「津波てんでんこ」忘れず 静岡県東部で避難訓練

 東日本大震災の発生から12年を迎えるのを前に、熱海市は5日、市津波避難訓練を実施した。沿岸部の地区の住民が避難経路やハザードマップの確認などを行った。訓練のモデル地区となった網代地区では、住民が自宅から高台に逃げる所要時間などを確認した。

津波を想定した訓練で、旧網代小の屋上に避難した住民=熱海市網代
津波を想定した訓練で、旧網代小の屋上に避難した住民=熱海市網代
坂道を駆け上がる参加者=伊東市新井
坂道を駆け上がる参加者=伊東市新井
津波避難ビルの階段を上る住民=下田市東本郷
津波避難ビルの階段を上る住民=下田市東本郷
消火活動時の連携などを確認した合同訓練=裾野市
消火活動時の連携などを確認した合同訓練=裾野市
津波を想定した訓練で、旧網代小の屋上に避難した住民=熱海市網代
坂道を駆け上がる参加者=伊東市新井
津波避難ビルの階段を上る住民=下田市東本郷
消火活動時の連携などを確認した合同訓練=裾野市

沿岸から高台へ迅速に 熱海
 相模トラフ沿いで最大級の「レベル2」の地震、津波が発生した想定。海抜約7メートルの旧網代小周辺では、午前10時にサイレンが鳴ると、住民が海抜約17メートルの同校屋上に避難した。消防団や医療機関も協力して、高齢者などの要支援者を車いすに乗せて移動した。避難は約15分で完了した。
 訓練後、網代自主防災会は意見交換会を開き、災害時の課題などを話しあった。萩原辰生会長(58)は「『津波てんでんこ』を忘れずに高い所へ逃げてほしい。住民、行政と協力して避難マニュアルを作り、全員で津波から助かるようにしたい」と話した。
要支援者高所へ リヤカー、車いす活用 伊東
 伊東市内で5日、津波避難訓練が行われた。新井地区では避難行動要支援者の避難支援訓練を同市で初めて行った。リヤカーや車いすを活用し、安全な高所まで急いだ。
 参加者は地震の揺れへの備えを呼びかける放送に合わせて身を守った後、手分けをして支援が必要な住民2人の家に向かった。リヤカーを使った組は複数人で協力して住民を乗せ、避難場所までの上り坂を速やかに駆け上がった。
 新井区西町の大胡恵町内会長(64)は「若い人が協力できれば避難は速いが、曜日や時間帯によって状況は異なってくる。訓練を重ねたい」と述べた。
「自らの命 最優先に」 住民 ビル屋上に参集 下田
 下田市の2022年度津波避難訓練が5日開かれた。市民約2千人が参加し、ビルへの避難など有事の対応を確認した。
 津波避難ビルに指定されている東本郷地区の集合住宅の屋上には、住民約60人が参集した。自主防災組織役員の説明を受け、災害発生時の扉の開け方も学んだ。
 同地区の防災会長沢地英四さん(71)は「まずは自らの命を守るのが最優先だと覚えていてほしい」と参加者に語りかけた。
 他地域では水門の開閉やペット同行時の避難も訓練した。
消防署と放水「連携密に」 裾野
 裾野市消防団と富士山南東消防本部裾野消防署はこのほど、合同訓練を同市で実施した。深良、富岡、須山の3分団員と消防署員、災害時消防活動支援隊員ら約100人が消火活動の連携を確認した。
 春季火災予防運動の関連行事。火災発生を想定し、市民文化センター近くの河川敷から黄瀬川に向かって放水した。水槽を搭載した消防署の車両が先着して消火活動を始め、消防団は後から消火栓にホースをつないで中継放水するなどした。伊東秀哉団長は「現場の消火活動でも連携を密にしたい」と訓示した。
 同市には消防団が5分団あり、東と西分団は昨年秋の火災予防週間に消防署との合同訓練に取り組んだ。各分団は7日までの運動期間中、パトロールを兼ねた夜間の火災予防広報活動を行う。
林野火災時 手順確認 富士宮
 富士宮市消防団と同市消防本部は5日、大規模な林野火災の対応訓練を同市の朝霧アリーナで行った。団員約200人が刻々と変化する火災状況に対応し、的確な指示系統と迅速な送水作業の手順を確認した。
 枯れ草を焼く程度の火が周囲の林に燃え広がった想定で訓練を実施した。現場に最初に到着した消防隊が応援を要請し、次々に分団を出動させた。
 到着した団員らはポンプ車からホースをつなぎ、消火活動に取り組んだ。車両の不具合により送水できない問題が発生し、車両の配置を変えるなど台本にない対応も取った。
 訓練は初めて団員に内容を知らせず行った。風間友明団長は「資機材の扱い方など課題が多く見つかった。本番の出動までに各分団で改善する」と話した。
即応体制強化へ非常招集 小山
 小山町消防団は5日、春季全国火災予防運動の一環として、災害発生時の即応体制の強化を図る非常招集訓練を同町の小山湯船原工業団地で行った。
 町内の7個分団の約100人が参加し、水利が遠い地域での火災を想定した送水訓練を実施した。団員たちは消防ホースを素早く延ばすと、ポンプ車3台を中継しながら約300メートルの放水地点まで水を送った。経験豊富な団員たちが若手団員に連絡の取り方や機器の扱いなどを指導した。
 加藤健団長(58)は「7個分団がそろって訓練できる1年の中でも貴重な機会。反省を生かして各団の連動をスムーズにし、有事に備えたい」と話した。



 

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