初島航路の新規客獲得へ 富士急マリンリゾート(熱海市)/堀内明広社長【キーパーソン】

 静岡県内唯一の有人島「初島」と熱海港を結ぶ定期船を運航する。新型コロナウイルス禍で低迷した観光の客足が回復傾向にある中、本格的な再生に向けて新たな戦略が求められている。今後の展望を聞いた。

堀内明広社長
堀内明広社長

 -新型コロナ禍からの回復状況は。
 「熱海市の宿泊客数はコロナ禍前の7割程度まで回復してきた。初島航路の利用客数も全国旅行支援などの効果で、コロナ禍前の年間50万人の8割程度まで回復してきている。一般客はほぼコロナ禍前に戻っているが、団体利用はなかなか回復しない。物価高騰もあり経営は厳しい状況が続いている」
 -初島航路の利用促進の取り組みは。
 「客船の旅を楽しみ、島の食堂街やアジアンガーデンなどの施設で特別な時間を楽しんでいただいている。人気キャラクター『ピングー』や『温泉むすめ・熱海初夏(あたみういか)』といったアニメコンテンツとコラボレーションするなどして、従来は来る機会がなかったお客さまを掘り起こして新規客の獲得に注力している」
 -観光を盛り上げるために必要なことは。
 「熱海は外国人観光客が少ない。幅広いお客さまを集客できるよう多言語化券売機やQRコード決済を導入するなどして利便性を高めたい。熱海は首都圏から近いため、日帰り客が多い特徴もある。富士急グループが事業展開する初島、十国峠、箱根、富士山を点ではなく面として発信することで滞在時間を延ばし、宿泊客の増加や地域経済への波及効果を高めていきたい」

 ほりうち・あきひろ 富士急行に1993年入社。富士急ハイランド営業企画部長、富士急シティバス社長などを歴任し、2022年7月から現職。

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