熱海市予算案 本格的な復旧復興に主眼 一般会計202億4100万円 伊豆山関連11億5000万円 

 熱海市は14日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・0%増の202億4100万円。伊豆山の土石流災害からの本格的な復旧復興を主眼に置き、関連予算に約11億5千万円を計上した。特別、公営企業会計を含めた総額は4・9%増の401億5100万円。

熱海市当初予算案の主な事業
熱海市当初予算案の主な事業
熱海市2023年度 予算案
熱海市2023年度 予算案
熱海市当初予算案の主な事業
熱海市2023年度 予算案

 被災者の生活再建策として、今夏に予定する警戒区域解除の後も応急仮設住宅の家賃補助を続ける。原則は解除後3カ月までだが、区域内の自宅に戻る世帯には現地のインフラが整うまで支援する。
 応急仮設住宅から転居する際に30万円(単身世帯は22万5千円)を支給する。区域内の自宅に帰還する世帯にはリフォームなどの資金として100万円(同75万円)を上乗せする。公費解体の対象外になっている半壊未満の住宅を取り壊す際は半額(上限500万円)を助成する。
 ハード面では、被災地の公共施設や宅地の復旧、造成などに4億8500万円、逢初(あいぞめ)川の両岸に造る幅4メートルの市道の整備に3億3200万円をそれぞれ充てる。
 一方、新型コロナウイルス禍からの経済再生策では、宿泊施設のビジネス利用を促進するなどして平日の稼働率向上を図る。受け皿整備などに4千万円を計上した。人口減少が著しい網代地区の活性化に向け、3億3300万円を投入して旧網代小をオフィスや集会所の機能を備えた施設に整備する。
 歳入は、柱の市税が94億200万円(4・7%増)。市の貯金に当たる財政調整基金から16億9400万円を取り崩す。基金の23年度現在高は24億8800万円になる見込み。

 記者の目 帰還施策 丁寧な説明を
 熱海市伊豆山の復旧復興関連予算は、一般会計予算案の5・7%を占める。新型コロナウイルス禍からの経済再生などの重要課題も抱える中、決して小さな予算額ではない。
 市内外で避難生活を送る被災者が生活を立て直す上で、避けて通れないのが経済的負担だ。一人でも多くの人に伊豆山に帰還してほしいとの思いで、市は警戒区域内の自宅の修繕費などに税金を投入する方針を示した。
 伊豆山の復旧復興を応援しない市民はいないと信じる。ただ、個人の財産に税を充てる以上は、市民の理解を得る必要があろう。帰還の前提となる安全安心な地域づくりも欠かせない。施策の意義と工程の丁寧な説明が求められる。
 (熱海支局・豊竹喬)

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