水防対応 市町でばらつき 警戒活動や情報共有 静岡県調査

 静岡県内に大きな爪痕を残した2022、23年の台風災害を受け、静岡県が35市町に実施した水防活動に関するアンケートで、被害の報告や河川の巡視などの対応が市町によってばらつきがあることが分かった。県は水防法に基づく水防団、消防団の役割の再確認を呼びかけるとともに、市町が避難指示を出す際の判断などを支援するハード、ソフト面の対策を検討している。

被害報告を最終的にどこまで上げることになっているか
被害報告を最終的にどこまで上げることになっているか
土のう積みをいつ行っているか
土のう積みをいつ行っているか
被害報告を最終的にどこまで上げることになっているか
土のう積みをいつ行っているか


 調査は12月1~18日に実施した。県によると、水防業務を所管する部局は危機管理、建設、消防と市町によって異なる。そのため災害時に「被害の報告は最終的にどこまで上げることになっているか」との質問に、80%の市町が災害対策本部と答えた一方、消防本部(8・5%)、水防団・消防団本部(同)と答えた市町もあった。
 水防団・消防団が河川の巡視を行うタイミングについては、水防団待機水位や氾濫注意水位、避難判断水位などに達した時点で実施する市町が半分近くを占めたが、「特に決めていない」「大雨・洪水警報発表」「災害対策本部からの要請時」などと答えた市町が複数あった。
 水災の防御策の一つとして、土のうを積むタイミングに関する質問でも、6割の市町が「降雨前も降雨中も行っている」と答えたが、4分の1が「行っていない」と回答した。
 県土木防災課の担当者は「実態をさらに詳しく調べる必要がある」とした上で、「情報伝達が途中で止まっている可能性があり、県とも十分に共有できていない部分がある」と指摘。水災を警戒し、被害拡大を防ぐことを目的とした水防法で市町や消防団、水防団に求められる業務を再確認する必要があるとした。
 一方で、市町が避難指示の発令に迷ったり、被害が出なかった場合、「空振り」などと批判されたりすることもある。県は22年の台風15号と23年の台風2号で被害があった6市の13カ所に監視カメラを設置し、県と市だけでなく流域住民も映像を見られるよう準備を進めている。担当者は「市町の避難指示や住民の防災行動に資する情報を提供していくことが重要」とし、市町と意見交換を続けていく考えを示した。
 (政治部・豊竹喬)

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