明治期の熱海温泉本、現代に 「鉱泉誌」内田さん兄弟が復刻

 熱海市の熱海商工会議所会頭の内田進さん(75)と弟で医師の実さん(72)がこのほど、明治期に出版された熱海温泉の観光案内本「熱海鉱泉誌」の復刻版を発行した。温泉の効能や街並みの絵図、旅館の広告などが収録された一冊。温泉療法専門医である実さんは「医学的視点で温泉や海水浴を紹介していて興味深い。熱海の歴史や温泉を楽しむきっかけになれば」と期待している。

熱海鉱泉誌の復刻版(左)と第7版を手にする内田実さん=熱海市上宿町
熱海鉱泉誌の復刻版(左)と第7版を手にする内田実さん=熱海市上宿町
熱海鉱泉誌に収録されている温泉街の鳥瞰
熱海鉱泉誌に収録されている温泉街の鳥瞰
熱海鉱泉誌の復刻版(左)と第7版を手にする内田実さん=熱海市上宿町
熱海鉱泉誌に収録されている温泉街の鳥瞰

 熱海鉱泉誌は1890(明治23)年に初版が発行された。開業200年余りの老舗「古屋旅館」(同市東海岸町)の13代目当主で内田さんの曽祖父に当たる市郎左衛門さん(1871~1948年)が編集に関わった。
 同旅館には1901年に発行された第7版が残っていたが、劣化が進んでいたため、実さんの提案で復刻が実現した。鉱泉誌には、温泉の成分や入浴方法のほか、現在の同市上宿町にあった日本初の温泉療養施設「噏滊館(きゅうきかん)」の案内などが詳しく記されている。当時の鉄道路線図や温泉街の鳥瞰(ちょうかん)図、錦ケ浦、伊豆山神社といった観光スポットなども紹介している。
 実さんは「現代の熱海は若者に人気のスイーツ店などでにぎわっているが、やはり温泉あってこその熱海ということを再認識してほしい」と話している。復刻した冊子は市立図書館や県立図書館などに寄贈される予定。
 

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