけたい。自分自身も歩行者優先の意識を忘れずに安全運転に努めている」と話した。 市内では13日、道路を歩いて横断していた87歳の女性が車と衝突して死亡する事故があっ
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土石流被災の消防団詰め所 解体費を計上 熱海市補正予算案
熱海市は21日、市議会9月定例会に提出する議案を発表した。一般会計補正予算案には、昨年7月に伊豆山地区で発生した大規模土石流で被災した市消防団第四分団詰め所の解体費など計2億4500万円を計上した。 第四分団詰め所の解体費は1200万円。詰め所の屋上に設置されていた同報無線の移設工事に990万円も計上した。市消防総務課によると、詰め所の解体は年内を目指して調整を進めている。新たな詰め所の建設予定地は未定という。 また、新たな観光戦略として、首都圏の企業からのビジネス誘客や、宿泊施設以外での食事を楽しむ「泊食分離」を推進するモニターツアーの経費として2700万円を盛り込んだ。市は、週末や繁
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狂言 所作、発声に挑戦 熱海・多賀小6年生、プロから魅力学ぶ
静岡県文化財団と県は20日、熱海市立多賀小で「狂言ワークショップ」を開いた。6年生の児童に狂言師が、約700年の伝統がある狂言の魅力や特徴を紹介した。 和泉流狂言方の三宅右矩さん、三宅近成さん、金田弘明さんが講師を務め、狂言と能の違いや国語の教科書に掲載されている狂言「盆山」について解説した。児童は、すり足などの基本的な所作や狂言独特の犬や猿の鳴き声の発声を体験した。 講師3人による狂言「棒縛(ぼうしばり)」も披露された。児童は、腕を棒に縛り付けられたり、後ろ手に縛られたりした登場人物の滑稽なしぐさに声を出して笑い、狂言の楽しさを堪能した。
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熱海ブランド認定へ審査 ソムリエ田崎さんら、洋菓子など6点
熱海商工会議所はこのほど、地元の魅力ある商品を熱海ブランドとして認定する「アタミコレクション エープラス」の審査会を同商議所で開いた。世界的ソムリエで同市在住の田崎真也さんら10人の審査員が4社から出品された洋菓子など6点を評価した。 審査会は今年で12回目。審査員は、商品の味だけでなく、パッケージや「熱海らしさ」といった商品のコンセプトも含めて厳正に審査した。2016年に認定された4商品の再認定審査も行った。 田崎さんは「熱海を訪れる客層の変化を反映した商品が多く、全体のレベルが非常に高い」と話した。 審査結果は今月中に発表する予定。エープラスには2021年度末時点で、48社90品が
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留学生 観光モニターツアー 熱海高生企画 さまざまな体験型案内
若者の外国人の目線で県東部の観光地を発信してもらおうと、県東部地域コンベンションビューローは14~16日、県内の大学に通う外国人留学生向けの観光モニターツアーを実施した。熱海市では、熱海高ビジネス観光類型の3年生が企画したツアーが行われ、生徒がさまざまな体験型観光を案内した。 モニターツアーには日本大と県立大に通う中国、ベトナム出身の留学生計4人が参加し、2泊3日で県東部11市町を巡った。熱海市では、熱海高の生徒が考案した市内の自然、歴史、食が楽しめるツアーを展開。同市網代の海上釣り堀「太公望」ではタイやアジの釣りを体験し、釣り上げた魚を昼食で味わった。ガイドを務めた同校の加藤美優さんは「
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歌人将軍・源実朝しのぶ 献歌や舞奉納 伊豆山神社で名月歌会
熱海市の伊豆山神社でこのほど、「源実朝を偲(しの)ぶ仲秋の名月伊豆山歌会」(市主催、伊豆山温泉観光協会共催)の十五夜祭が開かれた。市民ら約150人が、同神社を参拝し「歌人将軍」と呼ばれた源実朝に思いをはせた。 境内に設けられた舞台で神事を執り行い、地元の小中学生5人が「実朝の舞」を奉納し、幽玄な雰囲気に包まれた。現代歌壇で活躍する秋葉四郎さん、春日いづみさん、大井学さん、大森静佳さんが献歌した。 十五夜祭に先立ち、市内で歌会が開かれ、郵送や当日投稿で全国から寄せられた784首の審査結果が発表された。 最高位の「天位」を受賞した本県関係者は次の通り。 一般 福崎享子(三島市)▽ジュニア
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千歳飴 袋詰め急ピッチ 熱海・来宮神社
七五三参りのシーズンを前に、熱海市の来宮神社は千歳飴(ちとせあめ)の袋詰め作業を急ピッチで進めている。 境内にある参集殿には、同神社のシンボル「大楠」をデザインした千歳飴入りの袋がずらりと並んでいる。15日は、みこが子どもの健やかな成長を祈りながら手際よく袋詰め作業を行った。今年は300袋を用意し、20日から頒布を始めるという。 同神社によると、今年の七五三参りは日曜日で大安の11月13日がピークになりそう。期間中に500組の参拝が見込まれる。同神社は、新型コロナウイルス感染予防のため、早めに参拝するなど分散化に協力を呼び掛けている。
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熱海市長選出口調査 伊豆山復興に関心 斉藤氏5選、実績評価
11日に投開票され、現職の斉藤栄氏(59)が5選を果たした熱海市長選で、静岡新聞社は期日前投票の出口調査を行った。新市長に期待する施策を選択式で回答してもらったところ、「伊豆山の復旧復興」が26%で最も多かった。「経済活性化」(22%)「高齢者福祉」(18%)と続いた。 斉藤氏に投票したと答えた市民の30%が伊豆山の復旧復興に期待感を示した。斉藤氏への投票理由では「実績」を評価した人が37%を占めた。斉藤氏は現職の強みを生かし、復興のスケジュールなどを示しながら、各地域の課題に対応した街頭活動を展開。地域や政策に偏りのない市政運営をアピールした。 一方、泉明寺氏を選んだ人の投票理由で最
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現職・斉藤氏が5選 熱海市長選 新人の元市議破る 投票率は過去最低
任期満了に伴う熱海市長選は11日、投開票が行われ、ともに無所属で、現職の斉藤栄氏(59)が新人の元市議泉明寺みずほ氏(51)を破り、5選を果たした。投票率は44・33%で過去最低となった。 斉藤氏は政党や団体に推薦を求めず、組織の力に頼らない選挙戦を展開した。巨額の財政赤字解消など4期16年の実績に加え、伊豆山地区の大規模土石流からの復興、持続可能な観光地経営に向けた宿泊税導入などを訴え、市内全域から支持を集めた。 泉明寺氏は、土石流被害の責任を取ろうとしないとして斉藤氏を批判。多選による弊害も唱えたが、批判票の受け皿になりきらなかった。 得票総数は13623票。斉藤氏の得票数は970
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熱海市長選 初島で繰り上げ投票 投票率は52・66%
静岡県内唯一の有人島、熱海市初島で10日、任期満了に伴う同市長選(11日投開票)の繰り上げ投票が行われた。市選挙管理委員会によると、期日前投票をした13人を含む投票率は52・66%で、8年前の前回選を9・62ポイント下回った。初島の当日有権者数は169人(男92人、女77人)。 繰り上げ投票は午前7時から午後4時まで初島漁業総合会館で行われた。投票箱は10日、定期船で市選管に搬入された。初島を除く市内の投票は11日午前7時から午後8時まで21カ所で行われ、午後9時15分から南熱海マリンホールで即日開票する。
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熱海市チームが始動 過去最高の成績を目指す【市町対抗駅伝】
12月3日に静岡市で行われる県市町対抗駅伝(静岡陸上競技協会、静岡新聞社・静岡放送主催)に出場する熱海市チームは8日夜、代表選手の選考に向けた強化練習を多賀中グラウンドで開始した。 代表候補は小学生から社会人までの34人。練習初日には小中学生を中心に22人が参加し、ジョギングやインターバル走などで汗を流した。 同チームは昨年、土石流で被災した郷土を元気づけようと懸命にたすきをつなぎ、市の部22位で敢闘賞を受賞した。大川慎一郎監督は「過去最高の成績を目指して、一回一回の練習を大切にしていきたい」と話した。チームは11月上旬まで練習や記録会を重ねて代表選手を決める。
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初島で繰り上げ投票 熱海市長選、10日午後4時まで
熱海市初島で10日、任期満了に伴う市長選の繰り上げ投票が行われる。市選挙管理委員会は9日、投票箱などを定期船で島に搬入し、投票所の開設準備を整えた。 繰り上げ投票は荒天による定期船の欠航などに備えて、地方、国政選挙問わず毎回実施している。9日は、投票事務に従事する市職員3人が選挙事務用具を携えて熱海港から乗船し、初島に渡った。 繰り上げ投票は10日午前7時から午後4時まで、初島漁業総合会館で行う。投票箱は11日の開票まで市選管が保管する。3日現在の初島の選挙人名簿登録者数は、174人(男95人、女79人)。
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新たな目線で街の魅力発信 若手事業者、市民ら意見交換 「熱海温泉玉手箱」23年1月再開へ
熱海市のまちづくり会社「マチモリ」はこのほど、2014年ごろまで市内で展開していた体験交流プログラム「熱海温泉玉手箱(オンたま)」の復活に向けた意見交換会を開いた。若手事業者やまちづくり活動に関心がある市民ら約20人が参加し、来年1月の再開に向けてアイデアを出し合った。 オンたまは、街歩きや文化体験などを通じて熱海のファンを増やすことを目的に09~14年ごろにかけて行われた有料ツアー。一定の成果が出たため休止していたが、新たな目線で街の魅力を掘り起こそうと同社の若手スタッフが復活を提案した。 意見交換会で参加者は、未活用魚を使った海鮮丼作りや別荘巡りなど地域資源を生かしたプログラムを提
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熱海市長選第一声 まちの再生論戦 「責任」「信念」熱く
現職と新人の一騎打ちに4日突入した熱海市長選。災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている伊豆山の大規模土石流と新型コロナウイルス禍。未曽有の危機に直面しているまちの再生に向けて両候補は市民に決意を訴えた。 「責任を受け止めようとしない現職に次の4年間を任せることができますか」。市中心部で第一声を放った新人泉明寺みずほ氏(51)は、聴衆に問いかけた。土石流の被害を拡大させた盛り土を巡る現市政の対応を批判し、復興事業には「被害を受けた人の気持ちをいかに取り込むかに尽きる」と訴えた。 その3時間前に市中心街で行われた現職斉藤栄氏(59)の出陣式。41億円の財政赤字を解消した行財
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土石流教訓 消防職員ら救助手順を確認 熱海市総合防災訓練
熱海市は28日、土砂災害などを想定した市総合防災訓練を市内で実施した。昨年7月に伊豆山地区で発生した大規模土石流の教訓を生かそうと、市職員や消防職員らが情報伝達や救助活動などの手順を確認した。 同市泉の土木資材置き場では、大雨に伴う土砂崩れで人が土砂に埋まった事態を想定した救助訓練を初めて実施した。目撃情報を基に、市消防本部の特別救助隊員が現場を捜索した。発見すると、要救助者を傷つけないように手で土を掘り起こした。土砂の流入を防ぐために周りを板で囲み、要救助者を励ましながら救出した。 昨年の土石流では、全国から駆けつけた消防、警察、自衛隊が大量の土砂の中で捜索、救助活動を行った。市消防本
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伊豆山復興などで持論 熱海市長選出馬予定2氏が公開討論
熱海青年会議所(JC)は26日夜、任期満了に伴う熱海市長選(9月4日告示、11日投開票)の立候補予定者による公開討論会を市内で開いた。現職の斉藤栄氏(59)と新人で市議の泉明寺みずほ氏(51)が、土石流災害に見舞われた伊豆山地区の復旧復興や経済政策などについて持論を展開した。 短期的重要施策の筆頭に、両氏は伊豆山地区の復旧復興を挙げた。斉藤氏は「自分の任期中に起きた災害であり、復興は自分の責務」と強調。策定中の計画に住民の声を最大限反映し、河川、道路、被災者向け住宅などを整備し、被災者の見守り・相談支援にも力を入れるとした。 泉明寺氏は市民との「対話」を重視しつつ、有識者の意見も積極的に
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熱海土石流百条委 市長「法的責任は司法判断」 申請受理「不適切」も
不適切に造成された盛り土が被害を拡大させた熱海市伊豆山の大規模土石流。26日の市議会調査特別委員会(百条委員会)で、2度目の参考人招致に応じた斉藤栄市長は、盛り土に関する一部の行政対応が不適切だったと認めたものの、「法的責任は司法の判断に委ねざるを得ない」と従来の主張を繰り返した。終了後の取材に「最大の問題はそこではない」と強調し、森林法などの法適用の在り方を検証する必要性を訴えた。 これまでの百条委などで、市は前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)が提出した盛り土の申請書類に不備があったまま受理していたことが明らかになっている。 斉藤市長は6月下旬、遺族らでつくる「被害者の会
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熱海で国際ヒルクライム 11月開催へ実行委初会合 自転車レース
熱海市で11月12、13の両日に初開催する自転車ロードレース「熱海国際ヒルクライム」(実行委主催)の第1回実行委員会が25日、市役所で開かれた。熱海独特の急峻(きゅうしゅん)な地形を生かした大会を通じ、観光やスポーツの振興、地域活性化を図ろうと関係者が意識を高めた。 レースは13日に実施し、長浜海浜公園から十国峠レストハウスまでを駆け上がる。タイム計測はこのうち17・2キロ区間で行う。標高差は約600メートルにも及ぶ。市中心街の渚親水公園では12、13の両日、自転車に関する体験イベントや飲食などが楽しめる「サイクルエキスポ」を行う。 実行委は市内の商工、観光関係団体、町内会、発起団体の伊
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太陽光施設は「違法」 市職員証言 熱海市議会百条委
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)は26日、土石流の起点周辺で行われた土地改変行為への行政対応にあたった市職員らを招致し、事実関係を聴取した。現土地所有者が設置した太陽光発電施設について、市職員は、排水設備に採石が埋まっていてのり面には大型土のうが積まれているだけの状態であることから「宅地造成規制法に基づく許可基準に沿ったものではない」とし、違法状態であると認めた。 土石流の起点の近接地には、現土地所有者側が設置した太陽光発電施設やグラウンド整備を目的に伐採、造成した平地、急斜面に土砂が投棄された「第二の盛り土」がある。 現所有者側は県と市の指導に従い、
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土石流 総括遅れ示唆 熱海市長「公表 選挙後も」
熱海市の斉藤栄市長は24日の定例記者会見で、昨年7月に同市伊豆山で発生した土石流に関する市の総括について「事実関係の整理や再発防止策などの検討を鋭意進めているが、難航している」と述べた。先月の定例記者会見では、9月4日告示の市長選前に総括の公表を目指すとしていたが、間に合わない可能性を示唆した。 市は昨年から退職者を含め職員にヒアリングを行うなどして、崩落した盛り土の経緯や発災前後の対応について検証してきた。斉藤市長は「(盛り土造成が)10年以上前のことであり確認事項も幅広く、精査に時間がかかっている」と説明。その上で「現時点で総括の公表時期は示せない。選挙前の公表を目標にしているが、選挙
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甲子園で対戦の幼なじみ再会 熱海出身、友情さらに深まる 日大三島・島田さんと国学院栃木・鈴木さん
甲子園球場で行われた第104回全国高校野球選手権大会の開幕試合で対戦した日大三島高と栃木県の国学院栃木高の選手で、共に熱海市出身の島田誠也さん(17)=日大三島高3年=と鈴木友さん(18)=国学院栃木高3年=が24日、同市役所で再会し、互いの健闘をたたえ合った。 2人は幼稚園からの幼なじみ。学童野球「多賀ジュニア」で鈴木さんが投手、島田さんが捕手でバッテリーを組んでいた。中学時代は別々の中学硬式野球チームで腕を磨き、高校進学後も互いに甲子園を目指して努力を重ねてきた。 夢の舞台への出場が決まった7月、LINE(ライン)で「対戦できたらいいね」と語り合っていた2人。組み合わせ抽選で両校の対
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特殊詐欺被害防止 熱海署が感謝状 南熱海郵便局に
特殊詐欺被害の防止に貢献したとして、熱海署は23日、熱海市下多賀の南熱海郵便局に署長感謝状を贈呈した。同署で本間章浩署長が佐々木実局長に感謝状を手渡した。同署によると、8日午前、市内の60代女性が同局を訪れて「市役所から還付金があると言われた」と申し出た。女性に対応した局員が市役所に確認すると還付金の連絡をしていないことが分かり、特殊詐欺を疑いすぐに同署に通報した。 佐々木実局長は「日頃から被害情報にアンテナを高くして警戒していた。今後もお客様を守るために局内の連携を大切にしていきたい」と話した。本間署長は「地域に根ざした郵便局だからこそできる対応」と感謝し、引き続き被害防止に協力を求めた
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地域復興と繁栄祈願 伊豆山神社本宮社で例祭 熱海
熱海市伊豆山の伊豆山神社本宮社で23日、例祭が営まれ、同神社総代や地元の七尾町内会の関係者ら約20人が出席し、地域の復興と繁栄を祈願した。 本宮社は昨年7月に発生した土石流の起点付近に立つ。例祭は例年、神楽を奉納したり境内に出店が並んだりしてにぎわったが、新型コロナウイルス禍と土石流災害の影響で、3年連続して規模を縮小して神事のみを実施した。 原嘉孝宮司の祝詞奏上に続き、出席者が玉串をささげた。同神社の大舘節生総代会長は「土石流からの復興とともにコロナ禍が収束し、来年はアットホームな祭りができることを願っている」と述べた。
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芭蕉詠んだ句 書にしたためる 熱海、幕田さん作品展
熱海市昭和町の起雲閣で、フランスの社会功労奨励勲章を受けている書道家、幕田魁心さん=千葉県君津市=の作品展「古代文字と奥の細道」が9月25日まで開かれている。 松尾芭蕉の紀行「奥の細道」で、芭蕉が日光路や出羽路などで詠んだ50句をしたためた作品や、色鮮やかな色紙に書いた象形文字などの作品が並んだ。 奥の細道の書を制作するにあたり、4年かけて俳句の舞台を巡ったという幕田さん。「句の世界観に合わせて力強さやしなやかさを使い分けた。芭蕉が現地を訪れた季節も意識した」と話した。 9月3、24の両日は午後1時半からギャラリートークと席上揮毫(きごう)を行う。
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ブルーノ・タウトが手掛けた「旧日向家別邸」修理完了 熱海、27日から公開 国重要文化財、社交室などに工夫随所
熱海市は19日、大規模な保存修理事業が完了した熱海市春日町の国重要文化財「旧日向家熱海別邸」の報道向け内見会を開いた。同邸は、ドイツの世界的建築家のブルーノ・タウト(1880~1938年)が日本に残した唯一現存する建築作品。市は27日に一般公開を再開する。 同邸は、急斜面に建てられた木造2階建ての上屋と、土留めの代わりに造られた鉄筋コンクリート造りの地下室で構成する。 タウトが手掛けたのは地下室で、ダンスや卓球などが行われた社交室をはじめ、洋風客間、日本間などがある。社交室には105個の裸電球がつるされている。床板や天井板が描く線を含め、部屋の北東側に向かって広がって見えるように工夫され
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伊豆山から絶景 椎茸園に展望台 熱海の徳田さん発案
熱海市伊豆山の徳田椎茸(しいたけ)園にこのほど、高台から相模灘や伊豆半島の絶景が楽しめる展望台が完成した。 親子3代で経営する同園。展望台は、3月に都内の大学を卒業して今春から家業に加わった3代目の徳田勝幸さん(23)が発案した。 シイタケを栽培するほだ場の入り口に木製のベンチや手すりを設けた。背後には原木が整然と並ぶほだ場が広がり、涼風が吹き抜ける。晩秋には紅葉も楽しめるという。 徳田さんは「4年間古里を離れてみて、伊豆山の景色の素晴らしさを再認識した。観光スポットに行く感覚で足を運んでほしい」と話した。 問い合わせは同園<電0557(80)0089>へ。
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静岡人インタビュー「この人」 「あいぞめ珈琲店」の店長を務める 中野裕基さん(熱海市)
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の住民をはじめ、伊豆山を思う人々をつなげようと、4月に開店した「あいぞめ珈琲店」を切り盛りする。店を運営するボランティア団体「テンカラセン」の副代表も務める。大阪府守口市出身。33歳。 -熱海市とのつながりは。 「もともとは何のゆかりもなかった。2年前に旅行で訪れた際に、熱海のまちづくり会社『マチモリ』がスタッフを募集していることを知ったのがきっかけ。地域に貢献できる仕事に興味があったので、すぐに移住して働こうと思い立った」 -土石流発生後、どんな活動を続けてきたか。 「当初は伊豆山の土地勘や人脈が全くなかったが、ひたすら高齢者宅などを回って、食料
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復旧経費の一部補助 土石流被災小規模事業者に 熱海市
熱海市は18日、同市伊豆山の大規模土石流で事務所、工場、機械設備などに被害を受けた小規模事業者の復旧経費の一部を補助する制度を創設し、申請受け付けを開始したと発表した。 被害額75万~1億円の4分の3を補助する県の「被災中小企業復旧支援事業費補助金」と、同75万円未満の3分の2を補助する国の「小規模事業者持続化補助金」の交付決定を受けた被災事業者の自己負担分の半分を補助する。県補助金を受けた人は最大1250万円、国補助金を受けた人は最大12万5千円の支援が受けられる。 県補助金と違い、国補助金は遡及(そきゅう)適用が認められていないため、これまで事業者から不公平との指摘があった。そのため
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農作物の残さ、流木… 効率よく炭化資源に 熱海の企業、国内初の移動式装置運用
環境事業などを展開する熱海市の民間企業の「未来創造部」と、港湾施設管理の「熱海マリンサービス」が、農作物の残さなどを効率よく燃やして資源化する「炭化ユニット」を共同開発し、運用を始めた。クレーン付きの4トントラックで運搬できる国内初の移動式。二酸化炭素(CO2)削減とともに「バイオ炭」を資源化する仕組みを普及させて気候変動対策につなげる。 ユニットは、大阪府の企業の協力で設計した。2メートル四方の炭化装置に取り付けた消煙装置で煙やにおいの排出を抑えるため、民家の近くでも使用できるという。4~8時間で製炭できる。 バイオ炭は化石燃料の代替にできるほか、土に埋めて土壌改良に生かすことが可能と
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熱海市と県を9月提訴へ 熱海土石流被害者の会 損賠訴訟説明
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族や被災者でつくる「被害者の会」は14日、市と静岡県への損害賠償請求訴訟の提起に向けた被災者対象の説明会を市内で開いた。同会は当初、8月中の提訴を目指していたが、原告に加わる意向を示す複数の被災者がいるため説明や手続きの期間延長を決めた。代理人弁護士は「9月中に提訴する」との考えを明らかにした。 同会は既に、土石流の起点となった土地の現旧所有者らに約58億円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。代理人弁護士の加藤博太郎弁護士は「全ての当事者がそろわないと責任の所在が明らかにならない。損害賠償は被害者の救済だけでなく、後世に再発防止を発信するためにも必要」と強調
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熱海海上花火に1万8000人来場 2022年最多
熱海市の熱海湾で8日夜、熱海海上花火大会(熱海温泉ホテル旅館協同組合主催)が行われ、今年最多の約1万8千人(主催者発表)が見物に訪れた。熱海港の防波堤から約5千発の花火が打ち上げられ、夜空を彩った。同市東海岸町の熱海サンビーチには大勢の若者が訪れ、スマートフォンなどで花火を撮影しながら真夏のひとときを楽しんだ。会場周辺の出店には長蛇の列ができた。 同組合によると、この日の来場者は日帰り客が中心。旅館、ホテルの予約状況はほぼ満室だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、宿泊直前のキャンセルが目立っているという。夏季の熱海海上花火大会は18、21、26の各日にも予定されている。
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お座敷遊び、女性も満喫 観光客が踊り体験 熱海
お座敷遊びに縁の無かった女性に芸妓(げいぎ)文化を楽しんでもらう「女性たちのアフタヌーンお座敷遊び」が9日、熱海市内の旅館で行われた。広島県や三重県などから訪れた女性7人が参加し、熱海芸妓から踊りの手ほどきを受けた。 東京都の旅行会社「セブンシーズ」の小椋郁乃社長が企画した。着物姿の参加者は、熱海芸妓置屋連合組合の関美さんと露子さんから「さくらさくら」「梅は咲いたか桜はまだかいな」の踊りを教わりながら、美しい所作を身につけた。 小椋社長は「芸妓さんは熱海の宝。女性も楽しめれば、熱海観光の新たな魅力になる」と話した。初めて観光客に踊りを教えたという関美さんは「伝統文化に触れてもらい、とても
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熱海第二小安斎君 静岡県内柔道2大会V 市長に報告
熱海市立第二小5年生の安斎俊貴君(11)がこのほど、第19回県小学生学年別柔道大会の45キロ級と、第29回県柔道整復師会少年・少女柔道大会の5年生の部で優勝した。 柔道整復師会少年・少女柔道大会は無差別のトーナメント戦で行われた。自分よりも体の大きな相手もいる中、決勝までオール一本勝ちで勝ち進み、決勝は優勢勝ちで制した。9月の東海大会、11月の全国大会に本県代表として団体戦に出場する。 市役所で斉藤栄市長に優勝報告をした安斎君は「将来は五輪に出て金メダルを取りたい」と力強く語った。
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熱海魅力 写真、水彩画で あいぞめ珈琲店でプロの作品展
熱海市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」で28日まで、いずれも同市出身のアーティスト富岡美紀さん(35)と写真家YUTAさん(32)の作品展「永縁(えいえん)」が開かれている。 YUTAさんが撮影した市内のさまざまな風景写真に、富岡さんの水彩画を重ね合わせた作品22点が並んだ。伊豆山の土石流被災地の写真には白いアネモネの絵が描かれた。アネモネの花言葉「希望」と被災地が目指す再生を重ね合わせたという。カフェの窓から捉えた海と初島の写真には淡い青色のイルカが描かれ、夏らしい雰囲気を演出している。 YUTAさんは「地元の人も観光客も新鮮な気持ちで熱海を再発見できると思う。作品をきっ
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熱海土石流 警戒区域、2023年夏解除へ 市が被災者説明会
熱海市は7日、同市伊豆山の大規模土石流の被災者向け説明会を市役所で開いた。斉藤栄市長は、立ち入りが規制されている警戒区域について「来年の夏ごろには解除できる」との見通しを示し、みなし仮設住宅などの家賃補助は「被災者が恒久的な住まいでの生活再建に進める状況になるまで支援する」と明言した。土石流発生から1年1カ月余り。避難生活が続いている市民にようやく生活再建の道筋が示された。 警戒区域内の住民60人が参加し、国、県、市の担当者が復旧工事のスケジュールなどを説明した。警戒区域の解除は、国が建設する新砂防ダムの完成と土石流の起点に残る不安定な盛り土の撤去が前提。県は前土地所有者の「新幹線ビルディ
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児童が読書感想画 生き生きと描く 熱海で教室
熱海市立図書館で4日、夏休み恒例の「読書感想画教室」が開かれた。市内の小学生5人が、好きな本の印象に残る場面を丁寧に描き上げた。 新型コロナウイルス感染対策のため人数を制限して実施した。県文化協会理事を務める同市の日本画家、松山英雄さんと妻で同じく日本画家の幽紫さんが手ほどきした。 参加者は、本に登場した動物や恐竜などを生き生きと描き、色を塗り重ねて立体感などを表現した。1学期に学校の図書館で50冊以上の本を借りたという佐々木璃空斗君(多賀小6年)は「本だけでなく絵も好きになった。自信を持って描きたい」と話した。同教室は18日も開かれる。
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初島―熱海間12キロ力泳 神奈川県水泳連盟V 静岡商高5位
第75回初島・熱海間団体競泳大会(熱海市主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が4日、同市の初島港から熱海サンビーチまでの約12キロ区間で行われた。県内外の24チームが出場し、初挑戦の神奈川県水泳連盟が2時間1分56秒で優勝した。 1948年に始まった伝統ある大会だが、新型コロナウイルス禍や伊豆山地区の大規模土石流の影響で中止が続き、3年ぶりの開催となった。 ぐずついた空模様だったものの、風や波は穏やかで、選手は3人一組で懸命にゴールを目指した。優勝した神奈川県水泳連盟の小林陸さん(22)、大塚陽さん(19)、小沢雄二郎さん(22)は「熱海の海はきれいだった」「来年も優勝したい」などと笑顔で語
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交通死亡事故ゼロ 熱海市が連続500日 静岡県対策協が表彰
静岡県交通安全対策協議会(会長・川勝平太知事)は3日、交通死亡事故ゼロ連続500日を達成した熱海市を「交通安全優良市町」として表彰した。市役所で県くらし交通安全課の入戸野明課長が斉藤栄市長に表彰状を贈呈した。 同市では昨年3月14日から交通死亡事故が発生しておらず、今年7月27日に連続500日を達成した。現在も継続している。 観光地の同市は、県外ナンバーの車やレンタカーの通行が多い。斉藤市長は、交通安全活動を推進する熱海署や関係団体に感謝し、「さらなる交通安全を連携して呼び掛け、安全安心な観光地をアピールするためにも『ゼロ』を継続していきたい」と述べた。
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「風化させない」 被災者ら決意新た 熱海土石流発生1年1カ月
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年1カ月が経過した。土石流が流れ下った被災地付近では、被災者らが集まり犠牲者を慰霊しながら、悲劇を風化させない決意を新たにした。復旧復興に向けた動きが本格化しつつある中、伊豆山を離れて暮らす被災者は「安全が確保された古里にいつ帰れるのか、早く知りたい」と切望した。 炎天下、被災者らは発生時刻の午前10時半ごろに現場付近で手を合わせた。立ち入りが規制されている警戒区域には雑草が生い茂り、月日の流れを物語っていた。損壊した住宅は応急的な修理しか認められていないため、屋根や壁の傷みも目立ち始めていた。 自宅が全壊し、神奈川県湯河原町のみなし仮設住宅で
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全国総体「成績で恩返し」 熱海高ヨット部、健闘誓う
全国高校総体のヨット男子420級に出場する熱海市の熱海高ヨット部の生徒4人がこのほど、市役所に斉藤栄市長を訪ね、健闘を誓った。 大会に臨むのは、3年生の田畑武佐士さん、相馬桜煌さん、2年生の佐藤海惺さん、土屋歩夢さん。6月に愛知県で行われた東海大会で3位に入賞し、3年ぶりに全国への切符をつかんだ。 部長の田畑さんは、「これまでお世話になった多くの人への感謝を忘れずに、成績で恩返ししたい。目標は3位以内」と抱負を述べた。 斉藤市長は「高校生の活躍は、市民を元気づけてくれる。練習の成果を存分に発揮してほしい」と激励した。 競技は12~16日に和歌山市の和歌山ヨットセーリングセンターで行わ
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熱海・伊豆山復興、将来像は 被災者らワークショップ3回目
熱海市は7月31日、大規模土石流に見舞われた同市伊豆山の復興まちづくり計画策定に向けた3回目のワークショップ(WS)を市役所で開いた。被災者ら26人が参加し、地域の将来像について意見を交わした。 生活道路や避難所、被災者への補助支援策などをテーマに八つの小グループに分かれて議論した。参加者からは道路の新設や拡幅などで「住宅を建てられるスペースがどのくらい残るのか心配」「安全安心を確保するためには避難路、避難所の確保は不可欠」などの意見があった。 市は今月末までに、まちづくり計画の策定を目指している。29日の復興計画検討委員会で、計画の最終案を提出する方針で、WSで挙がった意見をできるだけ
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建築家タウトの魅力紹介 市民有志ら記念講演会 旧日向熱海別邸
ドイツ人建築家のブルーノ・タウト(1880~1938年)が地下室を設計した熱海市の国重要文化財「旧日向熱海別邸」の一般公開が27日に再開されるのを前に、市民有志らでつくる熱海ブルーノ・タウト連盟(矢崎英夫代表)は2日、同市の起雲閣で記念講演会「地球人 ブルーノ・タウト」を開いた。 お茶の水女子大名誉教授の田中辰明さんと日本建築学会終身正会員の西川新八郎さんが講師を務めた。田中名誉教授は、タウトが桂離宮(京都市)の影響を受けて、建物の細部に竹をふんだんに活用したことなどを紹介。「日本の文化を愛していた」と解説した。西川さんは「住環境をデザインする上で素晴らしい才能があった。自然へのまなざしは
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出馬予定の2陣営出席 熱海市長選で説明会
熱海市選挙管理委員会は2日、任期満了に伴う市長選(9月4日告示、11日投開票)と同時に行われる市議補選(欠員1)の立候補予定者説明会を市役所で開いた。 市長選は、既に出馬を表明している現職の斉藤栄氏(59)と新人で市議の泉明寺みずほ氏(51)の2陣営のほか、立候補を検討している飲食業の男性(70)が訪れた。市議補選は検討中を含め2陣営が出席した。 市選管の担当者らが選挙運動の注意点などを説明した。立候補届け出書類の事前審査は18日に行う。 6月21日現在の選挙人名簿登録者数は3万1807人(男1万4345人、女1万7462人)。
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戦前に焼失した末社 90年経て再建 熱海・来宮神社
熱海市西山町の来宮神社で戦前に焼失した同神社の末社が再建され、1日、社殿の竣工(しゅんこう)祭が行われた。きらびやかな装飾が施された社殿の前で、神職や氏子らが地域の安全や繁栄を祈願した。 末社は小童社、秋葉社、神武天皇社、八坂神社、雷電社、床浦社、柿本社の7社で、来宮神社本殿に続く参道の脇に並ぶ。来宮神社によると、末社は1932年の不審火で焼失した。以来、み霊は本殿に祭られていた。焼失から90年を迎えた今年2月から工事が行われていた。 雨宮盛克宮司(53)は「再建に長い年月がかかってしまったが、先人の心をつなぐことができてほっとしている」と話した。末社の八坂神社や床浦社には病難よけの神徳
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子育て世帯に臨時給付 18歳以下3万5千円 物価高騰で熱海市
熱海市は29日、物価高騰などに対応するため、子育て世代への臨時特別給付金や交通事業者への補助金など計1億4200万円を追加する一般会計補正予算を25日付で専決処分したと発表した。 国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用する。子育て世帯への給付金は、18歳以下の子ども1人につき3万5千円を支給する。子ども1人につき5万円を国が支給する低所得世帯を除く。対象は約2100人で、総額7600万円。 燃料高騰の影響を受けているバス、タクシー、初島航路定期船といった交通事業者の負担軽減を図るための補助金750万円も計上した。このほか、保育所、幼稚園、学校の給食に影響が出ないよう材料
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熱海の斉藤市長 5選出馬正式表明
熱海市の斉藤栄市長(59)=写真=は29日、任期満了に伴う市長選(9月4日告示、11日投開票)に、5選を目指して無所属で立候補すると正式に表明した。同日の定例記者会見で、記者の質問に答えた。 斉藤市長は、昨年7月に発生した伊豆山地区の大規模土石流について「任期中に起きた災害であり、復興は自分の責務。途中で投げ出すことは考えたことがない」と強調した。 不適切に造成され、被害を拡大させたとされる盛り土の行政対応などの総括はこれまで、市議会調査特別委員会(百条委員会)の結果を踏まえて行うとしていたが、「選挙前に示せるように努力する」と述べた。地域経済に打撃を与え続けている新型コロナウイルス禍か
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頼朝弔い「政子が頭髪で刺しゅう」 熱海・伊豆山郷土資料館「法華曼荼羅」を限定公開 8月30日まで
熱海市教育委員会は28日から8月30日までの期間限定で、同市の伊豆山神社所蔵の「法華曼荼羅(ほっけまんだら)=伝北条政子頭髪曼荼羅=」を同神社本殿隣の伊豆山郷土資料館で公開する。北条政子が夫の源頼朝の菩提(ぼだい)を弔うために自らの髪で刺しゅうしたと伝わる貴重な史料。市教委は公開を通じて、発生から1年が経過した大規模土石流の犠牲者を慰霊するとともに「被災地の復旧復興のきっかけになるように」との願いを込めている。 曼荼羅は縦54・5センチ、横38・5センチ。政子の髪で刺しゅうされたとされる46字の梵字(ぼんじ)が記されている。鎌倉幕府の歴史書「吾妻鏡」によると、頼朝の一周忌にあたる1200年
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温泉観光地応援 バスクリンが熱海市観光協会に寄付
入浴剤製造販売メーカーのバスクリン(東京都)は26日、熱海市観光協会に49万6883円を寄付した。市役所で同社の風見圭一名古屋支店長が中島幹雄会長に目録を手渡した。 新型コロナウイルス禍で打撃を受けている温泉観光地の応援プロジェクトの一環。熱海をはじめとした「日本の名湯」シリーズの売上金の一部を浄財に充てた。同社は3月にも第1弾として約30万円を寄付している。 風見支店長は「にぎわいが一日も早く戻るよう願っている」と述べた。中島会長は「感染対策を万全にしてお客様をお迎えしたい」と感謝した。寄付金は夏以降の誘客やイベントに活用する。
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船長気分で航海楽しむ 熱海、マリンフェスタ
熱海市のスパ・マリーナ熱海でこのほど、海に親しみながら水難事故防止などに理解を深めるイベント「マリンフェスタ・アタミ2022」(実行委主催)が開かれた。 遊覧船やモーターボートの試乗会や、伊豆小型船安全協会所属のクルーザーの船長体験などを行った。船長体験に参加し、初島付近まで航海を楽しんだ同市の鬼倉治彦君(9)は「初めての体験でわくわくした。大きくなったら船を操縦してみたい」と話した。 海上保安庁の特設ブースも設けられ、親子連れが同庁の制服を着て記念撮影を楽しんだ。
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伊豆山の復興まちづくり計画 持続可能な地域の道標を【湧水】
昨年7月の大規模土石流で被災した熱海市伊豆山の復興まちづくり計画の策定作業がヤマ場を迎えている。市は8月末までの策定を目指し、被災者らのワークショップ(WS)や個別ヒアリングで上がった声を計画に反映させたいとしている。ただ、計画のたたき台はまだ漠然としていて、具体的な将来像を共有できる段階には至っていない。被災者の生活再建はもちろんだが、持続可能な地域の道しるべを一日も早く導き出してほしい。 復興まちづくり計画は、被災地を中心とした伊豆山地区の土地利用や基盤整備の具体的な方向性を示す。22日に行われた復興計画検討委員会で、市は「あくまでイメージ」としながら、被災地の模型を使って被災者向けの
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1年1カ月ぶり読経 熱海土石流被災の地蔵堂、修復完了
熱海市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流で被災した逢初(あいぞめ)地蔵堂の修復が完了し、24日、地元の女性らが地蔵堂で1年1カ月ぶりに念仏を唱えた。心のよりどころの復活を喜んだ女性らは、犠牲者の冥福を祈りながら地域の一日も早い復旧復興を願った。 国道135号に架かる逢初橋近くに立つ地蔵堂は、土石流で大量の土砂が流入した。外壁などが大きく損傷したものの、堂内に安置されていた逢初地蔵は奇跡的に無事だった。 発生から2カ月後、災害で心を痛めた住民を励まそうと、同市のNPO法人「熱海キコリーズ」と「アタミスタ」が地蔵堂の修復プロジェクトに乗り出した。地元の間伐材を利用して床を張り替えたり、泥
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熱海土石流 警戒区域解除のスケジュール 市、8月上旬説明会
熱海市は22日、大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の復興計画検討委員会を市役所で開いた。市は、立ち入りが規制されている警戒区域の解除スケジュールや被災者の生活支援策に関する説明会を8月7~9日に開くことを明らかにした。 説明会は被災者や応急仮設住宅で暮らす住民が対象。土石流の起点に残る不安定土砂の撤去や、国の砂防ダムの建設スケジュールを示した上で警戒区域解除の考え方を説明する。原則2年とされている応急仮設住宅の家賃補助の方向性も示す。 検討委では、市の担当者が被災地の模型を使いながら、被災者向けの公営住宅や集会所、公園などを配置するイメージを説明した。委員からは、狭い道路の拡幅を求める
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山車引き回し 漁師町の夏を盛り上げ 熱海・阿治古神社例大祭
熱海市網代の阿治古神社の例大祭が20日、開催された。同日夕には呼び物の山車の引き回しが繰り広げられ、住民が威勢の良いかけ声を出しながら地域の繁栄を祈った。 地元の5町内がちょうちんや電飾などで装飾した木彫りの山車を引き回した。若衆や子どもたちが奏でる太鼓や笛の音色が響き渡り、漁師町の夜を盛り上げた。日中には、町内会役員らが練り歩く「お上り」「お下り」が行われたほか、地元の女児による浦安の舞が奉納された。 同神社の例大祭は400年の歴史があるとされる。例年は豊漁などを祈願する御神船「両宮丸」の引き回しを行っているが、新型コロナウイルス感染対策のため中止した。 (熱海支局・豊竹喬)
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熱海土石流百条委 市長ら7人参考人招致 8月下旬、工事関係者も
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)は20日、各会派の代表者らによる非公開の会合を開き、斉藤栄市長や被害を拡大させたとされる盛り土の工事関係者ら計7人を8月下旬に参考人招致する方針を固めた。7月25日の百条委で正式に決定する見通し。 会合後に取材に応じた稲村千尋委員長によると、6月末までに各市議から13人を証人または参考人として呼びたいとの申し出があったが、盛り土の現旧所有者らへの損害賠償請求訴訟が始まっている状況を踏まえ、対象者を絞り込んだ。 斉藤市長は4月に続き2度目の参考人招致になる。このほか退職者を含む市職員4人、盛り土の工事関係者2人も招致する。
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モバイルバッテリー提供 熱海市と都内企業、防災強化へ協定
熱海市は20日、スマートフォンなどのモバイルバッテリーのシェアリングサービスを手掛けるインフォリッチ(東京都)と災害時のバッテリー提供に関する協定を締結した。同市の防災強化を図るとともに、市民や観光客の安全確保、利便性向上を図るのが狙い。 災害時に市の要請に応じ、同社がバッテリーを無償貸与する。また、平時に観光客などが利用できるモバイルバッテリースタンドを市役所に設置した。 スタンドには最大20台のモバイルバッテリーが備えられていて、QRコードを読み取ると持ち出して利用できる。スタンドは全国に約3万カ所あり、バッテリーはどこにでも返却できる。利用時間に応じて料金が変わる。 同社は今後、
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「船旅お楽しみください」 熱海-初島航路 児童が「1日船長」
熱海市の富士急マリンリゾートは「海の日」の18日、熱海-初島航路の定期船で「小学生1日船長体験」を行った。公募で選ばれた3人の児童が快適な船の旅を案内した。 1日船長を務めたのは、同市立多賀小2年の大野ちひろさん、伊東市立宇佐美小3年の鈴木遼君、東京都三鷹市立高山小2年の柴田航成君。 そろいの帽子とボーダー柄のシャツ姿の3人はデッキで元気よく乗船客を出迎えた。操舵(そうだ)室では「初島までの船旅をお楽しみください」「船内に忘れ物がないよう注意してください」などとアナウンスした。 初島までの約30分間の航海を終えると、「初めて見るものばかりで面白かった」「少し船酔いをしたけど楽しかった」
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節目の日 伊豆山に薬局開業 被災の千葉さん 熱海土石流1年
熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から3日で1年。家族を亡くしたり、自宅を失ったりした被災者の心の傷は癒えていない。そんな地域を応援する声は今も全国から届いている。地元でも、住民の力になろうと1年の節目に合わせて一歩を踏み出す被災者もいる。 熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から1年を迎える3日、被災者の一人で薬剤師の千葉久義さん(49)が地域で唯一の薬局「123(いずさん)」を開業する。高齢化が著しく、人口減少が進む地域を支えようと、新たな一歩を踏み出す。 国道135号沿いの千葉さん宅は、土石流による断水が解除された際、水道管が破損し水浸しになった。当時は避難生活中で、近所の住民から自宅
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熱海に新ホテル「パールスター」9月開業 富裕層、女性客見込む
リゾートホテルを運営する国際観光資源開発(熱海市)は1日、同市東海岸町で建設を進めていた「熱海パールスターホテル」を9月26日に開業すると発表した。市内で初めて全室にバトラー(執事)サービスを完備する高級ホテルで、富裕層や女性客を中心に需要を見込む。 地上10階建てで、87の客室全てに温泉が付いている。最上階には全長12メートルの露天風呂もある。1泊1人6万~7万円。観光名所「お宮の松」の向かいで、客室などから熱海湾を一望できる。7月1日にウェブで予約受け付けを開始した。 ホテルが立つ場所は旧つるやホテル跡地で、かつては複合商業施設の開発が計画されたが、不動産開発会社の倒産により2009
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静岡県 逢初川整備計画の原案提示、年内策定目指す 熱海土石流
静岡県は1日、昨年7月3日に大規模土石流が流れ下った熱海市伊豆山の逢初(あいぞめ)川流域の防災強化や魅力的な地域づくりに向けた「逢初川水系流域委員会」の初会合を同市の県熱海総合庁舎で開き、川幅の拡幅などを盛り込んだ河川整備計画の原案を示した。 整備対象区間は河口から約1・3キロとし、うち4区間で川幅を広げたり、なめらかな河道に是正したりする。全体の計画期間は20年間で、総費用は約7億円を見込む。 県によると、逢初川は川幅が狭く流下能力が不足しているため、川幅を3・4メートルに広げて30年に1度降るレベルの雨量を安全に流せるようにする。地形的に制約がある区間を除き開水路構造にする。 被災
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熱海土石流 回答期限、前所有者反応なし 残存盛り土に市措置命令
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で崩れずに残っている盛り土を巡り、市が前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)に出した措置命令について、市は30日、同社から回答期限の同日までに安全対策の計画書が提出されなかったことを明らかにした。県盛り土規制条例が施行される7月1日から指導権限は市から県に移るが、斉藤栄市長は30日の定例記者会見で、引き続き県と連携して対応していくと強調した。 土石流の起点の崩落現場付近には、推定2万立方メートルの土砂が不安定な状態で残る。市は今年3月、大雨で崩れる可能性を指摘した県の調査結果を踏まえ、同社に対策を求め行政指導を行った。しかし回答がなかったため、5月
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熱海土石流 市長、自宅再建支援を約束 復興基本計画を公表
熱海市は29日、大規模土石流に見舞われた伊豆山地区の復興計画検討委員会を市役所で開き、復興の理念や方向性を定める基本計画を公表した。被災者が求めていた住宅の自力再建に対する公的な資金援助などを検討し、明らかにすると明示した。斉藤栄市長は8月上旬に具体策を説明するとし、「市としてしっかりと被災者を支える」と約束した。 基本計画は、これまで4回開かれた検討委で上がった意見や学識経験者の助言を踏まえ、斉藤市長が本部長を務める庁内組織「市伊豆山復興推進本部」が28日に決定した。 安全・安心の確保▽速やかな生活再建▽創造的復興-を基本方針の柱に据え、短期(3年)、中期(5年)、長期(10年)に分け
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熱海市長 土石流遺族らに直接謝罪 「被害者の会」と会談
熱海市の斉藤栄市長が27日夜、同市伊豆山の大規模土石流の遺族、被災者でつくる「被害者の会」の会長で母親を亡くした瀬下雄史会長(54)らと市役所で会談し、行政として被害を防げなかったことについて直接謝罪していたことが分かった。発生から間もなく1年たつが、両者が面会し、斉藤市長が謝罪したのは初めて。 会談は非公式。斉藤市長の呼び掛けで行われた。28日に取材に応じた斉藤市長は、土石流の起点となった盛り土を含む現旧土地所有者らへの損害賠償請求訴訟に関し、市が原告である同会の補助参加人として協力していくことを改めて伝えたとし、「多くの住民の生命財産を守れず、大変申し訳なかったと申し上げた」と明かした
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熱海復旧復興へ 2回目の意見交換 被災者らワークショップ
熱海市は26日、大規模土石流で被災した同市伊豆山の復興まちづくり計画策定に向けた2回目のワークショップ(WS)を市役所で開いた。市内外で避難生活を送る被災者や被災地区の住民ら計27人が参加し、復旧復興に必要な施策やインフラなどについて意見を交わした。 前回のWSで挙がった意見を基に、避難所や生活道路などのハード面や、補助・支援制度、子育て支援策といったソフト面の課題を提示した。参加者は関心のあるテーマに分かれて語り合った。 街並みに関する議論をした男性は「道幅が狭く坂が多い地域なので、カーシェアなど住民が移動しやすくする施策を取り入れてほしい」と話した。補助・支援制度について意見交換した
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熱海土石流 警戒区域の部分解除否定 斉藤市長、議会答弁
熱海市の斉藤栄市長は23日の市議会6月定例会の一般質問で、同市伊豆山の大規模土石流の被災地に設定されている警戒区域について「区域全体の安全確保が解除の要件だと考えている。部分的な解除は想定していない」と述べた。橋本一実市議への答弁。 警戒区域は災害対策基本法に基づき、市が昨年8月16日に設定した。区域内は原則立ち入り禁止で、市によると132世帯が応急仮設住宅などで避難生活を送っている。 解除時期は被災者の生活再建を大きく左右する。斉藤市長は8月上旬に説明会を開き、逢初(あいぞめ)川上流部の新砂防ダム、源頭部に残った不安定土砂の除去、河川改修といった安全確保に必要な工事のスケジュールなどを
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赤いビル解体始まる 濁流直撃、被害の象徴 熱海土石流
熱海市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流で、濁流が直撃する動画が交流サイトで拡散され、土石流被害の象徴的な存在となっていた「赤いビル」の解体工事が21日、本格的に始まった。住人で市議の高橋幸雄さん(66)は「悲しさや悔しさはあるが、どうあがいても残せない。今は前向きに考えるしかない」と言葉を絞り出した。 ビルは鉄筋コンクリート造り4階建て店舗兼住宅の「丸越酒店」。昨年7月3日午前10時55分ごろ、逢初(あいぞめ)川上流部から流れ下った大量の土砂が直撃し、3階以下に土砂が流入。「大規模半壊」と判定された。解体費用は公費で賄われる。 高橋さんは現在、神奈川県湯河原町のみなし仮設住宅で暮ら
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熱海・伊豆山小に花の苗 長野と山梨の生産者が寄贈
熱海市の伊豆山小に13日、長野・山梨両県の花生産者でつくる「八ケ岳グリーンネットワーク」から花の苗700株が届いた。同団体は土石流災害に遭った伊豆山地区を元気づけようと、昨年から伊豆山小に花の苗などを贈る活動を続けている。校庭には、色鮮やかな花と共に児童の笑顔が広がった。 マリーゴールド、ベゴニア、ペチュニアなど7種類の苗を全校児童56人に手渡した。3、4年生は団体のメンバーから手ほどきを受けながら早速、プランターに植え替えた。6年生の中嶋幸史郎君(12)は「すごくきれいで元気が出てくる。遠くから届けてくれてとてもありがたい」と感謝した。 同団体は東日本大震災を機に、全国の被災地に年間約
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相模灘の魚に園児 興味津々 熱海・泉幼稚園 海の環境学ぶ
熱海市の泉幼稚園の園児が7日、約1500種類もの魚が生息する地元の相模灘について学んだ。水揚げされたばかりの魚に触れた園児は、多様な生物を育む海の環境にも理解を深めた。 熱海魚市場の宇田勝代表が講師を務め、極端に小さいなどの理由で市場に出回りにくいイトヨリ、エソ、マトウダイなど約20種類の「未活用魚」を紹介。園児は魚の感触を確かめたり、隅々まで観察したりして特徴を覚えながらスケッチした。 NPO法人ディスカバーブルー(神奈川県真鶴町)の水井涼太代表理事もプランクトンの顕微鏡画像などを見せながら「相模灘には魚のご飯がたくさんあるが、ごみがあると間違って食べてしまう。みんなで海の環境を守ろう
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応急の排水設備公開 被災者「まだ不安ぬぐえない」【熱海土石流】
静岡県は3日、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で崩れずに残っている盛り土の崩落を防ぐために応急的に整備した排水設備を被災者や住民に公開した。土砂災害の危険が高まる出水期を前に、初めて起点に立ち入った被災者からは「まだ不安がぬぐえない」との声や「悔しさがこみ上げてきた」と、ずさんな盛り土を造成した業者への怒りの声が聞かれた。 起点には、約2万立方メートルの盛り土が不安定な状態で残っている。県は4月28日から今月2日まで、崩落部分に排水路などを設ける工事を行った。県熱海土木事務所の杉本文和所長は「雨水の流入と地下水位の上昇を抑え、一定の安定性を確保した」と説明。一方で「豪雨による崩壊の恐れは
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伊豆山港、アワビ漁復活へ海藻移植 県水技研と地元漁業者
静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場と熱海市伊豆山の漁業者でつくる伊豆山漁業会は2日、同市の伊豆山港内で藻場造成のための海藻移植作業を行った。伊豆山近海では5年ほど前から、広範囲で海藻がなくなる「磯焼け」が深刻化し、特産のアワビなどの成育に影響を与えている。昨年7月の大規模土石流の打撃も受けている地元漁業者は「漁場が復活してほしい」と願った。 同分場から運び込まれたカジメの幼体やアカモクの母藻が付いた計30個の石を、地元の漁師が港内の水深2~3メートルの海底に沈めた。 カジメなどの海藻はアワビの主食になる。しかし近年は魚の食害や黒潮の大蛇行などの環境異変により藻場が激減し、アワビの漁獲量に
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記者コラム「清流」 カフェで感じたぬくもり
取材の合間に、熱海市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」に立ち寄った。壁一面に張られた木製のコースターには、土石流からの復旧復興を応援する人、全国からの支援に感謝する住民らのメッセージが書き込まれていて、開店当初より着実に増えているように見えた。 店独自の「つながるチケット」も好評のようだ。チケットは買った人が店に残し、他の客が店内で利用できる。「ありがとう」。利用済みのチケットにはそう書き込まれていた。「お金を払わずに飲食するのは申し訳ない」とこぼす地元客もいるが、そこにも人を思う温かさを感じた。 感謝や応援の形は人それぞれ。特別な表現にこだわらなくてもいい。大事なのは、思い
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泊食分離 サービス向上 熱海でセミナー
熱海市は30日、宿泊客が宿以外で食事をする「泊食分離」をテーマにしたセミナーを市役所で開いた。新型コロナウイルス禍で旅行形態が多様化する中、市内の飲食事業者らが地元の特産品を使ったサービス向上などに意識を高めた。 全国の特産品を使ったカクテルなどを提供する銀座ダイニングバー・ミスティー(東京都)のバーテンダー三沢政樹さんが、熱海産のダイダイやレモン、県内産のイチゴを使ったドリンクメニューを紹介。同じ産地の果物を組み合わせたり、自家製品を取り入れたりすることで「安全や独自性をアピールできる」と話した。 飲食店の予約サイトを運営する「ぐるなび」の担当者も講師を務め、コロナ禍でも黒字を維持して
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熱海土石流 市の損賠訴訟参加 6月定例会に議案提出へ
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族らが起点の盛り土を含む土地の現旧所有者らを相手取った損害賠償請求訴訟を巡り、斉藤栄市長は30日の市議会議会運営委員会で、市が原告側の補助参加人として訴訟に参加するための議決を得るため、6月定例会に関連議案を提出することを明らかにした。議会側は同議案を6月9日の定例会初日に先議することで了承した。 土石流を巡る訴訟では、被告の現所有者側が18日の第1回口頭弁論で県、市、斉藤市長に訴訟への参加を促す訴訟告知を申し立てた。市は既に原告側に補助参加の意向を伝えていて、原告側も市と県に補助参加を求める文書を送付している。 斉藤市長は「被災者のために何かできることがな
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伊豆山再生へ語り合う 復興計画に被災者の声反映へ【熱海土石流】
熱海市は29日、大規模土石流で被災した伊豆山地区の復興まちづくり計画に、被災者や住民の意見を取り入れるためのワークショップ(WS)を市役所で初めて開いた。市内外の応急仮設住宅で避難生活を送っている被災者や、伊豆山に残って暮らしている住民が、生活再建やコミュニティーの再生に必要な視点について意見を出し合った。 初回は応急仮設住宅で暮らす14人と被災した岸谷、仲道、浜の3地区の住民11人が小グループに分かれて意見を交わした。 自宅が全壊した志村信彦さん(41)は「安全が確保されていないと伊豆山に戻れない」と話し、被災者の視点に立った計画をつくるよう求めた。自身も被災者でありながらボランティア
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熱海土石流 盛り土対応総括、百条委の結果待ち 市長会見
熱海市の斉藤栄市長は24日の定例記者会見で、同市伊豆山の大規模土石流の起点になった盛り土に関する行政対応について、市議会調査特別委員会(百条委員会)の調査結果を踏まえて総括する考えを示した。ただ、百条委の結論が出る時期は不透明で、9月には市長選が控えている。行政手続きの改善策や不適切な盛り土造成の防止策が求められる中、市議の一人は「行政と議会は別。百条委を待つのはおかしい」と批判した。 「責任を感じている」-。斉藤市長は会見で、不適切な盛り土造成や土石流が自身の任期中に起きたことについて、はっきりとした口調で謝罪した。盛り土造成計画を届け出た神奈川県小田原市の不動産管理会社が提出した書類に
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鈴なりの梅に児童歓声 「あそこにも」「こっちにも」 熱海梅園で収穫体験
熱海市立第一小の2年生約30人が23日、同市を代表する観光名所の一つ、熱海梅園で梅の実の収穫を体験した。鈴なりになった実が木から落ちると、児童は歓声を上げて喜び、熱海の初夏の風物詩を満喫した。 市職員やボランティアらが長い棒で木を揺すると、児童が広げたブルーシートに直径3センチほどの青い実がパラパラと音を立てて落ちた。児童は「あそこにもまだある」「こっちにも」などと声を上げて作業を楽しんだ。 市によると、園内には60種469本の梅が植栽されている。このうち「白加賀」「長束」「青軸」など128本が実を付ける品種という。昨年は過去最高の1470キロを収穫した。 市は25日まで作業を行い、8
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未活用魚の図鑑制作 熱海で児童「もっと知りたい」「環境守る」
熱海市の海を起点に、海の学びを深める機会をつくる「熱海千魚ベースプロジェクト」は21日、子どもたちが地元で取れる「未活用魚」を通じて海の環境に理解を深めるイベントを同市の網代漁港で開いた。同市を中心に約20人の小学生が参加し、豊かな海を守る意識を高めた。 未活用魚は、極端に小さかったり、量が少なかったりして市場に出回りにくい魚。相模灘には、こうした未活用魚を含め約1500種の魚が生息しているという。会場にはミシマオコゼ、マツカサウオ、カラスザメなどが並び、子どもたちが熱海魚市場の宇田勝代表や網代漁業の山村豊さんに特徴などを聞きながらオリジナルの「お魚図鑑」を制作した。 図鑑は22日に伊東
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熱海伊豆山 1都6県消防が激励寄せ書き 千葉の中1生寄贈
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山を励まそうと、千葉県柏市の中学1年生、渡辺祐輝さん(12)がこのほど、熱海市に捜索の応援で駆けつけた各地の消防隊員からの激励メッセージを寄せ書きした日の丸の旗を同市に寄贈した。旗は市役所1階ロビーに展示している。 渡辺さんは幼い頃から消防の大ファンで、災害現場で活動する消防を応援する活動を自主的に行っているという。熱海市に贈った旗には、昨年7月3日に発生した土石流災害で、緊急消防援助隊として駆けつけた1都6県の17消防本部を訪ね、隊員からメッセージを寄せてもらった。 「一日も早い復興を」「頑張れ熱海」-。各地の隊員が寄せ書きした日の丸の中心に、渡辺さん
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行方不明者を一斉捜索 熱海土石流、発生から10カ月
関連死を含め27人が死亡した熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から10カ月が経過した。県警は行方不明になっている太田和子さんの一斉捜索を伊豆山港周辺や撤去した土砂の仮置き場などで実施した。強い日差しが照りつける中、機動隊員らは太田さんの手掛かりを懸命に探したが、この日は有力な情報が得られなかった。 県警はこの10カ月間、1日も欠かすことなく捜索を続けてきた。月命日の毎月3日には人員を増やして陸、海、空で大規模な活動を展開している。この日は約90人態勢で臨んだ。 被災地から搬出した土砂を仮置きしている熱海港芝生広場では、機動隊員がスコップで土砂を慎重に掘り起こした。隊員の一人は「見つか
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熱海土石流 新砂防ダム30日本格着工 国交省、逢初川上流部に
国土交通省富士砂防事務所は28日、熱海市伊豆山で昨年7月に大規模土石流が流れ下った逢初(あいぞめ)川上流部に新設する砂防ダムのコンクリート施工を30日に着工すると発表した。本年度中の完成を目指している。 同事務所によると、新設ダムは高さ13メートル、幅59メートル、容量1万800立方メートル。既存のダムの下流約320メートルに設置する計画で、これまでは立木伐採や掘削作業などを行っていた。 逢初川上流部の砂防工事は国直轄の事業。昨年12月までに土石流で既存のダムに堆積した土砂約7200立方メートルを除去したほか、コンクリートブロックを積んだ仮設ダムをその上流に設置した。 砂防工事は被災地
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記者コラム「清流」 甘い原稿と計画案の共通点
恥ずかしい話だが、自分が執筆した原稿を読んで「取材が甘い」とか「曖昧な表現で逃げている」と反省することがある。そんな時はたいていデスクから指摘の電話がかかってくる。現場経験が豊富な人が読めば、記者の自信のなさはすぐに見抜かれる。 先日、熱海市伊豆山の復興計画検討委員会で、それと似たような場面があった。市が示した復興の基本計画案に、委員の学識経験者は「現場感がなく、どこのまちにもあるような計画」と厳しく指摘した。別の委員も「被災者のヒアリングを徹底し、計画に反映させてほしい」と訴えた。 市もその努力をしているのだろうが、被災者や地域が何を求めているのかが、計画案からはいまひとつ読み取れなか
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「県の関与不十分」複数 熱海土石流、市職員ヒアリング結果公表
熱海市は26日、同市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土の行政手続きに関わった市職員(退職者を含む)17人に行ったヒアリングの結果を公表した。盛り土を造成した不動産管理会社(神奈川県小田原市)の開発面積について、知事の許可が必要な1ヘクタールを超えていた可能性があったにもかかわらず県が積極的に関与しなかったとの意見が複数あり、行政間の連携不足が改めて浮き彫りになった。 市は2007年、同社の盛り土造成計画を受理した直後、開発面積が1ヘクタールを超えている疑いがあると県に通報した。県は森林法の林地開発許可違反に当たるとして、すぐに同社に現状復旧などを指導した。 ただ、同社は09年以降も
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熱海・伊豆山にカフェ「あいぞめ珈琲店」開店 地域の交流、再生への一歩
大規模土石流に襲われた熱海市伊豆山に15日、住民同士の心をつなぐコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」がオープンした。運営する地元ボランティア団体「テンカラセン」の高橋一美代表(45)は「誰でも気軽に立ち寄れる友達の家のような場所にしたい」と話し、多くの人の交流により地域を再生させたいとしている。 カフェは住民はもちろん、観光客など伊豆山を応援する人たちの交流拠点。コーヒーやフレンチトーストなどを提供するほか、購入した人が他の客に贈る「つながるチケット」(1枚500円)を販売する。チケットは店内で使える金券。利用者がお礼のメッセージを裏に書き込み、店内に掲示することで、人と人のつながりを実
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熱海土石流 現旧所有者、5月証人尋問 市議会百条委、工事関係者2人も
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)は13日、各会派の代表者らによる小委員会を開き、5月11、12の両日に行う証人尋問に、土石流起点の盛り土部分を含む土地の現旧所有者のほか、既に参考人として事情を聴いた盛り土の工事関係者2人を呼ぶ方針を固めた。 百条委はこれまでに斉藤栄市長や市の元職員、現旧所有者の関係者ら計19人を参考人招致した。このうち2007年に旧所有者が盛り土造成を市に届け出た際に「現場責任者」とされた男性は「盛り土に関わっていない」と述べた。しかし他の複数の参考人はその発言を否定した。 09年3月~10年7月に造成したという業者の幹部は「自分が関
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市長「盛り土は安定」 危険認識なし、現地足に運ばず 熱海土石流
熱海市の斉藤栄市長は8日、熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)に参考人として出席し、起点の盛り土が違法状態だったことを知りながら「一定の安定性が確保されている」として神奈川県小田原市の不動産管理会社への措置命令を見送り、「人身災害が起きるとは考えていなかった」と述べた。災害が起きるまで現地に一度も足を運ばなかったことも明らかにした。=関連記事26面へ 斉藤市長は2011年6月、同社に措置命令を出すことを決裁したが、「(同社が)防災措置を講じると約束し、実際に着工し、一定の安定性が確保されたため」命令を見送ったと説明した。防災工事はその後中止されたが、市と県が
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盛り土「県、積極的関与避けた」 市元担当課長が証言 熱海土石流・市議会百条委員会
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)で7日、参考人として出席した市の元担当課長は、2009年11月、神奈川県小田原市の不動産管理会社の申請した造成面積が、知事の許可が必要となる1ヘクタールを超えているとして県に主体的な対応を求めたが、「県は積極的な関与を避けた」と証言した。当時の行政間のやりとりに不満があったことを明らかにした。 不動産管理会社は07年3月、県土採取等規制条例に基づき、市に許認可権限がある1ヘクタール未満の盛り土造成計画を届け出た。5月、無許可で1ヘクタール超に広げたため、森林法の林地開発許可違反に当たるとして県が行政指導した。 同社は是正
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盛り土変更届「市指導に従い提出」 熱海百条委で不動産元幹部
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土を巡り、神奈川県小田原市の不動産管理会社が2011年7月に提出した工法などの変更届に、静岡県土採取等規制条例で義務づけられた設計図が添付されていなかった問題で、同社の元取締役は7日の市議会調査特別委員会(百条委員会)で、市の指導に従い書類に記入し、そのまま提出したと証言した。 同社は07~11年に計3回の変更届を提出していて、問題の変更届はその3回目。図面は「別紙計画図の通り」と記されていたが、添付されていなかった。 元取締役は、市役所で「(職員に)この通り書いてと言われて書いた。その時点で図面は持っていなかった」と述べた。こうした経緯に対し
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熱海土石流 盛り土規制巡り意見交換 法案審査へ衆院委、市長らと
衆院国土交通委員会は4日、熱海市伊豆山の大規模土石流を踏まえた政府の盛り土規制法案と、建設残土の追跡管理や置き場の確保を目的とした日本維新の会が提出した2法案の審査に向けて、市役所で斉藤栄市長や静岡県、国交省の担当者と意見交換した。 会合は非公開。中根一幸委員長(自民)は終了後の取材に、「(伊豆山と同じような)災害を二度と起こしてはならない。意見交換で得た知見を生かし、法案審査を充実させたい」と述べた。 盛り土を規制する都道府県の条例にはばらつきがあり、規制の緩い地域に土砂が投棄されやすいとの指摘がある。斉藤市長は「悪徳業者に対する抜け穴がないよう厳しい制度にしてほしい」と要望した。同委
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心つなぐカフェ、伊豆山に 地元団体が4月15日開店
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から9カ月が経過した。多くの被災者が伊豆山を離れて暮らし、地域力の弱体化が懸念されている中、地元ボランティア団体「テンカラセン」が開設準備を進めてきたコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」が15日にオープンする。高橋一美代表(45)は「みんな心のつながりを求めている。そのよりどころになれば」と言葉に力を込めた。 カフェは同市伊豆山の国道135号「逢初(あいぞめ)橋」近くに立つ伊豆山浜会館の4階の空きスペース(約60平方メートル)を活用する。クラウドファンディングで資金を募ったり民間団体の支援を受けたりしながら、約3カ月かけて工事してきた。 障害者や高
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熱海土石流 残存盛り土「県と対応」 市長、旧所有者指導も視野
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった逢初(あいぞめ)川源頭部で崩れずに残っている盛り土について、斉藤栄市長は25日の定例記者会見で「すぐに崩れる状況ではないが、安全を確保したい」と述べ、近く公表される県の安定度調査の結果を踏まえ、県と連携して対応する考えを強調した。 源頭部には、推定約2万立方メートルの盛り土が残っていて、二次災害を心配する住民は少なくない。斉藤市長は「工学的な調査結果が出ないとどうすべきか判断できない」としつつ、「残った盛り土を取り除いた方が良いということになれば(盛り土を造成した旧土地所有者に)指導する必要がある」と述べた。 難波喬司副知事は3日の県議会一般質問で
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元社員証言「現所有者、危険認識」 熱海土石流百条委、産廃の埋め戻し指示
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会の調査特別委員会(百条委員会、稲村千尋委員長)は18日、前日に続き参考人招致を行った。起点になった盛り土を含む土地の現所有者が経営するグループ会社の元社員は、現所有者が盛り土崩落の危険性を認識していたと証言し、起点付近に産業廃棄物を埋めるようグループ会社の従業員に指示していたことを明かした。 現所有者は2011年2月、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社から約35万坪(約1・2平方キロ)の土地を3億円で購入。元社員は盛り土の崩落対策について行政と協議し、その内容を現所有者に伝えていたという。しかし「全く聞く耳を持たなかった」と述べた。
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盛り土造成の「現場責任者」、関与を否定 熱海土石流百条委
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土に関する静岡県や市の公文書で、盛り土造成の現場責任者とされている男性が17日、市議会の調査特別委員会(百条委員会、稲村千尋委員長)の参考人招致に応じた。男性は当時土地を所有していた不動産管理会社(神奈川県小田原市)に勝手に名前を使われ、造成工事には関与していないと主張した。また、現土地所有者に盛り土の防災工事を依頼され、一部を施工したが、工事代金が支払われていないことも明かした。 男性はビデオ会議システムで質疑に応じた。2007年3月に不動産管理会社が市に提出した盛り土造成の届出書で、男性は現場責任者と記載されていたが、「自分の名前が記載されて
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警戒区域住民「未来の会」発足 熱海土石流、復興計画「声反映を」
熱海市伊豆山の大規模土石流で、市が災害対策基本法に基づき設定した「警戒区域」に自宅がある被災者らが11日、市の復興計画に住民の意見や要望を反映させることなどを目的にした「警戒区域未来の会」を発足させた。同日、市役所で記者会見を開いた中島秀人代表(53)は「市と対立するのではなく、協力してより良い計画をつくりたい」と語った。 同会には警戒区域内の住民23世帯、約50人が参加している。被災の程度はさまざまだが、区域は原則立ち入り禁止のため、自宅が無事でも帰宅することはできない。住民は長期避難世帯に認定され、応急仮設住宅で暮らしている。 市は復興計画策定に向けて検討委員会を設置した。しかし、1
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流出した山石、港復活の礎に 熱海伊豆山沖、伊勢エビ魚礁に活用
熱海市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流で、大量の土砂が流れ込んだ伊豆山港の漁業の復旧策として、静岡県は10日までに、土石流で流出した山石を活用して小型の魚礁を造る方針を固めた。特産の伊勢エビなどの漁獲量が落ち込み苦境に立たされている漁師の生産性向上を図る。工事は早ければ4月上旬に始まる見通し。 魚礁整備は、県が地元漁師に行ったヒアリングで提案があった。県によると、熱海港芝生広場に仮置きしている山石のうち、約50立方メートルを伊豆山港の北東数キロ沖の海底に積み上げて、伊勢エビなどが住み着く魚礁にする。 土石流では約1万8千立方メートルの土砂が海に流れ出た。県は昨年10月までに伊豆山港
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熱海土石流 行政の責任は「司法の判断仰ぐ」 市長答弁
熱海市伊豆山の大規模土石流をめぐる市の責任について、斉藤栄市長は9日の市議会2月定例会で、「当事者の行政自身が判断すべきものではない。最終的には司法の判断を仰ぐもの」との認識を改めて示し、行政対応の検証中であることも踏まえ明言を避けた。橋本一実氏(熱海市民クラブ)の一般質問に答えた。 斉藤市長は昨年10月の記者会見でも同様の見解を示していた。一方、起点の盛り土に関する行政の不作為を指摘する被災者は多い。斉藤市長は、県の行政対応検証委員会や市議会の調査特別委員会(百条委員会)の検証に協力することが「今果たすべき役割。結果を真摯(しんし)に受け止めて再発防止に生かさなければならない」と強調した
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熱海市内の5酒店 復興支援で純米酒販売 売り上げの一部、義援金に
熱海市内の酒店が、大規模土石流に見舞われた同市伊豆山の復興支援ラベルを施した駿河酒造場(静岡市駿河区)の純米酒「天虹(てんこう)」を販売している。売り上げの一部を義援金として市に寄託する。 復興支援ラベルは、熱海市の日本画家坂本武典さん(45)が手掛けた。今年の干支(えと)の寅(とら)が、伊豆山の高台から相模灘と初島を望んださまを描いた。 同市中央町の酒店「近江屋」では720ミリリットル瓶(税込み1320円)と300ミリリットル瓶(同550円)計200本を入荷し、4日に販売を始めた。既に被災者支援に賛同する飲食店や宿泊施設から注文が寄せられているという。 近江屋の古株伸一代表(50)は
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被災住民ら参考人招致 盛り土の経緯語る 熱海市議会百条委
熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から8カ月が経過した3日、土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会、稲村千尋委員長)は参考人を招致し、聴取を開始した。午前は被災地周辺の住民らが証言に立ち、起点の盛り土が造成された経緯や、当時、目撃したことなどについて語った。 初日は住民のほか、不適切に造成された盛り土の危険性などを県に指摘し、対応を求めたジャーナリスト、盛り土部分を含む土地の現旧所有者の土地売買に関与した不動産業者元代表ら計5人が参考人として出席する。 最初に証言に立った住民団体「伊豆山を面白くする実行委員会」のメンバーの男性は、2007年に同会で造成現場を調査した際「履いていた靴
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熱海土石流で甚大な被害 伊豆山港復旧へ漁師ら出資求む
土石流で甚大な被害を受けた熱海市の伊豆山港を復旧させようと、地元漁師でつくる伊豆山漁業会がクラウドファンディング(CF)を始めた。港に流入した土砂の影響で漁獲量が落ち込み、ダイビングや遊漁客を迎えることもできない中、漁師は「元の港に戻して笑顔が集まる場所にしたい」と話し、協力を呼び掛けている。 土石流は、起点から約2キロ離れた伊豆山港にまで達し、約1万8千立方メートルもの土砂が海に流出した。港内の土砂撤去は県が昨年10月までに終えたが、細かい土までは取り除けず、海がしけるたびに舞い上がり、濁りが数日間続くという。 港にはダイビング客らが利用できるシャワー室やトイレもあったが、土砂が直撃し
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義援金受け付け3月末終了 熱海・伊豆山土石流
熱海市は、同市伊豆山の大規模土石流の被災者に直接配分する義援金の受け付けを3月31日で終了する。2月17日現在、県から配分された義援金を含め13億3456万1480円が寄せられている。災害復旧に充てられる支援金を合わせると、19億1211万1843円に上っている。 義援金は国内外から寄せられ、既に9割ほどが被災者に配分されているという。斉藤栄市長は21日の定例記者会見で「熱海に対する支援の大きさ、層の厚さを実感している。改めて感謝申し上げる」と述べた。 市役所や南熱海、泉の両支所、市立図書館の募金箱は3月25日まで。市会計課では同31日まで受け付ける。口座振り込みは、三島信用金庫熱海支店
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復興に「住民の声を」 熱海土石流から7カ月、冥福祈る
26人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流が発生してから7カ月が経過した3日、被災地では住民や被災者らが集まり、犠牲者の冥福を祈った。土砂の撤去がほぼ終わり、今後、復興計画を策定する市に対して被災者は「住民の思いを丁寧にくみ取り、反映してほしい」と望んだ。 現場近くの寺院「般若院」では、住民団体「熱海伊豆山で心をつなぐ集い」が法要を営み、土石流で流された足湯跡に設けられた慰霊台に参加者が焼香した。大舘節生代表は「月日がたっても私たちには忘れられない日。集いの輪を今後広げていきたい」と話した。伊豆山地区連合町内会の当摩達夫会長は「復興に向けて少しずつ進んでいかなけれ
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伊豆山復興へ検討委設置へ 熱海市 基本計画の内容議論
熱海市の斉藤栄市長は25日の定例記者会見で、大規模土石流に見舞われた伊豆山地区の復興基本計画の内容を議論する市伊豆山復興計画検討委員会を2月中に設置する考えを示した。 復興基本計画は、伊豆山地区全体の方向性を示す指針。同委員会は10人程度で構成し、学識経験者のほか地元の各種団体の代表者らが委員を務める予定。 市は地元住民や応急仮設住宅で暮らす被災者のヒアリングを進め、2月の委員会で計画の素案を示す方針。斉藤市長は「地元の意見をしっかり取り込むことが大事。広範にわたる分野から委員を選定したい」と述べた。 また市は、土石流に伴う避難生活中に死亡した高齢男性の遺族から災害弔慰金の申し出があっ
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伊豆山小6年 熱海土石流復興願い卒業制作 記念看板「未来へ繋げ」
1月23日の語呂に合わせた「伊豆山の日」を前に、熱海市の伊豆山小の6年生が制作した伊豆山の日記念看板が21日、同校でお披露目された。大規模土石流に見舞われた地域を元気づけようと、児童自らメッセージとデザインを考案した。看板は同校の入り口に後日掲げられる。 地域で学校を支えることを目的に設立された「伊豆山を語る会」(当摩達夫会長)が制作を依頼し、6年生7人が卒業制作として作った。市民団体「富士山と末代上人 熱海の会」(真鍋梅美会長)が制作費を寄付した。 看板は45センチ四方の板8枚でできていて、並べると「未来へ繋(つな)げ伊豆山」のメッセージになる。背景に、鮮やかな虹が架かる青空を描いた
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熱海港に流出土砂搬入 静岡県が埋め立て工事 4月まで実施
静岡県は11日、熱海市伊豆山の大規模土石流で発生した土砂を活用する熱海港海岸渚地区第4工区(同市和田浜南町)の埋め立てに向けて搬入作業を開始した。約5400平方メートルに約1万立方メートルの土砂を搬入する計画で、4月28日まで行う予定。 県によると、埋め立てには国土交通省が逢初(あいぞめ)川上流の砂防ダムから除去した土砂や伊豆山港に流れ出た土砂など計約7600立方メートルと、市内の道路工事で発生した残土約2700立方メートルを使う。 初日の搬入は午前9時半ごろから始まった。土砂を下ろしたダンプカーは、すぐに市内の土砂仮置き場に戻って次の土砂を積んだ。 大規模土石流では、起点の盛り土など
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行政文書の黒塗り部分を開示 百条委で追及へ 熱海土石流盛り土
熱海市は4日、同市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった盛り土に関する行政文書の黒塗り部分を、市議会の調査特別委員会(百条委員会)に開示した。閲覧は市議のみ可能。百条委は3月以降に参考人招致や証人尋問を予定していて、盛り土の造成業者や土地所有者、市や県の責任の所在を追及する。 市情報公開条例の規定により、昨年10月に公開された約千枚の行政文書では伏せられていた個人名などが全て開示された。市は土石流の原因と責任を調査するという百条委の趣旨を踏まえ、開示文書の閲覧は議会事務局内で予約制との条件を付けた。複写や持ち出しは禁止とした。 閲覧した橋本一実市議は「推測と一致した名前もあれば、知らな
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熱海土石流半年 遺族ら真相究明願う 悲しみ胸に「風化させない」
26人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から半年が経過した。不適切に造成された盛り土による人災との見方が強い悲劇。その原因と責任の追及が続く中、心に傷を負った遺族らは「風化させてはならない」と決意を新たにし、一日も早い真相の究明と再発防止の徹底を強く願った。 土石流の爪痕が生々しく残る岸谷(きだに)地区の現場付近では、発生時刻の午前10時半ごろ、遺族、被災者計約20人が集まり、黙とうをささげた。「被害者の会」の会長で、母の陽子さん=当時(77)=を亡くした瀬下雄史さん(54)=千葉県=は「半年たっても悲しみは癒えない。今も思い出して眠れない夜がある」
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キャンドル、祈りの光 復興へ「一歩ずつ」 熱海・伊豆山神社
7月に大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山地区の復興を祈るキャンドルが31日、被災現場に近い伊豆山神社の参道に並んだ。発生から間もなく半年。住民や支援活動を続けるボランティアは「一歩ずつ前へ」と心を寄せ合いながらキャンドルに手を合わせた。 参道の189段の階段に、発光ダイオード(LED)のキャンドルが入った瓶を並べた。コースターに地元の間伐材などを使い、参加者が「がんばろう!伊豆山」「笑顔たくさんの地元に戻れますように」などのメッセージを書き込んだ。 伊豆山で介護タクシー「伊豆おはな」を経営し、発災直後に高齢者の避難を支援した河瀬豊さん(51)は「応急仮設住宅で暮らしている人が帰りたくな
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熱海土石流 逢初川整備方針原案 静岡県が提示 年度内策定へ
静岡県は24日、熱海市伊豆山の大規模土石流の現場を流れる逢初(あいぞめ)川の河川整備基本方針の原案を、県熱海総合庁舎で開かれた県河川審議会で示した。県は来年4月から約2年かけて逢初川の復旧工事を行う予定で、本年度中の基本方針策定を目指す。 原案によると、逢初川の流域面積は1・9平方キロ、流路延長は1・3キロ。急勾配で水の流れが速い上に、下流部が地下水路になっているため災害のリスクが高い。そのため、川幅を広げるなどして30年に1度降るレベルの雨量を安全に流せるよう改修する。流域での土地利用計画との調整や適正化に向けた指導などを通じ、関係機関と連携した水害対策を推進するとしている。 審議会で
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熱海土石流 復興計画、丁寧に進める 市長、年度内にこだわらず
熱海市の斉藤栄市長は21日の定例記者会見で、大規模土石流に見舞われた伊豆山地区の復興計画について「住民の気持ちが非常に大切であり、そこを無視してつくることはできない」と述べ、本年度中を目標にしていた策定スケジュールにこだわらず、丁寧に進めると強調した。 復興計画は、被災地全体の方向性を示す基本計画、具体的な用地測量や設計に基づくまちづくり計画、さらに詳細な事業計画の3本で構成する。市は当初、基本計画とまちづくり計画を本年度中に策定する方針だった。 しかし、まだ現実を受け入れられない遺族、被災者が多くいる中で具体的な作業に入っていける段階にないと判断し、時間をかけて住民の声を聞くことを優先
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伊豆山観光 自転車で 熱海・レンタサイクル店企画 復興応援
JR熱海駅前のレンタサイクル店「熱海トライサイクル」が、大規模土石流からの復興を目指す同市伊豆山地区を応援しようと、自転車で同地区の観光スポットや飲食店を巡るための案内地図を製作した。 観光客などに電動自転車を貸し出している同店の鹿島隆介店長が企画し、地元のボランティア団体「テンカラセン」の協力を得て300枚を製作した。 地図はA4判カラー。熱海駅から自転車で約10分の走り湯周辺と、約15分の伊豆山神社周辺にある飲食店や体験工房などを紹介している。QRコードも掲載していて、スマートフォンで読み取ると熱海駅からのルート案内が表示される。 鹿島店長は「観光の視点で伊豆山のために何かできない
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熱海土石流“無傷”の地蔵 紙から造られていた 上原美術館・田島さん調査
熱海市伊豆山で7月に発生した大規模土石流で被災した地蔵堂から奇跡的に“救出”された逢初(あいぞめ)地蔵堂本尊が、紙で造られていることが14日までに、上原美術館(下田市)の田島整主任学芸員の調査で分かった。紙を練り込んで造られた仏像は全国に数点あるが、田島学芸員によると、県内では極めて珍しいという。 13日に熱海市で開かれた講演会で明らかにした。本尊が安置されていた地蔵堂は国道135号の逢初橋付近にあり、大量の土砂で外壁などが損壊した。しかし本尊は無傷で見つかり、現在は近くの施設に保管されている。 本尊は源頼朝の長女大姫の病が治ることを祈り北条政子が書写した経文を練
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土石流被災のそば店 再開で恩返し 無傷、先代の「かえし」力に
熱海市伊豆山で7月に発生した大規模土石流で被災し、5カ月以上もの間休業していた国道135号沿いの老舗そば店「木むら」が22日に営業を再開する。母と店を切り盛りする小林和海さん(48)は「応援してくれたお客さんとボランティアの皆さんに恩返ししたい」と話している。 同店は1935年に小林さんの祖父木村石蔵さん(故人)が創業した。土石流が発生した7月3日午前、小林さんは店で仕込みの準備をしていた。しかし、そば粉の配達が遅れていたため、いったん帰宅した。 すると、正午すぎに店に残っていた母末子さん(78)から慌てた様子で「店の中に泥が入ってきた」と電話がかかってきた。食材やそば打ち機などがある地
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熱海土石流盛り土 文書黒塗り部分開示へ 市、百条委に方針
熱海市の斉藤栄市長は8日の市議会11月定例会で、同市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土に関する市の行政文書について、土石流の原因と責任の所在を調査する市議会特別委員会(百条委員会)に文書の黒塗り部分を開示する考えを示した。橋本一実氏(熱海市民クラブ)の一般質問に答えた。 百条委は盛り土が造成された当時の市や県の職員、土地の現旧所有者、施工業者らに証人尋問をする方針。ただ、県と市が公開している行政文書は個人名などが黒塗りになっているため、尋問内容や対象者を決められないとして開示を求める声が上がっていた。 斉藤市長は「本来は市情報公開条例の規定で開示できないが、百条委の趣旨を考慮し、議
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熱海土石流5カ月 “心の復旧”まだ遠く 相談員、被災者訪問
熱海市伊豆山で起きた大規模土石流は3日で発生から5カ月がたつ。応急仮設住宅で暮らす被災者の心をケアする「市伊豆山ささえ逢(あ)いセンター」はこれまでに延べ98世帯を訪ね、傾聴を重ねてきた。「収入がなくなった」「いつ伊豆山に帰れるのか」-。災害後の悩みや不安は多岐にわたる。中には「まだ誰とも会いたくない」と面会を拒む人もいるという。“心の復旧”にはまだ、長い時間と多くの支援が必要だ。 熱海市と市社会福祉協議会が運営する同センターは10月初旬に開設された。6人の相談員が市の保健師や社会福祉士とともに、県内外の13市町の応急仮設住宅に住む125世帯に電話したり訪問したりし
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盛り土経緯 退職職員ら10人を聴取 熱海市長、自身責任にも言及
熱海市の斉藤栄市長は26日の定例記者会見で、同市伊豆山の大規模土石流の被害を甚大化させたとされる盛り土が造成された経緯について、退職者を含む市の担当職員約10人に聞き取り調査を行っていることを明らかにした。その上で「どんな経緯や事実関係があろうと私の任期中に起きたことであり、非常に重く受け止めている。責任がないとはいえない」と自身の責任についても言及した。 市は盛り土に関する行政手続きが適切だったかどうかを検証するため、10月に公開した行政文書を精査するとともに、当時の状況を知る職員への聞き取り調査を進めている。結果は県が設置する第三者委員会に提出し、一般にも公表する予定。 斉藤市長は職
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熱海被災者 感謝の冬支度 日用品や衣類、支援物資の配布会開始
熱海市は25日、同市伊豆山の大規模土石流の被災者を対象にした支援物資の配布会を市総合福祉センターで始めた。27日まで。 レトルト食品や衛生用品、冬物の衣類などがずらりと並んだ会場で、被災者が必要な物資を選んで持ち帰った。市内の応急仮設住宅で暮らしている中田暁美さん(70)は「生活必需品を買いそろえるのは大変なので、本当に助かる。多くの人のご好意に感謝している」と話した。 同市には7月の発災以降、国内外から多くの物資が寄付され、避難所や被災地の町内会に配られていた。避難所は10月中旬に閉鎖されたが、支援物資は大量に残っていたため、市はできるだけ多くの被災者に物資を届けようと企画した。物資の
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伊豆山の復興計画 被災者の生の声反映を【湧水】
26人が死亡し、依然として1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は、発生から5カ月近くが経過した。主要な生活道路が復旧し、伊豆山小での教育活動も再開した。日常を取り戻しつつあるように見えるが、心に傷を負ったまま現実に向き合えない被災者は少なくない。市が本年度中に策定する復興計画は、安全安心な地域づくりだけでなく、傷ついた住民を支える指針としても重要な役割を担う。 「まだ本気で泣けていない」「本音が語り合える場がほしい」。今月中旬、地元のボランティアらの会合で、市伊豆山ささえ逢(あ)いセンターの担当者は、被災者から聞いた生の声を報告した。 同センターは、市内外の応急仮設住宅で
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記者コラム「清流」 朝のあいさつに込めた思い
始業前の校門で、住民は「お帰りなさい」と児童を出迎えた。朝の学校であまり聞くあいさつではないかもしれない。しかし、この日の朝は間違いなく「お帰りなさい」が一番ふさわしかった。 大規模土石流の被災地を校区に含む熱海市の伊豆山小で1日、約4カ月ぶりに教育活動が再開された。学校周辺の安全が確保できないとして、児童は2学期当初から約7キロ離れた隣接校の泉小に通い、空き教室で授業を受けていた。 慣れない環境の中、泉小の児童に気を使う場面も多々あっただろう。登下校の所要時間は、倍以上はかかっていたはずだ。そんな苦労を乗り越えて伊豆山小に戻ってきた児童を心からねぎらいたい住民の思いが、あいさつに込めら
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熱海・伊豆山小にエールの花 長野、山梨の生産者がビオラ届ける
大規模土石流の被災地が校区に含まれる熱海市の伊豆山小に9日、長野、山梨の両県の花生産者でつくる「八ケ岳グリーンネットワーク」から大量のビオラの花が届いた。同校での教育活動は約4カ月ぶりに再開されたばかり。これまで彩りを失っていた花壇がみるみるよみがえっていく様子に、児童や教職員たちは復興への活力をもらった。 同ネットワークは東日本大震災の被災地などに毎年1万鉢の花を贈っている。「土石流で傷ついた伊豆山の力になりたい」との申し出に、地元のボランティア団体「テンカラセン」が伊豆山小への植栽を提案した。 ビオラがずらりと植えられたプランター30個と苗200鉢がトラックから降ろされると、児童は「
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静岡人インタビュー「この人」 高橋一美さん 伊豆山の住民を支える任意団体「テンカラセン」を設立した
熱海市伊豆山で弁当店を経営する傍ら、大規模土石流で疲弊する住民の困り事を聞いて回ったり、支援物資を配ったりとボランティアに尽力。復旧復興に向けてこれまでの活動を「点」から「線」に広げようと、10月に任意団体「テンカラセン」を設立した。45歳。 ―発災からこれまでの自身を振り返って。 「もともと人助けをするキャラクターではなく、目の前のことに必死に対処してきただけ。現地では毎日『大丈夫?』という言葉が飛び交っていた。そんな人を気遣う気持ちをもっと広げたいと思い、設立した」 ―メンバーは。 「発災時から共に活動してきた20代から50代の仲間15人。被災した人もいれば、医療、福祉関係者、事
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百条委が1回目審議「年度内に一定の究明」 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流の原因と責任の所在を究明する同市議会の調査特別委員会(百条委員会)は5日、1回目の審議を行い、今後の議論の進め方などを協議した。委員長に就いた稲村千尋市議は「年度内にある程度はっきりさせたい」と述べ、国や県に法令強化を求める考えも示した。 百条委は同日の臨時会で正式に設置が決まった。調査期間は設けていないが、委員からは「状況は日々変わる。スピードを重視し、可能な限り何度でも会議を開くべき」との意見が出された。県と市が10月に公開した行政文書に黒塗り部分が多かったことに触れて「百条委の権限で明確にさせたい」との要望も上がった。 稲村委員長は閉会後の取材で、起点の盛
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熱海市議会が百条委設置 全会一致で可決 伊豆山大規模土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、同市議会は5日、臨時会を開き、被害を拡大させたとされる起点の盛り土に関する調査や責任の所在を明らかにするため、地方自治法第100条に基づく強い調査権限を持つ「伊豆山土石流災害に関する調査特別委員会」(百条委員会)の設置案を全会一致で可決した。 起点の盛り土は2011年まで土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社が造成した。同社は土砂に木くずを混入させるなどの問題行為を繰り返した。市は何度も行政指導をしたが従わないため、少なくとも2度にわたり措置命令の発出を検討したが、見送っていた。 市と県は10月18日、これらの経緯に関する膨大な資料を公開。市
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熱海・伊豆山土石流4カ月 続く祈り「いつ戻れるのか」
26人が死亡し、依然として1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から4カ月が経過した。立ち入り禁止になっている警戒区域付近では、被災者が犠牲者の冥福を祈るとともに、「悲劇を風化させてはならない」と言葉に力を込めた。 警戒区域内では、この日も県警機動隊員が行方不明の太田和子さんを懸命に捜索した。その傍らで、土石流に流された自宅跡に花を手向ける被災者遺族の姿もあった。 全壊した自宅付近を訪れた太田滋さん(65)は「太田和子さんが一日も早く家族の元に戻れますように」と願い、黙とうした。太田滋さんは神奈川県湯河原町内の応急仮設住宅に移って約2カ月。「まだ生活は落ち着かな
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悲劇「なぜ」追及本格化 熱海・伊豆山土石流から4カ月
熱海市伊豆山の大規模土石流は3日で発生から4カ月が経過した。現地では主要道路の通行規制が解除され、小学校での教育活動が再開するなど復旧が一歩ずつ進む。一方、多くの命や財産を奪った原因と責任を追及する動きが本格化してきた。静岡県警は起点の盛り土を含む土地の現旧所有者への強制捜査に乗りだした。盛り土が造成されるまでの過程で、県や市の対応に不可解な点も浮かび上がった。 ■伊豆山の希望 「みなさんは伊豆山の希望」。1日に授業を再開した伊豆山小の国原尋美校長は、4カ月ぶりに登校した児童にそう語り掛けた。明るい話題を望んでいた地元住民も子どもの元気な姿に目を細めた。 市は本年度中に被災地の復興計
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熱海・伊豆山の障害者就労支援施設 4カ月ぶりに再開
熱海市伊豆山の大規模土石流の影響で一時移転していた障害者就労支援施設「心象めぐみ会共同作業所」が1日、伊豆山の施設に戻り作業を再開した。約4カ月ぶりに“本拠地”に戻った利用者は、安心した表情で傘の布を再利用したエコバッグ作りなどに打ち込んだ。 土石流の現場から約100メートルの場所にある同施設は直接被災しなかったものの、長期にわたり周辺が立ち入り禁止エリアになった。そのため、JR熱海駅前のビルの貸し会議室を臨時作業所として活用し、インターネット上で資金を募る「クラウドファンディング」を実施しながら活動を続けてきた。 伊勢井勝施設長は「市内外から多くの励ましの言葉を
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おかえりなさい 熱海・伊豆山小再開 土石流発生から4カ月ぶり
熱海市伊豆山の大規模土石流の被災地を校区に含む伊豆山小(児童53人)は1日、約4カ月ぶりに同校での教育活動を再開した。児童は慣れ親しんだ学びやで授業を受けられる喜びをかみしめながら、学校生活の新たなスタートを切った。 「おかえりなさい」。玄関前で地域住民が温かく出迎える中、元気なあいさつの声が響いた。「学校再開の会」と題した全校集会で、国原尋美校長は「皆さんは地域の宝物であり、伊豆山の希望。これから復興に向かう地域に元気を与える存在になってほしい」と語り掛けた。全員で校歌を斉唱し、「チーム伊豆山」として力強く前進する決意を新たにした。 伊豆山小は7月3日の土石流の影響で通学路が寸断され、
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児童登校控え校舎清掃 熱海・伊豆山小、11月に4カ月ぶり再開
熱海市伊豆山の大規模土石流の被災エリアに近い伊豆山小で11月1日に教育活動が再開されるのを前に、同校PTAと地域住民ら計25人が29日、校舎内の清掃やグラウンド整備を行い、約4カ月ぶりに登校する児童を迎える準備を整えた。「ここから伊豆山の元気が生まれる」。住民の一人はそう言葉に力を込め、地域再生の一歩に期待感を示した。 6年生の教室。黒板には土石流が発生する前日「7月2日」の予定が書かれたままだった。1年生が大事に育てていたはずのアサガオはひからび、誰もいなくなった時間の長さを物語っていた。 同じ校内で学ぶ伊豆山小と伊豆山幼稚園の児童、園児たちは2学期から、スクールバスで約7キロ離れた隣
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被災写真など洗浄終了 橋幸夫さん、ボランティアねぎらう 熱海
熱海市伊豆山の大規模土石流で被災家屋から流出した写真などの拾得物を被災者に返却するために、洗浄、乾燥、仕分けなどの作業に当たってきた市民ボランティアの活動が26日、終了した。活動拠点の旧網代小には同市在住の歌手橋幸夫さん(78)や斉藤栄市長らが駆けつけ、ボランティアにねぎらいの言葉を掛けた。 拾得物は警察、自衛隊、消防が捜索活動と並行して集めたり、市職員が回収したりした。写真だけでも6万点超に上る。泥だらけのまま運び込まれた品々を、熱海花の会と市赤十字奉仕団のメンバーが丁寧に洗浄し、市が今月8日から被災者に返却を開始した。25日までに39世帯の元に戻ったという。 夏場から作業していたボラ
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熱海土石流被災者 政治にきめ細かな支援求める 復興ほど遠く
大規模土石流の発生から4カ月近くたった熱海市の伊豆山地区は、主要な生活道路の復旧が進み、少しずつ経済活動も再開している。しかし、いまだ行方不明者1人の捜索が続き、「復興」までの道のりは険しい。疲弊した地域を立て直そうとする住民は、被災地の実情をくみ取る姿勢ときめ細かな支援を政治に求めている。 「正直言って、がっかりした」。被災した小規模事業者向けに、15日に市役所で開かれた支援制度説明会。伊豆山で介護タクシー「伊豆おはな」を経営する河瀬豊さん(51)は、落胆した表情でつぶやいた。 土石流の現場から約30メートルの場所に事務所を構える河瀬さんは、所有していた業務車両3台のうち1台を失った。
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記者コラム「清流」 被災地の復興と心の傷
熱海市伊豆山の大規模土石流発生から3カ月以上にわたり通行止めになっていた現地の市道伊豆山神社線の規制が11日に解除された。これで被災地を通る基幹道路は全て車での通行が可能になった。不便を強いられていた住民にとって、待望の日だったに違いない。 車で箱根峠を経由したり、JR東海道線で湯河原駅まで出てからタクシーを利用したりして現場に向かっていた発生当初の取材を思い返すと、自分自身も感慨深かった。 大量の土砂やがれきを撤去し続けてくれた建設作業員には感謝してもしきれない。被災地の復旧は着実に前進している。その一方で「まだ前を向けない」と苦しむ遺族や被災者がいることを忘れてはならない。心の復旧に焦り
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復旧復興が最優先課題 熱海土石流、市長が予算編成方針
熱海市の斉藤栄市長は5日までに、2022年度の予算編成方針を各部課に通知した。市内経済に打撃を与えている新型コロナ禍への対応に加え、大規模土石流に見舞われた伊豆山地区の復旧復興を最優先課題と位置づけて集中的に政策資源を投入するとした。 22年度はコロナ禍と土石流の影響で、21年度より大幅な税収減が避けられない見通し。斉藤市長は「危機的状況」との認識を示し、伊豆山地区の復旧復興に集中的に取り組むために既存事業の休止や延期を十分検討するよう指示した。増加が見込まれる建設事業は多様な入札・契約方式の導入やコスト縮減を図り、予算要求に反映させるよう求めた。 コロナ対策では「感染対策の強化」と「経
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ささえ逢いセンター開設 熱海、土石流被災者の生活再建支援
熱海市と市社会福祉協議会は4日、同市伊豆山の大規模土石流の影響で市内外の応急仮設住宅に移った被災者の日常生活上の相談に応じたり、孤立防止のための支援を行ったりする「市伊豆山ささえ逢(あ)いセンター」を市総合福祉センター内に開設した。 ささえ逢いセンターは被災者宅への訪問などを行う生活支援相談員と市の保健師、栄養士が連携しながら、慣れない地域で生活する被災者の心身をケアする。必要に応じて専門機関につなぐ。被災地域のコミュニティー再建にも協力する。 生活支援相談員は現在、看護師や社会福祉士の資格がある4人が所属している。支援対象は10市町、約140世帯に及ぶため、センターは「高齢者や被災者の
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伊豆山被災事業者を対象 15日、支援制度説明会 熱海市
熱海市は10月15日午後1時半から3時まで、同市伊豆山の大規模土石流で被災した事業者を対象にした支援制度の説明会を市役所で開く。 7月豪雨に関する国の支援制度を活用して、県が創設する予定の被災中小企業復旧支援事業費補助金について説明する。補助対象は、事業再開に向けた施設、機械、業務用車両の修繕・購入をはじめ、移転、取り壊しなど。経費の4分の3(上限7500万円)を補助する。 新型コロナウイルス感染予防のため、説明会への参加は1事業所につき1人まで。事前の申し込みは不要。 問い合わせは市観光経済課<電0557(86)6203>へ。
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記者コラム「清流」 がれきの中のかき氷器
熱海市伊豆山の大規模土石流の現場に通う日々。壁が突き抜けた住宅や泥をかぶったままの車を見ていると、発生した日から時が止まっているような感覚になる。先日、がれきの中に家庭用のかき氷器が埋もれているのを見かけた。 幼い子どもがいる家から流れてきたのか。夏休みに遊びに来る孫のために老夫婦が用意した物だったのか。それとも、子どもが巣立ってもう何年も使っていない物だったのか。さまざまな想像をしているうちに、たまらない気持ちになった。 本格的な夏を迎える前に発生した土石流は、かき氷器を囲むだんらんの光景をも奪い去った。なぜこんなことになってしまったのか。やるせない気持ちを抱えたまま、季節は秋になった
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被災地住民に家電や家具無償提供 熱海・土石流で横浜の支援団体
大規模土石流に見舞われた熱海市伊豆山の住民を支援する民間団体「ONE TEAM」(新井祐司代表、横浜市)は21日、中古の家電製品や家具、新品の衣類などを住民に無償提供する活動を始めた。罹災(りさい)証明書を受けた人に限らず、土石流の影響を受けた全ての住民を対象にしている。 引っ越し業者やNPO法人などの協力を得て、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジといった家電製品をはじめ、テーブル、ベッド、秋冬用の衣類、ペット用品などを集めた。物資は団体が拠点としている伊豆山のアパート「熱海グリーンハウス」に保管していて、希望に応じて送迎や運搬も受け付ける。 罹災証明書で準半壊以上の判定を受けたり、警戒区域内に
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土石流で一時休業、運営費募る 熱海の障害者作業所「居場所守りたい」
熱海市伊豆山の大規模土石流の現場に近い障害者就労支援施設「心象めぐみ会共同作業所」(伊勢井勝所長)が、運営に必要な資金を30日までクラウドファンディング(CF)で募っている。土石流で一時休業したが、建物への被害はなかったため公的補償が受けられない可能性が高く、職員は「利用者の居場所を守りたい」と協力を呼び掛けている。 作業所周辺は土石流が起きた7月3日以降、立ち入り禁止になった。約1週間後にJR熱海駅前のビルの一室を無償で借り受け、臨時作業所として開設した。運営費は静岡県国民健康保険団体連合会の給付金でほぼ賄っているが、作業所の利用日数や人数を元に算出されるため、休業中の分はゼロになる。新
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応急住宅への転居いつ… 熱海土石流2カ月、ホテル避難154人
熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から3日で2カ月。避難所のホテルにはいまだ154人(2日正午現在)が身を寄せている。このうち半数以上は、静岡県が用意した公営住宅や民間賃貸住宅への入居が決まっているものの、家財道具がそろわないなどの理由で引っ越せずにいる。市は8月末までとしていたホテルの期限を約2週間延長したが、物件探しに時間を要した避難者は「準備が間に合わない」と不安を漏らす。 「まだ空っぽだけど、決まっただけでも一安心」。自宅が半壊し、市内の民間住宅への入居が決まった自営業関沢浩さん(54)は2日前に新居の鍵を受け取った。これから市や家電量販店などから支給される生活必需品が届くという。「
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熱海・伊豆山土石流 義援金・支援金 10億円を超える
熱海市伊豆山の大規模土石流で、市に寄せられた義援金と支援金の総額が23日までに10億円を超えた。災害発生から1カ月半余りが経過してもなお、1週間に3千万円以上の善意が寄せられていて、市は感謝するとともに引き続き協力を呼び掛けている。 被災者の被災状況に応じて配分される義援金は22日現在、約5億9900万円が集まった。市の口座には6781件の振り込みがあった。インフラ復旧など幅広い用途に充てられる支援金には約4億2600万円が寄せられている。個人、企業、団体からの浄財のほか、ふるさと納税を活用した寄付が多い。 市は今後、義援金の配分委員会を設置して配分率や対象者などを検討し、できるだけ早く
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耳に残る「恐怖の地鳴り」 土砂一気、悲鳴「逃げて」 熱海土石流、記者が見た発生の現場
見上げた空は青く、あの日と全く違う表情をしていた。熱海市伊豆山で発生した大規模土石流から10日で丸1週間。大量の泥で埋め尽くされた国道135号の逢初(あいぞめ)橋付近は、土砂や倒壊家屋の撤去作業が急ピッチで進んでいた。しかし、あの日耳にした地鳴りや建物がつぶれる音は、今も耳から離れない。 前日から静岡県内各地で冠水や土砂崩れが相次いでいた。「熱海は大丈夫だろうか」。そんな心配をしつつ、市内のホテルで取材途中だった3日午前、土石流発生の一報は飛び込んできた。すぐに車で現場方面に向かった。 国道135号を伊豆山方面へ。市街地を過ぎ、逢初橋を渡った辺りの道路に土砂が流出し、1車線をふさいでいた