「あいぞめ珈琲店」1周年 熱海・伊豆山 支え合い「心のつながり」紡ぐ 「誰もが帰れる場所に」

 熱海市伊豆山のコミュニティーカフェ「あいぞめ珈琲店」がこのほど、開店1周年を迎えた。大規模土石流に襲われた地域に「心と心のつながり」を紡ごうと、地元のNPO法人「テンカラセン」が運営してきた。高橋一美代表(46)は「これからも誰もが立ち寄り、帰ってこられる場所でありたい」と話している。

来店客と交流する(左から)中野さん、熊野さん、高橋代表=熱海市伊豆山のあいぞめ珈琲店
来店客と交流する(左から)中野さん、熊野さん、高橋代表=熱海市伊豆山のあいぞめ珈琲店


 同店は当初、月命日の3日に開店する予定だったが、伊豆山神社の例大祭のある4月15日にした。住民にとって特別な日であり、笑顔が行き交う地域がよみがえるよう願いを込めた。
 店内には、伊豆山を応援する人々のメッセージが書き込まれた木製のコースターがびっしりと貼られている。「忘れてはいけない」「前へ進もう」-。一つ一つの言葉に住民もスタッフも励まされた。
 店主の中野裕基さん(33)は「1周年を迎えられると思っていなかった。支えてくれた人に感謝している」と話し、店員の熊野芽依さん(28)は「伊豆山のために何かしようと思っていたが、逆に支えてもらっている」と笑顔で語った。
 市は被災地の「警戒区域」を9月1日に解除する予定だ。高橋代表は「避難先から帰ってくる住民がいつでも癒やされ、さまざまな情報が得られる場所にしていきたい」と話した。
 (熱海支局・豊竹喬)

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